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メーカーの開発は、競合他社にあって自社には無い機能、意匠を安く出す耐久戦に終始している。
インサイトを活用したプロポジションにより、価格が高くても欲しい人は買う、というブルーオーシャンを築き上げるのがあるべき姿だ。
疲弊した開発兵達を一年間新商品開発をやめさせて、腰を据えて行動観察から導かれたインサイトを軸とした渾身の商品企画をさせるのも手だと思い始めた。
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インサイトの、概念→何で大切なのか→インサイトを探る方法→事例→その効果についてかかれている本。マーケティングや広告を仕事にしている人には面白い本だと思う。事例や話し言葉なので、読解力の少ない人にも読みやすい。おわりにも若手には熱い言葉だった!
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08060
マーケティングといえば、セグメンテーションやらポジショニングを決めて、定性的、定量的に判断していくことが一般的である。
消費者にUSP(Unique Selling Point=ほかにはない売りのポイント)
この本は、そういった考え方ももちろん大事だけど、消費者が思わず動く、心のホットボタン(=インサイト)も大事なんじゃないかってことが書かれている。
その通りだと思う。
自分の様にこだわる人ってのは、どこかこの心のホットボタンを押してくれる商品に惹かれているのだろう。
その結果、多少値段が高くても、それを欲しいと思ってしまう。
企業側から考えたら、どういうアプローチをすれば、消費者のインサイトをつかめるのだろうか。
その方法を一言で言ってしまうと「プロポジション」となる。
ポジショニング:どう思って欲しいのか
↓ ↑
プロポジションそう思ってもらうために、どうするか
↓ ↑
インサイト:消費者のどういう気持ちを活用できるか
前半には消費者のインサイトを引き出すためのいろんな調査法が
紹介されているのだが、そこに書かれているように、簡単には引き出せないのだと分かる。なにせ、消費者すら意識してないボタンを探し出さなくてはいけないのだから。
でも、こういうのって面白そう。
細かい事例がいくつか載っているが、大きくページを割いているのは、ハーゲンダッツとシックだ。
特に、ハーゲンダッツを読むとなるほどなって思うところが多い。
それは、自分が考えているビジネスの軸のいくつかとハーゲンダッツが提供しようとしているものが重なっていることが分かったからだ。
今後もハーゲンダッツの打ち出すCMや商品などに注目したいと思った。
Posted by ブクログ
消費者のホンネを探り、それに訴えかけるように
PR、商品を考えると上手くマーケティングできる内容の本。
沢山のホンネを掘り起こしたビジネスケースが
書かれており、とても面白かった☆
消費者の気持ちを考えることって本当に大切だなぁと
改めて思わされた。
Posted by ブクログ
この本で出てくる事例に関しては古いので
正直そのまま流用するわけにはいきません。
(まあ某アイスに関してはこの当時でもクレームものだった模様)
だけれども、本音の部分を探ることによって
揺り動かすものがあるのは事実です。
それと変わらないことがここにはあります。
我が国の人(むろん私も)だけど
広告に関してはまあ警戒心は強いこと。
それはその広告で嫌なことがあったのも
あるのでしょうね。
内情と離れている奴もありますし!!
それと「~のやつ」というのは
以外にも結構あったりします。
ほら、社名挙げてもらえない製品、あるよね?
あれです。
Posted by ブクログ
マーケティングの仕事を始めてから1年経ち、見よう見まねで手探りでやってきていましたが、教科書にようやく出会えた気持ちです。マーケティングの仕事を始めるときにすぐに読んでしまうと「当たり前のことを言ってる」と思うかもしれませんが、1年やったからこそ、当たり前だけど難しいこと、真理を突いてるなあと感じました。
マーケティング部門に配属になったら一度読み、時間をおいてもう一度読むとより理解が深まり仕事に生かせる気がします。自分もまた1年経ったら読み直してみたいなと思います。
Posted by ブクログ
・インサイトは消費者のホンネであり、論理ではなく気持ちの部分である。
・インサイトの探るには、消費者を細かく分類するのではなく、奥底にある感情や気持ちを探るために、人を大きく捉える。
・人を属性ではなく、感情(や課題)で分類する。
・インサイトを見つけるには、何のためにインサイトを見つけるかのテーマを決め、ターゲットを絞り、仮説を立て、調査する。そこから使えるインサイトを絞り、マーケティング活動に繋げる。
・何をアピールすれば〇〇と思ってもらえるか?そのためにはどういう消費者の気持ちを活用できるか?を見つけ出す。
・カテゴリーを離れて、人の今のインサイトを探ったり、カテゴリーに対するインサイトを探ったりしながら見つけていく。
Posted by ブクログ
事前の購入意向と実際の販売に大きな乖離がある。
■インサイトは消費者の平均値ではなく,ある個人の気持ちを解釈することである。
■消費者はホンネを話してくれない。一つの理由は,自分が気づいていないことは話せいないということだ。歯ブラシをいつ,どこで買ったか思い出す事はなかなかできない。無意識でやっていること,意識したこともないようなことは話しようがない。
■色々な発見を一つのストーリーとして繋げていくのがコツである。
■ケーススタディ
セルビデオ(ディズニーと思われる)
お母さんがTGT,独身OLはこの作品の映画館での来場者の中心であり,購入意向は高いが,他にお金を使うところがありすぎて購買には結びつかない。
ホンネ
1.自分が見たい
2.子供が喜んでみるかどうか
3.家族みんなで楽しめるかどうか
4.ビデオはベビーシッター代わりになる
↓ キーインサイトはどれ?
