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Posted by ブクログ
生まれたときからシークの花嫁、王妃となるべく育てられた王女アンバーは婚約者の王が亡くなり、次男である王子と結婚することになった。
しかし、兄とともに事故に遭い、瀕死の重傷を追った彼は怪我が癒えきらない中に、姿を消して別の女性と恋に落ちてしまう。
―私は呪われた花嫁。
落胆と傷心のアンバーは結局、三男の王子と結婚することになる。
実は王子は彼女を以前から好きだったのだが、彼女が兄を好きだと知り、本心を悟られまいと心を閉ざしたたのだった。
哀しい誤解が更にすれ違いを呼び、二人は王と王妃となってからても、うち解けないまま過ごす。
そんな時、二人が誘拐され、監禁される。閉鎖された空間の中で二人は初めて心を通わせ合うことになるのだが―。
なかなか興味深い展開でした。
「この三年間、ハールーンは英雄という言葉の意味を教えてくれた。真のヒーローは派手な舞台もトロフィーも必要としないし、カメラの前でシャンパンを掛け合ったりもしない。豊かさを追いかけたり、歌や詩を作ったり、女性に花を贈ったりするのも違う。自分を顧みず、ただ黙々と、たとえ傷ついても正しい道を選び、大事なものを守ること。見返りは求めず、与えることなのだ。」
アンバーが夫ハールーンの良さを心底から理解したときの述懐がとても印象的です。
ハールーンはきらびやかな兄たちの陰に比べて、物静かな男でしたが、思慮深く行動力に富んだ責任感の強い人でした。驚くべきことに、彼自身が派手ではない自分を兄たと比べてコンプレックスを抱いていたのです。
ラストで彼は自分を理解してくれる女性こそが冷たくしてきた妻だと気づくのですが、実は妻がいまだに兄を愛していると誤解していたから。
本当に強い人はけして自分の強さをひけらかすようなことはしない―。
本当の人間の価値は何なのかを教えてくれるようです。