【感想・ネタバレ】加藤周一 二十世紀を問うのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2015年11月23日

生涯に沢山の言葉を残した加藤周一の著作を初期からたどりながら、その言葉と考えを探る小論。新書であるが、それを超えた範囲で、重厚な小論であった。文学、美術、社会評論に関して、その意味、意義を時代や周りの人達との関係を含めて論じられていた。加藤周一の社会的活動についてグラムシの言葉を通じて述べられていた...続きを読む「知性のペシミズム、意志のオプチミズム」という発想は、今の時代だからこそより希望の灯となる。

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Posted by ブクログ 2014年03月02日

海老坂氏のサルトルについての本(題名は忘れた)を大学生のとき読んだ。本棚の一番良いところに置いて、時々読んでいた。懐かしい。
この本の中では、海老坂氏が自身と境遇が似ている(戦争の体験がある、東大出身、分筆業)加藤氏に親しみを感じているような記述が所々ある。
独りよがりに見えずに微笑ましく映るのは、...続きを読む真剣に思考して、書いてきた年月の重みを私が二人に感じるからだろう。
現実をただ受け入れるのではなく、理想をもって世界を観察する。ある意味、加藤氏も海老坂氏も少年のようだ。

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Posted by ブクログ 2018年12月22日

戦後を代表する知識人の一人である加藤周一の生涯と思想について、著者自身の観点から比較的自由に語っている本です。

加藤周一については、鷲巣力や成田龍一といった論者たちがその思想的経歴について立ち入った考察をおこなっていますが、本書はフランス文学を専攻し、加藤に近い立場から文学や思想、政治についての評...続きを読む論をおこなっている著者が、加藤の著作を読み解きながら、ときに疑問を提出しつつ、彼の思想にせまっていく試みだといえるように思います。

著者は、戦後の加藤が「エゴイズムを拡充した高次のヒューマニズム」を掲げ、「作家は自己の戦争体験から出発せよ」と主張した荒正人を批判していたことに着目して、「観念によって、思想によって〈戦中〉を耐えてきた加藤にとって、肉体-心理-エゴイズムの側面を強調する論法は受け入れられるものではなかった」と述べています。さらに著者は、こうした観点から加藤と、本居宣長へと回帰していった小林秀雄を対比する視点を提出しています。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年05月29日

海老坂武『加藤周一 二十世紀を問う』岩波新書。西のオム・ド・レットルがベンヤミンと仰げば、東のそれは紛れもなく加藤周一だろう。本書は、加藤への敬愛を込め、出生から膨大な作品群に至るまで丁寧に見ていく秀逸な加藤論であり加藤伝。創作から批評まで幅広い全望を見事にスケッチする。

加藤は政治的であり政治的...続きを読むでなかったのが最大の謎だ。しかし著者は加藤のengagementを政治的それと矮小化せず、知のそれと捉えることでその疑問に答えようとする。即ち全体人間としてのそれである。本書で知る挿話も多くおすすめ。

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Posted by ブクログ 2013年05月29日

60年安保のときのノンポリとその後の留学の原因は、もしかすると中学時代、まったく友人が居なかったことに起因するのではないでしょうか。
若い頃、「たむろ」することが嫌いだった人は、自然と「さわぎ」は嫌うものです。
人が群れたりする喧騒というのは、生理的にいやなんですね。
そういう生理的なものが加藤の思...続きを読む想にも影響していたのではないかと思うのです。

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