【感想・ネタバレ】放射線利用の基礎知識 半導体、強化タイヤから品種改良、食品照射までのレビュー

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Posted by ブクログ

推薦理由:
今、放射線と言えば先ず思い浮かぶのが福島原発の大惨事であり、放射線は怖いもの、危険なものというイメージが先行しているのはやむを得ない事と言えるだろう。しかし現在我々の身の回りでは工業、農業、医療などの多くの分野で放射線が利用され、日本での経済効果は数兆円規模になる。放射線とは何か、放射線はどのように利用されているのか、そしてそのメリットとリスクはどこにあるのかを正しく知ることは、現代を生きる我々にとって大変重要な事である。本書はイラストやグラフなどを使い、放射線利用について分かり易く説明している。
内容の紹介、感想など:
先ず放射線についての基礎知識として、放射線発見の歴史を紐解きながら、様々な放射線の線源や特徴などを分かり易く述べている。原発事故以来お馴染みとなった「ベクレル」「シーベルト」などの単位や、混同されやすい「放射能」と「放射線」の違いについても説明されている。その上で、工業、農業、医療など幅広い分野で、どの放射線が何の目的でどのように利用されているかがまとめられているので大変理解しやすい。原発のエネルギー利用以外で放射線利用というと、病院でのエックス線撮影や癌治療、空港の手荷物検査などがすぐに思いつくが、その他に半導体加工、自動車のタイヤや発泡プラスチックの製造、ゴミ焼却炉でのダイオキシン除去、医療・衛生器具の殺菌・滅菌、非破壊検査、農業における品種改良、害虫駆除など実に様々なものがあり、我々の生活を支えている事に驚かされる。
放射線を「危険なもの」と決めつけるのではなく、正しい知識を持って、そのメリットとリスクを判断することが大切だという事がわかる。
放射線に対する我々の姿勢を語るにふさわしいとして紹介されている、物理学者で文学者の寺田寅彦の言葉が印象深い。
「ものを怖がらなすぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい(寺田寅彦)」

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2011年10月27日

Posted by ブクログ

放射線の種類、基礎的な知識が分かりやすく書かれていて、工業、農業、医療などでの放射線のさまざまな利用が紹介されている本。改めて現代はこんなにも放射線が使われているのかと思った。きちんと特定された用途に使われている分には問題ないということがよくわかった。今、知りたい原子炉事故に関しては別な本を読むしかない。

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2011年05月27日

Posted by ブクログ

放射線に関するメリット、デメリットが記載されている本。
レントゲンだけでなく食品加工、害虫駆除にも放射線が活用されていること、放射線は水素が含まれているだけで日常にありふれた水で遮られることに驚いた。メリットデメリット互いに程度が甚だしいが、人間が火をコントロールできたように、放射線もコントロール出来れば良いと考える。が、発電等広範囲に及ぶリスクが高い物については再考の余地あり。

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2011年05月08日

Posted by ブクログ

原発にとって放射線はただの邪魔者でしかないが、実は放射線は、身の回りの色んな所に利用されているのだというお話。中学生に放射線の話をしなければならなかったので、そのネタ本として使わせてもらった。

放射線の利用としては、レントゲン撮影をはじめとして医療への応用が有名だが、それ以外に、工学分野や食品分野にも利用されている。前者としては、半導体のエッチングや車のタイヤに使われる強化ゴムの製造などがある。後者としては、例えば、ジャガイモにガンマ線を照射して発芽しにくくさせることが行われている(ガンマ線を当てると、盛んに細胞分裂を起こしている芽の細胞に障害が出るのだ)。色んなことが網羅的に書かれていてストーリー性がないので、読んでいて引き込まれるような本ではないが、類書がなかったので重宝した。

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2012年04月15日

Posted by ブクログ

放射線技術を使った実用的な利用状況の解説が大半を占めている。原理に関心がある身としてはやや物足りない。
数値や図表が豊富なので資料としてはいいかもしれない。

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2012年03月16日

Posted by ブクログ

 放射線利用というと,レントゲンや放射線治療など,医療が思い浮かぶが,実は工業利用が八割以上を占める(経済規模)。タイヤなどの樹脂の架橋や半導体ウェハのエッチング,イオンドープなど。ほかにも農業利用もある。ゴーヤの本土への流通は,放射線照射による害虫ウリミバエの不妊化→根絶によって可能になったらしい。あと,ジャガイモに芽が出ないよう放射線を照射することが認められている。照射によって突然変異を促進して品種改良,みたいなこともできる。
 あと放射性元素による年代測定は前からすごいと思っていた。半減期って核種に応じてなんで完全に決まってて少しも変動しないんだろう?と不思議に思ってたこともあるが,量子の世界だから確率なのか,という理解で最近は納得している。
 日本では自然放射線は西高東低。西日本には花崗岩が多いので,それに含まれるウラン,トリウム,カリウムなどからの大地放射線が効く。トンネルの中は岩石に囲まれるわけで,放射線が強い。あと,宇宙線は高度が高くなるほど強くなる。地表での宇宙線は0.03μSv/h程度,富士山頂で0.2μSv/h,ジェット機5μSv/hくらいらしい。高度400kmの宇宙ステーションになると,40μSv/hにもなるらしい。2日で一年分の自然放射線とは!

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2011年11月19日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
レントゲン教授が放射線を発見して百余年。
日本での放射線利用は9兆円の経済規模に達している。
空港の手荷物検査にはじまり、半導体加工などの産業利用、医療器具の滅菌、診断と治療、食物の品種改良、ジャガイモの発芽防止など、私たちの身近で使われている放射線のメリットとデメリットをやさしく解説。放射線利用の入門書。

[ 目次 ]
第1章 身のまわりの放射線
第2章 放射線の基礎をおさえる
第3章 放射線でつくる、加工する
第4章 放射線で「みる」「測る」
第5章 食べものと放射線
第6章 医療と放射線

[ POP ]


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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年05月22日

Posted by ブクログ

 ちょっとした放射線の知識を仕入れたい場合にいいかも。
 どのような場所で利用されているのか明示されているので、こんなところで使われているんだという驚きがありました。

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2009年10月04日

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