【感想・ネタバレ】機械たちの時間のレビュー

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Posted by ブクログ

男がいる、経理事務所を開き妻を持つやり手の男。どこにでもいる働き盛りの彼は有能ゆえに危ない橋も渡ってきた。普通と決定的に違うことは男の脳に機械と自身の肉体を操るチップが埋め込まれている火星軍兵士という点だ。
時間と次元を渡り歩き敵を追い詰めた男は果たして故郷の火星に戻るのか現代に留まるのか?
たとえ意図しない状況に翻弄されている身でも、その時の選択は己自身の意志による物だろう。
催眠洗脳や謀略煽動、それらの解決後の模範解答に刃向かう彼の選択はケリを着けたからこそ映えるものだ。
そのタフさは羨ましいが危うくもある。

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2010年07月02日

Posted by ブクログ

脳にチップを埋め込まれた火星軍のハイブリットソルジャー邑谷武。無機生物マグザックとの戦闘に破れ、時空を飛ばされた彼は1976年の新潟に転移した。物語はその10年後の1986年から始まる。
 他の作品に比べるとスケールが小さいです。あと言葉遣いがちょいと古いです、相当前の作品なので仕方ないですが・・・。今著者が書き直したらよりいっそうすばらしくなるのではないかと思います。

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2010年01月31日

Posted by ブクログ

ハードボイルドアクションSF。
機械と意識と時間。
人間以外の知性の時間感覚はSFにはよくあるテーマですね。
テンポが良くて、とても読みやすい。

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2019年09月26日

Posted by ブクログ

ストーリー自体は一人の男を主人公に据えたハードボイルドともサスペンスとも言えるシンプルなドラマだが、作品世界の設定がとても「神林的」で、そうしたギャップがちょっと面白い作品。未来の火星から過去の地球へ跳ばされた、脳内に戦略情報プロセッサTIPを埋め込まれたMMHS(マン・マシン・ハイブリッド・ソルジャー)である主人公に、同じように過去の地球(主人公がいる時代よりやや未来の)に跳ばされた火星時代の友人がコンタクトしてきたことから物語は始まる。1987年の作品なのに、作中で描かれるPCやネットワークがライフラインとして根付いている近未来の日本の情景が、私たちが生きている現代の社会ととても近くて、神林氏の想像力というか、知識に基づいた予想力に感心してしまう。フロッピーの再生デバイスは資料館にしかなく、電子マネーカードが流通し、クラウドサービスと繋がる車載コンピュータやホームセキュリティシステムが一般的になっている世界。87年当時の読者には「近未来」のものと感じられたであろう世界も、現代の読者にとってはもっと想像しやすい「現実」に近い世界になっている。
「時間は決して流れない/ただ広がっているのみ/そこを意識が渡るのだ」という扉の言葉が表している通り、この作品では、時間というものは過去方向が正とも未来方向が正ともされない、移動の自由なネットワーク状のものとされている。そして、エントロピーの理論に基づき単一から複雑への分化・拡散が存在の向かう方向を決めるとするなら、人間が文明を発達させるのに伴い機械をビッグ・インテリジェンス、巨大単一知性へと発展させていった場合、機械は、人間にとっての「未来」にある単一から、「過去」にある複雑へと分化・拡散しようと指向する――それが、“機械たちの時間”の流れ、“人間たちの時間”とは逆方向に進む流れなのだ。
…という、作品世界を支える原理の設定自体がまず何より面白い、興味深い作品だが、そうした世界の中で人間くさい感覚と意志を持って動くキャラクターたちの魅力も、神林作品ならでは。とは言え、この、世界設定の面白さを面白がれるかどうかで、作品の印象は人によって「すごい」と「つまらない」に二分されそうな気も。でもこの、読者が付いてこられるかどうかは余り気にしてない感じが、私は、好きです。

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2012年02月10日

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