【感想・ネタバレ】不格好経営のレビュー

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Posted by ブクログ

今や球団を持つまでに成長したDeNAが設立されたのが1999年。創業25年で今の規模まで成長した会社の創業期の生々しい話が描かれています。
南場さん曰く、会社をコンサルする側だった頃は好き勝手言っていたけど、自分で会社を経営してみたらやってみたらとんでもなかったそうです。
"知っている""わかっている"と"できる"ことには大きな隔たりがあることを、体験を持って伝えてくださってくれる、起業する時には読んだ方が良い本です。

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2024年02月22日

Posted by ブクログ

DNAの創業者の自伝。

フィクション小説めいた感じで、入り口は敷居低く読んだ。

もともと手に取ったきっかけは、「プロジェクトを外注したはいいが、実際は全く進んでいなかったので気づけなかった」と言うエピソードから。

読み始めるまで、創業者の南場氏はもともと戦略系コンサル出身で、そこから創業したいうことを知らなかった。
このような経験がある方だったが、コンサル時代の経験が足かせになったエピソードが出てきて興味深い。
例えば、どの選択肢を取るべきかと考える時に、比較表を作ったがばっかりに、後から出てくる壁にあたったときに、あっちのほうにしとけばよかったかなぁと気持ちが揺らいでしまうこと。

ひとにすすめるときの考え方と、自分が決断出すときの考え方が全く違うということ。

キャッシュフローの重要さ、特に自分の財布になってしまったかばっかりに判断基準がこれまた変わってしまう。また大企業の時の感覚とは違う。
など。

共感できるところは多々あるのだが、簡単にまねできる生き方でもないなと。

ただまた読み直したい。

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2024年01月28日

Posted by ブクログ

南場さん執筆のDeNAの創業からこれまで、そしてこれからについてを赤裸々に綴った本書。
南場さんの使う言葉の表現や言い回しがすごく好きだなと率直に。やはり、すざらしい起業家の方は人を惹きつける力がある。

最後の星の例えからの一節はとても良い終わり方だった。すごく好きな表現で、自分もこんな人をワクワクさせられるような文を綴ってみたいなという気持ちにさせられると同時に、こんな素晴らしい想いを持って働くことの大切さを感じた。

DeNAのストーリーは非常に面白かったが、個人的には第7章の「人と組織」についての章は、学びという面では、非常に多くあったように思う。

ある種あたりまえだよね、ということも南場さんから綴られるとやっぱりそうかと自分の中で答え合わせができる部分も多くあったし、DeNAの強みである人材の質の所以についてが、よく分かる章なのではないだろうか。

いずれにせよ、人生で大切にしておきたい本の一つになった。
折に触れてまた読み返せたらなと思う。

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2024年01月21日

Posted by ブクログ

大好きな本。元気を貰いたい時に読んでる。

南場さんの人となりやコンサルから事業家になってゆくマインドセットの変化など、映画を見てるみたいな臨場感がある。

・立ち上げ当初、ソネットとリクルートから出資、偏ったサービス名の提案を受けた時に、「経営陣と合わせて出資は三分の一ずつ、サービス名は新しく考えます!」と決断。ここで経営するとは、調整ではなく決めることなんだと気付いた。良いエピソードですよね。難しい判断もたくさんありつつ、決めることが仕事なんですよね。

・マッキンゼー時代、ソネットにオークションサイトの提案をした時の「なら自分がやれば」という言葉で火がついた。そこから仲間集め(マッキンゼーやその他知り合いから)、資金集め、サービス開発までの濃度が凄い。やっぱりこんくらいの勢いを持ってないと新しいサービスってきっと作れないんだろうなと、熱量を感じた。あと仲間集めは大事。

・最初のサービスローンチ直前、システム会社の杜撰な仕事のせいでコーディングが全く進んでいなかったというトラブルが発生。そこからの巻き返しは「諦めるな」「出資先には決して現状を過小評価して伝えるな」「システム詐欺という言葉は使うな、社長の責任でもあり加害者でもあるのだ」という旦那さんの言葉から。支援してくれる人からも「ここからの這い上がり方を出資者たちはみている」という言葉をもらい、全員がまた前向きになれたと言う。
この経験から時に激しい競争や困難があっても、同じ目標に向かい全力を尽くし、達成した時の喜びと高揚感を共有できる組織を作ろうと決めたそう。かっこいいねー

