【感想・ネタバレ】稲盛和夫の実学のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月11日

会社の全体感を意識して仕事できるといいなと思い、これまで全くノータッチだった経理関係で、個人的に尊敬してる稲盛和夫の本を読んでみた。

第一に感じたのは、経理関係ないけど、素人だからこそ本質を捉えることができるってのもあるんだなと思ったし、素人だからといって遠慮してはいけないと感じた。
会計のど素人...続きを読むから自分なりの会計体系を作り上げたのはすごいな

第二に感じたのは、稲盛氏の本を何冊か読んでわかったが、彼の哲学が徹底して一貫しているのがすごい。日々考え抜いて経営していたんだなと。「土俵の真ん中で相撲を取る」とか。

第三に感じたのは、在庫の計上に関してだが、自分の仕事でも歩留まりを考慮して余分に作っているが、あまりはどうしているのだろうか。そもそもどうやって値段を決めているのか。それは妥当か。考えるいいきっかけとなりそう。

その他学び
固定観念、常識にとらわれるとその常識の範囲内でしか成果を出せない。例えば、コレコレの業界では売り上げの何パーが利益となるといった類の迷信を信じると、それ以上に利益を上げる力があっても、自ずとその迷信レベルに収まってしまう。

モノと金を徹底して一対一対応させる。これをおろそかにすると、数字を操作できるものと考えてしまい、不正に繋がりかねない。

利益を上げるには、極論、売り上げを増やし経費を減らす

社員一人一人が会社の方針、経営状況を知ることで、皆が同じ方向を向ける。

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Posted by ブクログ 2024年04月03日

管理マンとしてとりあえず読んだ

企業のあるべき姿を損益管理の観点を中心に話されている。原則の一つであるモノの動きと会計処理が一対一になるようにして企業の実態を損益に適切に反映することは当たり前だが、色々思うことがあった。日々の仕事では、製造側でコストダウン計画が出てこなくても予算を無理やり減らして...続きを読む計画を提出し、結局実績で負けるという事がよくある。これは計画の積み上げと実績が一対一になっていないという事で、この本でいう原則が守られていないということだろう

あと、値決めの重要性についても言及があったが自部門は長らくそこの整備を怠っていたので、これも本の原則が守られていなかった

色々と自部門は課題が多いなぁと感じる一冊

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

96当座買いの原則
101経営において責任ある立場の人か自ら完璧主義を貫くよう肝に銘じていれば、資料内の辻褄の合わない部分や数字のバランスが崩れているところに鋭敏に注意がいくようになるはず。
103経営哲学の根底「人の心をベースとして経営する」。うつろいやすく不確かなものも人の心。これほど頼りになる...続きを読むものはないというのも人の心.106「ダブルチェック」は人に罪を作らせないための原則
182 「天の時、地の利、人の和」

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Posted by ブクログ 2022年11月17日

まずは、わかりやすく非常に勉強になる。

具体例を出して説明してくれるのがありがたい。
極め付けは、後半の質疑応答。
これで一気に理解度が深まる。

会社経営をしたい人は必読。

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Posted by ブクログ 2022年08月09日

稲盛氏のアメーバ経営は非常に有名であり、今回もアメーバ経営の基となる会計学について記されている。経営者に必要な資質を会計学と稲盛氏が大切にしている心を軸に説明されており、経営者だけでなく、プロジェクトオーナーや将来事業を立ちあげたい人にはおすすめの書である。
【キーワード】
・土俵の真ん中で相撲をと...続きを読む
・1対1の対応
・まずは収益向上を
・市場が売価を決める

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Posted by ブクログ 2022年08月06日

会計の基本と稲盛哲学が同時に学べる名著。企業人なら一度は読むべき。
本書では会計を切り口として「人の心をベースとした経営」とは何かが語られている。
例えば「ダブルチェックの原則」は「人は間違えるから再確認する」のではなく「人に罪をつくらせない」ために必要な仕組みだと説かれている。まさに「哲学」の世界...続きを読むで唸るしかない。

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Posted by ブクログ 2022年07月31日

・儲けはどこに行くのか、という観点で稲森和夫が冒頭抱いた疑念を基に話が展開されるのが良い。なぜ会計知識が必要なのか?透明な経理とは何か?という一端が見える
・減価償却期間を疑え、そうしないと12年が定められてるものを6年で捨てたら、6年分の償却にかかる税金がかかる
・税金の及ぼす割合、マジでデカい。...続きを読む税引き後の~っていう枕詞大事
・売りと払いを常に1対1の関係にする、というのが最強すぎる。確かに営業目線でみるとなかなかうまくいかないことが多いイメージがある。でも結果BSになる以上本来的にはそうなるはず。
・アメーバ経営がすごすぎる。時間当たり採算制度で、管理会計を敷くというやつ、こんなんできる?

