ピアノ付きの家、優しい恋人と美味しい食事。ピアニストのるり子は婚約者の宗介と幸せな暮らしを送る一方で、地に足のついた未来を恐れてもいた。その不安から、彼女はピアノを習いに来る魚屋勤務の暁生に惹かれるように。どうして一度に二人の人を好きになっちゃいけないんだろう――。やがてるり子は大きなしっぺ返しを食らうことになる。
読み始めは「こんないい暮らしで満足しないなんて贅沢な女!」と思っていました。けれど、平凡な青年である暁生がやたら魅力的に見えてきて、るり子と一緒に彼の一挙一動にドキドキするようになってしまうから不思議。浮気願望がなくても、恋愛の最初の一口の味はやみつきになるほど美味しいもの。読み終わってふと気づく、私も立派な「ぶらりぶらこ」予備軍かも…。
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