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Posted by ブクログ
遥か昔に教科書で文語体である『舞姫』を読んだがその時は言い回しが難しい上に悲惨なオチだと思っていた。本書は現代語訳と補足する様に当時が伺える解説がついた事で分かりやすかった。格調高い文章が抜けて意味が分かると豊太郎の他責型ゲス野郎ぶりが浮き彫りになるがコレもまた人間。外国人が現地人にその国の言葉で教えるとか頭脳明晰である事は確かである。
実際のエリスのモデルになった人は鴎外を追ってきたというからこんなタマでは無いし鴎外自身も書簡を大切にしていたらしい。敢えて悲劇性を強調する事で思い出を鮮烈なものにしたかったのかは不明だがこのオチに現代を生きる女性の方々はどう思われるのか気になるところである。
Posted by ブクログ
興味はあったけど文語でとっつきにくかった、『舞姫』の通釈つき文庫。
主人公がいかに受身で優柔不断で、そのくせプライド高くて自己弁護ばっかりなのかを、丁寧な解説がこれでもかと教えてくれるので、主人公の印象がマイナス方向に5割増し(笑
しかし、読んでみたら意外と主人公に感情移入してしまいました(ダメ人間)。
それにしてもエリスは余りにも可哀相。
語るだけ語ってブツッと切れる終わり方も、何だかリアルです。
【B】
Posted by ブクログ
こうしたエリートぶりやマザコンぶりを自分から告白する必要がこの小説にあるのだろうか?
しかし必要だった。彼は母を悦ばせよう、世間に誉められようとひたすら自分を抑えて努力を重ねてきた。そんな受身型の人間にとって全てを捧げた過去の履歴だけが自分を守る楯だったからだ。
官僚の官が上級役人、僚は下級役人。
外国人である彼の場合、話すドイツ語と日本人として思考との間には見えない壁がある。
ユダヤ人のエリスと日本人エリート青年。
この時代にユダヤ人であることがこの小説では重要。