感情タグBEST3
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舞台は徳島。江戸っ子の母は、不倫でできた子を誰にも迷惑をかけず、徳島で産み育てる。高校生になった娘に、問い詰められ、大好きな人の子だと包み隠さず説明する。母はお店を切り盛りしており、言うべきことは、はっきり言う。ストレートな言葉には、愛があり、かっこいい。育てるための言葉。気づかせるための言葉。何でも自分で決め、貫き通す。死後の献体まで。全てに愛が詰まっていた。いつか阿波踊りを見に行ってみたい。
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神田のお龍の生き方がカッコ良かった。また、最期を迎える母を想って辛い中、周囲の人々と冗談を交えつつ会話する主人公の描写が生々しく、同情心が芽生えた。
表現に関しては、セミや風、雷、囃子、居酒屋などの音を用いた心象描写が秀逸。
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つい最近、映画のTV放映を見たので、興味がわいて読んでみた。
ストーリーも微妙に違っていて、お母さんと娘の関係がよくわかって、映画より本のほうが好きかな。
でもお瀧さんのイメージは映画と本がとってもマッチしていて素敵だなぁと思いました。
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この本を読んで阿波踊りを見に行きました。
神仏に捧げる祭りではなく、阿波城の築城を祝って人々が楽しむ祭りを許した蜂須賀公。二拍子の鉦の音に合わせて踊る、阿波踊りは私の夏の楽しみとなりました。
眉山を読んで
さださんの小説を初めて読みました。こういうお話を書くのかと驚きました。恋愛話や、姉さん言葉など、悲しくもあり楽しくもあり、勉強になる話もありで。また、
徳島県のこと、阿波踊りのことにも詳しくて、ストーリーにも引き込まれました。
作詞、作曲のみならず、沢山の本も出され、ドラマ化されたり映画化されたり。この眉山を読むと、また違うさださんが発見できました。
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切なく苦しい恋が胸に熱く残る一冊。
狂おしいほどの想いというのは、本当にこの世界に存在するのだと、自分も身をもって知ったわけで、そんな中この小説は、とても大切な一冊になった。
気が遠くなるほどの隔たりの後の一瞬の逢瀬の瞬間が、切なくも本当に美しくて、心が熱くなりました。
この人の人生と私の人生が熱く交差したことは確かにあるけれども、全く異なる別の道を、私は誇りを持って生きてきたのだーー
無言の母に胸を打たれた。母は「一生を賭けた大好きな人」と今、命懸けですれ違っている。
そうして"神田のお龍"は「大好きな人」に最後まで一切迷惑をかけずに死のうというのだ。
どれほど切なく、苦しく、愛おしいことだろう。
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切なくて優しくて格好よい。粋な女、神田のお龍みたいな凜とした女性の生ききる人生、なかなかできない、、、何度も泣きそうになった。
まさしさん、毎回思うけど才素晴らしい。
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もうすぐ亡くなってしまう母と娘の物語。
母は最期までカッコよかった。そこから出会う人も現れるけど。
母の命と引き換えに会ったことのない父のことを知る。
阿波踊りのような美しい舞を舞ったような人生を送った母。
こんな筋の通った人生を送れたらいいなと思うのだ。
静かに心に響く作品。
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さだまさし氏の本が大好きです。やわらかく優しい愛が切なさを包んでいます。
本書の題材は、私が弱い「母子の愛」「癌」だったので、心にずん、と来ました。たくさんの人に愛されながらも、自分は一人だけへの思いを胸に、生涯が終わっていく。それを見守る人物もみな優しく、読んでいて幸せな気分になれます。
徳島地方の阿波踊りがとても鮮やかに描かれていて、いつかは観てみたいと思いました。
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人の悲しみや寂しさの中に潜む大きな優しさ、強さを感じることができる作品です。映画を先に観ましたが、原作も母娘のすっうっと縦に割ったような一本気な性格がよく現れていると思います。思い馳せるものがある人は強いのかもしれません。
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泣ける。
そしてカッコいい。