・固定費の増大には気をつけよ
・宿屋の大手資本が入るという質疑に対して、大変心苦しいが、長男が家督を継ぐという前提がまずおかしい、また長男の能力面を過信してはいないか、という問いが非常に言葉を選びながらもすごい核心をついてるなぁという、経営者としてのすごさを感じる

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Posted by ブクログ 2022年05月06日

この本は、経営者に限らずビジネスマンにとって普遍的で、バイブルとなる本だと思います。
私が特に興味深かったことは『ダブルチェック』の内容でした。おすすめです!

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Posted by ブクログ 2021年07月24日

経理担当者のバイブルとなる本です。会計の専門分野は、あくまで実学の為にある。これから経験を積んでも忘れないようにします。

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Posted by ブクログ 2021年02月27日

圧倒された。特に中小企業の経営者はみんな読むべき。読んでサッパリ意味が分からないのであれば、会計を勉強する必要がある。

多少の会計知識があれば意外にも読みやすい。工業簿記の話がメインなので、簿記2級程度の予備知識があるとよく理解できます。

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Posted by ブクログ 2023年11月23日

会社の経営者、経理部門の人、各部署のリーダー、そして一般社員全員が読んで損しない、非常に素晴らしい内容だと思います。

経営のシンプルな本質が学べます。
会社を大きくするには、安定した企業にするには、その答えが載っていると思います。

後半字が多くて、ちょっと読むのが辛くなってきてしまったのは内緒で...続きを読むす笑

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Posted by ブクログ 2023年05月28日

本質の理解と実践の本である。
経営者。それだけでなく企業。非営利組織に至るまで読んでおくべき。特に会計について体系的に学んでいない人。学んだとして知識としてのみ。実践していない場合。必読である。
本書では様々な経営に関する考え方、実践方法が、示されている。まず本質を理解する。本書で紹介された手法はあ...続きを読むくまでもその理解の実例。手法を時分の事業に単に取り込めばよい訳では無い。

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Posted by ブクログ 2023年03月04日

実体あるキャッシュはどこにどのくらいあるのかを常に把握しておくこと。一般的なルールに従った財務諸表とは別に、独自の管理会計システムを並行して持つことの負荷は相当なものがあるように感じるが、結果として(結果論的に)良い経営選択に活きる可能性が高いというのは、さすがだなと思った。

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Posted by ブクログ 2022年07月03日

経営者として会計を知ることは大前提として必要である。
経営目標はトップの意志で決められ、その意志に共感して人が動いていく。
経営目標を意思表示する経営者自身が、会計の原理原則を理解し、忠実にコミットすることが必要である。
・キャッシュベースで経営する
・一対一対応を貫く
・筋肉質の経営に徹する
・完...続きを読む璧主義を貫く
・ダブルチェックで会社と人を守る
・採算向上を支える
・透明な経営を行う
これらは当たり前のことであり、それを忠実に行うことが基本である。

人は数字だけでは動かない、経営は人の心を考えて行う、経営者としての心の面も強さ、信頼を得るための心構えの重要さに気づく。

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Posted by ブクログ 2022年02月09日

だいぶ前に読んだ。

会計って経営でとても重要で、真面目に働くこと、これが大切ということが書かれていた記憶がある。あの頃に読んでおいて良かった。

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Posted by ブクログ 2021年11月28日

経営のための会計学を採用するべきである。普通の会計制度は経営に活かせるようなタイムリーな会計ではなく、減価償却やコストの考え方がおかしいところがある。
原理原則として一対一、キャッシュベース、アメーバ経営、土俵の真ん中で相撲を取る、売り上げを最大に経費を最小に、らを意識する。

何が利益を生み出し、...続きを読むどの経費を小さくしていくのかは経営の基本であり、そのために今ベースで数字を把握する必要がある。そのために、会計というものは必須。

