【感想・ネタバレ】19歳 一家四人惨殺犯の告白のレビュー

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Posted by ブクログ

とても衝撃を受けた。2人の娘を持つ父親として恐怖。こんな人間が存在する事に驚愕した。加害者の置かれた環境を動機とする事は容認できない。立法での対策が必要だ。

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2022年06月03日

Posted by ブクログ

92年、千葉県市川市でひと晩に一家四人が惨殺される事件が発生。現行犯で逮捕されたのは、19歳の少年だった。

殺人を「鰻を捌くより簡単」と嘯くこの男は、どのようにして凶行へと走ったのか?
暴力と憎悪に塗り込められた少年の生い立ち、事件までの行動と死刑確定までの道のりを、面会と書簡を通じて丹念に辿る著者。そこで見えた荒涼たる少年の心の闇とは…。

この惨殺劇の中、生き残った少女がいる。
成人した少女は「もう、事件のことは忘れました。でないと、前に進めませんから。(犯人が)どういう刑を受けようと、まったく関心がありません。でも(極刑は)当然だと思います」と凜とした声で語った。

事件後十数年を経て、生き残った少女は結婚した。
娘と幼い孫を失った祖母の「娘らの分まで、めげんで生きていきますったい」という言葉が尊い。

人間存在の極北に迫った、衝撃の事件ノンフィクション。
解説:重松清

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2018年03月08日

Posted by ブクログ

こんな人間もいるのか。。というのが読後の感想です。ノンフィクションとしてはかなりの出来だと思います。

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2014年06月07日

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この手の犯罪ルポルタージュの中では最高傑作の部類に入るんじゃないだろうか。
1992年に発生した市川一家四人殺人事件を題材に、まだ未決囚であった頃から綿密な取材を重ね、犯人の男の底知れぬ心理の闇に迫った一冊。
だいぶ前からこの事件を知っていた自分でも、改めて犯行の軌跡を読むと絶望的に気が滅入るので、知らずに読んでしまった人にとっては相当のトラウマになるだろう。
何年にも渡る取材の末に筆者が男に下した評価は「理解不能」の4文字だった。
人間という存在の底知れない不気味さを突きつけられる。
当時3歳だった自分が生きた1992年という時代を思い出すと、何故だか過剰露光した写真のように彩度の鮮やかな当時の街の光景が浮かび上がる。
かつて訪れた現場のマンションをそのイメージに重ね合わせると、あまりの不吉さに視界が歪みそうになる。
初めて自分がその場所を訪れたのは2009年の9月だったか。当時よく聴いていた曲から時期を思い出せた。
大通りから病院の角を左折してしばらく路地をさまよった先・・・。今も事件当時と全く変わらない姿で佇んでいる。
まだ暖かい秋の日の昼下がり、目の前の公園では子供たちが楽しそうに遊んでいた。

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2017年10月09日

Posted by ブクログ

一家四人の命を奪った19歳の少年。彼の生い立ちや気持ちをつづった本。
少年犯罪はいつの時代も横行していて、ニュースを見ていると虐待を受けていたり、親同士の仲が悪い、離婚しているなど様々なつらい環境の中で生きている子たちが多いように思う。自分を認められたいとか、自分の存在をこういう形でしか表せないのかと感じました。
怨恨でもないただの自分の自己主張で人を殺すなんてもってのほかだけど、一番頼りにしたい親に頼れない子どもの気持ちもわかるなあ。

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2014年09月28日

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ノンフィクションやねんな…
「市川一家4人殺害事件」の犯人と記者とのやりとりを中心に描いてる。
彼を犯行に導いたものは?
確かに、幼少期は、酷い環境で生きていたけど、この犯人の弟は、真っ当に生きてる。
何度か、裏切られたりして…
とか、色々な事情はあるんかもしれんけど、受け入れる事はムリ!
心の闇とか色んな文言で表してるけど、何か反省してないとちゃうの?
反省とかしても、もう4人は帰って来ないのは確かやし、遺族もそんなの望んでなくて、早く死刑になれ!って思ってる。
後味悪いし、何なん?って思う。
本文でも書いてあるけど、「身も蓋もないところにこそリアルがあるんだ。」やねんな(◞‸◟)

生き残った方のこれからの幸せを祈るのみ!

これと対になってるフィクション「デッドウォーター」も読む!