「家族みんなで」,「何度もみる」
家族みんなでビデオを見ている幸せな家庭が目に浮かぶ。
何度もみるから,ベビーシッター代わりになるからと,こちらの方が安上がりです,というアプローチは,お母さんの愛情を踏みにじるような連想がはたらくので,ダメ。
シリアル,ハーゲンダッツ,シック,スキー場(トマムと思われる)などのケーススタディが実践的。
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顕在的なニーズと潜在的なニーズ。むしろ後者に目を向ける必要性を知りました。本書は方法論ではないですが、必読本であるため、読書のインプットのみならずアウトプットをしていきます。
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グロービス経営大学院の「顧客インサイトとブランディング」クラスの参考図書。
「環境分析→STP→4P」というMBA的マーケティング(以降、MKT)とはまた違う考え方を提示していて、MBA的MKTに浸かりきっていたので、とても面白かった。
●従来のMKTとその欠点
※以下のように従来のMKTを定義する
・論理性:従来のMKTは論理的にMKT戦略を構築する(環境分析→STP→4P)。
→①マーケターの感覚的能力の活用を妨げる。
②論理の飛躍を生むようなイノベーティブな戦略が生まれにくい。
・消費者:従来のMKTは消費者を論理的に考える存在と見なす。
→消費者の感覚的・感情的側面を捉え損なう。
・視点:従来のMKTは企業視点から価値提供を構築する。
→消費者視点を取り込みづらくなる。
・ターゲット:セグメンテーションにより自社が狙うべき顧客を特定し、施策を構築する
→消費者が多様化し、競争も激化した現在では極めて狭い顧客に絞る必要が生じた。結果、利益率、売上ともに低下傾向
●消費者とは
・従来のMKT調査で用いられるアンケートやインタビューでは本音はわからない。
理由①:意識:消費者は意識していることを必ずしも言わない。その理由は、(1)見栄などの感情が邪魔する (2)感情を言葉にする時に、誤って変換される(言語にすることで感覚的なことも、思考的な見え方、表現の仕方になる)
理由②:無意識:人の行動の90%以上は無意識に決定される。意識していないことは伝えられない
(所感)これは、消費者だけでなく企業の従業員に対しても言える。現場にとり納得感の高い戦略を立案するために現場の声を聞くことはよくあるが、彼らの声を取り入れた戦略だからと言って、必ずしも実行性の高い戦略とならない理由は、これが一因だろう。
●インサイトを活用したMKT(概要)
・消費者:インサイトを活用するMKTはより感情的な存在として捉える
・論理性・視点:従来のマーケターは「論理的に」「企業視点」からMKT戦略を構築(STP→4P)するが、インサイトを活用するマーケターはより「感覚的に」「消費者視点」でMKT戦略を創り出す
・ターゲット:インサイトは多くの顧客に共通する感情や思考を特定し、そこに働きかけるアプローチ。よって、過剰なセグメンテーションによる利益率や売上減を防げる
●インサイトを活用したMKT(思考・態度)
・態度
遊び心・五感・感情を持って楽しんで作る。理屈に囚われない。
・仮説
調査の前にインサイトの仮説を立てる。仮説なき調査からインサイトが見つかることが殆どない。
→『心脳マーケティング』など、他の感性的・感情的MKT手法と異なる点と感じた。「仮説を立てることは消費者の心像をある論点から偏って見ることに繋がるため、避けるべき」との考え方もあるが、本書は異なる立場をとる。
消費者調査において仮説を持って臨む場合、以下2点が重要だろう。
①筋のいい仮説を立てる:消費者への聞き取りや観察、消費者体験を基に仮説を立てる
②仮説に囚われない:反証や、設定していない論点も柔軟に拾う
●インサイトを活用したMKT(具体的手法)
①エスノグラフィック調査
消費者を観察し、その行動から消費者心理を理解する
②ポラロイド写真調査
消費者に写真を撮影してもらい、それを基に聞き取り調査
③コラージュ・エクササイズ
事前に準備した写真を組み合わせ、消費者に絵を作ってもらう
④ポストカード調査
ポストカードに記載されたキーワードに関し、好きに議論してもらう。企業発信のメッセージに見えないような書き方で。(例:×アンチ・エイジング効果をもたらします →○アンチ・エイジング)
●従来のMKTとインサイトを活用したMKTの使い分け