また、トップの役目は数字を設定し、下にそれを達成可能で追い求めたいと思わせることである。そのために目標はトップダウン(自分が達成したいと思うものをトップが設定)にし、エンゲージすることである。

結論としてどのようにお金を管理し、余裕を持って経営を行うかが重要である。そのために会計の知識は必要。

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Posted by ブクログ 2021年05月22日

 自分の会社がどうすればよくなるのか。
 考え方が古かったり、前例主義だったり、社員の事を考えない上司が多かったり・・・。おそよ社会人として不承不承でも組織で働いている身であるならば、組織のよろしくない面を目の当たりにし、一度ならずもこうした疑問に突き当たったことがあると思います。

 私も当然持ち...続きを読むました。そして、今も持っています。

 問いが大きすぎ、また要素が複合的でもあるので、全てを包含する完璧な答えは未だ持ち合わせていません。
 しかし、本書を読むと、ああ、いい会社というのは、芯のある(筋の通った)経営者がいるのだ、と思いました。そして、会社が良くなる為にもまた、こういう経営者が必要なのでは、と感じました。

・・・

 本書は、言わずと知れた京セラの創業者稲森和夫氏による著作。彼の、会計を重んじた経営方針や経験が語られます。

 会計、と言っても何もIFRSをきちんと導入しようとか、日本会計基準に完全に沿うようにしようとか、そういう話ではありません。寧ろ、彼の肌感覚に合致する会計を守り通し、これを会社ぐるみで維持するのだ、と言っているように思えます。

 一番印象に残る例は、セラミック加工に使う機械の減価償却の話。JGAAP基準では工作機械の減価償却は10年であるも、現実の機械はどんなに手入れをしても5-6年で参ってしまうそう。すると彼の考えでは毎年償却する額は1/5か1/6です。これこそが現実の機械の疲弊具合を表すことになります。対して税務署側は、やってもいいけど1/5(稲森氏の肌感覚償却分)-1/10(法定償却分)の差分は有税(つまり費用として控除できない)ですよ、と言われたそうです。ところが、何と京セラは有税でこの償却方法を維持しているそうです。

 このやり方を彼は「一対一の原則」と言っていました。モノや現実の姿と、帳簿の数字や伝票が合致する、というのが彼のやり方です。だから、得意先からのお願いだからと言って出庫伝票も書かずに慌てて納品したりとか、そういう事も許さない。兎に角、現実と帳簿が一対一で呼応するようする。

 この一見頑固で融通の利かないルールは、もともとは「ミスや不正から社員を守る」という責任感から出ているようです。勿論チェック体制についても面倒くさいほどに細かいことが伺い知れます。
 今日び、このような姿勢は、ややもするとパターナリズムの極致・ムダ、などと言われそうな気もします。しかしながら、本人がだらしなくサボっているのならいざ知らず、本書を読む限りは相当度に仕事にコミットしているわけで、部下の人たちも頑張らざるを得ないでしょう。このようにして懸命に働く組織にはきっと一体感も出てくることでしょう。ちょっと羨ましい。

・・・

 もちろん、現実にはきれいごとばかりではないと思います。特に会計や経理は相当大変だと思います(「稲森」会計と税務会計と二重に帳簿をつけているような部分が多くあると推測します)。
 しかし、真っ当な仕事がしたいのであれば、自己中心的で自分の任期(人気?)しか考えないようなリーダーよりも、多少仕事はきつくても心のある経営者の下で働く方がきっと幸せなのだな、と感じました。
 あなたの属する組織に、素敵な経営者はいますか?

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Posted by ブクログ 2021年03月13日

会計だけを知っていても会計のプロとは言えないし、会計の知識がないと経営のプロにはなれない
。経営と会計の関係性を稲盛和夫さんの原則を通して学べるので勉強になった。

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Posted by ブクログ 2021年03月03日

正しいことを、ごく当たり前にやり通すことの難しさと尊さを、改めて問うてくれる一冊。まさにど真ん中正拳突き。

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Posted by ブクログ 2021年02月27日

自身の経営哲学と会計のつながりを解説した本
会計を理解し、しっかりと管理運用することが経営をしていく上で大切な要素の一つだと感じた

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Posted by ブクログ 2021年01月17日

稲盛氏が京セラで実践してきた経営を、会計の切り口で論じた一冊。原価管理について、一石を投じる論調もあるが「JAL再生」という本でも書かれている通り、稲盛氏の社内取引が彼の経営の核にあることを納得させてくれる。