未読の人は「何じゃそりゃ?」と思うかもしれないが、これはカッコよくて泣ける作品なのだ。
娘の咲子の目を通して描かれる“神田のお龍“の半生記。
カッコよさにも色々ある。颯爽としたヒーローのカッコよさ。高倉健のような寡黙な渋いカッコよさ。お龍さんは“粋“なカッコよさだ。
タイプは色々あれどカッコいい人に共通しているのは優しいということ。お龍さんも強気を挫き弱きを助ける優しさに溢れている。キップがよくて強くて優しい。だから“粋“だ。こんなカッコいいお龍さんのお店があれば是非行ってみたいと思わせられる。
作者のさだまさし自身が漢気があって優しい“粋“な人だ。彼の優しさと、詩人としての卓越した言葉の使い方によって「精霊流し」「解夏」「アントキノイノチ」どの作品でも泣ける。
本作も読後が爽やかになること請け合いの佳作。
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道ならぬ恋で産んだ子を、見知らぬ土地で一人育てていくと決意した「神田のお龍」
一本気で気が強い、その気っ風の良さは男女問わず惹きつける魅力がある。そんな「神田のお龍」が臆面もなく、大好きであったと言い切る姿に、彼女は死ぬまで「女性」であったのだろう。
どうして彼の郷里に移り住んだのか、何故父親の人柄をを娘・咲子に話さなかったのか、何故献体という選択をしたのか。
添い遂げることは叶わなかった。けれど、この想いは一生自分の胸の内に秘め、その想いと一緒に生きていく。たとえ、死ぬまで彼と生きる道が交わることはなくても。この「想い」だけが、彼からもらった唯一自分だけのものだから。そんな覚悟を「神田のお龍」の生き様から感じた。
彼の郷里に移り住んだことも、献体に願い出たことも、何もできない自分からの健気なまでの愛情。
本当に死ぬ迄恋心と添い遂げるつもりだった。
それに対して、最期の邂逅では一度たりとも目を合わせない。命をかけて恋と覚悟を貫いていて、なんて美しい人生の幕引きだろう。
それ程までに愛した人に、目を合わせることもせずに、なんて苦しい恋だったのか。けれどそれが「神田のお龍」の幸せだったのだろう。
最後の「二本のパイプ」も、とても感動する。
献体として協力してくれた方々にも、人生があったのだ。人の命なくして、医学の発展はないのだな。
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凛とした素敵な女性とその娘の物語。
登場する皆が優しく温かな人たちで安心して読めた。
徳島の自然や阿波おどりの情景も目に浮かんだ。
最後に載っている解剖実習感想文集の文がすばらしく、調べてみると実在するさださんの友人の医師の方だった。
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愛する人の子どもを、一人で育てていこうと決意して、強くまっすぐ生きてきたお龍さんと、その娘咲子の話。
お龍さんの、優しさ、間違ったことに対する毅然とした振る舞い、病気の苦しみを表に出さない我慢強さ、身のしまい方、愛の貫き方。かっこよかった。
徳島の夏が目に浮かぶようでした。
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決意と想いを胸にしまい最後まで美しく生き抜く
徳島の阿波踊り
自由奔放で明るい男踊りに比べて忍耐と様式美の女踊り。
しかし、その不自由さによってさらに熱くなる心。
劇中でまさしくこう記されている女踊りのような生き方をしていた、母こと神田のお龍。
最後の二人の刹那の出会いは二人に何を思わせたのだろうか。
一人は涙をながしながら見つめ続けるが、
もう一人は決して目を合わせることもせず、表情すら変えない。
解説には未練があるから男は女をじっと見つめ、未練があるから女は男を見ようとしない~
とある。そういう部分もある思うが、自分は
男は男踊りのように自由に思いを馳せたから涙し、
女は女踊りのように忍耐でもって自分の姿を美しく見せたかったのではないか、とも思った。
そして最後にある寺澤の感想。
たとえその時そのように強く感じた想いも、時が経つにつれて簡単に忘れてしまうし、
また他人によって想いが簡単に変化してしまうのだということを思いしらされた。
自分自身の昔のことを思い出しながらゆっくりと、泣きながら読ませていただきました。
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作中に時々出てくる阿波踊りのお囃子のフレーズが其々の場面展開を盛り上げてくれる。
本書を読んで阿波踊りを見に行きたいなぁと思った。
母の余命が幾ばくも無い、娘の咲子は帰郷し母の看病にあたることとした。
江戸っ子気質でカチンと来たら手のつけられない母、飲み屋の大将とお酒の好きなケースワーカーなど人情身溢れる登場人物達がストーリーを盛り上げてくれる。そんななか咲子は母との半生を振り返る・・・
一晩で読めてしまう200ページ!