インサイトを活用したMKTが常に優れる訳ではない。以下のように使い分ける
・顧客理解:顧客理解が深いなら、インサイトを活用する意義は大きくない。具体的には、業界経験の長い企業や、顧客変化の乏しい業界が当てはまる。
・新規事業or既存事業:新規事業において、よりインサイトが活用しやすい。理由は、①顧客理解が浅く、顧客理解を重視する必要がある ②自社製品が未確定で、顧客理解に合わせ変化させることが容易
・自社の業績や目標:現状維持ではなく、大きく状況を変化させる必要がある場合、論理からの飛躍を生むインサイトの重要度は高まる。業績がいいなどの状況で、現状維持や改善が目標なら、STP→4Pに従い整合性のとれた戦略にする方が低リスク。
・MKT戦略立案の段階:初期段階でインサイトが重要で、細部を詰める段階では従来のMKTが重要。インサイトを活用したMKTであっても、最終的には4Pに従い整合性のとれた戦略に落とし込まなければ、実行時に矛盾が生じる。
●「ブランディングと短期的売上のジレンマ」の解決策としてのインサイト
ブランディングのために、企業はブランドイメージを高めるPRや、ブランドイメージを保てるチャネルのみでの販売、ブランドイメージを保つ価格設定などを行うが、これはしばしば短期的売上増と矛盾する。短期的売上増は、あらゆるチャネルで値引き販売すれば達成できる可能性は高い(特にラグジュアリーブランドでは)。
その解決策として、インサイトが活用出来る。インサイトを突くMKT戦略は、顧客の心に響きブランドイメージを形成すると共に、購買行動を促す。
●ポジショニングとインサイト
従来のMKTでポジショニングを確定した後、それを実現するための4Pの構築が困難なことが多い(他社との差別化が困難)。そこで、求めるポジショニングを実現する企業から消費者への提案(プロポジション)を構築するために、インサイトを活用する。
他社の捉えていないインサイトを捉えることで、競合には提供出来ないプロポジション(4Pなど)を作れる。結果、自社の求める他社と異なるポジショニングを実現出来る。
↓
だが、自社が捉えたインサイトをMKT戦略に活用すれば、競合に把握され、模倣されるリスクがある。だからこそ、数あるインサイトの中から「自社では満たせるが、他社では満たせないインサイト」を見つけることが鍵となる。
(例:「王道の安定感が欲しい」というインサイトを最もよく満たせるのはリーダー企業)
●所感
・インサイトと従来のMKT
インサイトの考え方は従来のMKTを否定するものではなく、補完するもの。科学・論理(従来のMKT)と感性・感情(インサイトを活用したMKT)のどちらか一方でなく、両者を両立させたMKTが理想だが、近年のMKTは科学的・論理的側面を強調し過ぎたということだろう。
・インサイトと日本人
日本人は、論理性は弱いが、感性面に強いとしばしば言われる。また、高コスト国でもあり、世界市場ではコストリーダーではなく差別化で勝つより方法はないとも考えられる。であるなら、感性を用い、インサイトを捉えたMKTを構築することで、他国企業との差別化を実現出来るのではと感じた。
一方、個人としては感性的でも、集団としては排他的・均一的な側面もあるため、インサイトに偏った戦略では社内承認を得づらい側面もあるだろう。
であるなら、新規事業として既存組織から切り離す、一定の失敗事業が生じる前提で走らせるなどの対応が必要だろう。
また、日本はハイコンテクストな文化であり、それはしばしばマイナス要素として捉えられるが、インサイトの観点では、他者が言語化しない感情や思考を読み取る能力に長けているとも捉えられる?と感じる。「日本人が相手の感情を読み取る能力に長けているのは、相手が自分に文脈を共有している場合のみであり、異なる文化圏の相手には機能しない」可能性もあるが、私の感覚ではたとえ文脈の相手であっても、感情を察知する能力は高いのではと感じている(根拠なし)。
Posted by ブクログ
顧客のホンネを知ってそこを突くことで購買行動に繋げていくーそうしたインサイトの重要性を説いた一冊。
いわゆるモダンマーケティングが、顧客を合理的で言語化された欲求に基づくものと解釈するのに対して、インサイトを重視するポストモダンマーケティングにおいては、人間を限定合理的で、その真の欲求に顧客自身が気づいていないこともあるとの前提で、そうしたインサイトを解き明かす手法が解説されている。
