【感想・ネタバレ】タイタンの妖女のレビュー

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Audibleにて。

「私を利用してくれてありがとう。たとえ、わたしが利用されたがらなかったとしても」
「僕に命の贈り物をありがとう」

 登場人物たちの別れに際しての言葉。感謝により締め括られた別れの時。いかんともしがたい運命に翻弄されつつも、人生の価値を見つけられたという何よりの証左だろう。美しい物語だったな。

 トラルファマドール星人が辿った歴史は、哲学を失った生命体の末路だと思える。目的のための争いではなく、争うことが目的となっていく。暇を弄ぶようになった人間に、ろくなことは起こらない。

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2024年05月12日

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世界観が鮮やかに僕の頭の中に映っていった素晴らしい小説だった。
久しぶりにこの作者の他の作品も読んでみたいと思わせてくれる一冊でした。

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2023年11月10日

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400p過ぎから全てを回収しまとめていくのがあまりに読んでいて気持ちいい。
最高のSFで最高のラヴストーリー。
好きなフレーズがたくさん。
また読みたい。

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2023年09月28日

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ネタバレ

 この作品が何を描きたかったのかを考えてみると、コンスタントに本当の愛を知ってもらうための物語なのではないかと思った。「天にいるだれかさん」は、コンスタントのことが好きだという記述が出てくるが、作品の最後がその言葉で締め括られていて、様々な困難は「天にいるだれかさん」がコンスタントに本当の愛を知ってもらうために与えたものではないかと思った。
 極端な思想や謎が多くある作品で考えさせられた。

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2023年08月08日

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世界観や出てくる言葉が複雑で、気合を入れて丁寧に読み進めました。初めはよくわからなかったものが、読み進むうちに繋がっていって、すっかり宇宙空間の広大な時間の流れに引き込まれてしまいました。
一度では理解できない言い回しの一つ一つが示唆的です。非現実世界の出来事なのに何度も自分の平凡な生活を振り返り、反芻する部分が多くありました。
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかももはやよくわからないけれど、後味の良い読後感です。
読み終わった今広大すぎる時間と世界(宇宙)を彷徨う疲労感と満足感に満たされています。この世界に「偶然」はないのかもしれないと、思うようになりました。

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2023年02月11日

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ネタバレ

面白い。
人は生きる限り、使命やら目的やらを見つけねばならないが、それが全くアホみたいなものの力によって動かされていたとしても、耐えられるだろうか。
「それでも良い」と言えるような意義を、私は見つけたい。

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2022年12月26日

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この哀れな生物たちは、ある種の目的はほかの目的よりもっと高尚だという観念に取り憑かれていた。
こんな現代人を別の視点から見て皮肉ったセリフがあるのがSFの魅力だと思う

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2024年04月02日

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正直読みづらかったが、50年以上も前の小説とは思えない新鮮さがあった。突飛な発想と不思議な語り口に魅了された。

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2024年01月04日

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ネタバレ

遅読な自分は半年くらいかけて、ちまちまとこの小説を読んだ。岡田斗司夫のオススメで、太田光の愛読書という触れ込みで興味を持った。
全体の構造を把握しながら一気に…という読み方よりは、毎日5ページずつくらいの方が、次から次へと展開していくこのストーリーを無理なく楽しめたかもしれない。まるで短編集を読んでいるみたいに次々と物語の筋が移っていく。そして最終的には1冊の本が総体として「人生とは何か」ということを仄かに伝えてくれるような感じがあった。
物語の細部は思い出せないけれど、得体の知れない異星人が宇宙の果てに「よろしく」と伝えるために、これまでの地球の歴史を操作してきたというとんでもない発想は、どこか皮肉めいているようで、深い愛があるような感じがしてよかった。我々の存在理由はそんな大それたものではない、けれどどこかの誰かの役に立っている、そんな感覚が心地よかった。
大金持ちのコンスタントの生涯が踏み躙られ、未来も何もかもを手にして新しい宗教を立ち上げようとしたラムファードの生涯も踏み躙られる。そんなキャラクターたちが最終的には「誰かに利用されることが最大の幸福」というところに辿り着く、その一連の流れが美しかった。
今までSFと言えば、「こんな世界だったら人類はどうなる?」といったことを思考実験するようなもののイメージが強かったので、本書のような宇宙冒険物は新鮮で面白かった。が、当初、予期していたような話の内容ではなかったので、ちょっとしっくりとは来ていない。しばらくはこの手の小説は読まなくてもいいかな。