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2022年04月24日

Posted by ブクログ

あまりに怖くて読んだその日の夜、悪夢にうなされて飛び起きたくらい怖かった。
この世にこんなにも暴力を信仰してる人間がいるなんて。
同じ世に生きる自分は、明かりを灯す側の人間になれるよう努めたい。

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2019年09月07日

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1992年3月に市川の一家四人が殺害されるという衝撃的な事件があり、本書は死刑判決の確定したその犯人に対する交流の記録である。どうしてそんなことになったのか、当然ながら筆者は犯人の生い立ちにも理由を求め、アルコールで身を持ち崩した父、1人で頑張って犯人と弟の生活を支えた母、その母子家庭に温かい目を注いだアパートの大家夫婦などのエピソードを重ねていく。少年時代の犯人の生い立ちを読むと、その過酷な試練に同情せざるを得ない。また、そんな中で少なくても小学校時代までは素直な、到底後に凄惨な殺人を引き起こすようには見えない。おかしな方向に転がっていくのは、身体的にも強くなった中学生時代に良い環境が周囲になかったようには見える。

私は職業柄、犯罪を犯した犯人の精神鑑定書を読む機会もあるが、確かに多くの犯人がそのような過酷な幼少期を過ごしていることは多い。そう考えると良い環境、良い大人、良い教育に恵まれればそんな犯罪を起こさなかったように思えてしまう。当然筆者もそうだが、犯人自身がそんなことは無いと真っ向否定する。5歳下弟も、同じように過酷な環境下で、しかも犯人である兄にはひどく暴行を受けて育ちながらも穏やかで犯罪行為とは無縁な状態にあることを引き合いにだし、自分には「生まれ持った犯罪者としての根っ子の部分は、永久に変えられない無い」と語る。犯人自身のこの告白は興味深い。これまでの犯罪研究を考えると、後天的ではなく先天的に犯罪に向かう志向があること、すなわち遺伝的に規定されている部分があることは確かにありそうで、犯罪予防を幼少期から行うことが確立されないと、同じような悲劇は今後もあるだろうとは思う。

さて、大量殺人を犯した犯人の犯行への振り返り、拘置所内での行動に筆者は違和感を募らせる。今更反省しても殺した人間たちが返ってくるでもなく、読経はするが、そういった行動は自己満足に過ぎないと語り、自分の周りにいた大人たちへの恨みを語る、そういった犯人に筆者は落ち込んでいく。どうだろう、筆者はどうも犯人にわかりやすい反省と悔恨の情を求め過ぎな気がして、読んでいてそっちの方に違和感を感じもした。殺された側の家族としては、何があったって癒やされるものではない。犯人の心情は「おかしい」かもしれないが、実際その通りでもあり、だからこそ犯罪というのはやりきれない、あってはならないものだと感じるのだが。

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2018年09月30日

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1992年におきた市川一家4人殺人事件の犯人である当時19際の少年やその関係者からの聞き取り等をまとめ、事件と犯人や関係者の心情などをまとめたノンフィクション。
内容を見るだけで気分が悪くなるくらい凄惨で恐ろしい事件だが、少年の当時の心情も普通では考えられない思考だが、少年なりに自己分析を行ったのだろうと感じた。自らが死刑を宣告されて初めて被害者の恐怖を知った、死ぬことは確定しており、目標もなくどうやって生きていけばよいのかという部分は、被害者や遺族からすれば怒りどころか言葉もないと思うが、とてもリアル。当然、人の命を奪っている以上、それも含めての罰であって、同情の余地もないのだが、感情としては理解できる。
幼少期からの環境はよくはなかったが、最低というほどではないとすれば、結局本人の資質に大きな問題があるということなのだろう。それでも、環境が整ってさえいればここまでのことにはならなかったかもしれないと思うと、なんだかやるせない。
Wikipediaによれば、平成29年時点でも死刑の執行はされていないとのこと。40代になった元少年は今何を考えているのだろう。

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2017年09月15日

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とりあえずぶっ壊れています、何故にこんな悪魔が宿ったのか。狂気の重量が凄まじく、著者自身もそうですが、読む側もヤられます。ただ、淘汰されてはいけない一冊だと思います。実話であることが何より悲しい。

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2017年08月09日

Posted by ブクログ

当事者も著者も読者も、すべてが救われない後味の悪いノンフィクション。だが、これがノンフィクションの醍醐味でもある。著者の力作に敬意を表したい。
関光彦は未だ死刑執行されていない。冤罪の可能性のない死刑囚を税金で食べさせている意味はあるのか?

