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税金をどう合法的に回避するのか?
と考えるのは、個人であれ、企業であれ、必然である。
あまりにも、納めた税が、不具合な使われ方をしているからである。
企業のグローバル化のなかで、「税回避」は、
複雑で多様化し、小さな国や特殊な国などは、その優遇によって
税をかすめ取ろうとすることは、ありうることだ。
アメリカでは、州によって税金が違うというのも、面白いなぁ。
著者 志賀櫻氏は、税金の法制的な立場や税金のコントロールする立場に
身を置いたこともあり、何を問題にしているのかがよくわかっていい。
ここまで、書いていいのかという感じでもある。
所得税が、1億円がピークで、それより超えていくと減っていくという
富裕層の優遇制度があるのに、驚いた。累進課税と思っていたので。
タックスヘイブンの特徴
①まともな税制がない。
②固い秘密保持法制がある。
③金融規制やその他の法規制が欠如している。
それに対して、タックスヘイブンを利用するのは
①高額所得者や大企業による脱税・租税回避。
②マネーロンダリング、テロ資金への関与。
③巨額投機マネーによる政界経済の大規模な破壊。
本来納付すべき税金と実際に納付されている税金との差額をタックスギャップという。
アメリカでは、算出されているが、日本では算出されていない。
タックスヘイブンに逃れることについて、警鐘を鳴らし、
「税は文明の対価である」という言葉に、税の意味を集約させていく。
しかし、文明はそんなに成熟していないのである。
大きな企業ほど、税回避の方法論を徹底して研究し、実行している。
グローバル化すればするほど、その傾向が増長する。
この本は、よく 解明してあって、面白かった。
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タックス・ヘイブンのあまりの酷さに愕然。米国,英国の独り善がりにも驚いた。
グリードな人々とマネーによって世の中がとんでもない状態にされているが,なんともならないんだ。
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大蔵省=財務省で主税局主計官、東京税関長を務め、財務省退官後は政府税調メンバーとして国際税制の世界に関わるかたわら、弁護士として企業の国際会計を支え来た人物の著書。筆者は官僚として大蔵省・財務省として在籍した期間のほとんどを、国際税制の世界で過ごしてきた。彼が紹介する世界は、あの手この手を使って節税を逃れようとする資本家及びグローバル企業と、それを阻止しようとする税務当局の暗闘である。しかも資本家・グローバル企業サイドには、本来なら脱税を取り締まる側にあるべき徴税機関が、資本家サイドに与しているという、驚愕の事実が明らかにされる。タイトルにある「タックス・ヘイブン」の起源は、もともと王族の資産を管理するためのものであり、その秘密を守るためには、諜報機関がしゃしゃり出るのは日常茶飯事なのだ。そのため筆者は、相手の理不尽な言い分に煮え湯を飲まされることを何度も経験してきた。彼の筆致からは、そのことについての憤りがひしひしとかじられる。だがそれ以上に無念なのは、筆者が昨年末に病のために昇天したことである。「パナマ文書」が国際ジャーナリスト集団によって暴露されたが、日本ではいつの間にか話題にすら上らなくなった。筆者が生きていたら、この事態をどう解説したのだろうかと思うと、無念でならない。
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悪知恵をフル活用して、法の網をかいくぐり、徴税吏から逃げおおせた富裕層やグローバル企業は、虎の子のマネーを悪用し更なる自己拡大を計る。その過程で発生する財政危機や金融危機のリスクを、自分達以外の人々に被せながら。
恰も台風の如く、国境など関係無しに方々を荒らして回る連中に、我々はどう立ち向かえば良いのだろうか。
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タックスヘイブン……名前は聞いたことありましたがいまいちどういう存在かわからないので本書を手に取りました。
そこで、タックスヘイブンに関連する金融機関をとおすことで税金逃れのようなことが横行している実態をはじめて知りました。しかも先進国が表では国際協力とか言って、規制の方向でまとまっている状況がある一方、英国や米国は自分のお抱えのタックスヘイブンを持っているという非常に姑息とも言える一面があります。
先日、今話題の経済学者ピケティの解説本を読みましたが、結論の一つとして税金の累進性を高めることで高所得者から低所得者に再分配し格差を小さくするとありました。しかし、これは課税すればきちんと税金が集まるという前提からの話で、タックスヘイブン等の抜け道がある限り累進性を高めたところで結局は所得の低いものが犠牲になってしまいます。
