感情タグBEST3
圧倒される画
五十嵐大介という漫画家の作品は、コマというコマの画からものすごいエネルギーを感じる。
生命の息吹が、静かに大きな波となって読者を包み込む。
人間・動物・神・自然、それらが互いの世界に重なり合い、別視点の感覚を呼び起こす。普通の感覚とはまったく違う、普段は眠っている原始的な・本能的な感覚を揺さぶられるようで、だからこの作品を読むと、怖いのかもしれない。
この「そらトびタマシイ」は短編集となっている(ほかに短編集といえば「はなしっぱなし」がある。こちらも名作)。
「海獣の子供」のような長編もいいが、短編こそ、五十嵐大介の本領発揮だと私は感じる。
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★そらトびタマシイ
父をなくした少女が、フクロウの雛を踏み潰してしまい、憑依される。
そして街で出会った、犬に憑依された女性に、助けてもらう。
→紙の生え際から羽毛が生えてきた……というシーンが非常に鮮明。触感に訴えかけてくる。
ちょっとしたシーンだが、肉体変質系の話は非常に怖い。(映画「鉄男」を思い出した。)
そして犬に憑依された女性の姿。ホラーだった。かなり傑作。
★熊殺し神盗み太郎の涙
神力を持つ少年が、山の生贄にされる少女に出会い、一緒に逃げようとする。
自分の力は人を殺すだけでなく人を守ることができるのか……。
→伝奇的な話。
ボーイ・ミーツ・ガールの話でもある。
この作者にしては比較的顔も漫画チックで、少女がドールのように見えた。
これもあとあと読み返したくなりそう。
★すなかけ
父母の喧嘩で家がつらい少女が、ふと電車の終点までいってみたくなる。
そこで出会った、皮膚から砂が滲み出してくる特異体質の球子と、似顔絵師の男性のカップルの家に同居させてもらう。
→現実に異世界が入り込んでくる話の多い作者だが、珍しく「砂女」という設定ひとつで話が進む。
そして珍しくほのぼのしたいい話でもある。
★le pain et le chat
パン屋の男性が、泥棒の少女をつかまえる。
彼女はいなくなった両親のために家を守っているが、捨て猫を拾っている。
→パン屋の青年の自己再生の話でもあり、少女の成長の話でもある。
猫アレルギーはつらそうだ。
★未だ冬
それぞれよくまとまった短編漫画で、質も高い。
魔女、はなしっぱなし、リトル・フォレスト、に続いて読んだが、はなしっぱなしにやや似ているか。
読書中断している「海獣の子供」もあらためて読みたい。
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とにかく五十嵐先生の絵が好きなんですが、はなしっぱなしよりはストーリーもわかりやすくて、五十嵐大介初心者にもおすすめ(だと思う)。
正直わけわからん所もあったけど、そこも含めて楽しむ一冊のような気がします。
犬と混ざってしまったお姉さんが良い。ストーリーでは砂の話が好き。
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舞台は現代だけど摩訶不思議な世界が描かれていますお。ちょっと鳥肌が立つくらいの恐怖もかんじるようなおとぎの世界だお。この人の絵もお話もとっても大好きだお
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土産 陶器
そらトびタマシイ あたまに鳥の羽根
熊殺し神盗み太郎の涙
すなかけ 絵描きと砂がにじみでる女性
le pain et le chat
猫アレルギーとパン屋
未だ冬 雪山遭難 春
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五十嵐大介氏の短編集。
ちょっとだけ奇妙な雰囲気が漂う作品ばかりです。
氏が近年書いている作品とは少々ティストが違って、これはこれで結構好きです。
表題作のそらトびタマシイが1番好きかな。
すなかけも好き。
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五十嵐先生の作品はやはり”美しい”。『一漫画』ではなく、『一芸術作品』であると言っても過言ではないと思う。それほどまでに心躍らされる魅力が、どの作品にも確かに存在する。心が奮い立つほどに壮大で、鳥肌が立つほどに繊細。華麗で、それでいて泥臭い。不可思議でありえないような物語でも、五十嵐先生の手に掛かれば実にリアルな”存在”として捉えることができる。
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好き嫌いがはっきり分かれる漫画だと思います。
私はこの漫画で初めて「ストーリー」ではなく「絵」で泣きました。一生かかってこもこの人の場所にはたどり着けないと思った作品です。
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美大出の人の絵だなあ デフォルメをがんばってるなあ ってかんじました。天性の、ではなく(絵)
そらとびタマシイが好き
冬帝に喰らいつき それを喰らい 喰らいつくす(冬帝)
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短編集。
自然や生命と癖のあるひとふりのストーリー。
そして圧倒的な絵の力に飲み込まれる感覚。
アフタヌーン四季賞ときてああなるほど。と頷く。
メリハリの利いてる『そらトび〜』『すなかけ』が印象的。
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五十嵐大介の作品の中でもこれが一番すき。
お父さんが交通事故にあった現場で
焦げたにおいに「お父さん、ごめんね・・・」と
呟きながらもお腹がなってしまう少女。
人間てすごく俗物的な生き物。
いつまでも手元に置いておきたい一冊。
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五十嵐大介作品集
絵が独特。
絵がめっちゃいいのに話はイマイチってマンガが多いけど、これはどっちも完璧!
不思議な話が心地よかった〜
特に体から砂がでる特異体質の女の人と家出少女が出てくる『すなかけ』が好き。
体から出した大量の砂で恋人を交通事故から守る場面が秀逸だった。
あと、『le pain et le chat』も面白い。
眼球に入るコマ、最高やね。
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リトル・フォレストでロハスな作品なのかな、とか思ってたら大間違いでした五十嵐大介。
表題のそらトびタマシイはショックでした。なんだろう、、よくある奇談なんですが、バックエンドの魔術/伝奇/民俗/精神世界を良く消化した上で物語を構成してるんでしょう。面白いです。
多分、本能とか、歴史とか、人を構成している成分に働きかけるのが巧いんじゃないかな。少ない絵、少ない言葉で心揺さぶる。ベクトルはゼンゼン違いますが永井豪と同じプリミティブな、呪術的な魔力があります。あちらはセックス&バイオレンスでしたけどw。
Posted by ブクログ
いのち、についての短編集。
土の香りと凄まじい生のエネルギーがむせるほど立ちのぼり、繊細なタッチが何となく不安を誘う。
物語に大なり小なりの形で寄り添う“死”は本能的な畏れを喚起し、ざらざらとした擦過傷を心に残すかのよう。
断ち切られる生、緩慢な死、あるいは脆く温かくてうつくしい生物の営み…ざらっとした読後の感覚でさえも、大切にしまっておきたくなる。
今、ここに、こうして生きていられるということは、こんなにも凄いことなんだ…当たり前のことを、何ということもなくツラツラと考えることが出来るという二重の奇跡。