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Posted by ブクログ 2020年12月17日

稲盛和夫がどのように会計を考えているかを語った本。
実態の把握が難しくなりがちな会計の従来の手法に対して疑問を持ち、会社独自の手法を一部採用して対処しているというのが新鮮だった。
今簿記で机上の会計手法の基礎を学んでいるわけだけれども、それが実際にどのように運用されているかというところは疑問を持ちつ...続きを読むつ注視することが大事だろう。

自社の購買発注の体制に関して疑問に持っていたところが一部解決されたのは意外なところだった。

稲盛和夫の経営は正直経営ともいうべきところで、嘘偽りのないこと、というところを根底に置いているように思う。とても立派な人だと思う。ただ、あまりにも立派すぎてちょっと引く時もある。

「そもそも資本主義社会は、利益を得るためなら何をしてもいい社会ではない。参加者全員が社会的正義を必ず守るという前提に築かれた社会なのであり、厳しいモラルがあってこそ初めて、正常に機能するシステムなのである。」
ここら辺の主張は綺麗すぎてほんまか?という感じ。前作の生き方でも感じたが、稲盛和夫の言うことは聖人君主のようで少し疑いの目を向けてしまう。

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Posted by ブクログ 2020年11月15日

稲盛和夫
  稲盛和夫の実学 経営と会計

[著者のプロフィール]
 稲盛和夫さんは、日本の実業家。京セラ・第二電電(現・KDDI)の創業者。鹿児島県出身。1959年に京都セラミック株式会社を設立。

[概要]
 序章 私の会計学の思想

1.私の会計学はどのようにして生まれたか

 稲盛和夫は27...続きを読む歳という若さで京セラを設立した。当時、彼は経営の知識も会計の知識もなかった。だから、人としての道理に基づいて経営することを心に決めた。会計についても同様である。これが功を奏し、京セラは大企業に成長していった。

2.私の会計学の基本的な考え方

 先程も述べたように、稲森和夫は基本的なモラル、良心に基づいて経営を行ってきた。それは物事の本質を見極めることを意味する。だから、彼は法定耐用年数や歩積み・両建て預金が「常識」として受け入れられていたにもかかわらず、それに疑問を持ち続けた。彼は「常識」を鵜呑みにするのではなく、本質を見極めることが経営をしていくうえでは必要だという。

3.私の会計学と経営

 創業当初、彼は経理については無知であった。だから、「売上を最大に、経費を最小に」という難題を経営の原点だと理解した。ただ、これは間違いではなく、利益の追求には必要なことだった。そして、まず売り値を営業部に決めさすのではなく、自ら決めた。この売り値が経営状態を良くも悪くもすることが分かっていたのだ。これら会計の知識を経営者自身が身につけていることが真の経営には必要なのである。

 第一章 キャッシュベースで経営する

1.儲かったお金はどうなっているか

 損益の動きとお金の動きは異なる。だから、利益を出してもお金が増えたというわけではない。これをほとんどの経営者が理解できていない。

2.資産か、費用か

 経営はキャッシュベースで行わなければならない。先程も述べたように、損益とお金の動きは異なるため、資産と費用にも違いが出てくる。費用として支出したものが実際は資産であり、当初予想していた税金より多く支払わなければならないこともある。そうなると、現金が足りなくなり倒産に至ることがある。だから、経営はキャッシュベースで行うべきなのである。

3.土俵の真ん中で相撲をとる

 多くの経営者は、借金をして事業を展開していき、経営規模を大きくしていく。ただ、この場合、銀行からの借入が必要である。ただ、借入は市場の金利や資金受給の動向、政府などの政策や方針に直接影響をうける。これにより、新しい設備投資の機会を逃すかもしれない。だから、借金をするのはいいが早期に返済し、できる限り自己資金を蓄え、その範囲で設備投資することが安全な経営といえる。これにより、京セラは自己資本比率を高くすることができている。