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2017年05月10日

Posted by ブクログ

【本の内容】
92年、千葉県市川市でひと晩に一家四人が惨殺される事件が発生。

現行犯で逮捕されたのは、19歳の少年だった。

殺人を「鰻を捌くより簡単」と嘯くこの男は、どのようにして凶行へと走ったのか?

暴力と憎悪に塗り込められた少年の生い立ち、事件までの行動と死刑確定までの道のりを、面会と書簡を通じて丹念に辿る著者。

そこで見えた荒涼たる少年の心の闇とは…。

人間存在の極北に迫った、衝撃の事件ノンフィクション。

[ 目次 ]
1 軌跡
2 暴力
3 惨劇
4 遺族
5 手紙1
6 フィリピン
7 手紙2
8 祈り
9 死刑

[ POP ]
気軽に読むと手酷い目に遭う作品をご紹介します。

永瀬隼介さんの『19歳』。

92年、一家四人を惨殺した19歳の少年の生い立ちから事件に至るまでの背景、死刑確定後の荒涼たる心の闇に、面会と書簡を通じて丹念に追っていったノンフィクションです。

私はノンフィクションが好きなのですが、その見方として、「いかにきちんと取材をしているか」「いかに客観的に書いてあるか」にとても注目するのですが、本書はまさにそんな作品だと思います。

事件が起こった背景を紐解いていく、それはスリリングでもありますが、同時に犯人の重みも背負っていくことになります。

怖くてもこれは事実です。

読み始めれば止まらない、そして深く考えさせられる作品です。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2014年09月04日

Posted by ブクログ

読後感はとにかく空虚。頭がぼーっとする。

もしも自分が被害の現場にあって、自分を、他人を守れるだろうかと考えた。
・・まぁ無理だろうなぁ。しかし、対策を練ろう。そんな風な事を読みながら考えた。

・お金持ちで、頼りになる働き者。自分も祖父のように強くて立派な大人になりたいと思った。
・圧倒的な暴力で、家族の上に君臨した。
・ネコを被っていたんです。 ・親を呪う言葉がマシンガンのように吐き出された。
・いつな殴られ、けられている自分は彼の足元にも及ばない。なんだかずいぶん損をしている気がした。
・こっちの顔も見たくなくなるくらい痛めつけないと、必ず復讐される。
・世間体ばかり気にして、口出しする親がいなければ、ちゃんと自分で考え、行動できるんだ。
・肉親への怨念の強さ
・子供は、経済力もなければ、決定権もなく、腕力だって親には敵わない。ただひたすら黙って耐え忍んでいくしか方法はありませんでした。
・光彦は、己が他人からどう見られているのか、異常に拘る。

・僕にはそうやって『叱ってくれる』人間がいなかった。
(特に強い印をつけている。)


・・以上、私がなぜか気になって線を引いた言葉だ。

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2013年10月19日

Posted by ブクログ

千葉県で起きた一家四人殺害事件の犯人である当時19歳だった少年を追ったノンフィクション。
父親に暴力を振るわれ、小学4年生の時には夜逃げ同然で引越しを余儀無くされ、貧乏を理由に学校では馬鹿にされる…。
その生い立ちをみれば、少年にも同情すべき点があるようにも思えるが、筆者も、また被告本人も述べているように、同じような環境で育っても、犯罪を犯さない人はたくさんいる。現に少年の5歳年下の弟には非行歴はないという。
著者は少年をずっと取材し続け、少年が一時結婚していたフィリピン人の女性を探すためマニラにまでで向いているが、その取材の果てに少年から「すべてがなかったっことになればいい」という言葉を聞き「もはや理解不能」と漏らしている。
これは著者である永瀬氏(または多くの一般人)と少年の「殺人」という事象への認識の差が大きく関わっているのではないかと思う。
少年にとって殺人は暴力の延長であり、日常的に暴力と関わってきた少年には、人の命を奪うことへの重大性が理解出来なかったのではないだろうか。
一家四人を殺害する以前に少年は24歳のOLを相手に強姦事件を起こしている。
その事件を語る際少年は「傷害にしろ、強姦にしろ、他人の血を見るということは興奮するものです。とくに、しだいに相手が弱ってきて自分に従うようになり、どうにでも好きなように動かせるとなった時に見るそれは、僕の中では勝利の象徴として溜飲を下げるのに大いに役立ちました。(後略)」と述べているが、この感覚を理解できるかどうかが、少年と著者を含む多くの一般人とを隔てる壁であると考える。(勿論理解出来るのと、実際に殺人や傷害事件を起こす事との間にはまた大きな壁があると思うが)
私はこの本を読んで、少年の言い分も多少理解出来た。
だが、もし自分の家族や知人を同じ目に合わせる(同じ目に合う、のではない)事が出来るかと問うた時、少年のやったことは「理解不能」であり、やはり異常なことなのだと思った。
本書を読んで少年の事を「理解不能」と感じた方は、どうかその感性を失わずにいて欲しい。

