【感想・ネタバレ】ヨーロッパ型資本主義 アメリカ市場原理主義との決別のレビュー

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Posted by ブクログ

米国の市場万能・自由主義的資本主義への批判と欧州の福祉国家型資本主義の賛美が本書の主な主張ですが、EU経済史として非常に良くまとまっておりますし、英、仏、独の実情についてもコンパクトながら触れられています。本書を読んで、近時の米国におけるSarbane-Oxley法の制定なども含め、経済活動のプレーヤーにどのようなルールを守らせるか、そして資本主義のタイプを規定するルール作りがどうあるべきか、を考えさせられました。
出版のタイミングが9・11のすぐ後だったこともあって、中東情勢について陳腐化した記述もあり、日本経済への言及も若干中途半端な感もありますが、EU経済の入門書の最初の一冊としてお奨めします。

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2011年11月15日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
弱肉強食の米国流よ、さらば!
これが、市場の暴走を許さず、福祉を重視する西欧スタイルだ。

[ 目次 ]
序章 テロ事件と市場原理主義
第1章 強まるヨーロッパの対米批判(基本的な社会観 経済政策と制度のあり方 ほか)
第2章 福祉を重視する経済大国づくりの戦略(「社会的な」ヨーロッパづくり宣言 モネ構想からローマ条約へ ほか)
第3章 自己変革に取り組むイギリス(没落の五要因 没落の実例 ほか)
第4章 今後の米欧対立と日本(テロ事件後の米欧関係の変容 テロ事件以降の経済安定志向 ほか)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年11月20日

Posted by ブクログ

1月?
本書は、アメリカ型資本主義(市場原理主義)とヨーロッパ型資本主義を軸に話を進めていく。ここで言う、ヨーロッパ型資本主義とは、「落ち着きとゆとりのある社会を作り、貧富の格差をそう大きくせず、治安のよい状態を維持していこうという」考え方である。もちろん、ヨーロッパの資本主義も一様ではなく、「アルペン・ライン型」、「アングロサクソン型」「合成型」などがある。その代表例として、本書ではドイツ、フランス、イギリスを例示し、詳解している。中でも、英米型資本主義とヨーロッパ型資本主義でゆれるイギリスに関する記述は興味深かった。また、EUが形成されていく過程に、モネ氏とドロール氏を中心に据えた解説はわかりやすかった。EUを理解する助けになった。
そして、筆者の指摘の通り、「市場原理の範囲を無制限に拡大するのではなく、いかにそれを制限しながら、利口に活用していくか」という点でのヨーロッパの理解というのは日本、アメリカの先を行っているように感じた。つまり、市場に対するヨーロッパの思想というは、「?市場原理を社会のあらゆる領域へ無制限に拡大していくと、社会不安は増大し、治安の維持に巨大な費用を支払わなければいけなくなる。」「?市場は非市場を利用することによってのみ機能するものなので、市場を活用するためにも、非市場制度を注意深く守り、育成していくことが必要なのである。」などである。そして、ヨーロッパの人々は、アメリカとは異なる社会モデルを守り抜くために欧州連合を推進しているのだという。
私自身の問題意識に基づいて読んだ本であった。本書の中で、「個人と社会のバランス」や「市場は我々が望む目標を達成するための手段であって、市場それ自身が目標ではないのである」など、多くの考えるきっかけをもらえた様に感じる。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ヨーロッパの資本主義と市場原理主義に基づくアメリカ型資本主義の違いを述べた一冊。著者は、落着きとゆとりのある社会をつくり、貧富の格差をそう大きくせず、治安の良い状態を維持していこうという考えが、ヨーロッパ資本主義の考え方であるという。それは、30年戦争や、第一次・二次世界大戦など、大きな動乱を経験したヨーロッパだからこそ、生みだされたものなのだと思う。著者が言うように、日本はアメリカばかりを見るのではなく、ヨーロッパに目を向け、ヨーロッパの資本主義に対する考え方にも目を向け、日本流の資本主義作りを計るべきだ。

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2009年10月31日

Posted by ブクログ

EUの経済についてわかりやすく書かれてある基本的な一冊。ドイツ、フランス、イギリスの個別分析の記述が興味深い。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

資本主義下の現代社会において、どれだけ効率的な生産体系、市場機構を作り出せるか、どれだけ他国とのGDP競争に差をつけることができるか。これらは、非常に重要な関心事であり、国家の活動目的も、この点にのみ存在する。このような認識は、本書で著者が述べているように、日本的な資本主義社会の一つの特徴かもしれない。

しかし、EU各国が展開させている国家活動は、決してGDPのためではなく、国民そのもののためにある。この点を、著者は、市場の限界を理解し、国内の経済活動に対し、必要なところに規制を創り、足りないところに歳出を繰り出す、というようにまとめている。

もちろん、EU各国が何らの問題も抱えずに上手く統治業務を行えているわけではない。しかし、事が実際に機能しているかどうかよりも、国家のあり方そのものを捉え直し、行政のやるべきことは何かを考えていく上では、EU各国の動向から学べるものは多いように思う。

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2014年08月28日

Posted by ブクログ

アメリカが嫌いなんだなというのが、よく伝わった。EUの上院が本当に機能すれば、世界の主役は戻ってくるであろう。本書で触れられているように加盟国それぞれに拒否権があること、ドイツ以外は経済システムが破たんしていること。本書出版以降にギリシャやスペインの経済が破たんしたこと。等を鑑みると、大分、幻想的なシステムだと感じた。ましてやアメリカ合理主義との差別化を強引に図っているような、抽象的な倫理観を重視するシステムでは、まず機能することはないであろう。衰退の一方たどるEU各国の中でドイツだけが日本人とも似た気質で発展を続けていることに感銘を受けた。世界大戦でベッコベッコにされた国が世界で発展を続ける。国の情勢の変動幅が大きいほうが、その反動で大きく飛躍するのであろうか。
それとも、各国の国民性のポテンシャルなのか。システムうんぬんよりも、それぞれの文化にマッチしたシステムに巡り合えた国が発展するのではなかろうか。アメリカが世界一なのは合理主義を採用したからではなく、合理的なシステムが国民性にマッチしているからなのではなかろうか。
どっちにしても、もっとヨーロッパの歴史や文化を学びたいと強く思った。

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2013年09月11日

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