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Posted by ブクログ
経済小説の雄 高杉良が描くノンフィクション小説。
日系二世のアメリカ人 フレッド・和田勇は幼き頃の苦労を乗り越え、青果店を営んでいたが太平洋戦争が始まり肩身の狭い思いをしていた。
戦争が終わり、敗戦に打ちひしがれる日本だが、国際水泳連盟に復帰した日本水泳連盟は全米水泳選手権大会に日本選手を派遣することとなった。その選手たちの宿舎を求める新聞記事を見て、和田は私費ですべての選手を大会期間中、自宅に滞在させた。フジヤマのトビウオと呼ばれることとなる古橋、橋爪ら選手たちは、世界新記録を出すなどアメリカ人を驚かせた。古橋たちの活躍により「ジャップ」と蔑まれていた日系人たちは「ジャパニーズ」と呼ばれるようになる。
これが和田とスポーツの初めのつながりであった。
そして、ついに日本はオリンピック開催に名乗りを挙げることになった。
和田は、持ち前の面倒見の良さを発揮し、中南米のオリンピック委員の得票を目指し、各国を行脚した。その甲斐あって東京は断トツの得票数でオリンピック開催地に決まった。
和田は、東京オリンピックを実現させただけではなく、実業家として、祖国 日本を愛する一人として、アメリカと日本の懸け橋となって日米の交流を発展させた。
今の日米関係の礎を築いた偉大な人物としてこれからも語り継がれたい。
Posted by ブクログ
東京オリンピックを読んだ男、というテレビドラマが、2014年の10月頃に放送されました。そのドラマに感動して、その原作を買い求めたのが、今年(2015年)の初めころです。
普段は読みたい本がどんどん出てくるので、海外出張の飛行機の中で少しずつ読み進めました。映画を先に見ているからでしょうか、途中から読み始めても、すぐにその映画を見ている気分になれる、不思議な体験をしました。
この本は、フレッド和田という太平洋戦争が始まる前から米国に移民していた日本人が、自らの苦しい経験をバネにして事業を成功させるだけにとどまらず、自分の時間や資産を割いて、焼け野原になった東京へオリンピックを誘致した男の物語です。
テレビドラマは東京オリンピックまでの誘致に焦点が当てらていますが、原作であるこの本は、その後のフレッド和田氏の様々な活躍も詳しく述べています。
自分の寿命が尽きるまで、米国で働く日系人の幸せを願うだけでなく、それに向かって実行した力には頭がさがります。素晴らしい日本人を持つことができた我々の誇りですね。
感動した素晴らしい本でした。
2015年6月28日作成