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2023年11月01日

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名作と評判の一冊ですが、遂に読めました。コミカルなsfです。銀河ヒッチハイクガイドほどぶっ飛んではいません。

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2023年09月18日

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長い映画を観た後のような読後感。場面の展開が何度もあり、見知らぬ言葉も多いので戸惑うが、個人的には人におすすめ出来る素晴らしい本だと思う。

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2023年09月03日

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ネタバレ

ヴォネガットらしくケレン味に満ちた名作。
あらすじでは「シニカルかつユーモラス」と言われていたけど、素直に「趣味が悪い」とか書いてもいいんじゃないです?まぁ、それを面白く読ませるのがヴォネガットの持つ魅力なわけなのだけど。

内容については、解説で太田氏が殆ど語ってしまっているかも。
登場人物の全ては誰か(何か)に利用され、地球の文明すらメッセージを送ることに使われていた。ビーもコンスタントもラムファードに、ラムファードもサロの母星に、サロもたった一言のメッセージを伝えるためだけに。
そういった階段を上っていくと、最終的にあらゆるものは”そうなろうとする万有意志(UWTB)”のために存在することになる。けれどこのUWTBすら、サロの宇宙船のエネルギー源に使われてしまう。使われる/利用されるというのは連環構造なのだな(だからラムファードは神を否定しているわけだけど)。

だから「私を必要としてくれてありがとう」というのは、その繋がりに感謝することなわけだし、それは使われる/利用されるというより”愛する(必要とする)”とか言っちゃうほうがしっくりくるかもしれない。
ある意味ヴォネガットらしい、けれどまっすぐな愛の話だった…のかも。

『ガラパゴスの箱舟』で警戒してたけど、意外と「シニカル」で収められる範囲の作風だった。オススメです。

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2023年08月19日

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人類の色々な出来事、個人の行動が自分で選んだものではなく大きな存在から仕組まれたものだったりしたら・・・。
と、聞くと大いなる陰謀から逃れようとする人間の戦いが始まりそうですが、基本自分よりも上位の次元の存在だとしたら、その行動から逃れようとするのは至難の業だと思います。この本もそういう悲しみを湛えた本です。
読んだときはあまり好きではないと思ったのですが、数日置いたときに何故かじわじわと沁み込んできて、物語の意味を考えてしまう自分がいました。

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2023年08月01日

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ネタバレ

少しとっつきにくいところがあるがよちよちと読んでいくと読まずにはおれない気分にさせてくれる本だった。

人類の究極の目的がわかってしまった時の悲哀が感慨深い。それでも…と思わずにはいられない。

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2023年02月07日

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ネタバレ

この世の原理はカルヴァンの予定説的摂動()であり、然もその予定は神ならざる力に拠りもたらされる!みたいな。

予定説のヨの字も出てこないんですけど、これは予定説です。

唯一、作中のハーメルンの笛吹き男的登場人物のモデルがF・ルーズヴェルトてのが気に入らなかったけど、面白かった!

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2023年01月06日

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物語は壮大なファンタジーだが、その中身は総じて哲学的な問いが目立つ。
一度読んだだけでは この作品が放つ本質的な問いを理解しきれず、分かった気になることしかできなかった。
が、壮大なスケールで繰り広げられる物語は面白く想像をかきたてられた。

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2022年12月18日

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ネタバレ

皮肉とユーモアに満ちたSF珍道中
聖書の文章から頭文字を取って株券を買うという、信心深くも超適当な投資で莫大な財産を築いた父を持つ、大金持ちのダメダメドラ息子が、ある日自分の人生の行く末を聞かされ、抗うも結局は逆らえずに、予言通りの波瀾万丈な人生を歩む羽目になる…
めちゃくちゃなあらすじで、細かいディテールは悪ふざけの嵐(聖書株券とか、火星軍の行進の歌とか、そもそも火星軍とか…)なんだけど、そこがたまらなく癖になってグングン読み進めていってしまう本。
宗教や、戦争がいかに超小規模な個人のための利益に操られているか、という痛烈な風刺として読んでいたら、最終的に、人類が今まで歩んできた歴史すらも遥か遠くの宇宙人の個人的な通信のために使われていた、という衝撃的な結末に後ろ頭をハンマーで殴られたような気分になった。
オイディプスのような、逃れられない運命という神話的な大枠に、さらにそれを覆うようなオチが用意されていて、スケールの巨大さに呆然とする。
デカい話と細部のくだらない描写が同時に存在しているところが、たまらなくいい。
そして人間の、何万年の歴史を巻き込んだ巨大な物語が、徒労としかいえない結末を迎えるところも、虚しくてとてもいい。
人生には意味があると信じ、目に映る全てに意味を見出そうと躍起になり、それを解き明かそうと絶えず脳を動かし続けて気が狂いそうになっているとき、この小説を読むと、ふっと肩の力が抜けて、立ち止まれるきっかけになると思う。

