【感想・ネタバレ】ミドルクラスを問いなおす 格差社会の盲点のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

特に勝ち組意識もない日本のミドルクラスをやり玉に挙げているために、本書の評価は大きく分かれるだろう。前半、第二組合成立の経緯から現在のミドルクラスの存在をたどる試みでは、ネオリベ的改革によって寸断されようとしている大企業ホワイトカラーの紐帯=労組の存在そのものが矛盾に満ちたものであり、何十年か昔に繁栄を謳歌したとされる日本の中間層もまたそのような矛盾に満ちた存在であることが暴かれる。いや、このようなことは特に暴く必要もなく戦後史の中で自明に横たわっている事実であるが、大多数が目を向けたくない事実であるために、隠蔽されたように見えるだけだ。その意味で戦後史の時空間の中で忘れられた「第一組合」は「沖縄」や「加害者としての日本像」に重なるものがある。
具体的でリアリティのあった前半に比べて、ミドルクラスなるものの世界史的な位置づけを意図した後半部分はやや性急で未消化な感がある。資本の外部としての「コモンズ」についても少しきれいごとに過ぎる感じがする。

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2014年03月01日

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