筆者は何度も言っていますが、経済は国境を越えてグローバルになっている反面、国を超えて取り締まるのは非常に難しいものがあるそうです。税金は公平に徴収するのが基本で制度を逆手に取った取引で儲けを増やすということは心情的に許せませんのでなんとかこの問題が解決されることを願っています。
あと、余談ですが筆者の経験値がハンパないです(笑)日本代表として交渉したり、あるところでは銃撃されたり……。
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筆者は東大法学部で司法試験に合格して卒業し、大蔵省に入省。その後、国際機関を含む数々の要職を経由した、絵に描いたようなエリートだ。
本書はタックス・ヘイブンを含む脱税やマネーロンダリングといった資金関係の問題の入門書としてだけでなく、筆者の経験をノンフィクション・ストーリーとして観賞する意味でも面白い。特に中盤。
ところどころ説明が不親切に感じられる部分もあったが、それでも今まで自分の辞書と全く接点を持たなかった領域からの視座を与えてくれたという意味では、☆5に相応しい。
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これは啓蒙書だな、と。
タックスヘイブン、言葉と南国のイメージだけが先行していて、その有害さを知らずにいたけれど、これは金融を駄目にする癌なんだな…。
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タックスヘイブンにおいてどのような仕組みで租税回避ができるのか知りたくて本書を手
にした。
ただ技術的な手法の公開を期待していた場合、本書はその期待に答えることができない。そ
れを教示することは、新書の読書層には想定していないのだろうし、安易な情報公開を控え
ることで模倣するものを事前に阻止することになるのも理由なのだろう。
本書を読んで良かったことは、租税回避地の定義を知ることができたことだ。
私は、タックスヘイブンとは低率な税負担を課している地域であるとしか考えなかったが、
むしろそれよりも情報の秘匿性の方が租税回避地において重要であるという。
確かに考えてみれば当たり前の話で、汚いお金の出先がどこにあるか簡単に追跡できれば、
租税回避地にお金を流すことの動機は無くなるだろう。情報秘匿性の重要性を改めて知る
ことができて良かった。
後、タックスヘイブンは欧米、特に米英、並びにその支配権に点在していることが、そのこ
とが示唆していることは大きいと感じた。
本書は十年ほど前に書かれた本である。バイデン政権がタックスヘイブンに対して対策を打
つと以前聞いたので現在の状況とは異なるだろうが、タックスヘイブンの制度を採用しよ
うと思ったら、税吏の権力との関係上アメリカ、イギリスのような覇権国家側の方が実現し
やすいのかなと思った。実際にアメリカの税務当局は国家を跨ぎ強権を発している。
金融市場を牛耳り、繁栄を謳歌しているこのような国家が、タックスヘイブンの制度を利用
したテロ組織との間での無益な争いに終始している状況を当該政府はどのように考えてい
るのだろうか。現在のウクライナ戦争における、中露と欧米諸国の覇権争いを巡って生じて
いる第三国との関係性の変化に何か重なる印象を受けた。
余談であるが著者は官僚出身で例に漏れず、各地での武勇伝が随所に散りばめられている。
これも愛嬌の一つであり啓蒙書の本領発揮というところか。
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富裕層の租税回避で一番負担が重いのは中間層である。
脱税、租税回避対策が今後重要な施策とすべきなのだろう。でも、選挙の争点にはあまりなっていないようだ。
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筆者は大蔵省出の徴収する側のスペシャリスト以下に脱税行為に編みをはるかの話は面白い。しかしながら所得を税として取られる側から見ればたまったもんじゃないですが、、まさしくグローバル世界の問題なんでしょうね。
Posted by ブクログ
日本の所得税制は、負担率が所得額1億を分水嶺として減少に転ずる「逆進性」を有している――。著者はこの税制のアンバランスの原因をタックスヘイブンに求め、これをプラットフォームの一部に組み込んだヘッジ・ファンドの暗躍は、破綻時の世界全体に与える影響が過大であるため規制すべきとする。著者の義憤は確かに良く理解できる。
だが、本書で提示されるようなタックス・ヘイブンの国際取引からの締め出しや金融機関への規制(プルデンシャル・レギュレーション)等の「対症療法」で本当に効果があるのかと疑問が湧く。これらの規制を強化してもまた別のtrickyな手口が考案されるだけではないか。こうしたヘッジファンドに資金を提供しているのは元を辿れば大規模QEを続ける日米欧の中央銀行であり、その背後にはこれに過度に依存する政府がいる。だとすれば課税当局の怒りの矛先は巡り巡って自分に向く、ということになりはしないか。著者にはこの辺の矛盾をもっと突っ込んで記述して欲しかった。しかしタックス・ヘイブンの維持を目論む一部の金融立国に対する舌鋒は鋭く、共感が持てた。
