感情タグBEST3
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何度も読み返したくなる作品。
文章が非常に艶めかしい部分だったり儚い部分があり美しい生き物を見ているのと同じ気分を感じる。
1番お気に入りは骨箱。
ゆで玉子が食べたい!
こういうお話、好きです!予備知識なく初めて読んだ時は、「な、なんといかがわしい!」と思いながらとても楽しんでしまいました。
男性同士の性的な会話や描写が毎回でてくるので、苦手な方は注意が必要かと思います。
長野先生が使う言葉や描写が幻想的で、いつの間にか現実からおかしな世界に迷い込む感じがくせになってしまいます。暮らしの描写も丁寧で、こんな世界で暮らしてみたい!と思う表現がたくさん出てきます。
そしてなにより、桜蔵の弟の千菊がしょっちゅうゆで玉子を持って出かけるのですが、その書かれ方がなんだか凄く良くて、無性にゆで玉子が食べたくなってしまうのです。
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桜の咲く季節に再読。
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主に男同士の逢瀬に利用される隠れ宿「左近」で暮らす高校二年生の左近桜蔵。
駅頭で見知らぬ男を拾ったのをきっかけに、度々得体の知れない男を拾うことになる。
全部で十二の短編。どのお話も丁度良い長さで、文の締め括りもテンポが良く、とても読みやすい。短編どうしで所々話が繋がっているのもあったりで面白いです。
昔から桜蔵に御伽話を語り聞かせていた父親の柾。会話の口調からも感じられるんですが、とっても格好良い。医師でもあり、物腰の優しそうな、けれど隙のない感じがとってもすきです。言葉の端々や些細な動作からも色気が出ているようで、様々な人を惹きつけているのも納得…。
『秋草の譜』では桜蔵を助けたり、なんやかんやで優しい一面がある。『瓜食めば』で泥水に飲み込まれた桜蔵を抱きしめたのは、もしかして柾なのかも…なんて思ったりもしました。桜蔵が男を拾ってくるのを承知で頼みごとをしているあたり、柾は何かしらの事情を、ある程度知っているんだろうな。そんな柾の思惑にまんまと嵌められていながらも、彼に片想いしている桜蔵も健気で可愛いです。
毎回、事あるごとに男を拾っては、相手に一方的にされるがままになっている桜蔵は少し不憫に思える。…けれど、意識が途切れたり、朝起きたら裸だったなんて描写もあって、相手を思いっきり拒絶している感じもあんまりない。体は男だけど、タマシイは女…(?)タマシイの方が欲望に従いやすいのかも…。
そして、そんな描写も決して直接的に書かずに、ぼやかして、少し匂わせる程度に描かれていて長野まゆみさんの語彙力には圧巻。隠語や皮肉も艶っぽさが出ていて美しく感じる。まるで、曇りガラスを通してこの「左近」の世界を覗いているようで、ドキドキしながら読んでいました。
個人的に『海市』が一番のお気に入りです。まるで、浦島太郎になったような、蔵の中で賑やかな宴会に迷い込み、いつの間にか桜蔵も着物を着ている。盃から溢れる酒が桜の花びらとなって桜蔵を包み、埋もれていく。満開の桜の下で弥と交わした会話。めまぐるしく変化する場面描写や夢と現が曖昧で幻想的な世界。解説のお話でもありましたが、初期の頃の『少年アリス』や『天体議会』とはまた違った長野ワールドを存分に堪能することができました。
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この、『左近の桜』の続編にあたる『咲くや、この花』もまた読み返したい。
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ほんとに情景描写が秀逸。言葉数は少ないのに、ぱーっと情景が目の前に現れる。相変わらず、不安定で危うい感じがするんだけど、その感覚に身を任せていたくなる笑 物語は、この世とあの世の境に住む者を知らず知らずの間に”拾って”しまい、関わりを持ってしまう桜蔵。次々と桜蔵の身に起こる不思議な出来事の物語。桜蔵を取り巻く人たちも当たり前の事のように接していて、何だか曰くありげ。一癖ある面々だけど、なかなか素敵な人達です。いろいろ伏線も張ってあるようなので、続編が楽しみ。この雰囲気にどっぷり浸かって読みたい。
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読むのが後先になってしまいました。
人物関係がやっとクリアに。
本人は不本意ながらも、いろいろとやらかしちゃう子、桜蔵くん。でも、かわいいから許す!
