感情タグBEST3
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禍福の法則。
明野さんの作品ですから、失礼ながら必ず良からぬ事があると疑っていましたが、壮大な物語に感動しました。
誰にでも一人ひとり抱えている悩みがある。
それでも、人と人との繋がりは幸せを呼ぶと信じたいものです。
俺もがんばらなきゃと思えた物語です。
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温かみのある作品で、それでもって現代社会の問題も提示している作品。
マンションを船に例えて、何か問題があれば個々でしかなかった住民が集まり、集まる事で舵はとれるがプライバシーは暴露してしまう。
プライバシー厳守がどんどん知られて…ドロドロしていくのかと思ったら住民たちがいい関係になっていく。
作者の心境の変化か温かみのある作品と何度も強調したくなるぐらい驚きの本。
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女性の持つ、女性特有のどくどくしい面を描くのが得意な作者、という印象だったので、この作品もあらすじを見て、ご近所付き合いから起こる女性同士のどろどろしたサスペンスかと思っていたのだが、良い意味で全然違っていて、驚いた。『汝の名』しか読んだことがないので、同じ人が書いたとは思えないくらいだ。
描かれる女性の心の動きや行動はとても自然でやはりさすがなのはもちろんなのだが、読後感がとても爽やかで、とても好きなテイストの本だった。暗いだけでも、明るいだけでもない、嫌になるほどリアルすぎるわけでも、うわべだけをさっと掬っただけでもなくて、登場人物たちの描き方のスタンスが好き。
この作者のこういったテイストの本、他にも読んでみたい。
この物語を読んで、少し、現代のご近所付き合いについて考えた。
こんな大きな事件が起こって団結しなければならなくなり、さらに図らずも住民の私生活が垣間見えてきたりして、幸運にも彼らは良い関係を築くことができた。しかしそれでも、作中にもあったように、事件を乗り越えてやってきたこのマンションの春も、数年で過ぎ去るのだろう。分譲とはいえ、マンションを去る人もいれば、入ってくる人もいる。大きな問題を経て上手くまとまっても、その関係性の寿命はそう長くない。そう思うと、なんだか少しやるせないなぁ。
『汝の名』でも、作者は、現代の核家族化や勤め先ありきの住生活等について触れていた。身内を頼ることのできないような経済システムの現代。現代のご近所付き合い問題も、同じところに原因があるように思える。
どうしてそうなってしまったんだろうな。引き込まれる物語の中に、少しそうやって何かについて考える契機をくれる。こういう本は、好きだ。
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個人的には、好きなタイプの話。
なんせ終りがほっとできるから・・。
先の幸せをにおわせているというか。
プロローグの時点で、この話は2人(ベルとチャコ)に関わる、ハッピーかホラーかのどちらかに転ぶなっていうのは、わかって。チャコが裏切るのかどうか、そこがポイントなのかな?という。
このときの設定は戦時中。
そして話は、現代へ。
テーマは私の中では「寂しい」「孤独」かな。
寂しい、はこの本の中でも書かれていて、ケイトが渚と交流を持つポイントもここにあったんですよね。
謎、というほどの謎はないです。
どちらかというと、マンションに住む人の日常と人間関係ですかね。
なので、人間関係もそこまで目新しいものはなく、マンションではなくても、誰もがお互いのことはよく知らないっていうのは、テーマになり得ますよね。
交流をしていくことで、謎が増え、謎を解決し、最終的には丸くおさまる。
渚と元旦那の関係にしても、ちょっときれいすぎかなとは思ったけど、こんな展開があってもいいかなとは思う。
でも私としては、ベルとチャコの関係が、エピローグで触れられていて、よかったなっていうところですね。
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隣の芝生はいつも青く見えるのだ。
ハラハラする程の事件が起きるわけでも、登場人物の壮絶な人生というけでもない。
他人からしたら「大変ね」いう程度のことでも、本人からしたら人生変わっちゃう位の一大事だったりするもんで、何事も外から見ただけでは絶対にわからない。大切なのは、人との程よい距離感と自分の心の持ち用かもしれない。
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瀟洒なマンションで離婚を隠しぼんやりと暮らす三十六歳の渚が、引っ越して来た三十八歳の幸せそうな映子やその子供で秘密を抱えた七歳のケイト等との交流を通して、閉じた状態から段々と生きる意欲を取り戻す様子が、柔らかくて淡い色合いで心地好い。会うことのない最上階の老婦人である謎めいたレディの存在も良かった。
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内容(「BOOK」データベースより)
吉祥寺の瀟洒なマンション、チャコズガーデンに住む渚は、離婚を隠したまま孤独な数ヶ月を過ごしていた。だが不審者の侵入や奇妙な騒音が頻発、住人同士で協力することに。そこで見えてきたのは各家族の秘密、最上階に住む謎のレディの正体…渚は住人達と危機を乗り越え、新しい一歩を踏み出せるのか。サスペンスの名手が描く人間ドラマ。
集合住宅の取り決めの煩雑さは結構耳にするので、ずっと住んで行くには適していないなあと思っております。お金が無尽蔵にあるならいいんですけどね。みんなで決めたことに従わないと住んでいる事すら難しくなりますし。
この本の中ではプライバシーに触れられたくない住民たちが、否応無しにお互いの領域に踏み込んで行かざるを得ない部分が書かれています。
でも昔は隣近所の住民の色々な事情知っていたような気がする。夏なんてドアとか開けて寝てたし。
サスペンス的な要素は希薄で、人間ドラマとしても少し薄味なので、悪くは無いですがすぐ記憶から消えてしまいそうです。