【感想・ネタバレ】ジャズの名盤入門のレビュー

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Posted by ブクログ

「ジャズの名盤入門」中山康樹さん。講談社現代新書。

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この手の本は一時期、熱にうなされたかのようにいくつもいくつも読みまして。
その時期が終わるとケロリと遠ざかっています。

特段深い理由も大きな期待もなく、なんとなくの楽しみで買って、ほぼほぼ一気読み。

名盤50枚に絞り、一応パーカーからウィンストンまでを網羅しています。あれもこれもと欲張らない構成で、所謂初心者向きの「the名盤」についての色々よもやま話。かつての「モダンジャズ及びジャズ喫茶黄金時代」の世代特有の、一種大上段、教養主義みたいなものは当然ありますが、かなり抑制されているほうです。

「まあ大体は聴いてるし、エピソードも知ってるしな」などと内心偉そうに読み始めたのですが、読むうちに「あー、B面(かつてはB面だった曲たち)はちゃんと聴いてないかもなあ」「そんな話は知らなかったなあ」など、楽しめてしまいました。さすが、音楽について書くプロ、ですねぇ。
パーカーのマッセイホール、ちゃんと聴いてみようかなあ。ミンガスとかクリフォード、良いアンプで大音量で聴きたいなあ。MJQは食わず嫌いであまり聴いてないなあ。「カインド・オブ・ブルー」のB面を聴いてみよう。オーネットのゴールデンサークル、そうそう素晴らしいよなぁ。アイラーも良いなあ。トニー・ウィリアムス時代のグレイトジャズトリオは良かったよなあ。となるとナベサダの「I'm old fashoned」をまた聴きたい。「マルサリスの肖像」も、聴き直さね…。

などなどと鼻唄のような軽やかな一冊でした。

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へええ!と思ったのは、「a day in life 」。ギターの名手、ウェス・モンゴメリーのアルバム。

これ、ビートルズの「サージェントペッパー」の、発売ほぼ直後に録音されたものなんですって。にも関わらず、「サージェントペッパー」に収録されている「a day in life」をカバーしてるんですね。
(おそらくは業界ルートで数週間は早く聴いたんだろうなあ、と中山さんは推測されていますが)

そして、びっくりしたのは、このジャズアレンジ版の「a day in life」を、ポールが痛くお気に召したんですって。そして、このジャズアルバムを作ったプロデューサーに、「どうぞお好きなように」って渡したのが「レット・イット・ビー」。このとき、まだ「レット・イット・ビー」は未発表曲だったんです。
で、このプロデューサーが、お抱えのジャズフルート奏者のアルバムに、カバーさせてアルバムに収録して発売したそうなんです。それがなんと、ビートルズが「レット・イット・ビー」をシングルとして発表する2ヶ月前!つまり、「レット・イット・ビー」が初めて商品として世に出たのは、ジャズアレンジ版が最初だったんだそうです。

太っ腹だなあ…ポール…。

まあ、それだけ、音楽的な達成度はともかくとして、マーケットとしてはジャズ音楽がものすごい勢いで縮小していた、ってことなのかもしれませんね…。ビートルズのせいで(笑)。

中山さんは、ロック音楽、特にビートルズについてはやっぱり本も出しているくらい詳しい方らしいので、これまたさすが、でした。

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2017年08月07日

Posted by ブクログ

筆者の考えるJazzの名盤を50枚紹介した作品。

読んだ感じは筆者は本当にJazz好きで、
1枚ずつ聞き込んだ上でレビューしていると感じました。
作品の歴史的背景やメンバの状況なども触れており、
すでに作品を知っている人でも、なるほどと思える情報が含まれています。

1枚の作品を4ページでまとめているので、非常に見やすい形にもなっています。

個人的もその通りと思う名盤が紹介されており、
Jazzに触れてみたい人はこの中から聞いてみるのは良いかと思います。

作品に含まれる1曲だけで名盤になる、というコメントがあるのですが、
まさにその通りと感じました。

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2016年10月22日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
スリリングな怒濤のライヴからリリカルなピアノトリオまで今なお刺激的な必聴盤50枚を厳選。
ジャズの真髄がわかる最上の入門書。

[ 目次 ]
1 新しいメディアが生んだ「名盤の時代」(ジャズ・アット・マッセイ・ホール/チャーリー・パーカー―パーカーもガレスピーもパウエルも「この一枚から
バードランドの夜Vol.1/アート・ブレイキー―クライマックスが連続する熱狂的ライヴ盤 ヘレン・メリル・ウイズ・クリフォード・ブラウン―若きクインシー・ジョーンズがメリルの才能を際立たせた「平仮名ジャズ」 ほか)
2 60年代に頂点を迎えた「レコード芸術としてのジャズ」(アウト・オブ・ザ・クール/ギル・エヴァンス―一聴すれば「ギルは難解」の先入観が吹っ飛ぶかっこよさ
フリー・ジャズ/オーネット・コールマン―楽しむためには、いささかの知識が必要な「要注意盤」 ドゥーイン・ザ・シング/ホレス・シルヴァー―シルヴァーの鳴り止まないピアノが生み出す強力なグルーヴ ほか)
3 フュージョンの時代を経て一巡したジャズの歴史(ラスト・レコーディング/アルバート・アイラー―ロック・ファンをも魅了したカリスマ・サックス奏者の遺作
リターン・トゥー・フォーエヴァー/チック・コリア―空前のベストセラーを生んだ「B面」の圧倒的なメドレー ダーク・ビューティ/ケニー・ドリュー―ピアノ・トリオの醍醐味を堪能する ほか)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年10月09日

Posted by ブクログ

ジャズはオシャレ、ジャズ好きは渋いといったイメージがある。
そのため、という訳でもないが、なぜかとっつきにくいイメージがあった。そこで今回、
ジャズのシーンではどのような楽曲が名盤として聴かれているのか全くの初心者にも分かりやすく解説した本だと思ったので軽く読んでみた。
 結論としては、まぁまぁ面白く読めたが、十分ではなかった。良かったのは、名盤がジャズのはしりから年代順に掲載されており、時系列でジャズの変遷をざっくりと俯瞰できたこと。そして各演奏家は原則として一人一枚しか取り上げず(二枚取り上げるものもあった)、そのため様々なアーティスト・名演を知ることができたことである。
 しかし、あまり良くなかった点として、結局マイルズ至上主義のような結論が多かったことがある。確かにその通りなのかもしれないが、それならばジャズ初心者ならこの本を読まずともマイルズに最初に到達するはずであり、取り立てて入門書で絶賛しなくても良いのではと思ってしまった。
 むしろ音楽評論をするような人でもマイルズが一番なんだと再確認することもある程度はあるかもしれないが。

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2011年03月18日

Posted by ブクログ

ジャズ・バーに行く前にこれを読んで勉強しましょう。
そして興味を持ったものを借りるなり、購入してみましょう。

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2009年10月04日

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