日本のマーケティング界におけるインサイトの第一人者とも呼べる著者だけに、解説は非常にわかりやすい。特に学習者が悩みがちな、モダンマーケティングとの整合性をどう取って、具体的なマーケティングのアクションプラン(ターゲティング~ポジショニングから、4Pレベルのアクションプラン)に繋げていくかという点は非常に参考になった。
Posted by ブクログ
インサイトとは人が動いてしまう心のホットボタン。見つけるには遊びと思い遊んじゃうくらいがちょうど良い。判断基準は面白いかどうか。仕事に限らず、日々のコミュニケーションにも活かせそうだ。
Posted by ブクログ
一番響いたのは35Pにある
「ただ、人はアタマだけだなくココロで行動する」
という言葉でしょうか。
本のタイトルであるインサイトという言葉は
「消費者の”ホンネ”であり、”心のホットボタン”だ」と本書には書かれている。
理屈的な宣伝文句よりも、ユーザが何を求めているか。
しかもその「求めているもの」はユーザ自身が気付いていないことも多いという。
ユーザ自身が気付いていない、ホットボタンのスイッチを入れることが売れる製品の宣伝には必要不可欠ということであり、インサイトをうまく掴むことが出来れば競合製品との差別化が行えるということを例に交えて書いてくれていました。
インサイトを考えるフロー
・どう思ってほしいのか(ポジショニング)
↓
・そう思ってもらうために、どうするか(プロポジション)
↓
・消費者のどういう木本を活用できるか(インサイト)
Posted by ブクログ
消費者に購買行動を起こさせる「心のホット・ボタン」をどのように見つけるか。「なるほど」と思うが、いざ実践するにはかなり経験を積む必要がありそう。ハーゲンダッツやシックなど、出てくる事例がどれも興味深い。
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【読書メモ】
●理屈が直感を鈍らせる
●だれもが受け入れられるものから突出したアイデアは生まれない。当たり前の結論と、常識的な活動が待っている。また、方向性が正しくても、数字で検証できないことは通らない・・・客観的な数字に基づいてピント外れの結論を出していては元も子もない。数字の奥にある本当の意味を掘り下げないと、理解が表面的になってしまう。
●普段生活しているときのことを思い出し、いち消費者の立場に戻ってみればすぐわかることだ。何かを買うとき、いつも細やかな点まで比較して論理的に判断しているとは限らない・・・ところが、仕事で関わる商品となると、きちんと論理的に吟味されるかのように思ってしまう。
●消費者の気持ちを知るには、いったん自分の関わっている製品やカテゴリーのことを忘れなければならない。消費者は作り手と違って、一日中その製品のことを考えているわけではないのだから。
●インサイトの本質は、消費者に行動を起こさせる点にある。インサイトは、いわば消費者の「心のホット・ボタン」なのだ。
●「好き」「しっくりくる」といった感情はいったいどこから生まれるのだろう。それは「この商品は私の気持ちをわかっているなあ」といった共感から生まれる。そして共感は、「モノ」と消費者の「気持ち」が結び付くところから生まれる。モノのアピールだけでもない。気持ちへのアピールだけでもない。モノと気持ちが結びついて初めて共感は生まれるのだ。
●インサイトの考え方では、もう一度、人を大きくとらえようとする。製品デザインの場合でいえば、好みよりも、選ぶときの気持ちに目を向ける。キュートさを好む人にもメカニックなデザインを好む人にも共通する、奥底にある感情や気持ちはどういうものかを探り出そうということだ。「人に見られたとき、センスがいいと言われたい」とか、「自分の個性を出したいけれど、目立ちすぎるのはイヤ」といった気持ちだ。
●いまの消費者はつくり手側の意図をすぐ見透かしてしまう。そして狙いがわかると、一歩引いて批判的に見る。その壁を乗り越えるには、気持ちに踏み込むしかないだろう。企業活動とわかっていても、「そうだよな」とつい心を許してしまうような共感が必要なのだ。
●人はアタマだけでなくココロで行動する。
●出発点はあくまで人であって製品ではない。人はその製品のユーザーがどうか以前に、さまざまな気持ちや感情を持って生活しているととらえる。そのなかでブランドや製品をどう思っているのかを掘り下げていくのだ。たとえば、炭酸飲料について調べるなら、よく飲む人、たまにしか飲まない人というように、炭酸飲料から人をとらえない。