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2013年08月04日

Posted by ブクログ

当時19歳、一家四人を殺めた被疑者のノンフィクション。読後は暫くこの事件のことが頭から離れない。被害者とその家族のことを考えると「他人の命を奪う」という行為がいかに卑劣で罪深いことなのかを改めて思い知らされる。
著者が公判中に被告へ差し入れたという、死刑を扱った小説で加賀乙彦著の『宣告』新潮文庫も読んでみたい。

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2013年07月20日

Posted by ブクログ

筆者の主観にあまり興味はなかったので★4つにしましたが、内容はとても面白いものでした。
興味深く、面白く、最後まで一息に読みました。
ただ、これは好き嫌いはものすごく割れると思います。人によっては読んでもひたすら胸糞が悪いだけだと思います。
私はひたすら犯人に感情移入して読みました。得難い体験だと思います。

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2012年05月01日

Posted by ブクログ

4歳の幼女を含む一家4人を惨殺し、高校生の長女をヒマつぶしに家族の死体の横で強姦する、19才鬼畜(現在死刑囚として、収監中)とのやりとりのノンフィクション。

これだけの大事件なのに、あまり報道されてないのは何故なのかな?

それはさておき、19才だから死刑は無いだろうと思ってた時点でこいつは馬鹿過ぎ。
まだ、刑の執行はされてないので、せいぜいその日を怯えて下さい。

そして、二度と生まれ変わって来ないで下さい。

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2011年09月06日

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自分の存在を他者の所為にして生き、強い弱いという生物同士の位置関係を重要視し、暴力で他人を従わせるタイプの人間がいる。これは、欠陥であり、歪であり、ある種のエラーだ。精神的な病名がつくこともあるが、大体は、世間に順応できずに一時的に他者を支配し、犯罪者となる。他者を支配し、神を目指す過程は、非犯罪者も同一。暴力による過程が異なるのみだ。

その意味で、犯罪者 関光彦は、市橋や北九州の残虐な犯罪者より、パワータイプであり、暴力を理性で制御せずに用い、その後の対処も、暴力の傘の下、非常に無防備だ。無論、同情の余地などない。そもそも、他人を支配するのに、痛みを与える手法を取るものに、同情の余地などない。暴力と理性を使い分け、暴力モード以外の普通の人間性から、たまに同情を買うが、これは誤った考えだ。更生するかは、その適切な科学的把握方法が確立すれば別問題だが、事実として、暴力モード以外のこの手の殺人犯は、あらゆる性格をもった普通の人種だからだ。問題は、暴力モードとその制御機能の故障にある。

刑務所を訪れた住職は、彼に同情的だという。二つの理由が想定される。一つは、死刑という加虐に自らが加担する罪の意識を負いたくないから。一つは、生物の生きた証を知ると、贔屓目に見てしまう娯楽性、感情移入の問題。つまり、漫画でも映画でも、登場人物が現れて切られるだけの役ならなんとも思わぬが、登場している時間が長ければ長いほど、視聴者は、その人物を失う事を惜しいと感じる原理だ。そして、刑務所の面談では、暴力モードを体感することは無い。支配欲求を暴力で実行する人間を完全に抑え込んだ環境なのだ。

いつもこの手の本を読み、やはり上記の作用で私自身誤認してしまいがちになる。しかし、死刑は正しい刑罰だし、冤罪を完全に排除できるなら、執行すべきだと、考えるのである。

この本の一番良いのは、作者が、この犯罪者を、
救いようのないクズと、情に流されずに言い切った所にある。相手も人間、と思うのは自然。椅子でも擬人化される。しかし、その弱さを脱しつつ、心理を正確に認識しようとすることが、やはりジャーナリズムとして肝要だろう。