4.勘定あって銭足らず
 
 現在、「キャッシュフロー」は、会計学でも非常に重視されるようになっている。
 

第二章 一対一の対応を貫く

1.モノ・お金の動きと伝票の対応は

 経営活動において、モノまたはお金と伝票が、一対一の対応を保つことを「一対一の原則」という。この原則が守られないと、経営者が数字のつじつま合わせに走り、少しでも業績をよく見せようとする可能性がある。だから、この原則を守ることは数字に信頼性を与えるということになる。

2.アメリカでの経験

 一対一の原則を守らねば、売上と仕入が対応しない場合があり、月次決算書で利益の振り幅が不自然に大きくなる可能性がある。そうなると、誤った経営判断を招きかねない。

3.米国現地法人の会計監査

 一対一の原則を守れば、現預金の管理に誤りがなく、実際有高と帳簿が食い違うことはほとんどない。

4.売掛金・買掛金の消し込み

 一対一の原則はモノだけではなく、売掛金や買掛金にも適用しなければならない。何月何日発生した売掛金の入金が完了し、何月何日に発表した買掛金を支払ったなど、売掛金や買掛金をグロスで処理するのではなく、必ず具体的な日付で管理しなくてはならない。

5.「一対一の対応」とモラル

 「一対一の対応」は企業の中であらゆる瞬間に成立している必要がある。これは健全な経営を守るために不可欠なのである。


第三章 筋肉質の経営に徹する

1.中古品で我慢する

 経営は虚栄心を出さず、身の丈にあうようにしなければならない。例えば、製造設備でも、すぐに新品を購入するよりもまず中古品を検討するべきである。必ずしも、生産能率が経営効率の向上につながるわけではないからである。新品の製造設備により生産能率が向上しても、値段が高過ぎれば資金繰りが悪化する可能性がある。

2.健全会計に徹する

 不良資産は捨てるべきである。受注生産では、売れ残った製品はもう売れない可能性がある。その場合、多くの経営者は会社の実績をよく見せようと資産として残しておく。ただ、こうすると不必要な税金を払うことになる。これが経営状況を悪化させる。

3.「固定費」の増加を警戒する

 設備投資などにより固定費を増やすと、利益率の低下につながる。だから、変動費だけでなく、固定費も出来るだけ減らすべきである。ただ、不用意に固定費を減らすと従業員の労働意欲向上の妨げになる可能性もある。そのため、従業員の理解を十分に得る必要がある。

4.投機は行わない

 稲盛和夫は投機的利益を狙うことはない。彼にとって利益とは、自らの額に汗して働いて利益を得るために、必要な資金を投下することであるからだ。そして、企業の使命は、自由で創意に富んだ活動によって新たな価値を生み出し、人類社会の進歩発展に貢献することである。このような考え方を持つ彼にとって、投機的利益は浮利であり、真の利益とは言えないのである。

5.予算制度は合理的か

 京セラでは、必要な分だけ仕入れ、余分な分は仕入れない。たとえ、まとめて買えば安くなる場合でも必要な分しか買わない。つまり、意図的に在庫を残すことはない。これは、人は必要な分しかなければそれをより大切に扱おうとするからである。また、余分なものがないから、倉庫がいらず在庫管理コストが不要になる。これらのコストを考慮すれば、この方がはるかに経済的である。これを「一升買いの原則」と呼ぶ。


第四章 完璧主義を貫く

1.マクロとミクロ

 経営者は完璧な決断が求められる。決断を間違えれば、従業員やその家族、株主、顧客などにも影響が及ぶ。そのため、経営者は会社のことをマクロの視点とミクロ視点を持って理解しなければならない。

2.100%達成でなければ

 経営者でも従業員でも完璧主義を守ろうとする姿勢が必要である。その姿勢がミスを減らすのである。99%を目指すのであれば1%のミスが出る。そして、その緩みは徐々に大きくなり、90%、80%となっていく。これが社内の規律に悪影響を及ぼす。だから、常に完璧主義を守る必要がある。

3.厳しいチェックでパーフェクトをめざす

 普段から完璧主義を貫いていれば、月次決算書の数字を見れば、違和感に気づくようになる。このような場合、経理部長のチェックが甘かったりする。逆に経理部長がちゃんと目を通しておけば、違和感を感じない。つまり、資料を作る側もそれをチェックする側も両者が完璧主義を貫かねばならない。


