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Posted by ブクログ
著者が20代から40代にかけて、さまざまな雑誌などに発表した論文・エッセイをまとめた本です。
第一部「歴史―能のあゆみ」に収められているのは、能の形成過程にかんする著者の論文で、猿楽や唱導劇など中世芸能にかんする研究を踏まえつつ、観阿弥・世阿弥の二代にかけて大成された能のルーツを明らかにしています。
第二部「作品―能のこころ」は、おそらく本書のメインとなる部分で、「翁」をはじめ25曲の作品についての解説がなされています。ただし、かならずしもそれぞれの作品のメイン・テーマをとりあげているわけではなく、著者の関心にもとづいて作品中のいくつかのモティーフがえらび出され、それについての考証がなされています。
「能の見方」というタイトルから、入門書のような内容を予想していたのですが、著者自身の研究・批評を展開している文章が多かったように思います。第一部の歴史にかんする議論は興味深く読みましたが、第二部以降はわたくしの知識が十分でないために未消化なところも多くのこっています。