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2022年09月28日

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“そうなろうとする万有意志”とやらで、わたしたちは自分の人生に活路を見いだせるだろうか。
それとも、知りもしない、遠い遥か彼方の存在である誰かの手のひらの上でただ転がされてしまうだけなのか。

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2022年08月11日

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神のような力を使う人物によって、富も記憶も奪われて宇宙を流浪させられた男の行く末が描かれた物語。

ユーモアさとシニカルさと哲学的な要素が混じった話。

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2022年07月30日

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太田光がラジオを始め、さまざまな媒体でお勧めしていて、いつか読みたいと思って取っておいた作品。
徹底的に無関心な神の教会とかUWTB=そうなろうとする万有意志とか無地獄!と鳴り響く鐘とかどうやったら思いつくのか想像もつかない語彙にまずは圧倒される。軽妙なタッチ自体は既に指摘されている通り、風の歌を聴けに似ているが発想の突飛さは日本の作家では中々お目にかかれない代物。
物語中盤で主人公のマラカイ・コンスタントはラムファードに自分の人生のネタバレというか予言をされる。その予言はこの著作自体のネタバレに他ならないわけで実際に作品は予言の通りに進んでいく。いわば作品自体がUWTBに突き動かされて進んでいく。
オイシイところを全部知った上で読む本作を面白いのかと感じる人もいるかもしれない。これがまた面白いのだ。運命論をある種の言い訳と考える人もいるかもしれないが大事なのは手近にいて愛されるのを待っている誰かを愛すること。そう教えてくれたのが本作だった。

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2022年06月10日

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「アンク」が「UNK」になった、
「私」が「俺」のなるなど、ちょっと変化。
太田光の解説が秀逸。

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2023年08月21日

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SF。
序盤は、設定も会話も奇妙で、なんとも分かりづらい感じ。
4章、舞台が火星に移ってからは、ストーリーが進んでいくのが分かり、読みやすくなった印象。
水星の生物"ハーモニウム"の描写がとても好み。
エピローグは、何故か良い話っぽく終わって、読後感は爽やか。
SFとしても、冒険ものとしても、単純に奇妙な物語としても見所があり、有名作品であることにも納得。

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2019年10月08日

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今時の「見事な伏線回収!」とか「今年一番泣ける小説!」「衝撃のラストにあなたは震える」などおよそそういった小説たちに最近どっぷり浸かっていた自分にとってはなんじゃこりゃ?と、どう解釈していいのか、どう感情移入していいのやらよく分からず眉間にシワを寄せながら読んでました。ただ読んでる途中で太田光さんが書いてたあとがきをふと読んだら格段に読みやすくなった。この小説は訳わからない、ただ訳わからないままでいいじゃないか。そう思って読むとなんだか素敵な物語に思えてきた。万人にはおすすめできないが、万人に読んでほしい小説。かな(笑)

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2024年04月28日

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悪くはなかったけど、自分にははまらなかった。
SFの名著らしいが…うーん
読む前は妖女を幼女と勘違いしていてファンタジー的な話かと思っていたが全然違った。
しかも妖女生きてないし。

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2024年04月25日

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地球、火星、土星が舞台となる壮大なSF。シニカルが効いていて、オチもなかなか良かったが、個人的にはそこまでハマらなかった。

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2024年04月07日

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ところどころ理解しづらい部分もありましたが、SFの名著と言われるだけあります!メッセージ性もあり面白かったです!自由意志、神、宗教といったテーマが扱われていて、壮大でコミカルな物語でした!YouTubeで解説を少し見てまた読もうと思いました!