第五章 ダブルチェックによって会社と人を守る

1.人に罪をつくらせない
 
 「ダブルチェック」は会社のためにも社員のためにも必要である。少しの気の迷いで資産の流用を犯せば、それだけで信用を失い、経営自体が出来なくなる。だから、「ダブルチェック」を行うことで、不正ができないようにする必要がある。それが、業務の信頼性、会社経営の健全性に繋がる。

2.ダブルチェックシステムの具体的なあり方

 ダブルチェックの管理方法には次のようなものがある。
 入出金の管理においては、お金を出し入れする人と、入出金伝票を起こす人を必ず分ける。
 現金の管理は、現金担当者以外のものが現金残高と伝票とをチェックする。
 他にもあるが、これら全てに共通することは必ず、1人で管理しないことである。そして、経営者自らが現場に出向き、時々チェックする必要がある。そうすることよって、社内にダブルチェックの意識が定着していくのである。

第六章 採算の向上を支える

1.時間当り採算制度とは

 京セラでは「時間当たり採算制度」を採用している。これは、単位時間当たりの付加価値(差し引き売上÷総時間)を計算し、これを付加価値生産性を高めていくための指標とするものである。そして、アメーバ経営である京セラでは各アメーバで「時間当たり採算表」を作成し、各アメーバ間の取引も記載することで、アメーバ間で支え合い1つの会社を経営しているという一体感を生む。

2.付加価値を追求するアメーバ経営

 多くの大企業では標準原価計算を採用している。ただ、標準原価計算による原価管理システムにおいては、原価に主眼が置かれる。一方、京セラでは標準原価計算による原価管理は行わない。アメーバが生み出す付加価値に焦点をあて、最小の経費で最大の売上をもたらすような付加価値を創造する。

3.時間当たり採算と会計との関連

 もちろん、アメーバでも「一対一の対応」がなされている。アメーバで発生した収益・費用はそれぞれの業績となる。そのため、どのアメーバで発生したかが明確になるようなシステムを構築し、管理者に責任を持たせている。間接費はアメーバ間で納得のいく配布方法で負担し、経費削減の意識づけを行なっている。このようにアメーバのモラルや活力を維持し、会社全体の業績向上につなげている。

4.管理会計報告としてよ時間当たり採算制度
 
 アメーバの得た利益は月次決算書に反映される。そのため、月次決算書から利益のうちアメーバが貢献した部分を読みとることができる。こうすることで、アメーバのメンバー全員が現在の自己の姿を数字で把握し、今後の目標達成に必要な行動を理解することができる。

5.売価還元原価法による経営

 京セラでは、棚卸資産の評価に「売価還元原価法」を採用している。「値決めは経営である」という考え方に馴染むからである。売価に対して、顧客が満足するような製品を最小の経費で作る努力をしている。そのため、売価も原価も固定したものではありえないとら考えている。これが「売価還元原価法」の採用につながる。

6.アメーバ経営と売価還元法における原価の考え方

 アメーバ経営では、原価がずっと同じことはありえないと考え、常にあらゆる工夫をしてコストダウンをするようにしている。

7.時間当たり採算制度は魂を入れないと生きない

 会社が成長するには、経営者の誠意を従業員に理解してもらわなければならない。そのために、経営者自身が現場に赴き、従業員に を直接の鼓舞する必要がある。また、自身の思いを直接伝える必要もある。利益が出るのは、経営を支える制度が優れているからではなく、従業員が頑張っているからなのである。


第七章 透明な経営を行う

1.公明正大な経理

 実態通りの会計処理が行われ、真実かつ公正な情報が提供されるためには、経理部門が清廉潔白であり、かつフェアであることが重要である。そして、不正が行われないような雰囲気を作り、社内でも一目置かれる存在になる必要がある。

2.社内に対するコミュニケーション

 経営は常に透明なものでなければならない。そのためには、経営者自身が考える会社の目標や経営方針を従業員全員に伝える必要がある。そして、社内全体が同じ目標、方向を向き、力を結集することが大事なのである。

3.フェアなディスクロージャー

 透明な経営を行うには、社内だけでなく社外に対する情報提供においても公正でなければならない。投資家に対して、自社が健全な会社であることをアピールし、より多くの投資家に投資をしてもらうことは重要である。そのためには、どんな状況でも真実な情報を提供することを心がける必要がある。これが結果として投資家の企業に対する信頼につながる。

