感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人気ゲームソフト「ライフキングの伝説」にまつわる奇怪な噂。死のにおいのするいくつもの噂に、変化していく日常。子供たちは互いに連帯しながら、それぞれの方法で孤独な戦いを始める。「子供たち」と「大人たち」の関係や、リアルとバーチャルの関係が、社会派的なものでなく、リリカルな寓話として描かれていて、ラストは胸が痛くて痛くて、涙で文字が滲んで大変で、もう。僕たちは新しいリアルです。忘れないで、ハーフライフ。怖いけど解かなきゃ死ぬからがんばります。よくできたコピーのようなキーワードがスイッチになって、また思い出して胸が痛くなったりするのです。
……しかし、うーーん。藤原カムイのあの素晴らしい表紙の画像がないってどうよ。
Posted by ブクログ
「ノーライフキングは生きている」
やーおもしろかったです。寺山修司のトマトケチャップ皇帝的な面白さでした。
ライフキングというゲームに熱中する全国の子供達の裏ネットワークが社会を錯乱させていくーみたいな話。
子供達の間で広がる根拠のない噂で大人の社会が動かされてそれを機に大人達が「ライフキング」狩りを始めていくその感じが超好きでした。
たしかに子供の頃って妙な噂に振り回されてたなあと。特に多かったのはあれですね、何人に同じことを話さないと〜とか、どこどこに行って呪文を唱えないと〜とかいう怖い話。
もう一回ちゃんと読み直したいです。
Posted by ブクログ
子供たちの間で流行しているディス・コンゲーム「ライフキング」。裏技やバージョンの情報交換のために子供たちが作り上げたネットワーク上に、「ノーライフキング」の噂が流れ始める。ゲームの中で失敗をしたら死んでしまうという呪いのゲーム、ノーライフキング。呪われた世界を救う為戦い始めた子供たちが、最後に出会った無機王の正体とは―?
有無を言わさず読ませるだけの面白さ。現実とゲームが交差し子供たちがゲームにのめりこんでいく様は、1988年に描かれたとは思えないほどリアルです。ネットワークが発達した今だからこそ読む価値のある一冊。
Posted by ブクログ
これは面白かった。
テンポがよいという言葉があるけど、読み終わってみると激流に飲み込まれていた気がする。
登場人物達はみんな、時間がないという無言の圧力を受けて焦っているから。
ゲームを中心にした話で、ファミコン全盛時代の作品だとわかる。
そこから未来を意識して書いているから、ちょっとノスタルジックなSFっぽい。
ファミコンならぬディスコン(だったかな)、
それとソフトを中心にして展開する、子供達社会を巻き込んだ無声パニック。
ソフトを解き明かさないと死んでしまうという強迫観念が、子供達に自殺まで引き起こす。
あ、珍しい。樓主は純粋にこの作品を誉めているね。
おそらくこれのソフトのモデルは「ドラクエ」だと思うのだけど、どうだろ?
Posted by ブクログ
ファミコン全盛期の子どもたちのネットワークと、都市伝説的な噂が社会問題に発展する過程を描くなかで、80年代後半における、デジタルへの希望と不安が入り交じる時代感覚をすくい取ったサスペンス味のある小説。深く考えると考察の余地が多いし、汲み取れるメッセージ性もあるとは思うが、序盤はノスタルジーな感覚、ラスト付近はよくわからん不気味さが強く印象に残る雰囲気ゲー。あとがきにあるように「降りてきた」物語は神がかっている故、30年たった今も人をひきつける魅力があるんだなぁと。ファミコン世代なら一度は読んでほしい傑作。
Posted by ブクログ
1988年の小説。インターネットやスマホが世にはびこっていない時代が舞台。
「ライフキング」というゲームが空前のブームになり、すべての子供たちが夢中になっている。そのゲームの攻略法やバージョンの違いなどの情報を交換するネットワークが子供たちの情報交換の場となっている。そのネットワーク上に噂が流れ始める。死がまとわりつく噂が。この呪われた世界を救うため、子供たちが立ち上がる。
ゲームの世界と現実の世界が交錯する展開にしびれる小説。
子供の視点で語られる点もユニークだし、彼らから見た世界観の描写が、郷愁をさそうようで、昔はもっと直観的でシンプルに世の中を見ていたことを思い出す。
また、死について考え始めたのは、いつ頃だろうか?死に対する子供ながらの漠然とした感覚を上手に表現されている。
現代社会をある意味予言したような小説だと感じた。
Posted by ブクログ
なるほど、テレビゲーム熱が高じて現実世界へ蔓延してくるっていう、当時はかなりのリアリティを持って大人たちに囁かれていたであろう内容の物語化。テレビゲーム創世記、まだ大人たちからは圧倒的に煙たがられる存在であった当時、リアルタイムでハマリまくっていた自分としては、懐かしく思い出されるような描写もそこかしこに。ゲーム人口が圧倒的に増えている現在よりは、当時の方がインパクトは大きかったかも。本作そのものを楽しめたというより、読んでしまったことで、またゲームがやりたくなっちゃいました。のめり込み過ぎてしまうんで、ある程度自重しているんです。
Posted by ブクログ
SFかと言うとそうでもない、オカルトでもない。
むしろ現代のネット社会に通じる高度な情報のネットワークと子供達の心にあるアンリアルの果てに結びつく新しいパースペクティヴを持ったリアルのありようを通じ、小さきものが体を震わせながら今の闘いを戦って行くと言う物語。
子供の世界と大人の世界は位相が違うが、そこにある生と死のリアルは地平の彼方で融合し、少年は闘いを挑むのだ。
その果てに何が待つとしても、自らの選択で。
Posted by ブクログ
小学生の間で爆発的ブームを起こしているディス・コンゲーム、「ライフキング」。
全国的ブームの中、裏技や呪いの噂が広まり、やがて大人社会も飲み込む騒動に発展していく…。
とても、20年以上前に書かれた内容とは思えません…。
今なら、2ちゃんのデマとも本当とも分からない話に、翻弄されている感じ??