・オークションサイトから物販サービスに事業展開し、自分が引っ張りながら上場も通過点として達成。株主総会を個人株主を増やしたい、経営の確からしさを伝えたいと週末にやってたのも考えがよくわかる。100-300-600-1000億と目標を設定して、立てないと成り行きだけでは絶対に達成できない目標を提示。経営陣とコミット。ゲーム事業も成功し波に乗る中で、創業メンバーのような優秀でコミットの高いメンバーを増やしたい、どうやって増やしたらいいか?という思考になってく。

・モバゲーで初めてのCM、クリエティブが太ったおばさんのダンスで出来上がったものが品がないと南場さんは反対。しかし流してみると効果があったことのでターゲットの年齢や属性とちがう場合はクリエティブに口を出さないようにすると決めたそう。そのあとはCMの投下量など数値チェックだけにして、あとは現場に任せたそう。

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2023年12月26日

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元気のもらえる良い本であった。南波さん目線で経営の大変さを体感できた。短い文量でありつつ内容は濃いのでぜひ仕事に疲れた時とかに読んでほしい。

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2023年09月13日

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ベンチャー企業立ち上げ〜事業拡大に至るまで、
サクセスストーリーではなく、泥臭い裏話やキーパーソンたちの遍歴が描かれる。
ヒトを重んじ、感謝を欠かさない南場智子氏の人となりが文章に滲み出ていて、ファンになってしまう。

優秀な人と仕事がしたいのは、必要で便利だからではなく、「すごい!と思える人、尊敬できる人と一緒にいると自身の気持ちも高揚し、怠惰な自分も最高に頑張れる」という節が印象的。
ヒトを育てるのは、ヒトではなく仕事、任せること。
経営者としての同氏もすごいと思うが、求心力とその裏打ちとなるような企業への思いが格好良く尊敬できる。
不格好なのが格好悪いことじゃない、そう教えられました。

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2023年07月13日

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大好きな南場さんの著書。
漸く読めました。
組織は人材だけど個人じゃ無い。
あちこちに会社の本質的な強さとは何か、南場さんの考えが散りばめられていて共感しかなかった。

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2023年06月09日

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文章にユーモアがあって楽しく読ませていただきました。南場さんかっこいい、最高です。南場さんのように自分の考えをしっかり持ち、力強く突き進んでいける人でありたい

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2023年02月27日

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素直に面白い
熱くなる

気合いと根性で事業を動かす
でも気合いと根性は、出さなきゃいけないタイミング、環境に置かれて初めて、やっと出せるかどうかがわかるんだと思った

自分がパワーを発揮できる場所、というか出さなくちゃいけなくなる環境をいかに見つけるか、作るか、身を置くか、が大事だってわかった

事業会社行きたい、、、

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2022年12月25日

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南場さんの9questionsを見て、この本のプロローグを読むと鳥肌が立った。
買って良かった。
1,学び
・後悔しない選択
・何がなんでも目標を達成する貪欲さ
・社員を信頼する深い愛
・ゴールを達成した喜びがチームで共有され高揚感に満たされる組織
家庭編からの学び
・何がなんでも死に物狂いでやれることはやってみる。諦めない。

南場さんの旦那さんが癌にかかり、余命間もないと宣告されたとこから悪あがきで色んな治療を試し、色んな人に助けを求めたところ、癌が縮小し見えなくなったという事実。これが全ての人に当てはまる訳では到底ないと思うがこの精神は色んなところに行かせる気がする。
2,仕事、人生へどう活かすか
正念場にぶち当たったとき、最後まであきらめず何が何でもやり抜く姿勢

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2022年12月26日

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ネタバレ

「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる
人が育つ組織は「任せる」
優秀な人の共通点、「素直だけど頑固」「頑固だけど素直」

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2022年07月10日

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DeNAの創業ドラマや南場智子さんの人間性など面白すぎて、起業するってこーゆーことなんだな。と実感した。経営者の話を聞くと起業のリアルがわかる気がするし、どんなビジネス書よりも腑に落ちる

