【感想・ネタバレ】のりうつぎのレビュー

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Posted by ブクログ

雅楽の龍笛を吹く大学院生の邦生は画学生の茜と出会い結婚、栃木へと移り住み、2人の娘たちを授かる。姉・笛子は姉妹でありながら自分とは正反対の華やかさを持つ妹・笙子―可愛らしく、大胆で、周囲を惹きつけて止まない彼女を横目に、自身は笙子の「影」に徹していた。
龍笛を生業とする父を師として笛子は笛の道へ進む。しかし15の夏、海で起こった出来事をきっかけに笛子の笛は変わることになる。一方、地元を離れて絵の勉強をすることになった笙子はひとり京都の大学へと進んだ。

笛子の章と笙子の章がそれぞれ交互に進みストーリーは展開していく。
それぞれが秘めていたゆえにすれ違っていた心が、章を追うごとにその歯車が合わさっていき、家族―姉妹や夫婦、そして新しい家族のかたちが浮かび上がる。時に噛み合わないことはあるけれど、いざという時に最も頼りになる家族や周囲の仲間はかけがえのないもの。
笛子と笙子の半生を中心に様々な人生模様を垣間見ることになるが、人はいくつになっても変化するものであり、変化できるものであると気付かされる。
読後は温かい余韻を残してくれる作品。

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2016年01月13日

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