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母親の決意とは何たる堅さ。咲子を出産すると決めてから死ぬまで、母親としての顔しかもたず一切の女の顔を殺してきた母、龍子。強すぎる決断力と精神力に涙がでる。
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徳島に4年間住んでた身としては
街の風景が思い浮かび、どこか懐かしく感じる作品。
とくに阿波踊りについての描写は、本当に巧い。
阿波踊りの練習の音(鉦を鳴らしたり、笛を吹いたり)が聞こえ始める初夏の夕方、県外出身の自分でも何か体の内側から“ぞめき立つ”あの感覚、それを見事に文字で描いている。
徳島にゆかりのある人には徳島の良さを改めて認識してほしいし、徳島をほとんど知らない人にも読んでほしい(そうしたらきっと徳島いいなあと思える)一冊。
綺麗な物語だった。
徳島、やっぱ好きだなあ。
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お龍さんの大好きな人への真っ直ぐな気持ちが、最後まで彼女の生き方に表れていた。そんな彼女の生き方にたくさんの人が魅了され、救われたのだろう。描写が美しかった。
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複数の作家による短編集story sellerのさださんの小説が素晴らしかったので初めて本を購入しました。
期待に違わない素晴らしい本でした。
また彼の別の本も読んでみよう。
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献体に興味が沸き、随分前に買ってあったので年始に読み返してみました。
さださんの小説は何冊か読んでいますが、「眉山」ほど読みながら映像が浮かぶ作品は無いですね。
徳島の阿波踊りの様子がとてもエネルギッシュで、登場人物たちの方言とともに、徳島へ旅行へ行ったような気持ちにさせられます。
献体についても知ることが出来、文章も読みやすくて、母と娘、それぞれの恋がとにかくロマンチックでした。
キュンキュンしたい人におすすめです。
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映画を観たはずなのだけど、こんなお話だったっけ、と何度も疑ったくらい記憶に残っていなくてびっくり。自分が咲子と同じくらいの年齢になったのもあるのかもしれないけれど、もう一度映像で観てみたいと思わされた。
うちの母は健在だし、父もいて、咲子と状況は全然ちがうけれど、親を思う気持ちは誰しも共通するものがあるのではないか。だからぐっとくる。
「芝居はね、芝居と知れたが最後だよ。『通り抜け無用で通り抜けが知れ』ってね。通り抜け禁止って書いてあれば、通り抜けられるのがすっかりばれちまうだろ?」
神田のお龍さん、カッコイイなぁ。
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とても繊細で、美しい
徳島の風を感じる物語
余命を宣告された強くて尊敬すべき母との最後のときを描いた作品
家族、ふるさと、生きること、死ぬこと、伝えること
静かに、穏やかに語りかけてくる
そんなお話
ラストシーン
とある医大生の実習感想文
『二本のパイプ』
うるうるです•(☍﹏⁰)。
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裏表紙に書いてある通り、咲子のお母さん、龍子の毅然とした生き方。
昔別れた夫に対して、一度交わったけれども、まったく異なる道を、誇りを持って生きてきた、と。かっこいい。
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徳島に旅行に行くにあたって、松嶋菜々子主演の映画でタイトルだけ知っていたこの本を読んでみた。
主人公の咲子は、母の瀧子が不倫相手との間に産んだ子で、ずっと父を知らずに生きてきた。この母子2人の関係が話の軸で、母の死期が近付いて、改めて母の生き様を知るという内容。
母がとにかく強くて、かっこいい。言いたいことははっきり言うが、筋が通っていて、敵も多いが、慕う人も多い。だけど、いくら相手に強く惹かれたとしても不倫相手の子供を産んで一人で育てるという覚悟はなかなかできないなあと思った。映画になるほど面白いとは感じなかった。
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徳島を舞台にしたさだまさしの小説。女手一つで育ててくれた母ががんに冒され余命数カ月と告知された一人娘の主人公。母はもともとは江戸っ子で訳合って徳島に来て店を持った。母の余生に寄り添う中で、背筋をピンと伸ばした母親の正しい生き方をより一層知ることになる。クライマックスは8月の阿波踊り。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損のリズムが情景に浮かぶ。個人的にはぜひ見てみたい徳島の阿波踊り。この小説でその気持ちが強くなった。
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さださんが書かれた小説を読むのは初めてだが、長崎生まれの筆者が高地という知らぬ土地を題材にした作品を書くのは苦労しただろうと思う。
母の死を間近に控え咲子の思いを鑑みると、年が近い私も自分の身に置き換えて感情移入がしやすかった。
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高校生の日記でも読まされている様な文章である。
しかし、最後はさだまさしワールド。ほろりとさせます。エライヤッチャ、エライヤッチャ、ヨイ ヨイ ヨイ ヨーイ
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"神田のお龍"こと江戸っ子の母親が啖呵を切る台詞は、一本筋が通っていてとにかくカッコいい。宮本信子氏が演じたいと言うのも頷けた。
主人公咲子が、父と母をカメラの同じフレームの中に収めようとする場面は、いちばん感情移入した。今にも阿波踊りのよしこの節と鳴り物が聞こえてきそうだった。
残念だったのは、寺沢医師がラストで言い放つ「そうだったのか」という一言。たぶんこういうことなのだろう…と考察してみるものの、どこにそんなことが書いてあっただろうかと何度も最初からページをめくっては確かめてしまった。母親が献体を申し込むことになった要となる場面なのに、説明不足でいかようにも意味が取れる。「解夏」のように納得のいく結末を期待していたのに、うーむ、ガッカリ。