ゲームの世界と現実世界がシンクロした時の、子供達のパニック…。
その時期特有の一過性の熱病というには、現実世界は重い閉鎖された世界…。
自分が子供の頃に信じていた「ノストラダムス」とか「口避け女」とか思い出しちゃいました。
Posted by ブクログ
題材がおもしろく実際に体験しているのでいっきに読むことができました。
今思うとあのポケモン100レベルの裏ワザはいったいどこから流れてきたのだろうか?携帯電話やパソコンも今より普及していなかったのに…
Posted by ブクログ
子供達の間で大流行しているゲームソフト「ライフキング」。
このソフトにはⅠ~Ⅳのバージョンがあり、更には呪われたバージョンⅤがあるという。
噂は噂を呼び、ついには現実を侵食していく。そして・・・
僕も小3の時にやったドラクエⅢに衝撃を受け、タクティクスオウガで矛盾を知り、FFⅦで感動に至るのであるが、その後はゲーム特にRPGにはハマりすぎて徹夜も辞さなくなり、社会生活を送れなくなるのが分かっているので、手を出さないようにしている。
それくらいゲームには心をのめりこませる何かがある。
そして、そこにネットワークという魔力が加わり、子供達は否がおうにも闘いに巻き込まれていく。
本書で語られる「新しいリアル」のその先の世界に、今、自分達はいる。
ツイッタ―やフェイスブックなど、考えてみればとんでもない世界にいる。
自分をグーグル化させよう!なんて提唱させる経済評論家がいる位だし。(僕もこんなレヴューを手軽に発信できるし)
この時代の向こうにキングがいるのか。
まだまだ闘いは終わらないんだ。
Posted by ブクログ
二十年ほど前のファミコン全盛期に書かれた本だが、今読んでも古さを全く感じさせなかった。子供の間に噂が広まっていく過程や、保護者の団体とマスコミ主導で行われるディスコンの排斥運動の描写が秀逸。
Posted by ブクログ
この本棚もまた、私の「賢者の石」の一部なのでしょう。
無機の王が迎えに来るまで、私も新しいリアルを生き続けます。
ワスレナイデ、ハーフライフ。
Posted by ブクログ
いとうせいこうさんが小説を書いていることに驚き購入しました
20年ほど前に書かれた小説なのに古臭さがあまりなく、
ストーリーに入っていきやすい面白い小説でした
Posted by ブクログ
長らく絶版だったものが、再版となりました。
いとうせいこうってこういう文章書くのね〜
小説に出てくる世代の子供にとってはホラー小説になるのかもしれない。
大人にとってはどうなんでしょう。
家族で読みまわしてほしい一冊です。
Posted by ブクログ
いとうせいこう氏の処女作とのこと。
物語が降りてきて一気に書き上げたそうだ。それに習い自分も気合を入れて一気に読みすすめる。
200ページ程なので、中編になるのかな?
ビデオゲームをモチーフにした、社会問題を取り上げた文学小説といったほうがいいんだろう。
自分の中で、良い小説と思える基準にしている
難解な単語を使ったり、分かりづらい文章構造じゃないこと、はクリアしているので、数時間で読むことができたしいい作品なんだけど。
途中何気ない文章が、とても怖く感じたり。
ゲームソフトの呪い、クリアするための攻略法とやらが、若干抽象的でわかりづらいような。
でも物語のポイントは子供世界のリアルと大人社会の軋轢を書きたいわけで、そういう、それこそゲーム的・物語的な仕掛けや伏線回収などエンタメ的なものを提供している種類の小説ではない。
ゲームのワクワク的な面白さを期待してしまったのでその点では肩透かし。
なんせこれは初版が30年以上前の本(1988年!)