そして、妖よりとらえどころのない男、柾。
柾で一本書いていただきたいな。
シリーズ化して、続編をせつに希望いたします。
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久しぶりの読書、そして長野ワールド(勝手に命名)に酔いしれているうちに、あっという間に読み終えてしまった一冊。『左近の桜』シリーズは長野さんの本を読み始めたころから知っていたが、あえて手を出していなかった。なぜなら絶対ハマると分かっていたからだ。結果としてどハマってしまったわけだけど後悔はない。今後はゆっくりと集めていこうと思う。
長野ワールドでは必ずと言っていいほど青年が主人公にあてがわれるが、本作も桜蔵という青年がその位置にいる。男同士が逢瀬を重ねるための一軒宿である「左近」の長男である桜蔵はこの世のものではないあやかしに吸い寄せられてしまう体質を持っていて、この短編集では彼が巻き込まれる不思議な交わりを描いている。父の柾や交わるあやかしたちからは「女」と呼ばれ、それが生物学的な意味合いではないことを知り、微力ながら抵抗を続ける桜蔵のあまりの無防備さに読者は心配になりつつ、それでもずっと無防備でいてくれとも願っている。
話の内容としては生々しくなっても仕方ないとも思えるが、それを美しくまろやかに仕上げてくれるのが長野さんの魔法だ。解説にも記されているが、とにかく日本語が美しい。花の香りや情景が浮かんでくるような繊細な描写が内容の生々しさを中和してくれるからこそ、酔いが深まるのかもしれない。
個人的にはすべてを知りながら桜蔵を掌で転がしている柾というキャラクターがとても好きだ。桜蔵に明確な答えは与えないものの、手掛かりとなる言葉や逆に煽るような言葉をかけて彼に接している絶妙な立ち位置が心をくすぐる。
またエピソードとしては12章の海市の描写がお気に入りだ。
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この世とあの世のあわいでまどろみのなかに見た夢のようなお話。長野まゆみさんの小説を読むのは久しぶり。どっぷり楽しみました。
本人自身その気がなくても、なぜか男を惹きつける
桜蔵(さくら)は「左近」という世間をはばかる逢瀬のための隠れ宿の長男である。父、母、弟がいるが
自分は血の繋がりがないような気がしている。それに兄弟は庶子、父には正妻がいる(「浮かれ猫」に登場するけどカッコいい)
桜蔵がひろってくる男というのがこの世ならざるあやかしのものたちばかり。成就のために男たちが引き寄せられてる感じで、そこには父の柾や父の友人、浜尾が仕向けた案件もあったり。
皆が桜蔵のことを「女」というのが、ちょっとうーむな感じですが…
鵺が出てくる「空舟」と、弟の先生関連の「天神さまの云うとおり」が好き。
流れるような文章に誘われて、浮かんでくる情景に陶酔させられます。
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続編「さくらうるわし」から入った左近の桜シリーズ一作目。ようやく読めました。
手軽に読める短編集で、相変わらずの妖しい雰囲気が長野まゆみさんらしくて素敵。どの作品通しても世界観や人物が端正で静謐で、物語に惹き込まれた後の余韻が凄い。
だいたい主人公が人ならざるものに狙われて巻き込まれてあれこれされる短編集。
設定から描写まで、しっかりBL要素が入っているので注意。
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耽美な雰囲気と妖しげな展開が気になってすっかり作品の世界観に魅了されてしまいました。
不可思議な現象や風景の描写がとても綺麗で良かった。
全部語らないことで感じる余韻や、狐につままれた気分になるのが逆に癖になりそうでした(笑)
長野まゆみさんの作品は初めて読んだのですが、他の作品も読んでみたいです。
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友人から勧められて読んだものです。
いわくありげな連れ込み宿の子である桜蔵(さくら)が、人ならざるものとの縁を結んでしまう(いろんな意味で)という短編集です。
ほんのりとすべての物語がつながっていて、さくさく読めました。個人的には「骨箱」が好きです。オカルト系は苦手と思っていたのですが、これはそのいわゆる悠連さんたちがとても生身の人間のように書かれていたので、自然に読めました。