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2014年08月04日

Posted by ブクログ

光彦は最後まで他人事ぽかった。反省してる感じがしない。あれもこれも人のせいみたいな…。
死刑は執行済みらしいけど。

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

こういった書籍を読むのが趣味なので、幼少期の家庭環境の大切さを痛感します。私もあまり良い家庭環境で育たなかったので、両親に対する憎悪や嫌悪には共感する部分もありました。

彼が告白している通り、彼はお父さんとよく似た性格だと思いました。暴力こそが上下関係だと信じている所、そのくせ小心者で見栄っ張りな所、そして、弱い相手に噛みつく所。ほぼ動物です。

こういう人達を裁く事も大事なのですが、どうやって更生させていけば良いかも課題なのだと思いました。

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2021年04月13日

Posted by ブクログ

 一家4人を惨殺した、19歳の犯人の話。死刑が執行されています。犯人は私と同年代です。
彼の家族のことが書かれていました。確かに可哀想ではあります。あの時代、児童虐待なんて言葉は無かったし、家族絶対主義的な考え方でした。昭和の後半です。人と違っていたら全てを否定されていた時代です。親は選べませんが、自分のやった事を全て親のせいにするのは反省していないと思いました。彼は親のせいにして、罪悪感から終始逃げていたことが分かりました。そして彼の最初の恋人と、奥さんにも酷い事をしていたのでしょう。でも、彼の世界ではいい思い出になっている。
死刑を宣告されても、自分の人生と向き合わなかったことがよく分かりました。



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2020年11月07日

Posted by ブクログ

2017年12月19日、東京拘置所でふたりの死刑囚に対して
刑が執行された。そのうちのひとりが関光彦。犯行当時19歳
だった関に対しての刑執行は、永山則夫以降20年振りだった。

俗にいう「市川市一家4人殺人事件」が発生したのは1992年
3月5日の夕方から翌朝にかけてだ。金銭目的で事件発生1カ月
前に暴行した少女の家に侵入し、わずか4歳であった少女の妹
までをその刃にかけた胸糞悪い事件である。

そんな惨劇を引き起こした少年犯は、どのような生い立ちなのか
を追い、自身が起こした事件に対して何を感じているのかを文通
と面会によって辿ったのが本書である。

父親による家庭内暴力、その父親が作った借金による両親の離婚と
夜逃げ、世間体を憚る母親、安息を得られる場所は母方の祖父母の
の元にいる時だけだった。

そんな生活が徐々にいびつな性格を育んだのかもしれないが、生い
立ちだけでは片づけられない、本人の資質もあるのではないかと
感じる。

市川市での犯行に及ぶ前にも、関はいくつかの犯罪に手を染めている。
その動機さえも曖昧だ。ただ力で人を支配したいだけだったのではない
のだろうか。父親が暴力で家族を支配したように。

その力のほとんどは自分より弱い者にだけ向けられている。事件の引き金
となった女性とのトラブルで暴力団に脅されれば、半ばパニックになって
いるのだから。

書簡の内容、面会時の会話から、自分に何の関りもない4人の命を奪った
罪の重みを、彼は感じていなかったのではないかと思わせる部分が多々
ある。

本書は2000年に単行本で発行されたものに1章が加筆されて文庫化され
た作品なので、著者が係わった頃の関のままで絞首台に上がったのでは
ないことを祈りたい。

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2019年12月02日

Posted by ブクログ

○むごい、凄惨な事件を起こした少年をどう分析すべきか
1992年に起こった千葉県・市川一家4人殺人事件の一部始終が綴られているノンフィクション小説だ。
1992年3月、前月にした強姦の相手である少女の家を訪れ、借金を返すため金を巻き上げたものの通報しようとした少女の祖母を絞殺し、帰宅した少女の母と当該少女をうつぶせにした挙句母を刺殺。保育園から保母に連れられ妹が帰宅した後食事を3人で摂り、仕事帰りで帰宅した父も刺殺。金を家や事務所から奪った後ホテルへ向かい強姦する。その後家に戻り泣きわめく妹を刺殺した。

これだけ読んでも壮絶だ。しかし、筆者はそれが当時19歳の少年が起こした事件であり、その背景にどんなことがあったのかを、淡々と書き綴っている。それもまた壮絶だった。

帯のアオリ文に"この事件の真相を知りたくなかった――。"とあるが、読後にそれほどのインパクトがあるわけではない。最初にネタバラシが行われるから。でも、この事件の凄惨さは言うまでもなくむごい。被害者やその家族にとって。読者にじわじわとこみ上げる何かがある。
犯人は悪い。自らの苛々のはけ口として起こした強姦が、結果的にこの事件を引き起こしたということは本人も本書内の書簡で語っているが、その語り口にあまり反省の色を感じない。