「ノーライフキング(無機王)」っていうタイトルは最高にかっこいい。サバン症候群的なさとるくんのキャラクターが気に入ったのでもっと活躍してほしかった。
Posted by ブクログ
小学校四年生の大沢まことをはじめ、子どもたちのあいだで「ライフキング」というゲーム・ソフトが流行し、学校や塾ではそのゲームをめぐるさまざまなうわさが取り沙汰されるようになります。呪われた世界を救うというゲームの世界観は、たちどころにうわさが広がっていく子どもたちの情報網を通じて現実世界へと流れ出ていき、大人たちのさまざまな反応を引き起こしていきます。
1980年代の消費社会を背景にした作品で、たとえば大塚英志の『物語消費論』(角川文庫など)などによって提示された見取り図のもとで読むことが可能であるように思われます。大塚は、やはり本書と同時期に子どもたちのあいだで流行した「人面犬」にかんする都市伝説を、民俗学的な手法を駆使しつつ分析するとともに、昭和天皇をめぐるメディアと一般の人びとのまなざしが「不在の王」を取り巻きつつ構成されていくことについての分析をおこないました。本作に登場する「王」にも、同様の構造を見て取ることができるでしょう。
「解説」の香山リカは、時代にあまりにも密着しすぎた本作との衝撃的な出会いと、現在におけるより深刻な困難について語っていますが、たとえば浦沢直樹の『20世紀少年』(小学館)のように、ノスタルジックなあじわいをたのしむという読みかたもありえるのではないかという気がします。
Posted by ブクログ
序盤、おお!?と面白い流れなんだけど、
中盤からいまやよくある噂と真相みたいな話になってしまった。
しかし確かにリアルという言葉が今も通用しているし、コンピュータに子供が(大人も)支配されるという、先見の明はスゴイ。
明確な答えという名のキングがまだ現れてないという結論もまたリアルだ。
Posted by ブクログ
前半 子供ウラ社会な感じで わかりやすかったが、賢者の石あたりから、意味不明になった。結末が読みきれない。子供たちは まだ 戦っているのだろうか、賢者の石に託して 死んだという意味なのか
ノーライフキングは「子供たち全員一致の死」を導く暗黒迷宮。大人(母親)の暗喩かも。
ライフキングは 子供たちが 「子供同士の情報網」「死の噂」により作った 無機(生命のない)世界。ライフキングは ノーライフキングから分離した一部(ハーフライフ)。子供(男の子)の暗喩かも
母と男の子が 多く描かれている。ノーライフキングと ライフキングの関係を示したのでは
Posted by ブクログ
SFの雰囲気もあるし、サスペンス的でもあるし…。
子供達の間で大人気のゲームソフトにとりこまれ壊れていく様と、子供達の間で飛び交う様々な噂で壊れていく現実。
どちらも、現実に(程度と形は違えど)起きている事だろう。ヴァーチャルとリアルの境い目がアヤフヤになって、そもそもリアル(本当)がどれだか分からなくなってしまう。怖い事だけど、起きてないと言い切れるだろうか。
この物語が、2008年に既に編まれていた事が凄い。
Posted by ブクログ
糸井重里のmotherを思いだした。
あと、二階堂奥歯。
初出は1988年というから驚く。
全容はわからないけど、断片的にすごくよくわかる、という感想。
小説としての価値は高いと思う。
ただ、読者を選ぶ気がする。
もっとわかりやすい表現と演出があればもっと化けたのでは…など、可能性をすごく秘めている小説。
Posted by ブクログ
このお話、1988年に作られたものだと知り、
かなり衝撃を受けました
今から20年以上も前にこれを書いていたなんて
本の帯にもある通り、現代を予見していたかのようです
いとうせいこうさんは、ガーデニングだけじゃない
と思わされる一冊です
Posted by ブクログ
発表されたのは1988年だったんですね。まさしくファミコン全盛期。
こどもたちの間でブームとなっているゲームソフト「ライフキング」を巡る、いとうせいこう代表作。
Posted by ブクログ
子供と大人の理解はありえないのだろうか。子供は、「死」を恐れ、さまざまな噂を流す。一方で、大人は、子供の噂が社会に与える影響を強く恐れ、噂の原因を断とうとする。しかし、その大人の行動こそが、子供たちが恐れる「死」であるようだ。