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2022年05月22日

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南場さんの人柄がありありと感じられて、経営のつらさ、おもしろさも感じられる書籍。南場さん、ピュアでおちゃめな、でも、ジャイアンみたいな人なんだなと。お父様がなかなかのジャイアン風だったけども、芯のところで似てるんだろうなって思ったり。あと、リクルートから出資をもらっていたことも関係するのか、根っこのところでリクルートぽいなと思った。どこまでも人材にこだわるところ、合理的なところ、リクルートぽい。でも、Googleはおろか、リクルートとも差が開いてしまったところは、DeNAには、軸となるスター事業がなかったことなのかなと思ったり。逆に言えば、まだまだこれから。ここで終わりではなく、南場さんのここからの逆襲をまだまだみてみたい気分。

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2022年01月23日

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南場さんはとても正直で魅力的なリーダー。この本を読んで2回泣いた。ナベさんの退社と旦那さんの病気のところ。心に残ることがたくさんあった。
DeNAのような仲間と本気になって仕事に取り組んだ経験ができるのは、大変だがとても幸せなことだと思う。この本を読んだDeNA社員は会社のことを誇りに思うだろう。

取引先、パートナーがミスした時の対応に企業の真価が出る。フェアに未来に向けた対応ができるか。

人は仕事を通じて育つ。社会に出てから自分の成長云々いうのではなく、難易度の高い仕事に四苦八苦しながら挑み失敗しながら達成することで結果的に成長している。故に仕事に全力で取り組むのがビジネスパーソンとしての成長の近道。会社は社員の成長を支援するならストレッチングなアサインメイントを勇気を持ってすること。どうしても達成できず穴が空いた場合は上司がカバーする覚悟も必要。

物事、選択には正解不正解がないものもある、その場合は一生懸命考えて決めて、あとは正解となるように努力するのみ。

チームの目標を達成することの喜びと高揚感を経営の中心に据える。
ユーザー、仲間、パートナーそして社会にとって誠実な会社か。リスペクトとアプリシエーションに満ちた会社か。そこに一点も曇りのないチームとなり、苦しい時も誇りを持って進んでいけるように力を尽くす。社会と呼応して、存在を受け入れられ、発展を望まれるチームである。

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2022年01月22日

Posted by ブクログ

率直な書き方で親しみを持ちながら読めます。にもかかわらず異次元の行動力を見せつけられ、生の人間の経営をかいま見ることのできる名著だと思いました。

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2021年09月19日

購入済み

不恰好経営

華々しさだけでなく、失敗や、組織のリーダー論が今までの当たりまえだと思っていた仕事への根本姿勢を変えさせらるには十分な内容でした。

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2015年02月26日

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かの有名な南場さんの著書。何か経営について学びがあるというよりは、エピソードの語り口が単純に面白いのが印象的。経営ってこんななんだなーという生々しい温度感や南場さんの人柄がわかる良書。

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2024年05月12日

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面白かった!横浜DeNAベイスターズオーナーの姿しか知らなかった私にとって、南場さんの生い立ちや経営者としての実像を知ることができました。ものすごい実績を持ちながら、失敗の経験を詳細に語ってくれる誠実さがとても良かったです。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

DeNAの南場さんの立ち上げのころから
軌跡が学べる1冊。

これだけ大きな企業を創っていながらも
そのスタートはマンションの1部屋から始まったとの
お話に、きれいで恰好いいだけではない
起業の本当を学ぶことができます。

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2023年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなにあけっぴろげにする人
そうそうはいないですからね。

失敗も全部、恥じることなく
堂々と描いているのがすごいなと。
ふつう隠しちゃうじゃない。

あと株主はどうしても撤退することがあるけど
そこに悪くは絶対に書かなかったこと。
誠意があるなと思いました。

で面白いのはワタナベ姓の方々。
れだけ多いんだよ(笑)