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2024年04月06日

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普段、SFを全く読まない私が読んだ『タイタンの妖女』
この小説は冒頭から「実体化現象」、「時間等曲率漏斗」など固有の名称が出てくるため、初見のものはグッと堪えて読み進める必要がある。
裏表紙に書いてあるのでネタバレではないが、「主人公が火星へ行く」と説明されてから実際に行くまでの話がとても長く、「いつ行くのか?」とこれまた忍耐を必要とした。それからの主人公を待ち受ける物語については割愛するが、これは悲劇と見せかけた喜劇である、と最後まで読んで得心した。
著者はおそらく人類をどうしようもない愛すべき存在として捉えてるのだと感じた。
著者のいいたいことは、ラストクライマックスに凝縮されている。
「だれにとっても一番不幸なことがあるとしたら、それはだれにも何事にも利用されないことである」
そしえ、特筆すべきは次の台詞
「たとえ、私が利用されたがらなかったにしても、
私を利用してくれてありがとう」
ここに、著者の思いが集約されていると感じた。
様々な他人の思惑や思いもよらない悲劇がたとえ待ち受けていようとも、人は人をして人たらしめられている。そのように考えさせてくれた本である。

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2023年10月31日

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ネタバレ

カート・ヴォネガットの文体は、表紙の和田誠さんのイラストのイメージそのままだった。全体的にコミカルだけど、精読するほどはぐらかされてしまう。掴もうとするほどヌルッとウナギのようにすり抜ける感じ。この表現、どこまで意味があるのだろうか?コレ、必要?と感じる未回収な言葉を乱発しつつも、登場人物たちの意味深なセリフで主人公と読者を撹乱し、カート・ヴォネガットの意図する方向へ導いていく。そうだ、この構図(手法)は、村上春樹さんの初期作品と似ている。独特なリズム感がクセになる人は居るだろう。人間社会に低通するバカさ加減を風刺するシニカルさも村上春樹さん(ハルキストも?!)や爆笑問題の太田光さんのような人たちを魅了し続けるのかもしれない。

本作のテーマは多岐にわたるが「自由意志」と「存在意義」について言及したい。主人公マラカイ・コンスタントは自分の意志で宇宙の大冒険をしてきたが、実は神のような存在のラムファードに導かれていたことが終盤で明かされる。でもその万能の神ラムファードもトラファマドール星人に導かれていたことが判明する。それだけではない。人類も宇宙船の故障でタイタンに足止めを余儀なくされていたサロを助けるためのメッセンジャーの役割を担わされていたり(万里の長城やストーンヘンジも伝言メッセージだった!)、修理部品を作るために進化させた文明だったと言われて、読者もこの「マトリョーシカ」の入れ子構造に組み込まれる。さらにさらに今はトラルファマドール星人は滅亡して存在しないときた。物語の目的の出発点が不在なのだ。まるで玉ねぎの皮を一枚一枚向いたような話じゃないか。そしてトラルファマドール星が滅亡した理由もドキリとさせられる。高尚な目的を持って発明を重ねてきたトラルファマドールの人々がサロのような有能な機械を作り、機械にもっと高尚な目的を探索させたところ、「生物が高尚な目的を持ち得ない」と知らされ、幻滅し、滅亡するまで殺し合ったというのだ。「人類最後の発明」と言われる汎用性人工知能の誕生を前にこの風刺は痛烈過ぎる。

こうして「受動意識仮説」のような自由意志のフラクタルの先に自由意志どころか、存在意義さえも消えてしまった、という話だった。

これは喜劇であり、悲劇である。

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2023年09月24日

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太田さんがあんまりにも面白いと言うので読んでみた。
途中までは続きが気になる感じで読んでたけど、後半は少し読むのが億劫になってしまった。
昔の翻訳の仕方のせいなのか?文章が少し分かりづらいように感じた。現代版の翻訳が出ていたら読みやすくなっているのか?
星新一とかに似てるのかな。SFと皮肉が混ざってる感じ。
わからない部分は多々あったけど、ストーリーは先が読めなくて面白かった。

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2023年03月22日

Posted by ブクログ

SF界では有名?なこの作品、学生の時に友人に勧められていたのだが、手が伸びずに縁がないまま*年。気が向いたので読んでみることにした。
この本、なかなか読み進められない。大抵の本は最初が進まなくてもある程度進むと勢いで読んでしまうのだが、その勢いが出るところがない。読み進めても着地点が見えてこない。毎日少しずつ読んで何とか読み終わり、最後にようやく納得の結末です。
人間関係、住んでいる世界、自分の目に見えているもの、認識しているものは何がどこまで確かなのか、本当なのか。この小説も、サイエンスな部分はどうでもよくて、どちらかというと哲学や宗教的な色が強い。文学作品として評価される作品だということは理解できましたが、個人的には、もうこういうのは読まなくてもいいなと。わかってもわからなくても、わかったような気になることも、大差ないと思うので。

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2022年12月05日

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