【感想・ネタバレ】場末の文体論のレビュー

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Posted by ブクログ

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Web連載(日経ビジネスオンライン)で全部読んだはずの記事であったけれども、このセレクトでこの順番に並べて書籍化すると、なぜか筋の通った一つの自然な本になっている。

単発の繋がりのないコラムでありながら、底に「文体」の筋が通っているからであろうか?

日付が古い文章を読んでも、当時を思い出すことはあっても、文章が陳腐になっておらず昔話を、とならない不思議。

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2013年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルから前著「小田嶋隆のコラム道」のような文章論の中身をイメージしていたが、そうではなく王道のコラム、あるいはエッセイといった内容だった。
「~コラム道」を読んだ直後の感想では「原稿をかけない言い訳をこねくり回して字数稼ぎすぎ。ラジオのほうが面白いね。」なんて言っていたのだが、本作では読むものを飽きさせない見事なコラム展開を見せてくれて、改めて「いやいや先日は失礼しました」と思うのであった。

談志のくだりやソニーの話なんかは内容的にグッとくるものもあったし、多用される会話文あるいはネットでの書き込みを模した本文に対するコメントには技巧的にも「上手いなー」と感服するばかりである。
でも巻末の津田大介との対談は、逆に中身がなさすぎてビックリ。狙ったのかそうでないのか、地元のヤンキー話だった。そーゆーコーナーだったのか、正直、なんの脈絡もないつけたしのおまけコーナーのようなポジションでその部分だけ妙に浮いていた。

装丁はクラフト・エヴィング商會。シンプルでありつつも個性があって結構素敵で、小田嶋氏も巻末やラジオで褒めていた。

以下、印象深い内容についてのまとめ
・談志の死と亡くなった友人の話を絡めて(P32)
[引用]Yの話は一方的で、要領を得ず、長かった。その、うっかりすると二時間近く続く自分語りを聞くのが億劫で、私は道を避けたわけだ。私以外に、同世代で懐かしい話のできる人間を持っていなかった彼に対して、あの仕打ちはなかったと思う。

男の子が100人いれば、そのうち2人か3人は、どうやっても社会にうまく適応することができない。それは、システムとか、心構えとか、教育の問題ではない。言わば、社会的な歩留まりの問題で道しようもない話だ。

・ソニーと君が代と愛国心の話(P38)
[引用]われわれの愛国心は、自国の自然、文化あるいは生産物に対して尊崇の念を抱くという、至極まっとうな道筋を通じて獲得されるものだ。ということは、身の回りの自然を守り、優秀な製品を生産するべく努めていれば、愛国心は誰が強要するまでもなく、ごく自然に、国民一人一人の精神のうちに醸成されていくはずのものなのである。
私のケースで言えば、ソニーは、いつでも私の愛国心を支える重要な柱だった。

領土や軍隊が愛国心を鼓舞していたのは19世紀までのことだ。20世紀以降の愛国心は、ブランドが作っている。

・男のオタク心の話(P52)
(アグネス・ラムの写真集を買った面々とウルトラQのDVDボックスを予約購入した面々が被っていることについて)
過去を買い戻せると思っている男を改心させることは誰にもできない。
業界の人間がおっさん層に狙いをつけている理由の一つは、中高年が金を持っているからなのだろうが、より本質的には若い世代がそうしたもの(つまりコンテンツ)に金を使わなくなったからだろう。
若い世代はネットで検索に引っかかった解像度の低いデータで満足している。そんな程度の低い無料データで知的好奇心を黙らせるのは、文化的な退廃ではないか?と、おっさん連中は寄るとさわるとそんな話をしているが、かと言っておっさん世代が自分達の半生を投じて収集したブツが、果たして「文化」なのかと正面切って問われると、実は自信が持てない。
もしかしてオレらは、集めたブツの量を競っていただけで、その心理はもっと幼かった時代に、メンコやベーゴマの数を誇っていた気持ちと同じではなかろうか。

思うに、コンテンツは、デジタルに化けた瞬間にコレクターズアイテムであることをやめる。

・デモの話から(P99)
[引用]その時のオレは、何も知らなかったとかなんとか、あとで笑うことになるかもしれないが、そこはそれだ。何も知らなかった時に考えていたことは、それはそれで価値を持っている。というよりも、もしかしたら、われわれの判断は、経験に毒される前の方が、純粋であるのかもしれない。

・朝日と橋下市長の記事の話から(P145)
[引用]文章において、書き手の真意は、どんなに技巧的に書いても、最終的には必ず読者に伝わることになっている。…書き手が、ニセモノの感情を描いたり、ウソの理屈を並べたところで、読者は、必ずやそれを見破るということだ。好き嫌いは、特に隠せない。

・総選挙の話から(P171)
[引用]新聞もいつの頃からか、選挙となると「有権者の厳粛な審判が」という常套句を使って、選挙民をおだてあげ、政治家を下に見る設定の記事を配信するようになっている。
それが一概にいけないというのではない。
が、叩いた犬は叩かれたようにしか育たない。

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2013年05月18日

Posted by ブクログ

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オダジマはいかにしてオダジマになったのか? 激論を巻き起こした数々の名コラムを生み出した「文章の職人」の秘密に迫るエッセイ。津田大介との対談も収録。『日経ビジネスオンライン』連載を単行本化。

まぁ,だらだらと読みました。

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2016年11月27日

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