著者の稀有な経歴(とても一言で表せない)によるエピソードがリアルで面白い。
Posted by ブクログ
冒頭の、「日本の納税者の負担率は所得金が増えるにつれて低下していく」という驚きのデータの背景の核心部には、タックスヘイブンが大きく関わっていると筆者は述べている。
タックスヘイブンの大きな特徴は1.まともな税制が無い、2.固い秘密保持法がある、3.金融規制・その他の法規制が欠如しているということであり、この三つは高額所得者や大企業にとる脱税・租税回避、マネーロンダリングやテロ資金への関与、巨額投機による世界経済への悪影響という、重大な事態を引き起こしている。無論、問題はそれだけでなく、国の運営に必要な財政資金がきちんと負担されていないことで、公的サービスの整備と充実が出来なくなる、ひいては中間層・貧困層にしわ寄せが行くということにある。
金融危機を引き起こしている一因にヘッジファンドの存在がある。彼らの資源には、時にオフショア・センターを通じたものを利用してレバレッジを利かせており、危機感を感じた政府が対応しても税金をひどく浪費しただけで事態は変わらない、害悪が非常に大きい存在だと筆者は述べている。
正直、私は「他所の国の事だろう」と思っていたが、日本においても武富士事件(香港を舞台にした相続・贈与税の脱税事件)、フィルムリース事件(映画フィルムの償却期間を利用した所得税の脱税)、ハリポタ事件(スイス在住の翻訳者による「日本の非居住者であれば所得税の納税義務が無い」事を悪用した事件)、オウブンシャ・ホールディング事件((オランダに100%子会社を設立し法人税を免れようとした)、五菱会事件(ヤミ金で稼いだ50億円を隠匿していた)といった騒動が起きており、常に目を光らせておかなければいけないという危機感を感じた。
タックスヘイブンの真の問題はその存在そのものだけでなく、悪事によって不必要な金融危機が世界規模で繰り返し引き起こされていること、租税や金融取引に関する情報が何も出てこないという不透明性・閉鎖性にあるのだという。真面目に実直な生活をしている人が、極一部の連中によるマネーゲームで職を失い路頭に迷う、という事態は現実に起こってしまっている。本当に何とかしてもらいたい。
自分用キーワード
所得税制(累進課税) 政府税制調査会 デリバティブ プルーデンシャル・レギュレーション(金融機関がリスクをとり過ぎて破綻しないように規制をかけること) 「公法は水際で止まる(Public law stops at the water's edge)」 FATF(Financial Action Task Force:マネーロンダリングの問題に取り組んでいる。この内部にはエグモントグループという、特別なグループがある) ケイマン諸島、ブリティッシュ・バージン・アイランド、デラウェア州(有名なタックスヘイブン) MI6(タックスヘイブンとも繋がりがあると筆者はみている) シティ(ロンドン内にある一区画。タックスヘイブンと同様の機能を持っており、英国のGDPの20%以上を占めている) OECD租税委員会『有害な税の競争』 マーシャル・プラン(もともとOECDはこのプランの受け皿として設立された) マカオ(北朝鮮の秘密口座事件において使われた。なお、中国政府の猛反対によりリストから外されている) オフショア・センター(特別の優遇措置(規制の緩和など)を設けて外外取引を呼びこもうとするマーケット。多くの場合は外国人のみが利用を許され、国内の人間は利用できない(カジノと同じ理由)) 銀行秘密保護法(スイスの秘密口座で知られている。最近は圧力を受けるようになっている) ダッチ・サンドイッチ(さまざまな優遇税制を持つオランダを挟むことで節税が出来る) ループ・ホール(主に税に関する法律や条約の抜け穴) クレディ・スイス(著名なプライベートバンク。以前不祥事を起こした) タックスシェルター(節税のための商品) ジョン・ドウ・サモンズ(John Doe Summons:相手方の身元を特定しない召喚状のこと) UBS事件(2008,スイス) LGT事件(2006,リヒテンシュタイン) ジニ係数 シティズンシップ課税(居住性に着目せず、国籍ベースで所得課税をすること) FACTA(外国口座税務コンプライアンス法:アメリカの法。無視・契約しなければ30%の源泉徴収という非常に大きなペナルティを持つ) 痛税感(納税する時の負担感) 全世界所得課税方式 ポンジースキーム(アメリカにおけるねずみ講の名称の一つ) AIJ事件・オリンパス事件(共にタックスヘイブンが関わっている) CFC税制(日本における対タックスヘイブン法) 映画『トラフィック』(マネーロンダリングが描かれている) オルタナティブ投資 バンドワゴン効果 ボルカー・ルール AIFM(EUにおける指令の一つ) トービン税(投機マネーの国際間異動にブレーキをかけようとしたもの) マンデル=フレミング理論