全体的な描写がとってもしっとりとした雰囲気を感じさせていて、最初時代小説か?と思ってしまうほどでした。
父親である(血のつながりはない)柾や、店の常連の浜尾などのおっちゃん(?)がいい味出しております。
直接的な話法は無いのですが、ああ、”した”んだな。っていうのが言外に香ってきて、情緒がある感じでした。
長野まゆみ先生の本は本屋で見かけたことはあったのですが、読んだのは初めてです。
勧めてくれた友人曰く「好みが分かれる」とのことでしたが、自分的には嫌いではありません。
もっと、柾や浜尾について突っ込んでくれたらなお楽しかった…とは思いました。
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文字通り、世界が違うのだなぁと思いました。
そういう世界観なのだと受け入れてしまえば、BLというジャンルに嫌悪感が無ければ浸るのは容易いかと。
ただ桜蔵くんはちょっと貞操観念が薄いというか、もうちょっと危機感持ってもいいと思います……受け入れすぎです…。
そういうものを惹きつける存在であることを疎ましく思いつつも、、自身がそういう存在なのだとどこかで思っているのだとすれば、少し納得。
さらさらとキレイな文体ですっと読めました。
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妖しくも不思議な雰囲気がいいです。
さくらくん可愛い。
でもさくらくんが好きだからこそ次々と厄介事がふりかかってもうやめてあげてってなるところも…。
続編は気が向いたら読もうと思ってます。
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わーーー表紙がまず色っぽいですね
学ラン大好きだし好みなので何回も表紙見てにやけてました
桜蔵君の色気が生意気さと交わってて読んでてにやけてました
にやけてばっかですいません
状況描写も幻想的で綺麗ですね
お風呂の桜とか背中の蝶々とか最後あたりの盃から花弁がうんたら
とか読んでて綺麗に書く人だなぁって思いました
千菊がかわいかったです 先生好きすぎだろお前ーーー
パターンは毎回同じなんですけどなんだか先が気になるかんじで
めっちゃ面白い!!って感じじゃないんですが
なぜか惹きこまれました 私がアレなせいでもあるけどね
時代設定があんまり想像できなかったので
何回も読んでて躓きました
ただ単に私の妄想癖がひどいだけですね
また読みたいと思います
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ものすごく久しぶりに長野まゆみを読んだ。高校以来だ。昔はあのきらきらした言葉に魅了され、ほのかな雰囲気に酔わされたがあのころと作風が変わっていると感じるのは読み手としての自分の変化だけではないように思った。事実、解説にもかつての長野まゆみと現在の長野まゆみには意識的な解離があることが記されていた。そしてこの変化は好ましかった。私も中高生のころは古いことばや漢字を多用した文章を好んで書いたが徐々にだれもが読みやすいやわらかなことばを意識的に選ぶようになった。私ごときを長野まゆみと比べては失敬にもほどがあるが親近感をいだいたことはたしかだ。
そしてこの物語は決して直截には描かれないが明らかで艶かしい。とてもエロティックだ。これが少年ではなく青年の物語だからだろう。ほのめかされることは表現される以上に想像をかきたてる。悪くない再会だった。
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長野さん、
「紺極まる」に続き二作目。
前回の主人公が少年なら、
今回の主人公は青年だそうで。
男が男を、
なんて書くとゲロゲロしたくなるけど、
長野さんの文章は
日本語が綺麗なので現代版の古典みたいです。
浮世離れというか
実際物語のなかの主人公・桜蔵は
源氏のような男たちの逢瀬や情事に使われている
隠れ宿「左近」の息子。
桜蔵の意思とは関係なく、男を惹きつけてしまう。
この世に想いを残している
あやかしという男たちをひろってしまう。
結末や伏線などではなく、
曖昧で強引な終わり方も素敵です。
交わるって感じです。
それが嫌味ではなくて、
ふわーっとしている感じです。
桜とか菊とか、