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2023年12月06日

Posted by ブクログ

超優秀な人が超優秀な人を集めて超すごいことやったということが書いてあるのかなと思い、出来の悪い自分には何の参考にもならないな…と思いながら読みはじめたが、偉そうなことや堅苦しいことは何も書いてなく、かつ面白い文体でスラスラ読めてしまった。
登場する人はみな、仕事はもちろん同僚や家族に対する『熱量』がすさまじい。「彼らは皆選ばれしものなのでそんな熱量は当然、もちろん自分には到底無理」なんて思ってしまいそうだが、不思議とやる気が出てきてしまった、そんな本でした。

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2023年04月25日

Posted by ブクログ

南場さんやDeNA社員の人たちの粘り強い前進力やマインド、謙虚さ、感謝の精神などに感心させられたのは言うまでもない。
けど、入社直後の若者が大きなチャレンジに潰れずに取り組んで失敗したり成功したりして力をつけている反面、自分は安穏とした社会人生活を送り続け中年となっていて、彼らのような人たちとはとてつもない差がついているんだろうなと思うと、もっといろいろ頑張っておくんだったと後悔にも似た少し複雑な気分になる。
でも、後ろを向いていてもしょうがないので、今できること、今関心があることに、真面目に精一杯取り組もうと思った。

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2022年12月24日

Posted by ブクログ

読みやすくテンポもよく、DENA創業時の状況がよくわかり参考になった。
ただ、こんな良い経営者(に思える)でありながらキュレーション問題やコンプガチャ問題を起こすのかとも思った。退任後ではあるものの、この手の問題を起こす会社はそれこそDNAが受け継がれているのかとも思う。

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2022年01月03日

Posted by ブクログ

2021/12/29
2021年34冊目。南場さんの本が読んでみたくて、購入。DeNAの創業からが知れる貴重な一冊。読み物としても面白かった。

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2021年12月29日

Posted by ブクログ

非常に面白い本だった!読んで正解。
とても読みやすく、ユーモアのある語り口で、DeNAの草創期から2012年頃に至るまでの軌跡を書いている。
「こんな優秀な人が集まってきてくれた」という書き方ではあるけれど、南場さんが魅力のある本当に優秀な方だからこそこういう場ができて、会社としても成功していったのだろう。
「私もこういう場を作りたい・・・!」と思った。何の一芸にも秀でていない者がそんなこと言っても、ただの夢物語なのだけど・・・笑。いつかやってやるぞー!!

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2021年11月19日

Posted by ブクログ

無茶苦茶面白かった!
文章面白いし、南場さんのバイタリティもすごいし、DeNAの挑戦も分かって圧倒されるし、本当に人財を大切にしてること、愛情が分かって、感動もした。
DeNAとその創業者のノンフィクションみたいな感じだけど、ビジネスの上で学べることもたくさんあった。
読んで良かったです。

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2021年10月02日

Posted by ブクログ

DeNAの歴史だけでなく、良い組織の本質にも触れられる本
DeNAの歴史を知れたのはシンプルに面白かった。
サイバーの藤田さんの本もだったけど、大きく成長した会社の泥臭い話や裏話はやはり面白い。そこにどんなメンバーがいたのか、どういうドラマがあったのか、というところまで面白い。
個人的には特に後半が好きだった。DeNAて良い組織なんだろうなってシンプルに思えたし、南場さんは良い意味でメンバーも組織も大好きなんだなってことがわかった。
ただ、DeNAが世界を獲るならあと数段階、事業戦略面で飛躍することを期待

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2021年09月27日

Posted by ブクログ

DeNAという会社をゼロからどのように立ち上げたかのエッセンスが詰まっている
節々に、今後生かしていきたいポイントがあった
・「利益を出している会社として何ができるか考えた
・意思決定については、緊急でない事案も含め、「継続討議」にしないということが 極めて重要だ
・意思決定にはどのような情報がポイントとなるか
・事業リーダーにとって、「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる。決めるときも、実行するときも、リーダーに最も求められるのは胆力ではないだろうか。

ゼロからサービスを作っていく上での学びに溢れていた

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調整ではなく決めるのが仕事であること、最後は自分の腹に聞くことを教わった気がする。コンサルタントじゃないんだ、事業家なんだ……。華麗なスタートとはほど遠い、恥ずかしいほど稚拙な門出だった。
→コンサルタントと事業家の違いは、決めることである

