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「僕たちの関係を、大人同士のうわべの信頼関係と軽んじてはならないと思う。誰しも自分の問題は、自分の世界の中で解決しなければならない。荷が重くて、大変で、辛いことだ。そんな日常の中で、僕たちには自分の世界の外に、無条件の信頼が存在する場所があったんだ。この仲間たちだ。それがどれほど貴重なものか。そんな仲間を得られたことが、どれほど嬉しかったか。僕たちは生死をともにした仲間であり、同時に大人としてお互いの世界を尊重し合った。」
構成としてはミニ『虚無への供物』。動機は不可解。推理は緻密で面白い。
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漂流して生死の境を共に経験して以来、強い絆で結ばれた6人。
ダイビングには必ず6人で行き、その後は飲み明かす。
いつもと同じだと思っていたその日、皆が酔い潰れた後、彼女は自殺した。
遺書もあり、警察の捜査でも自殺と断定されたが、彼らは不可解な点に気付く。
ただの友人ではない彼らだからこそ気付いた疑問。
遺書には語られなかった彼女の死の真相とは・・・?
本格ミステリですが、着眼点というか、今までに見たことのない角度に驚きました。
独特の感性をお持ちというのでしょうか。
石持さんの作品は、良い意味で変わってますね。
自殺に見せかけた他殺を暴くというものはよくありますが、自殺した人の心情を知るために議論するというものは初めてです。
信じる心と疑う心。
他人の心情を探るというのは、すごく難しいことだと思います。
ただ、お互いを心の底から信じ合う6人の関係は、すごく素敵で素晴らしいものだと感じました。
あたたかく、そして哀しい物語です。
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海難事故をきっかけに強い絆で結ばれた6人の男女。そのうちの1人の自殺に不自然な点を見つけた仲間は、真実を解き明かそうとする。
石持さんの作品は思考・考察の描写が細やかなところが気に入ってますが、この作品もそれは健在で、思考の果てに陥る矛盾にまで話が広がっていくので、登場人物の心情に深く入り込むことができます。
明らかになった真相は感動的なものであり、それでいてラストは切なく、余韻の残る仕上がりになっています。
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面白かったです。堪能できました。ちょっとくどいくらいの本格物です。じっくりと推理したけど、やっぱりおいらのへなちょこ推理では足元にも及びませんでした(笑)・・・が、しかし、小説だから許せるけど、自殺を美化することはおいらには出来ません( ̄‥ ̄)=3 フン
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人の死が関わるミステリと言えば、探偵ものや刑事ものなどの犯人を探し追い詰めていくものが多いと思うけど、このパターンはわたしには新しく感じられた。
かつてダイバーとして危険に晒され生死を共にした6人。
特別な関係となった彼らは1,2ヶ月に1回は集まってダイビングを楽しむ生活をしていた。
ところがいつものようにダイビングを楽しみ、メンバーの家での酒盛りを終えた翌朝、ひとりが自殺をしてしまう。
遺書もあり、警察も自殺と断定したが、その死に疑問があるとひとりが言い出し、彼女の死について議論を行うために集まることとなる。
解決済みの死について、捜査をするでもなく罪を暴くわけでもなく、ただお互いを信じるためだけに密室で議論を重ねるだけの時間。
そこまで信じられる人たちに出会えたらきっと幸せなことなんだろうなと思う。
Posted by ブクログ
石持さんはやはり素晴らしい~。
今回もミステリのようでいて、ノンミステリな感じ。なんたって被害者(?)は自殺だから。
海での漂流という事故をきっかけに強い絆で結ばれた6人。しかしその中の1人・美月が6人でいる時に自殺する。しかしそこには不審な点が。5人はその謎をつきつめていく…。
けど磯崎が共犯、もとい協力者っていうのは、割とすんなりわかるよね。あと美月と磯崎の自殺の動機も、いまいち納得いかない…というか理解しかねる。まあそうい状況になったことがないからなあ。
けどやっぱりなぜか好き。全体のストーリー、空気、そういううのがいい。
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複雑、巧緻に筋が通っていて知的興奮は味わえる。
でも、魂は救われない。
前提に無理がある。
生きてる人間に死はわからないのだから…
Mahalo
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海難事故からの生還で、強い絆で結ばれた6人の仲間。
その1人が、自殺してしまう。
残された直筆の遺書、用意した青酸カリの出所は、全て自殺を物語っていた。
しかし、たった一つの不自然な点から、5人は彼女の自殺に疑問を持つ。
彼女の死は、本当に自殺なのか?