これだけ大きな、インパクトのある事件は、読者の想像をかきたてる。

現実はむごい。これは犯人にとってもそうなのでは、と思わされる場面があった。それでもなお、あのとき○○さんが××していなければこんな事件は・・・と数度思わされた。事件を起こした少年の生い立ち、その両親や祖父との関係がどう影響したか。
筆者が"自分の中に流れる血とか、親のせいにしてしまうのは、卑怯だと思いませんか。"と犯人に問いかけるシーンがある。本人にとっては「血は争えない」と感じていた場面があった。しかし筆者がこれを聞いたということはそういう側面もありうるかもしれない、と煽っているように感じる。

人は常に利己的であり続ける。他己的であり続けるなどということはおそらく偽善だ。他己的である中に利己的な自分がいる場合が多いのではないか。それをどのようにコントロールできるかが重要なのではないか。

被害者には一点の過ちもない、壮絶で悲惨なこの事件は、その裏にある真相を聞いたとしても死刑だという事実は感情的には覆らない。
最高裁で死刑が言い渡されて、現在は再審請求されているという。

では、このような事件が起こらないようにするためには?
いい大人が増えていくしかない。そういう風にしかひとりごちることのできない私は、勉強が足りないだろうか。
筆者はどんな思いでこの少年と向き合ったのだろう。途中本人が倒れるシーンもあるが、確定囚となった彼の動機を解き明かす十分すぎる内容だった。

ただなんにせよ、読後感はよくない。何が正しくあるべきなのか、混乱さえする。

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2017年08月05日

Posted by ブクログ

1992年千葉県市川市で起きた19歳の少年が一晩で四人殺害した事件。

ノンフィクションなのにたまにフィクションなんでしょと思ったりもしてしまいました。

ノンフィクションということでリアルな現実として受け止めつつも怖いですよね。
「閃光」とは、全く違った意味で経験になりました。

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2016年06月19日

Posted by ブクログ

この時期特有の鬱々とした心の奥が見れるかと思って読み始めたけど、普通の中高生とは次元が違いすぎてただ辛かった。

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2019年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一番嫌いなタイプの人間による、一番腹立たしい、でもどうにも出来ない暴力。ノンフィクションなだけにその重さは半端ない。読む前から何が解決するわけでもない事が分かっていて、読んでからもそれを確認しただけという空しさ。でもこういうのに惹きつけられるのも事実。露悪的な意味で書いたのではないと解説は言うが、読む方は(少なくとも私は)そういう意味で読んでいる。私が悪趣味なだけだが。

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2013年07月30日

Posted by ブクログ

一家四人惨殺犯の告白。
酷い奴だ。酷い事件。
告白と言っても物語のように読める。加害者の家族や被害者の家族にも取材をして、当たり前だがそこにもドラマがあり、悲しい事実がある。犯人の手紙は理路整然とした感じはあるが、あまりにも酷い事件を起こしたことの理解にはならない。

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2012年05月28日

Posted by ブクログ

一晩で一家余人を惨殺した19歳の青年との面会や手紙を通したやりとりから、犯行の経緯と、死刑が確定してからの心境のありのまま綴った作品。
ノンフィクションですので、読んでも「おもしろい」ことは一切ないです。本当にこんなことができる人間がいるんだ、とも、人間とはこんな風にもなれるんだ、とも何度も思いました。
犯罪者の手記を読むたびに、子育てをするのが怖くなります。
けれど、手を染めてみなければわからない世界だ、と敬遠してしまうのも怖いので、読み進めちゃうんですよね。
とてもリアルで衝撃的でした。

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2011年10月24日

Posted by ブクログ

 なかなか面白かった。加害者にも犯罪を実行する環境や素因があって・・・というある意味予定調和的な展開かと思いきや、最後に突き放される。この文庫版には、最後の方にかなりの加筆があるようだが、それを余計と思いかどうかは、判断が分かれるところ。

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2011年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

興味本位で読むものではなかったなぁ、と後悔。
19歳だから、と犯人は思っていたようなことを書いてあった。
少年だから、何をしても許される。
そう思っていたらしい。
少年だからといって、許される域をとうに超えている。
許されるべきではない。

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2015年07月05日

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