この手のサービスはスピードが大切だ。最初に拡大の良循環に入った事業者が勝つ。前へ前へと気が急く我々にとって、ゼロからやり直す決断は辛かったが、ここは一度信國メソッドに乗っかって一緒にやってみようと腹をくくった。決めたその日の午後6時から共同作業が始まった。午後6時から朝6時までの12時間、銀座のリクルート本社でサービス仕様の議論を行い、その後急ぎ渋谷に戻って朝6時から午後6時までの12時間以内に、前夜の議論で決めたことをなんとか仕様書にまとめあげる。そしてまた銀座へ向かうというパターンを続けた。睡眠時間は銀座・渋谷間の移動時間30分、往路と復路の2回のみだ。
→スピードが命の領域に対して、徹底的にコミットする意識が感じられた

マッキンゼーの1年目。朝9時からクライアントの社長へのプレゼンだというのに、9時半に秘書の電話で飛び起きたことがある。資料は朝4時までかかってひとりで製本したため、全部私が持っていた。一刻も早く資料だけでも届けるべきところ、パニックした私はあろうことか母に電話し、「第四銀行、第四銀行、新潟に帰って第四銀行に転職するってお父さんに言ってください」と(特に第四銀行さんにとって)意味不明なことを繰り返し、あっ、と我に返ってマンションを飛び出した。このときの経験で、パニックは人間の能力を極端に下げることを身をもって知ったが、今回のパニックはそれをはるかに超えていた。手が小刻みに震え、パソコンを立ち上げることにも手こずり、駆けつけてくれた顧問弁護士の先生が見かねて起動してくれたほどだった。そして、川田も私も「ないの?本当にないの?」とうわ言のように何度も同じ質問を繰り返した。成果物ゼロという事実が不思議すぎて、不都合すぎて、どうしても受け入れられないのだ。気が動転していて事態の整理も真相の究明もなかなか進まない。私の記憶では、ナベちゃんだけがニコニコ、というかヒラヒラ舞っていたような気がするが、どちらかが気がふれていたのだろう。
→パニックになると、南場さんでも正しい判断をできなくなるのは驚き

旦那は3つのことを言った。
1諦めるな。その予算規模なら天才が3人いたら1カ月でできる。
2関係者、特にこれから出資しようとしている人たちに、ありのままの事実を速やかに伝えること。決して過小に伝えるな。
3「システム詐欺」という言葉をやめろ。社長が最大の責任者、加害者だ。なのにあたかも被害者のような言い方をしていたら誰もついてこないぞ。
→社長が最大の責任者なのだ、と改めて気づかされた

ひととおり電話が終わると、何がどうなるわからないが、さあ諦めないぞ、諦めちゃ いけない、と旦那に言われた言葉をぶつぶつ繰り返して会社に向かった。驚いたことに、会社にはさっき電話したばかりのNTVPの村口さんがすでに来ていて、パニック状態に陥った経営陣に代わって陣頭指揮をとってくれていた。
→こういうVCと仕事ができていることがDeNAの成長に大きく寄与したことを感じさせられる

このときから川田は、何かトラブルがあるたびに「キタキタキタキターッ!」と叫び、 キックボードで駆けまわるようになった。そしてありがたいことに、ソニー、リクルートをはじめとして、本件で私たちから離れていった会社は結局一社もなく、資金の面でもなんとかつながった。
→こういうメンバーがいるのは会社にとって心強い

会社が曲がりなりにもある程度成功し、数千億円の企業価値になると、経営の秘訣は何ですか、とよく尋ねられる。それこそスタート地点の低かった私は、毎日いろいろなこと を学び、たくさんのDo's(すべきこと)とDon'ts (すべきでないこと)を心にメモったが、 でも一番大事なことはこの瞬間に学んだことではないかと思う。
同じ目標に向かって全力を尽くし、達成したときのこの喜びと高揚感をDeNAの経営の中枢に据えよう。互いに切磋琢磨し、ときに激しく競争しても、チームのゴールを達成したときの喜びが全員に共有され、その力強い高揚感でシンプルにドライブされていく組織をつくろう。そう決めた瞬間だった。
→チームがゴールに向かうことをとにかく重視する姿勢を感じた