和、死、静、寂、情、交、古、気とか
漢字や言葉が響きが
1ページが綺麗な一冊です。
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表に出てるタイプのBL小説。
それでも長野まゆみらしい現実と夢を行き来するような話ですんなり読めました。
最後まで桜蔵は男だと言い張ったけれども実は女性なんじゃないかと最後まで思ってしまう終わり方でした。
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常世の男と関わりを持ってしまう美青年の話。
話のパターンは大概同じだが、情景描写などの文章が美しく、また、妖しく描かれていて心が惹かれる。
序盤の主人公は美青年という事を除いては普通の青年だが、話の中で様々な常世の男と関わるにつれ、男でありながら女としての魅力も徐々に増す。中学生という子供ではなく大人とも言い難い微妙な年齢の主人公だからこそ、耽美的な作品に仕上がっている。
Posted by ブクログ
BL。
短編なんだけど、前に出た話が後で出てきたり、関わってくる。わかんなくても問題ないけど。
私が読んだのはハードカバーなので表紙は、アートちっく、というか、縄文風味。
BLじゃなくても、面白いの作れそうなのに、BL入れないと駄目かな。まぁ、あっちこっちで出てくるけど。
相変わらず、知らない言葉が多く出てくるし(調べても分からないままの言葉もある)、漢字と平仮名の割合が美しい。(この文字平仮名なんだ、とか。)
読み直さないと理解出来ないし、何なら読み直しても理解出来てないかも。
箪笥の中って言葉が出てきて、関連しないよね?とか。
勧酒が出てくるの多い。
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長野まゆみさんの文章のファンなので、読む麻薬だと思う。文章そのものが読んでいて心地よい。
どこか妖しさの漂う美しい描写、核心に触れず行間を探り合う軽妙な会話。好き。
ただ、以前の自分であれば何も考えずに楽しめたのだと思うけれど、親世代の年齢となってしまった今では桜蔵くんを取り巻く大人たちの無責任さに苛立ちを感じてしまい駄目だった…。単に自分が読者層から外れてしまったというだけのことで作者に非はないけれど、こんなこともあるのだなあ。
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死んだ男を拾ってくる桜蔵の話。
死んだ男たって、死体じゃなくて幽霊ね。
夢なのか現実なのか・・
そこはかとなく怪しい感じがずーっと漂っている。
どきどきしちゃう本でした。
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男同士がしのんで足を運ぶ宿「左近」の長男・桜蔵をめぐる物語 ただよう妖しい大人な雰囲気と、純粋な桜蔵くんのいじらしさがたまらない 美しい日本語で紡ぎ出される季節のうつろいとふしぎな逢瀬に酔いしれる
(桜蔵くん総受けバンザイ!)
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いわゆる同性愛ものだけど、BLと括ってしまうにはちょっと違う。しっとりと妖しくて、でもどこか怖い。読み終わった後もしばらく余韻が残る不思議な感覚。
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長野さんは本格的にこっちのほうに移行したのかしら。
なんていえばいいのか、いわゆるBLなんだけれど。あからさまな場面を描かないBLというか。
ただ、描こうとしている精神は、やっぱり「長野ワールド」なんだろうなぁとは思う。
良い意味でどこか現実感のない、作中のモチーフとしても使われている蛤の蜃気楼のような、お伽噺のような空気感。
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隠れ宿「左近」の長男・桜蔵(さくら)と、彼に惹かれたあやかし達との短編集。
男同士の云々がテーマなので、ひとを選ぶとは思います。この方の作品は初めてでしたが、とても綺麗で品のある日本語でした。
桜蔵の放つ、危うい色気が凄い。何度表紙を見返したことか。あやかしや大人の男達との対比も素敵です。なされるがままの頼りなさが、散るのみの桜と絶妙に合ってる。