炭酸飲料を飲むとスキッとするとしたら、いったん炭酸飲料を離れて、その気持ちに目を向ける。人はどんなとき開放感を感じるのか。ターゲットが10代なら、彼らが開放感を感じる瞬間を探る。ルールを破ったときか、サッカーの応援で盛り上がっているときか、仲間とまったりしているときか。そんななかで炭酸飲料はどのように思われているのだろう、というように考えていく。
●人が関心を持っていることや、抱いている気持ちを先に探り、それと製品が結び付く接点、ホット・ボタンを見つけ出すのだ。
●インサイトを見つけるためのスイッチ
【アタマと気持ちをほぐす】
□リラックスする
□客観・理屈を捨てる
□ゲーム間隔を持つ
□消費者に戻る
【実践編】
□ターゲットになりきって使ってみる
□売り場に行って買ってみる
□ターゲットの集まる街に行く
□トレンドを体験する
□関係のないジャンルの共通項を探る
□身近な人に聞く
●インサイトの見つけ方、活かし方
1)テーマを決める
現状把握:カテゴリーやブランドの問題点がはっきりしない
ポジショニング:ありきたりで消費者を動かす自信がない
①潜在的なニーズをさぐる
②ターゲットの関心を探り、製品と結び付ける
活動案:具体的なアイディアが浮かんでこない
2)ターゲットを絞る
ビジネス・ソース(その製品を使ってくれそうな人)に絞る
戦略的にターゲットを絞り込む
従来の消費者分析の手法と組み合わせる
3)仮説を立てる
①いくつものトレンドの底辺に共通する気持ちで、自分が担当しているカテゴリーに活用ができるものを探す。
②ほかのカテゴリーのヒット商品がとらえている消費者の気持ちを、自分の担当しているカテゴリーに当てはめてみる。
③仮説として持ったインサイトが的を射たものかどうかをチェックするため、同じような消費者の気持ちをとらえた、別カテゴリーがあるかチェックする。
浅い仮説、深すぎる仮説(自動車保険を例にとると)
・浅い仮説:その奥底についてさらなる疑問が沸いてくる。
ex.「パーツを組み合わせる仕組みだと納得する」
・深すぎる仮説:根源的すぎて、その商品ならではの独自の接点がみつけ出せない。
ex.「不安のない人生を送りたい」
・浅くもなく深すぎもしない仮説の例
ex.「合理的に自分で選んだ気分になると、納得する」
4)ホンネを引き出す調査方法
なぜホンネを話さないのか?
①場所とシチュエーション
②集団心理が働く
③舞台裏を知りすぎている
④言葉が気持ちを遠ざける
⑤消費者自身が気づいていない
・エスノグラフィック調査
→対象と行動を共にしてその場その場で気持ちなどを聞き出す
・ポラロイド写真調査
→対象者自らがそのときどきを写真に撮り、それを座談会に持ち寄ってもらい話し合う
・コラージュ・エクササイズ
→対象者に色々な写真を組み合わせて貼り付けてもらい、完成した絵をもとに話し合う
・ポストカード調査
→「あなた宛にこういう手紙が届きました。どんなことを想像しますか」といいながら、ハガキを提示する。
5)使えるインサイトに絞る(キー・インサイトはどれか)
6)マーケティングを活動に落とし込む(論理的に組み立て直す)
①カテゴリーやブランドの現状の把握
②ターゲット
③ポジショニング
●使えるインサイトかどうかを見極める方法
1)新しい発見かどうか。ありきたりの視点からとらえてないか。
2)自分の担当しているブランドとの整合性があるか。
3)アクション(活動)につながるかどうか。
●マーケターはインサイトがなくても戦略を論理的にまとめられるので、最後につじつまを合わせようとする・・・低カロリーの高級チョコレートを開発中の時に、「消費者は、ダイエットにいい低カロリーの高級チョコレートを求めている」としてしまう。実際には高級チョコレートを食べるときは幸せな気分に浸りたいのであって、カロリーなどは気にしない。
●コツは、大枠をデータ(数字)で固めること。定量的なデータをまったく使わないで主観的なインサイトを通すことは難しい。客観性を持たせるために、データや関連する記事などを付けることも多い。また、必ず大枠から入ること。いきなり核心(インサイト)から切り出してしまうと、それが鋭く大胆なものであるほど、見せられた側の抵抗感が強くなる。
●世の中の成功例からさかのぼり、背後にどういうインサイトが隠されているのかを見つけ出す演習をする。こうした演習は、普段の生活のなかで接する情報への感度を高めてくれる。