ビッダーズを宣伝する広告の出稿もアクセルを踏んだ。オークションに関心のないユーザーに告知しても無駄金になる。ターゲットユーザーの目だけに直接触れる場所に広告を 出したい。そんな都合のよい場所など・・・・・?あるのだ。
我々はヤフオクへの出稿を模索した。
むろん、はじめは競合指定があるのでDeNAの広告は出せないと断られた。これは業界の常識。しかし、これで諦めていたら機械と一緒だ。情報収集すると、どうもヤフーの営業部は予算達成が厳しく、かなり焦っているらしいことがわかる。どれくらい不足しているのか、金額のイメージもつかめてきた。営業トップに直接掛け合い、具体的な出稿金額を提示して粘るうちに、「まあ、内規ですから、例外はアリでしょう」とさすが王者ページのトップにでかでかと貼られ、語り継がれる業界の珍事件となった。
英断だ。数日後から「オークションならビッダーズ!」という広告がヤフオクのすべての社員のみならず社員の家族までもが頑張った。値上げに怒っているヤフオクのヘビーユーザーにビッダーズの存在を知らせようと、ある家族はアクセサリー、ある家族はTシャツ、ある家族はキッチン用品という具合にジャンルごとに分担し、出品数の多いヤフ オクユーザーから1品ずつ落札して、取引したうえでビッダーズの情報を紹介してくれるという(何たること!)。
せっかく頑張って育てたわが子が訳 ないベンチャーに転職してしまい悲嘆にく れていた両親たちは、そのうえ潰れてしまったら大変だと、息子、娘のために奮闘した。 まれに結婚している社員はほとんどが新婚で、新妻が尽くした。守安家は姉が、春田家は妻が獅子奮迅の働きをした
→意味わからないけど、諦めてはいけないということは感じた

私はDeNAという会社がとても好きだ。その一番の理由であるDeNA内部の清々しさ、気持ちのよさは、川田の人格と仕事へのスタンスがべったり組織に乗り移ったものだ と思っている。誰よりも働く、人を責めない、人格を認める、スター社員に嬉々とする、 トラブルにも嬉々とする。そして、俺は聞いてない、バイパスするな、などという言葉も 概念もいっさいない。とにかく一歩でも、 ちょっとでも前に進むことしか考えない。その川田の姿勢が、成功やアイデアの帰属よりもチームの成功を優先し、「誰」でなく「何」を重視するDeNAの文化をしっかりと築いた。
→コトに向かう文化の起源がある

守安が原発に関する専門家のコメントを総ざらいして吟味し、一番信頼できる情報源は 大前研一さんだと結論づけた。たまたま大前さんの弟子で親しい私はすぐに連絡をとり、 そこから毎日5回は大前さんと電話で話し、原子炉の状態、今後起こりうるリスクとその確率などを指南していただきながら手を打つことができた。情報が錯綜するなか、 明快な大前さんには本当に助けられた。冷静で社員とその家族の安全確認、そして会社の業務継続の手配が一段落したところで、利益 を出している会社として何ができるかを考えた。当社自身による寄付、ユーザーへの寄付 の呼びかけはもちろんだが、新潟のカスタマーサポートセンターで被災地の方の雇用を進めることにした。
→「利益を出している会社として何ができるか考えた」という表現を見て、僕もこういう視座で事業を行いたいと改めて思った

ナベは小説家への夢を(いったん?)諦め、DeNAに戻っていたが、その後退社し、 2010年にイギリスで起業していた。医者か医学部生でプロジェクトチームを組成したいが誰か知らないかと尋ねる私に、「ぼくがやります」と、立ち上げたばかりの会社をおいて東京に飛んできてくれた。
→自分の夫の病気を治すためにプロジェクトチームを作るのが驚き

退任のパーティーは、社員と元社員だけで行った。1000人以上が来てくれて、そこでも、ひとりひとりにお礼の気持ちを伝えることができた。元社員の多くがDeNAで過 ごした時間を「青春」と表現し、こうして文字にすると気恥ずかしいが、その言葉が嬉しかった。川田もやってきて、マイクを握って絶叫した。 現社員は、DeNAは任せてくれ、 次の戦いに専念し、そして勝ってくれ、そんな気持ちを伝えてくれた。やっぱり本当に、DeNAはいい人たちが集まった、いい会社だな。このチームが好きだな。そういう気持ちを噛み締めることができる、温かいパーティーだった。
→創業者が退任する時に、こんなに暖かく送り出してくれる組織を作れているのは憧れる