ってな話。
完璧に整った、自殺以外ありえない状況から、一体どうなるのかとハラハラしながら読んだ。途中の行ったり来たりの推理がちょっとヌルかったけど、それも含めて面白い。ちゃんとまとめたラストは予想外。おすすめ。
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特殊な事故を経て絆を深めた6人だけど、その信頼感が全ての推理のベースにあるので、読者はなかなか共感できず、推理に納得できないのではないか。
自分が自殺しておいて残されたメンバーには変わらないでいて欲しいという、行動理由も自分勝手で余計なお世話としか思えない。
Posted by ブクログ
石持 浅海氏の作品で、登場人物の心理描写を
中心にしたストーリー。
派手なアクションやイベントが起こるわけではなく、登場人物(5人)の会話で構成する話。
大時化の海の遭難事故により、強い信頼で結ばれた6人の仲間たち。
そのうちの一人、米村 美月が青酸カリで自殺した。
四十九日の夜、集まった5人の男女が、彼女の自殺の隠された謎に迫るため、推理を始める。
彼女は、本当に自殺なのか?
協力者がいたのではないか?
『走れメロス』の登場人物になぞらえ、物語は進む。
果たして、驚きの本当の真実とは?
会話の中に、伏線もかくれて面白いのですが、好き嫌いが分かれるかも知れませんね。
Posted by ブクログ
大きな場面展開などはなく、一つの死に対する疑惑を語り合うだけなのに、ここまで読ませるのは流石です。
過去に起きた漂流場面の緊迫感たるや、経験者なんじゃないかと思うほどでした。
しかし、結末に至っては予想を越えるものではなく、少し肩透かし。
とは言うものの、犯人特定に至る、ある気付きは唸らされました。こういうロジックは気持ちいいですね。
『走れメロス』は小学生の頃に読んだきりなので、本書を思い出しながら読み返してみようと思います。
Posted by ブクログ
最初の50ページでこんなに悲しくなったミステリは今まで読んだことないのです
展開が分からなくても、序盤で「おや?」と思う伏線がちゃんとあって、よく分からなくても辿り着くは着くのです
ただ、何を疑問に思って、何に繋がっていくか。
ミステリを読む上でとても大事なお話だったのです
あまりミステリを読んで自分の経験や感じたことと重ねることはなかったのですけど
大事な仲間、集団、一緒に居たり話したり思い出す時間、心の拠り所。
その大事なモノへの思い入れがぐだぐだしない様に主人公の年齢層を選んだのはとても良かったのです
きっと誰にでもあって、過去にも持っていた、或いは感じたことがある場所。
それを手放す時って、複雑な気持ちになるのですよね
時間もかかる
気持ちも消費する
何だかそんな切ない気持ちを思い出したのです
Posted by ブクログ
一つずつ問題提起されて一つずつ解決していく。テンポは良いが登場人物特に美月に全く感情移入できない。凡人たちが話あって論理展開していくのもなにか物足りない。こいつは!ってキャラクターがいないのが惜しい。読みやすい
Posted by ブクログ
6人の絆を前提とした気付きと受け取りに、あまり共感はできなかった。しかし、人間は興味、関心、知識、精神状態など・・・の影響でかわるものだと思うので、そんなこともあるのかな?と思う。わたしにはかなりきついことだと思うし、想像を超えている。
Posted by ブクログ
「走れメロス」に登場するセリヌンティウス。
確か彼ってメロスの身代わりとして人質になったんですよね…。
その話を土台として、自殺した美月の謎を解明していく仲間5人。
内容はほぼ謎解きばかり。
特に驚きのラストってことはなかったけど、相変わらず細かな部分をいちいち掘り下げていくな~って、半ば感心?半ばちょっと飽きたな(笑)という感想でした。
Posted by ブクログ
設定的には石持さんらしい感じ。スキューバだし。やっぱスキューバしたいなーと関係ないことを思う。自殺した仲間の謎を解く話。しかし、結局その理由が分かったような、分からなかったような。やっぱり美月や磯崎の考えはよく分からない。そんなに自分たちの思い出を印象付けたかったの?むー。麻子だけ美月と呼ぶ理由も解明されてないし。何かしっくりこないわ。そもそも「走れメロス」、全然好きじゃないしなー。
Posted by ブクログ
石持浅海らしい、ロジックを突き詰めるミステリーでありながら、
そこにあるのは冷徹な論理の「冷たさ」ではなく、
あくまで、人を信じることを描いた、とても「温かい」作品。
自殺に至るまでの動機付けが苦しいと見る意見もあるでしょうが、
この部分こそが、人と人の絆の意味を問う、今作の醍醐味(論点)なのだと思います。
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遭難するも奇跡の生還を遂げた男女6名のダイバー。6人はその不思議な縁を大切にし、
定期的に同じメンバーでのダイビングを実施していた。
しかし、メンバーの1人美月が、ダイビング後の宴席で皆が酔いつぶれた中、
青酸カリを呷る自殺を遂げる。
残された5人は49日の法要で再び顔を合わせ、誰とはなしに、美月を悼むべく、
美月との思い出を語ろうとまとまり、ダイビングの拠点していたロッジに集う。
美月の自殺したその日を思い返す中、5人は自殺に不自然な点があったことに気づく。
青酸カリのビンは「キャップ」をつけられた状態で、テーブルに「転がっていた」のだ。
青酸カリが飛び散らないよう「キャップ」をつける余裕があるなら、
なぜ「転がす」(=テーブルから落ちてビンが割れる可能性有)必要があったのか。
むしろ「転がっていた」のは自殺に見せかけるための「誰か」の仕業ではないか?