4.経営のモラルとあり方

 多くの企業で不正が起こるのは、不正に対する厳しい社風が乱れているからである。不正をあえて問題にしなかったり、不正を指摘することが裏切りだという雰囲気が作られていたりする。不正をなくすためには、正義や公正な行動を尊重する社風をつくりあげ、その上でシンプルな原則が守られる会計システムを構築する必要がある。

5.公正さを保証するための一対一対応の原則

 不正は「一対一対応の原則」による管理を確実にすれば未然に防ぐことができる。曖昧な処理や、不正な処理は全て排除されるからである。

[感想]
 経営と会計についてある程度の知識がある人が読めば、稲盛和夫さんの考え方が理解できると思います。京セラの経営方法について書かれている部分も多々あり、今や大企業である京セラの成長の仕方を一部知れた感じがします。「常識」にとらわれない稲盛さんの考え方が好感が持てました。特に法定耐用年数を使用せず、個別資産に対応した耐用年数を使用するという点に魅了されました。周りの行為を鵜呑みにせず、本質を追求し続けることが稲盛和夫さんの経営に対する姿勢を現してると思います。
 是非、多くの経営者さんに読んでいただきたいです。


 


 

 

 

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Posted by ブクログ 2020年09月27日

「会計」を会社経営の中でどのように活かしていくのかをテーマにした本書。

まずは会計上の常識に囚われすぎず、物事を本質から考える癖を身に付けること。
本当に必要な数字を導き出し、リアルタイムで経営状況を把握していくことの大切さを実感させられました。(特に償却費と在庫管理の話は強く印象に残っています)...続きを読む

会計は過去の結果をまとめるためだけでなく、儲けるための武器の一種になりうると感じた。

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Posted by ブクログ 2023年12月26日

実務視点での会計が理解できる
稲盛さんが考える会計が語られており、経営における会計の扱い方を学べる

売上を抑えても、正しい計上をすることの大切さを感じた
外部の人へ見た目だけ良くすることは結果的に自分の首を絞める

稲盛さんの著書の「生き方」にも通じる経営者の在り方を学べた

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Posted by ブクログ 2021年08月08日

経営のための会計について解説している。
「完璧主義の原則」は、昨今仕事がおおざっぱになってきた自分にとって戒めとなった。
「値決めは経営」は、まさに現在値決めに苦慮している自分には響く言葉であった。
最後にある経営問答は、実際に中小企業を経営されている方と稲盛氏の問答が書かれており、読んでいて緊張感...続きを読むが伝わってくるようであった。その中でも目標はどうあるべきかという問答はまさにその通りだと思った。ただし、すべての経営層がこうとは限らないので、次世代のリーダーが代わりとなって導いていくことが求められるのだろうと考えた。

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Posted by ブクログ 2023年07月16日

会計観点で経営について述べている本

稲森さんの本なので自身の会社の制度はここから来ているのかと学びになったが、
会計は馴染みがあまりなく、しっくりはこなかった。

概要としては、売上を最大に経費を最小に。そしてガラス張りの経営として開示できる情報はオープンにすべしという内容であった。

自身が経営...続きを読む者でもないので、
会計の重要性はしっくりこなかったが、経営者目線では企業の会計に対する意識が営業利益を生み出すことはなんとなく理解出来た

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Posted by ブクログ 2022年01月15日

22年も前の書籍だけど、全く古さを感じない素晴らしい本だと思います。稲盛さんのように「人間として何が正しいか」という原理原則を持って生きたいものです。

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Posted by ブクログ 2021年08月24日

一対一対応の原則、筋肉質経営の原則、完璧主義の原則と会計の基本がわかる良著、15年前によみたかったかな?

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Posted by ブクログ 2020年08月31日

20年以上前に出版された本だが、現代に通じる経営の哲学が述べられている。
経営者として会計の本質を追究し、自らの会計学を確立したのには驚きを隠せない。
一貫しているのは、「人間として何が正しいか」という原理原則にもとづいて、会社経営を行っていること。
既成概念に捉われず本質を追究する姿勢や、トップこ...続きを読むそ常に挑戦する姿勢を持ち従業員の意志に変えるという経営哲学には、経営者でなくとも学ぶところが多かった。
第2部の経営問答は、経営者の課題に対して具体的にどう実践すべきかがよく分かり、経営やコンサルティングに従事する者にとって大変参考になる。
経営や会計において判断に悩む人には、一読をすすめたい。

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