●流通や販路を見直すうえでも、インサイトは重要な役割を果たす。・・・どういう売り場に商品がおいてあるかで、消費者はさまざまな気持ちをその商品に抱くからだ。逆に言えば、どの売り場に置くかで、消費者の気持ちをとらえたり、商品への見方を変えたりすることができるのだ。
●真のインサイトは、「お母さんは、子供がどのくらいねだるかで、子供が何度もみるかどうかを判断する」ことだった。子供と一緒に買い物に行くところでなければ、そうした子供の反応はわからない。
●実際には、フォションはかなりのコンビニやスーパーに置かれており、ハーゲンダッツの隣に並んでいたのだが、消費者はハーゲンダッツしか見ていなかったようである。流通から見た配荷率の数字が高くても、こういうことは往々にして起きる。消費者から見た場合の店頭カバー率は異なるのだ。
●このようなインサイトは、「何が、ほかと違うか」といった質問から消費者の気持ちを掘り下げていくことで見つけられる。「抹茶がふんだん」のように製品特徴を説明しなくても、消費者にそう感じてもらえる方法はないか。消費者がすでに持っていて、活用できる気持ちはないかを探り出そうという姿勢が大切だ。
●この「何を贅沢だと思うか」という質問のように、カテゴリーを離れてインサイトを探ることも、ときには欠かせない。モノから始めて掘り下げていっても、活用できるインサイトが見つからなかった場合には、いったんそのカテゴリーを離れてインサイトを探ってみよう。そして、そこで得られたインサイトを、あとでカテゴリーと結び付けてみるのだ。
●たとえば「プリンに対して消費者は、どういうイメージを持っているか」「どういうプリンを一番おいしい本格的なデザートと感じるか」といったデーマで、インサイトを掘り下げていく。本格的なおいしさを感じさせるために、消費者がすでに持っているどんな認識を
活用できるか、探り出すわけである。
●消費者の本音を探るとき、製品をどう見ているか、という視点だけでは不十分だ。この例(シック)のように、いまどきの若い男性が憧れを感じる「男らしさ」とは何なのか、といった広い視点が欠かせない。また、こういう深層心理を言葉だけで聞き出すのは無理というもの。コラージュ・エクササイズのような投影法(気持ちを絵などに投影させる手法)を活用しよう。
●消費者は「好き」だから「買う」わけではない。ましてや、広告が「おもしろく」ても、「買う」ことにつながるわけではない。そういう考え方が、いまでも主流であろう。しかし、この考え方は少しは当たっているが、ほとんど外れている。たしかに「おもしろい」だけでは「売れない」だろう。ただ、いまどきの消費者は、製品とまったく結び付いていないような、単なる受け狙いの広告を「おもしろい」とは感じなくなっている・・・製品やベネフィットをうまく伝えているからこそ、「おもしろい」と感じるのだ。つまり、消費者が「おもしろい」と感じる広告は、「売れる」広告なのだ。
●カミソリのような関心を持たれにくいカテゴリーでは、何かひと言でも覚えてもらうことが、何より大切なのだ。
●「ワンストローク」はやはり、消費者が使う言葉ではない。いくら理屈的にはベネフィットのほうが大事だとしても、消費者の記憶に残り、ブランドを思い起こさせるフレーズ(ブランド・キュー)にならなければ、その後のさまざまなマーケティング施策と連動させることができない。(ジローラモの「すげぇよ!」をブランド・キューにした)
●ブランディングについても、シックは実に考え方が斬新だ。教科書のセオリーどおりにとらえるのではなく、カミソリというカテゴリーに即したブランディング方法を採っている。つまり、ブランド名を一方的に刷り込むのではなく、消費者が覚えている言葉や愛称をもとに、ブランディングを行っているのである。
●インサイトは、消費者のホンネであり、心の奥底にあるホット・ボタンだ。・・・インサイトは、消費者に行動を起こさせる「スイッチ」だといえる。インサイトを探り出すということは、そのスイッチがどこにあるのかを明らかにすることだ。
●インサイトはたった一つというわけでなく、いろいろなレベルでそれぞれのインサイトがある。
まずは、ブランド全体の状況を打開するために、ブランディングで活用するインサイト。シックの例でいえば、「理想的な男とは、たくましい男」というのは、ブランド全体がとらえているインサイトだ。
次に、広告、製品開発、流通、価格など、マーケティング活動ごとに活用できるインサイトがある。広告でいえば、カミソリは関心の低いカテゴリーだから、「(消費者は)おもしろいひと言ぐらいしか覚えない」といったインサイトである。流通の例では、シリアルの売り場をお菓子の横からパンの横に変えて成功したのは、「(消費者は)売り場で商品のイメージや食べる場面まで連想する」というインサイトを見つけたからだ。
