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Posted by ブクログ
若者の読書離れという問題はどこの国でもあるようだ。フランスではこの問題に対してどのようなことをしているのかが書かれていた。
序章でのパリ読書センターと学校がタッグを組んで行うワーク(小学校を縦割りにして、それぞれテーマに沿った本を読んだり議論したり、外に出掛けてみたり等)も面白かったが、高校生ゴンクール賞は特に興味深かった。
日本でいう芥川賞の審査員が高校生になったものという感じで、授賞式にはメディアも多く押しかけるかなり規模の大きいイベントである。
作家にとっては生活のかかっている事でもあり責任あるイベントなので高校生たちも読書や議論に能動的になっていく。
後半にはクロノス賞とアンコリュプティブル賞も出てきて、こちらも審査員が小学生からお年寄りと多岐にわたるが作家でもなく何の利害関係のない人達なのが特徴である。
読書を無理強いされて楽しく読める人は中々いないと思うが、自分自身が審査する側になることで自然と積極的になれるのだなと思うし、本を読むことの楽しさを知れる良い機会だと思う。
家庭レベルでは難しくても大手書店や学校、NPO法人等が力を合わせて行うことで実現できるし、これだけ盛り上がるのは国全体として読書教育に熱心なのだなと感じた。
こういう取り組みを日本でもやれたらいいだろうなと思う。
Posted by ブクログ
フランスの読書推進策は規模が大きい。まず、教員のほかに読書教育のスペシャリストであるアニメーターという役職が確立されており、継続的計画的な毒素指導ができるということだ。日本の司書や司書教諭はどちらかといえば事務職的な扱いを受けていることが多く、教育というアクティブな面はあまり発揮されていない。日本でも遠慮なく読書推進を実行できる立場にしなけれならないと感じた。
そして、究極の読書推進策が文学賞の選定者として子供たちが中心的な役割を果たすという行事である。本書で紹介されているのは日本の芥川賞にあたるような一般向け文芸作品の新人賞の選定を高校生が行う高校生ゴンクール賞と、老年の問題を扱った作品に限定して各年齢層で入賞作品を決めるクロノス賞、子供向けの作品に限定して子供による作品選定を行うアンコリュプティブル賞が紹介されている。どれも発案は強力な組織を持たない教師や司書、中小書店経営者などだが、読書推進に対するそれぞれの目的、思惑を巧みに利用して全国レベルの文学賞イベントにしているところが面白い。教育界のみならず、産業界も巻き込み、さらにはメディアの影響力も行事の維持、推進に寄与しているのだ。それぞれの利益を満たしながら、結果的に生徒たちに本を読ませることに成功している。
これをそのまま我が国でできるかといえばかなりハードルが高い。例えば高校生芥川賞のようなものを実施しようとした場合、差別や性描写を多く含む候補作を教室で読ませることには少なからぬ戸惑いが伴う。また、カリキュラム重視の現在の教育現場で読書教育に充てられる時間は限られており、放課後の活動にしてしまうならば、読書推進よりもむしろ高校生の生活への阻害要因になる。
フランスのように2か月間の国語の授業をすべて文学賞審査に充てるような思い切った決断がない限り、そしてそれを社会が評価する風潮がない限り実現は困難であろう。
本書が教えてくれるのは子どもに読書をさせる仕掛けはある程度大掛かりでなくてはならないこと。そして読書が重要不可欠の文化的活動であることを社会が認識すること。さらにはそのために、奉仕的寄付的な援助をしてくれる企業、団体などの資金源が確保できることが必要なことである。
いろいろと示唆をもらった。
Posted by ブクログ
フランスでは子供たちが選ぶ本の賞があるのだそう
身近でなかったり、好きでもない人からすすめられても
本を読む気にはなれないけど
こんな賞があったら読書人口が増えるのではないでしょうか
Posted by ブクログ
「若者が本を読まなくなった」
こう言われているのはフランスも日本も同じ。
しかし、フランスの読書率は上がった。
なぜか?
この本では「若者が与える賞」を通じて読書教育を描いている。
「高校生ゴンクール賞」「クロノス賞」「アンコリュプティブル賞」
この3つは若者が選考委員を務め議論して賞を与える本を選ぶ。
そうそう。一つの本について話し合う、というのは、とても楽しいんだよね。
学校・書店・行政がお互いに文句を言いつつもがっちり協力しあっているのが清清しい。
特に気に入ったセリフは以下。
「最近は接近しやすい本に人気があつまります。けれど、しっかりした論拠のない人気は長つづきしません」
「わたしは人類の一体性を強く信じています。人類はひとつなのですから、この小説はあなた自身のことも語っています。もし外国文学のなかに自分自身の声のこだまが聞こえていないとすれば、外国文学を読む必要性はなくなるでしょう」