その後、春田や守安も連れて何度かお会いしたが、ふたりも同じ印象を持ったようだ。 考え方は我々と大きく異なる部分もあるだろうが、高い教養に裏打ちされた強さがあって、 そしてチャーミング。この最後のチャームという要素があるのとないのとでは、人はつか るのではないだろうか。そんなふうに感じた。
→チャームの大切さを感じた

社長時代の私の時間の使い方はというと、「社長の一番大事な仕事は意思決定」と前述したように、実際、決定のための会議が多かった。もちろん、私のところに来る事案はトップマターのみで、それ以外はほかの役員や現場に委ねられているのだが、それでも多くの事案がある。突発事象に伴う意思決定も多い。話をよく聞き、議論を尽くして自分の責任で決める。この意思決定については、緊急でない事案も含め、「継続討議」にしないということが 極めて重要だ。コンサルタントから経営者になり、一番苦労した点でもあった。継続討議はとても甘くてらくちんな逃げ場である。決定には勇気がいり、迷うことも多い。もっと情報を集めて決めよう、とやってしまいたくなる。けれども仮に1週間後に情報が集まっても、結局また迷うのである。そして、待ち構えていた現場がまた動けなくな り、ほかのさまざまな作業に影響を及ぼしてしまう。こうしたことが、動きの速いこの業界では致命的になることも多い。だから、「決定的な重要情報」が欠落していない場合は、送ってもその場で決める。
→あとで検討しないことがとにかく大事なのだと思わされた

「決定的な重要情報」が欠落しがちな起案者は優秀ではない。そのようなケースはDeNAでは少ないが、それを回避することにも気を使った。事案は決定の場で初めて経営トッ プに説明されるわけではなく、その前に「頭出し」として、報告を受けることが多い。そのときに、意思決定にはどのような情報がポイントとなるか、大まかにすり合わせておくことだ。そのような方法で、DeNAでは遅滞ない意思決定を実現してきた。
→意思決定に必要なポイントの整理をする意識は足りていないので、改めて重視していきたい

そして、創業期から一貫して多大な時間とエネルギーを費やしてきたのが採用活動である。DeNAの競争力の源泉は、とよく訊かれるが、答えは間違いなく「人材の質」だ。 人材の質を最高レベルに保つためには、?最高の人材を採用し、?その人材が育ち、実力をつけ、?実力のある人材が埋もれずにステージに乗って輝き、だから辞めない、という要素を満たすことが必要だ。?
離職率は創業当時から低く、その点で苦労したことはないが、採用はものすごいド根性で社をあげて取り組み続けることで高い質を維持している。私も年間約30回の新卒向け会社説明会をすべて自分で行うなど、率先して膨大な時間を使ってきた。社長退任後の現在も一番大事な仕事として取り組み続けている。
→会社は人材がとにかく重要なのだとリクルートの江副さんのほんと共通している点をみた

さあA案実行だ、となるとその日から想定外の壁が次々と出現する。企画通りにはいかないな、とひいひい言いながら皆で実行しているうちに、「やっぱりB案だったのかな……」と誰かが言い出し、皆がホワイトボードを思い出す。僅差だったよね、あの◎、本当は怪しかったよね、と。そして皆が不安になり自然とブレーキがかかる。ちなみにB案を選択していてもまったく同じことが起こる。
?
検討に巻き込むメンバーは一定人数必要だが、決定したプランを実行チーム全員に話すときは、これしかない、いける、という信念を前面に出したほうがよい。本当は迷いだら けだし、そしてとても怖い。でもそれを見せないほうが成功確率は格段に上がる。事業を 実行に移した初日から、企画段階では予測できなかった大小さまざまな難題が次々と襲っ てくるものだ。その壁を毎日ぶち破っていかなければならない。迷いのないチームは迷いのあるチームよりも突破力がはるかに強いという常識的なことなのだが、これを腹に落として実際に身につけるまでには時間がかかった。
→経営と執行の分離。とにかく正解にするしかないのだと思わされる