また、ブランドの傘の下にある、製品レベルでのインサイトもある。ハーゲンダッツの例でいれば、「グリーンティー」というフレーバーが活用したインサイトは、「消費者は、グリーンの色の濃さで、おいしさや品質の高さを感じている」というものだ。
●なぜポジショニングという考え方だけでは、解決策にならないのだろう。たしかに、ポジショニングによって、パーセプション・ゴール(消費者に思ってほしいこと)を設定することができる。また、ポジショニングのなかで、そのブランドや製品のベネフィットを定義することも欠かせないだろう。
しかし、それが消費者にとって、振り向くほどのインパクトはない場合もある。すでにほほかの製品がアピールしていることだったり、消費者にとってはそれほど画期的と感じないものだったりすることも多い。
だから、ベネフィットを中心としたポジショニング設定だけでは、実際にどんな手を打てばよいのか見えないことが往々にしてある。そのとき、その解決策となるのが、プロポジションであり、そのもとになるインサイトなのだ。
ex.「おいしいですよ」でなく、何をアピールすれば(プロポジションとして提案すれば)おいしそうだと思ってもらえるのか、そのためにはどういう消費者の気持ち(インサイト)を活用できるか
●ブランドがいったんでき上がってしまえば、売上げもついてくる。しかし大変なのは、まったく新しいブランディングを始めるとき、例えば新しいブランドを立ち上げたり、問題のあるブランドを改めて構築し直したりするとき、どうすれば短期的にも売上げを伸ばせるのかだ。
その解決策となるのが、インサイトであり、プロポジションである。インサイトというホット・ボタンを押すようにブランディングを行えば、立ち上げたときからすぐに売上げも伸ばすことができる。つまり、インサイトに基づいたブランドのプロポジションを核にして、ブランディングをすればいいのだ。
●インサイトを通すためのスキル
・ミーティングや会議を「仕切る」力
・「論理的にまとめる」力
・「プレゼンテーション」力
・「熱意」の力
Posted by ブクログ
この本は非常に重要な指摘をしている。それはインサイトを発見する云々の話ではなく、主観であるインサイトを発見した後、それを客観的・論理的に落とし込む、ということ。
消費者の主観をそのまま解釈・料理することなしにそのまま自分たちのマーケティング活動等に反映させてしまう類の人が多いが、そうではなくて、個々に独立して存在するインサイトをどのように一つのストーリーに仕立て上げるか、ということの重要性を認識させてくれる本。
ある程度消費者にふれた経験のある人が読まないと、机上の空論で終わる可能性が高い気がする。
Posted by ブクログ
■感想
インサイト初心者にとって、やるべきことのイメージを作るのに効果的でした。すぐ読めて、要点もすぐ掴めます。ただ、事例が古いです。仕方ないですが、そこだけ、気になりました。
■要諦
・インサイトとは、本音。心のホットボタン。押すと態度を変え、本音を話す
・インサイトはさまざまなレベルで存在。ブランディングがハイレベル。その下のレベルだと、マーケティング。広告ならshick、製品ならグリーンティ、価格だとハウスウェディング。
・ホットボタンを押すのが、プロポジション。戦略上の答えであり、相手を口説く提案である。インサイト、クリスマスの特別感、プロポジション、毎日がクリスマス。インサイト、人剃りで切れるのが、理想のカミソリから、プロポジション、ひと剃り。
・ベネフィットを中心としたポジショニング設定ではダメ。美味しいというポジショニングがあって、そのために、インサイト、プロポジションを経る。グリーンティー、濃い緑。プディング、パティシエが作ったプディング。
・インサイト起点の発想の副次的効果。売上とブランディングを早期に両立して達成できる。
・良いインサイト、人を味方につけられる。「おもしろい」インサイトを見つけ出し、おもしろいと感じてもらう。
・インサイト発見のプロセス。テーマ、目的決め→ターゲット絞る→ホンネを引き出す→使えるインサイト、キーインサイトに絞る→マーケティング活動に落とし込む、ポジショニングマップ。
Posted by ブクログ
人はなかなかホンネを話さない
核心は何か?
一番の問題点は何か?
どの気持ちをつかまえれば好感を持ってもらえるのか?