そうすると、奇跡の生還を果たした仲間に「共犯者」がいるのか??
いや、そんなはずはない、美月は何か万全の態勢で自殺に臨んでいたはずだ。。。
メンバーの1人は、この状況を「走れメロス」に出てくる「セリヌンティウス」
(=メロスを信じ、メロスの代わりに人質となる友人)のようだと言う。
つまり、残された5人(=セリヌンティウス)は、美月(=メロス)が、
皆に青酸カリ迷惑が及ばぬようにした(=セリヌンティウスの許に帰ってきた)という
事実は知っている。しかし、そのプロセスが分からない。
プロセスが分からないから、「共犯者」の可能性を考えてしまう。
美月を、そして奇跡の生還を共にしたメンバーとの思い出を確かなものにするべく、
5人は推理を続け、そして、1人がこの自殺に秘められた意味に気づく。
そう、確かにこの状況は「走れメロス」と相似形だ。であるならば、登場人物として、
もう1人、ディオニス王(=メロスに死刑を宣告し、セリヌンティウスに
「メロスは戻らない、お前は裏切られた」と囁くが、最期はメロスらの友情に心打たれ
改心する暴君役)の存在がいるはず。
では、ディオニス王の役を担うのは誰か?
そして、なぜそんな役を配する必要があるのか??
そこには、奇跡の生還、そしてそこで出会えた仲間との絆を、
誰よりも大切に思う、美月のとても一途な想いが隠されていた。。。
Posted by ブクログ
ルールはひとつ。信じること。
メロスの友の懊悩を描く、本格の新地平!
荒れ狂う海で、六人のダイバーはお互いの身体をつかんで、ひとつの輪になった。米村美月、吉川清美、大橋麻子、三好保雄、磯崎義春、そして僕、児島克之。
石垣島へのダイビングツアー。その大時化の海で遭難した六人は、信頼で結ばれた、かけがえのない仲間になった――。そんな僕らを突然襲った、米村美月の自殺。彼女はダイビングの後の打ち上げの夜に、青酸カリを飲んだ。その死の意味をもう一度見つめ直すために、再び集まった五人の仲間は、一枚の写真に不審を覚える。青酸カリの入っていた褐色の小瓶のキャップは、なぜ閉められていたのか? 彼女の自殺に、協力者はいなかったのか? メロスの友、セリヌンティウスは「疑心」の荒海に投げ出された!
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メロスの人質、セリヌンティウス。そこにあるのは盲目的な信頼。決して裏切りのない信頼だ。この物語は海難事故によって出会った者たちの絶望に似た死への希求と生への希望、そして信じることの証明を描いている。ああでもないこうでもないと信頼という最後の答えを探してひとりの仲間の死の謎を解いていく。ミステリとしては興味深いし面白い。この人が彼女の死に関わってはいるだろうと犯人というか共犯者というか、そういう人がだれなのかは簡単に知れるが面白い。ただどうしても残念なのはラストにもうひとり死んでしまうことだ。犯人、ではないがそれに類する彼の死が水を差す。まあ、この人は最初から死への絶望的な憧れを捨てられなかったのだし、犯人とは少し違うのだがラストの死は好みに合わない。もともと犯人が死んで終わるミステリが性に合わないからだが著者の作品で先に読んだ《月の扉》もラストで犯人が死亡するところが嫌でこの著者の作品はもう読むまいと思っていたがまた手を出してしまったのが今作だった。なぜならミステリとしては面白いからだ。《月の扉》もそうだった。面白い。ラストで犯人もしくはそれに類する人物が死んでしまうある意味で卑怯な断絶がどうしても評価を鈍らせるがやはり面白い。
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ダイビング中の遭難を乗り切ったことにより精神的に固い絆で結ばれる数名の男女。
ある日、マンションの一室でみんなで集まって酒盛り。酔いつぶれて目が覚めると、一人服毒自殺していて・・・
単純な自殺と思われたが、ある写真からその死が疑われる。固い絆で結ばれた仲間は最期に一体なにを思って死んだのか?