また、不完全な情報に基づく迅速な意思決定が、充実した情報に基づくゆっくりとした 意思決定に数段勝ることも身をもって学んだ。コンサルタントは情報を求める。それが仕事なので仕方ない。これでもか、これでもかと情報を集め分析をする。が、事業をする立場になって痛感したのは、実際に実行する前に集めた情報など、たかが知れているという本当に重要な情報は、当事者となって初めて手に入る。だから、やりはじめる前にねちねちと情報の精度を上げるのは、あるレベルを超えると圧倒的に無意味となる。それでタイミングを逃してしまったら本末転倒、大罪だ。
→本当に重要な情報は一次情報しかないのだと感じさせられる

事業リーダーにとって、「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる。決めるときも、実行するときも、リーダーに最も求められるのは胆力ではないだろうか。ほかの諸々は誰かに補ってもらうことが可能だが、リーダーの胆力はチームの強さにそのまま反映される。それが、クライアント(顧客企業)に「役立ったか」、クライアントを「impressしたか(感心してもらえたか)」を四六時中気にしていたコンサルタント出身者にとってはとても大きなジャンプなのだ。コンサルティングは胆力が養われやすい場ではない。
→選択を正しくし続けることがリーダーとしての胆力をつけることにつながるのだと思った

わが社がコンサルティング会社からも人材を積極的に採用しているのは、コンサルティング業界は人材の流動性が高く、人材の供給源になっているためであり、コンサルティン グ経験を評価しているからではない。できるだけ染まりきっていない、優秀な人材を採用するようにしている。そしてこれまで述べたような違いを説明し、加えていくつか具体的なアドバイスもする。
・何でも3点にまとめようと頑張らない。物事が3つにまとまる 必然性はない
・重要情報はアタッシェケースではなくアタマに突っ込む
・自明なことを図にしない
・人の評価を語りながら酒を飲まない
・ミーティングに遅刻しない
→めちゃめちゃ笑った。物事が三つにまとまる必然性はないというのは至言。

DeNAが逸材を引っ張り込むのを見て、どうやって口説くのかと訊かれることが多い。 が、人を口説くのはノウハウやテクニックではない。「策」の要素を排除し、魂であたらなければならない。きれいごとを言うようで気恥ずかしいが、私が採用にあたって心がけていることは、全力で口説く、誠実に口説く、の2点に尽きる
→魂で人を口説くというのは、改めて重要視していきたい

DeNAでは、「誰が言ったかではなく何を言ったか」という表現を用いて、「人」ではなく「コト」に意識を集中するように声を掛け合っている。誰かが言ったことが常に正し いと思ったり、誰かに常に同意するようになったら、その人の存在意義がなくなるし、”誰派” 的な政治の要素ともなり、組織を極端に弱くする。
→人ではなくコトは組織を作っていく上で、重視していきたい

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2023年12月26日

Posted by ブクログ

DeNA創業者の南場智子さんの本。上手くいったことがないと言われるように多くの失敗を繰り返しながら変化の激しいIT業界で生き残り成長させたのは、反省と人を信じること、やりとげない想いがあったからかなと感じた。人を動かす想いは何よりも得難いものですごく大切なものと感じさせてくれた。そういう想いを見つける為、これからも色々と学んでいこうと思った。

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2023年12月31日

Posted by ブクログ

DeNA創業者の南場さんの自伝(?)。
紆余曲折あっての今のDeNAなのだと学んだ。
一方で、今までに経営者の体験を綴った書籍を読むことが少なく、味わい方を確立できていないがゆえに、さらっと流し読みしてしまった感覚もある。
ただ楽しむのか、何か学びを得るのか、今後はもう少し目的を持ってから読み進めたい。

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2023年06月07日

Posted by ブクログ

今になって読むと時代が違うようにも感じたが、
何かを生み出すということはこういうことなのだ、今の自分の環境は恵まれているのだ、と感じた。

・人の成長によって、組織の成長はもたらされる
・オーナーシップを持たせ任せることで、成長、成果につながる

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2023年04月16日

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