【感想・ネタバレ】地のはてから(上)のレビュー

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Posted by ブクログ

今までのサスペンス中心の小説とは異にする乃南アサさんの小説。舞台は、大正期から昭和期の北海道。なかでも非常に厳しい自然環境にある知床の開拓移住した家族のお話。
冒頭から、読み進めるのが苦しくなるような過酷な環境に置かれた家族、放蕩父親の様子。しかし、次第にのめり込んでしまう。主人公の少女とは、そしてアイヌの少年との出会いの意味とは。

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2017年11月17日

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ネタバレ

アイヌ語でシリエトク。「地の果て」知床にやってきた作四郎、つね、直人、とわの一家。大正時代、北海道開拓が政府によって奨励された。農家の次男坊、三男坊が自分の土地を求め、親戚に見送られて希望と金を持ってやって来るものも居たが、作四郎一家のように、借金から逃れるため夜逃げしてきたり、犯罪に手を染めたものも少なくなかったという。
福島から数日かけて、ようやくイワウベツの入植地にたどりつく。森林の大木を伐採してひらき、一家は屋根と四本の柱を板で囲い、むしろを下げただけの家で、互いの体温であたため合って氷点下三〇度にもなる冬を越えなければならなかった。しかし、ほんとうの試練はこれからだった。

つくづく自分は甘いと思わされました。ふわふわした幸せな物語ばかり読んできて、この現実に突き当たったとき、受け止める度量がない自分に気がつきました。それほど過酷な人生をいきたひとたちが、ここにいる。小説は、想像を超えた人生を教えてくれます。この物語は、わかりやすい、そして人の血がかよったことばで綴られていくのでひきこまれ、考えさせられます。

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2018年07月29日

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自分の力ではどうにもならない運命、でも生きていくしかない。そんなとわの生き様に心打たれた。
にわかには受け入れられないことばかりが次々と起こる人生。読み進めていくうちに『こんな人生が本当にあるんだろうか』と、主人公のとわと同様、思わずにはいられなかった。
これまでに2度、訪れたことのある知床の風景を思い浮かべながら、『あの土地でこんな風に生きた女性がいたのか』と思うと、あらためて知床を訪ねてこの作品の風景と重ねてみたいと思った。

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2013年08月10日

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3月21日~29日

物心ついたとき、少女はここで暮らしていた。アイヌ語で、「地のはて」を意味するというこの土地で。おがちゃの背中と、あんにゃの手に、必死にしがみつくようにして。北海道知床で生きた女性の生涯を、丹念に描き、深い感動を呼び起こす。構想十年―書き下ろし長編小説。

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2013年03月29日

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明治の終わり~大正にかけて、北海道開拓に赴いたある家族、という設定の物語。当時の暮らしや北海道の生活、アイヌの人々の知恵などが物語の中にほどよく散りばめられており、読みやすい。
最初は開拓に巻き込まれた母親目線で、そのあとは北海道で育った記憶しかない娘の目線で描かれる。北海道の山の生活しか知らない彼女の都会へのあこがれや自然への思い入れが豊かに描かれており、面白い。
北海道開拓の歴史やアイヌの人々の温度感を小説のなかで学べ、人の一生についても考えることができる一冊。下巻も楽しみです。

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2019年05月13日

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父親の作った借金のため、生まれた土地から逃げるように北海道の果てへ移住することになった家族。
その地での開拓民としての生活は厳しく、幾度となく不幸に見舞われた。
家族のため、娘のとわが奉公へ出ることに。
貧しく辛くても家族が生きていくために、ただひたすらに働く女性を描く。

2015.2.1

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2015年02月01日

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北海道開拓団の一家族の物語。
もう悪いことが起きないでと願ってしまうほど、
いろんな「!?」と息をのむ不運が
続く、続く。

辛く、苦しいが、
「生き抜く」というその強さから
目が離せない。

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2014年08月31日

Posted by ブクログ

それでも、生きていく。
明日のことは、考えない。
今日だけのことを考えて生きる。
そんな主人公の強い生き方に、ただただ圧倒された。

ともすれば将来を悲観し自殺すらする人と、強くたくましくどんな過酷な状況でも生き抜く人。
その道を分けるものが何か。

強く生き抜いた彼女が幸せを晩年少しでも感じてくれていたらいい。物語に感情移入しつつ、同年代を生き抜いただろう「数多のとわ」に、敬服。

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2013年07月28日

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北海道が北海道と呼ばれる前の話。
生きるとはなにか。幸せとはなにか。
そんなことぐちゃぐちゃ言ってる前にとにかく生きろ!って感じの小説。

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2013年05月30日

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方言が分かりにくくて読みづらかったけど、慣れるにつれておもしろくなってきた。
12歳で奉公って考えると、昔の人は本当に大変だったんだなって思う。
とわ、がんばれ!

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2016年06月17日

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内容(「BOOK」データベースより)
凍てつくオホーツク海に突き出し、人も寄せ付けぬ原生林に襲われた極寒の地・知床。アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に最後の夢を託し、追われるようにやってきた開拓民の少女。物心ついたときにはここで暮らしていたとわは、たくましく生きる。今日から明日へ、ただ生き抜くことがすべてだった。北海道・知床で生きた女性の生涯を丹念に描いた、著者の最高傑作。中央公論文芸賞受賞作。

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2013年10月20日

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ネタバレ

北海道の開拓。すさまじい。私の基準からいうと、あり得ない。
掘立小屋で厳冬期を過ごしたのに、驚いた。というか、掘立小屋の実情を知って驚いた。小学生なんかのときに、私が作った段ボールの基地と大差ない。扉も窓も床もない。朝起きると、布団が凍ってたとか、布団に雪がつもっているとか、すごい。

そして、大正時代の女性がまだまだ自由に行動できない様がもどかしい。結婚相手を選ぶ自由がどれほどあったかはわからない。相手を選べない、というのは男性も同じかもしれないけど、結婚後は夫次第というのがなんともいえず。夫が立派な人物であれば問題がないけれど、だめ男だと最悪。離婚だってそんなに気軽にはいかないだろうし。
さらに、しわ寄せをくうのが子どもたちというのがいたたまれない。

主人公のとわが物心がつく前に北海道に渡り、小学校を出て小樽に奉公に出されて数年間までの話が上巻。
とわは幸せになれるのかな。下巻を早く読みたいような、怖いような。

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2013年09月08日

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大正~昭和30年代にかけて知床周辺の開拓民の物語。
主人公「とわ」は2歳で家族とともに知床の斜里町イワウベツに移住。極寒・痩せた土地を開拓する厳しく貧しい生活の中ウトロで育つ。12歳で小樽に奉公に出て、世界大恐慌の影響による不況で16歳で職を失い、18歳で結婚して斜里町に住み、ボロ布を仕立て直しで生計を建て、子どもを7人出産、5人を育て上げる。
想像を絶する過酷な人生だが、当時の開拓民にはこういう人生を送った人々が大勢いたのだろう。
しかし、「とわ」は才気煥発で向上心が強いので、小樽に出たことを契機に大成功を収めるといったサクセスストーリーならばよかったのに、と思わずにいられなかった。

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2013年07月29日

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