中篇、くらいのボリュームの小説です。いやあ・・・この人面白いわ。なんていうのかな?舞台の脚本みたい。
一つの視点というか一つの場所だけで話が完結していくような。シチュエーションコメディのような。
そして「絆」という不確定とも思えるようなものは「絶対条件」として動かさないのも読んでいて変にゆさぶられないので読み手が混乱せずに話を追えるというのもいい感じ。
しばらくこの人の作を読み漁ってみようかな・・・・
Posted by ブクログ
『月の扉』、これと読んで、要するに、素人がいろいろ推理を繰り出す設定を作って、いろいろな仮定のもとに推理を展開させるってことなのね、と判明。シチュエーション・ミステリとでも言おうか。だから、シチュエーションが不自然でもそれを受け入れて読むしかないんだけど、『月の扉』のカリスマ師匠にしろこれにしろ、なんだか設定が微妙にきもい。『月の扉』は道具立てがハイジャックと最大の月蝕、と、派手で楽しかったが、これは自殺に立ち会った人がいるかどうかという地味ーな話なので、かえって奇妙さが際立つかも。その中に、絶対の信頼・裏切りなどの大袈裟なワードが頻出するので、違和感が増すのかも。
推理の前提が偏っていて、それで「論理」展開してもねー、と思ったが、それに対するエクスキューズはあった(特定の意図のもとに前提が提示されていたという)。
人工度が高いので、登場人物の誰にも共感できないという効果を生むが、まあ感情移入とかさせようとは思っていないんだろう。
なお、男は姓、女は下の名前で記述されていて(一人称叙述だが、「僕」の普段の呼称がそうだからというわけでもなく)、なんか意味があるのかと思ったが、そういうわけでもなく、どうやら石持という人が単にそういう人らしい。『Rのつく月には気をつけよう』のオチ(?)といわれているものについて、なんでこれが引っ掛けになるのか疑問だったが、石持にとって、女性は無意識的には名で記述するもので、姓で記述するのは引っ掛ける意識でやってたんだな、ということが腑に落ちた。
Posted by ブクログ
ダイビング中の海難事故で助け合い生き残った6人。
共に生死の境を味わった彼らは
他では得難い信頼で結ばれた仲間となった。
やがて、そのうちの一人、美月が自殺をする。
仲間たちに数々の疑問点を残して。
警察や世間には大して重要ではないであろう疑問。
しかし、彼らにとっては重要な疑問だった。
《走れメロス》のセリヌンティウスの立場に立った
残された5人は美月の鎮魂のために
自殺に隠された謎を解くべく推理ゲームの席に着く。
今回も石持氏独特の世界観。
キレイ過ぎる人間関係。
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生死に関わる苦難を乗り切った間柄は特別なものだ。
それは経験していないものでも想像はつく。
しかし、彼らの繋がりは想像を超えたものなのだろう。
その結果が、この物語なのだ。
石持さんの本は、数冊読んだが
どれも動機が弱い。
共感得られないものが多いのだ。
しかし、動機は人それぞれの価値観によるものだから仕方ない。
別の数名が同じ体験をしても
この物語は生まれないだろう。
( ・_ゝ・)<偶然の産物
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かつてダイビング中の漂流でともに手を繋ぎあい助かった男女6。誰よりも強い絆で結ばれていた。そのなかで自殺した友人。だれもが警察も自殺と断定したその死に5人は不振を抱く。協力者の存在の可能性を議論する。どうしてその謎に迫りたかったんだろう?(ま)
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うーんさすが石持さんと言うべきか・・・?
今回は若干期待はずれ。
海で遭難しかけたことをきっかけに固い絆で結ばれたダイバー仲間6人。一緒に潜った後の打ち上げでそのなかの一人が自殺した。何故彼女は死んだのか、誰が彼女の自殺を助けたのか。などを残ったメンバー5人は解き明かしていく。
悪意の皆無を証明したかったという意欲的作品ですが、
そこに囚われすぎてくどくどしすぎちゃった感が否めず。
走れメロスを題材に友情を証明したかった様子ですが、
どうにか話を融合させようと足掻いて説明臭くなってしまって感動が薄かったです。
相変わらず、ものをバクバク食べてる人たちばっかりでお腹は減るし、ビール飲みたくなります。