感情タグBEST3
Posted by ブクログ
後期ヴォネガットの代表作のひとつといっていい。
ヴォネガットらしさに満ちて、構成もうまい。
「ローズウォーターさん」同様に、ここでのテーマは「金」。
ヴォネガットは、金や富をファンタジーとして扱う。
金持ちは、金を用いて富を分配することで世の中をよくしたり、
人々を救うことができると真剣に考えている。
違うのは、エリオット・ローズウォーターは幸せだったが、
「ジェイルバード」のメアリー・キャスリーンはそうとは言い切れなかった、
といった差だけ。彼らは資本主義社会のファンタジーであり、魔法使いなんだな。
「ジェイルバード」では、本人の意向や思惑を大きくそれて、誤解の上に待ち受ける、
思いがけない展開に流されてしまう人々の物語とも取れる。
人生は、勘違いと思い込みで彩られているのかもしれない。
読後感の後味は、わたしは「ローズウォーターさん」よりも
「ジェイルバード」のほうが好きだ。
限りなく、ヴォネガットらしい。
Posted by ブクログ
たくさんの買い物袋を提げているホームレスを見かけることがあるが、女性の場合はshopping bag lady と呼ぶ。20年前字辞書を引き引き読んだこの作品で知った単語だが、なるほどと思ったのを思い出した。
ショッピングバッグ・レディーとして登場するメアリー・キャスリーン・オルーニーの存在は、わたしにとっては「タイタンの妖女」の主人公マラカイ・コンスタントと同じぐらい衝撃的。よくこんなキャラクターを作り出せるもんだ。
ヴォネガットらしい何とも言えないエンディングで、ある意味ハッピーエンドといっていいのだろう。読者はなぜか不思議な満足感を得られるのだが、これは最高度の離れ業ではないだろうか。
ヴォネガットの冴えを見せてくれる最後の作品。
Posted by ブクログ
ヴォネガットはジェイルバードとかローズウォーターさんあなたに神のお恵みをなどを書くことで、
支配階級の意識を少しでも変えたかったのだろうか
ローズウォーターさん〜の方ではラストで下層階級へお金を放り投げて終わるけど、
ジェイルバードでは解体されたRAMJACは結局支配階級の食い物にされて終わる
ユートピアなんて実現しねーよどうせ みたいな悲観的な印象を受ける
諦めようぜ!人類は滅びます!資本主義万歳!
Posted by ブクログ
『ジェイルバード』は「囚人」という意味。
タイトル通り、ウォーターゲート事件に巻き込まれて囚人となった男の人生を描く物語です。
非情な経済システムに対して疑義を投げかける作品で、大変面白かったです。