ターゲットになりきる/ターゲットの気持ちを見直す
Posted by ブクログ
・インサイトと向き合うことで、分析データに「従う」のではなく、「活かして創造する」ことをやっていきたいと思った。
・本著で紹介されている顧客インサイトの捉え方は、自分のインサイト(願望、本質的なのぞみ)探しのヒントにもなると思う。
・今回だけに限らず、知らなかったフレームワーク(捉え方の枠)を知ると、普段の生活において見えてくるものが広がるなぁと思った。
インサイトとは顧客の「ホンネ」の事で、特に購買に繋がるスイッチとなるホンネのことを指す。
消費者分析と異なり、顧客はアタマだけでなく、ココロで行動する(論理的でない)と捉え、捉えるには数字だけでなく、感受性と直感が重要。
・インサイトとは、
ー消費者のホンネ。誰もが心の中で思っている気持ち(全員ではない)
ー探ることは知的冒険ともいうべき楽しい側面がある
ー平均値を出すのではなく、もっと本質的な共通点を見つけること
・今、消費者は機能ではなく、自分の気持ちをよくわかってくれるモノを選ぶ
・消費者分析との違い
ー人の捉え方が根本的に違う
「人は論理的にアタマで考えて商品を買う」→「直感や気持ちで商品を買う」
ー人をどう知りたいかが全く異なる
出発点は人の関心や気持ち。その後、製品と結びつく接点(ホットボタン)を見つける
ー人を量的に数字で分析するか、質的に解釈するか
Posted by ブクログ
■インサイト
インサイトは、これまでのマーケティングで行われてきた消費者分析とは発想が異なる。
その違いは、以下の3 つ。
・人の捉え方
消費者分析:人は頭で考え、合理的判断で動くもの
インサイト:人は直感や好き嫌いなど感情で動くもの
・人をどう知りたいのか
消費者分析:人を要素ごとに分解して細かく知る
インサイト:人の気持ちを深く掘り下げ、核心に迫る
・人を量的に分析するか、質的に解釈するか
消費者分析:大量の人を数字や平均値で捉える
インサイト:数字や言葉で表せない個人の感情を探る
Posted by ブクログ
今でこそ、プロモーションの中で自然に使われるようになり、浸透してきた感がある「インサイト」。人を動かすホットボタンのことを指すのだけれど、こちらはとても分かりやすく読みやすいです。特に、ハーゲンダッツ等実例があったため、すっと入ってきてイメージがしやすかった。
広告だけでなく、人とののコミュニケーションや、普段の生活の中で気にして生活することも出来、とても実践的。
Posted by ブクログ
マーケティングの授業で出てきた「インサイト」という言葉。
簡単に言うと、「お客様のホンネ」とか、
「購入のホットボタン」という意味で使われていましたが、
そのインサイトについて分かりやすくまとめた本。
著者は外資系の広告代理店の方です。
最初の方はインサイトについての概略説明で、
分かったような分からないような気でいましたが、
後半の実例では、著者が実際に経験したハーゲンダッツや
カミソリ(「切れてな~い」ってやつです)の
インサイトを考察し、CMに繁栄させているので、
とても面白かったです。
後半からはページがどんどん進んでいきました。
ヒット商品を生み出す際の
インサイトの見つけ方のヒントとして参考になると思います。
Posted by ブクログ
本書を読むきっかけとなったのは、「地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?」(久繁 哲之介著)を読んで、自治体が本当に地域住民の思い、意向を汲み取った政策を行っているのかという疑問がふつふつとわいてきたからだ。自治体がある政策を行うために、アンケートと調査を行い、自治体が進めたい政策のためにその結果をうまく使い、地域住民を思いを反映させたと詭弁しているように思ったからだ。
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代理店やマーケで既に働いている人がターゲットだったためか、あまり共感・理解できないところが多かった。だから3。しかし3~5章のケースは面白い。社会人になってからもう一回読みたい。
Posted by ブクログ
「インサイト」の概念や、この考え方がなぜ必要なのかということについて、筆者の実績で例示しながら説明している本です。
具体的にどのように実践するかについてまではそれほど大きなスペースは取られていないので、ちょっとこれだけでは評価しづらいというのが正直なところ。
大きな方向性として、ついこの間読んだばかりの「全脳思考」に近い印象を受けたので、大きな新しい発見などはありませんでした。
・・・が、実際の考え方や運用について書かれている(であろう)『「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるためのインサイト実践トレーニング』を一度読んで、実践レベルの話を頭に入れてみたいとは思いました。
経営者の方や、マーケティングに関与されている方は、一度目を通しておいて損はないと思います。
Posted by ブクログ
解決策を消費者理解から導きだそうというのが、インサイトの考え方。そして、その戦略上の答え(解決策)がプロポジション(消費者に思って欲しいこと)。
いくら企業側が「おいしいですよ」と言ったところで、消費者にそう思ってもらえるわけではない。何をアピールすれば(プロポジションとして提案すれば)、おいしそうだと思ってもらえるのか、そのためにはどういう消費者の気持ち(インサイト)を活用できるかを見つけ出すこと。
インサイト:パティシエの作ったプディングは、大人向けの本格的なおいしさ。子供向けのプリンとは違う。
プロポジション:パティシエのプディング
インサイト:グリーンの色の濃さから、おいしさと品質を感じる
プロポジション:濃いグリーン
インサイト:ひと剃りで剃れるのが理想のカミソリ
プロポジション:ひと剃り
インサイト:クリスマスに行きたい。でも予約が取れない。
プロポジション:毎日がクリスマス