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岩波新書で「タックス・ヘイブン」という本を読みました。なかなかおもしろかったですね。これまでにない本だと思います。マネーの亡者によって庶民が被害を被っていることに対し、私たちに何ができるのか。考えさせられました。
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タックス・ヘイブン、お金持ちや企業が税金をごまかすのに使う国、地域、という乱暴な認識しかなかったので、とりあえず買ってみた。
著者は、税金を取る側、後には税金逃れを取り締まる側の方。何事によらず第一線のプロ(だった)方のお話は興味深い。
(そちら側からの視点である、ということは差し引かなければいけないかもしれない。)
タックスヘイブンとは何か、どんなことが行われているか、どんなふうに取り締まろうとしているか、実例を上げながら解説されていてとても面白い。
岩波新書ということで堅いお話を覚悟したが、ものが犯罪、テロ関係だけにキナ臭くて、門外漢には興味深いエピソードが多い。諜報機関という単語が頻出するとは思ってもみなかった。(政府が表に出せないお金を動かすのにタックスヘイブンを使うから。右手のやっていることを左手が取り締まろうとしている。)
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タックス・ヘイブンとは何か。タックス・ヘイブンがどのように利用されているか。タックス・ヘイブンはなぜ害悪か。これらの点を解説してるのだが、専門用語が多く金融に明るくない自分には難しい…。
グローバル経済の危うさと国民国家の限界について考えさせられる。
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魑魅魍魎。税を逃れようとする資本家と、多分それでもいいと思っている多数の政治家、官僚。これは、「思想」の問題か?
資本主義も民主主義も「公平」なルールに基づいて運用されているという了解のもとにあるから、その結果としてある程度の不平等や自分の思いとは異なる主張や制度も受け入れざるを得ない、というのが現在社会の基本的な「了解」ごとなんだろう。しかし、「公平」なルールに基づいてないとしたら・・。
情報とヒト・モノ・カネの移動が国境を簡単に越えていくようになった現在、そしてそれはテクノロジーの発達とともに人間の本性としても不可逆的な動きであることはおそらく明らかで、だからすべての仕組み・制度がグローバルに対応することを始めないと、そこに「公平」はなくなってくる。「了解」ができないことになり、紛争の種が撒かれていく。もうすでに、種は発芽し、次第に大きくなっている。そんなことを考えさせられた本であった。
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【消費税にしよう!】
直接税で、税金のかかる国、かからない国が存在すれば、やはり税金のかからないところに、特に税金を多く払うお金持ちは逃れようとします。
直接税ではなく、お金持ちはそれなりにお金を使うので、消費税にすればかなりの税を徴収できるのではないでしょうか。また、その方が公平感があります。
税金を払いたくなければ消費しない!ナニ、経済が停滞する??
また、税金逃れではなく、マネーロンダリング防止のため、タックス・ヘイブンでも情報開示は必須です。
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タックスヘイブンについては、なんとなく「ケイマンのことでしょ。んで、そこをなんかうまく使って税金の支払いから逃れるんでしょ」ぐらいの認識であったが、果たしてその通りだった。
ただ、ケイマン以外にもタックスヘイブンは様々なところに存在していることがわかったと同時に、シティの連帯感やマネロンがどのように起こっているかもかいつまんでおり、内容が多岐に亘って面白かった。
ただ、筆者の半ば自慢話のようなものも混じっていて、ややぼやけている感じも否めない。もっと絞って書いてくれた方がありがたかったなと思う。
そしたらそんなに面白くはなかったかもしれないけれども。
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目次
1タックスヘイブンとは何か
2逃げる富裕層
3逃がす企業
4黒い資金の洗浄装置
5連続して襲来する金融危機
6対抗策の模索
タックスヘイブンとは、税という望ましくない負担から免れたいという人間の本質的な欲求から生じたもの
国家同士の税の取り合い
規制と抜け道の矛盾
ジニ係数、移転価格税制
所得税か消費税か、どちらを根幹に据えるか