【感想・ネタバレ】開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―のレビュー

作家というのは嘘つきなものですが、皆川博子ほど上手に嘘をつく作家も珍しいのでは。
本作の舞台は18世紀ロンドン。解剖学に命を捧げる外科医・ダニエルの前に、突如としてあらわれた2つの異様な屍体。治安判事の捜査に協力するうち、浮かび上がってきた犯人は──という、いわゆる本格ミステリ小説ですが、そこは皆川博子、一筋縄ではいきません。
解剖学、墓暴き、稀覯本、同性愛、男装の令嬢など、ゴシックなアイテムを散りばめつつも、どこかコミカルに、ユーモラスに進んでいくストーリーに引き込まれること必至。また、登場人物がみんな魅力的なんです。天才細密画家のナイジェルと美男子エドの友情+αな関係は、乙女な読者のアンテナにもひっかかるのでは。
第12回本格ミステリ大賞に選ばれただけあって、ミステリとしても一級品。

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Posted by ブクログ

初めて読む作者。18世紀のイギリスを舞台にしたミステリ。エンターテイメント。同時に当時の風俗も窺い知ることができる。また登場人物の性格やイマドキの若者のような軽妙な会話のやり取りに親しみやすさを感じ、そのギャップが面白い。
事件前と後のエピソードが交互に語られるため、核心に迫りそうになるたび、話が切り替わり、著者の意図するところとは分かってはいても焦ったく感じた。
おすすめされていた理由がわかる!プロフィールを読んで驚きました。1930年生まれ。お書きになった時は?え??しかもこちらは三部作の一作目とのこと。今も作家活動されてるようでさらにびっくりです。残りの二作品も読んでみたい。

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2023年12月14日

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はじめの方は、複雑な文章に慣れる事が大変だった。しかし、ダニエルと5人の弟子の解剖へ対する考え方や姿勢が素敵だった。

18世紀のイギリスの最悪な裁判の仕組み、治安の悪さ、ダニエルと5人の弟子と治安判事の信頼性など、様々な人間模様が描写されていて引き込まれた。人を無条件に愛せるのか、塾考した。普段は社会福祉に関わっているので。

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2023年11月19日

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ネタバレ

盲目の判事の存在が巧みだなと思った。犯人の表情で確認できないだけに、聴覚と触覚を駆使し言葉の裏を読むという経験を読み手もなぞっていく。そして助手の言葉による現場の説明を、私も一緒になって聞き頭の中で状況を整理していった。
最後までどうなるか分からない展開に引き込まれ、すべてが怪しく見えてきて楽しみながら読んだ。登場人物の名前や時代背景が頭に入りだしてからはあっという間だった。
死のにおいを漂わせながら、賢く美しい青年たちの思惑通りにすべてが進んでいたのが良かった。

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2021年11月30日

購入済み

「創作する遺伝子」小島秀夫推薦

皆川さんを知ることができて良かったです。石炭の煙に曇ったロンドンの情景に馬車、死体、当時の医学、羊皮紙の書物、コーヒーショップや退廃的な文化を散りばめて、最後の最後までドキドキしながら読むことができました。

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2019年12月21日

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ネタバレ

海外小説の翻訳ものを読んでいるような感じでした。個人的には読むのに骨が折れた。。。
最後、どんでん返しもあります。

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2019年12月08日

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最初はキャラクターの名前や専門用語が多く入りづらいかもしれないが、斜め読みでさっさと進めてしまうことを勧める。
ちゃんと読んでも読み進めているうちに何度もページを巻き戻すことになる。いい意味で。
心理描写が雑なところが賛否両論なところがあるが、それがいい意味で続編に繋がっていると思う。
主要登場人物がどこか空っぽに思えるが、続編できちんと掘り下げられているので、安心して読んでほしい。

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2017年05月06日

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このミス3位、文春ミステリー3位、本格3位

気になってた本ですが、海外小説でないのに
登場人物が外人、カタカナ名かと躊躇してました。
ずっと聞かせていただきと勘違い、告白展開ミステリー?
と思ってたら開かせていただきなのですね。
序盤、登場人物ページパラパラ見返し、難語もパラパラとスマホで検索しながら読み始めると、18世紀ロンドンと相まって、キャラ立ちも面白い。
期待を上回る面白さ、ワクワク、ライトな重厚感?。
最初から終わりまで、テンポよい、ずっと面白いからいいなぁ。

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2017年04月28日

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またしてもかなり好きなタイプの話だった…。18世紀ロンドンの猥雑で鬱屈とした雰囲気と若者の耽美で刹那的な雰囲気と。後半はエドとナイジェル、特にナイジェルの闇に惹かれて一気に読み進めた。

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2016年02月02日

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すごく面白かった。
死体の解剖教室の先生と弟子たちが重要な登場人物だけど、そんなにグロテスクな描写はない。
最後まで、真相はつかめず。
わたしは犯人の1人は本当は女の子なんじゃないかと推測したけど、見事に外れた。
まだまだ背後に事情が隠れていそうな感じがする終わり方だった。

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2018年03月20日

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18世紀ロンドン、外科医ダニエルの解剖学教室の暖炉からあるはずのない屍体が次々と発見され、盲目の治安判事ジョン・フィールディングが事件解決に乗り出す。
二段、三段構えの展開にすっかり騙されたけれど、いっそ痛快なぐらいで文句なしに面白かった。ただ、その動機がちょっと哀しくほろ苦い。

解剖が神への冒瀆とされ、さまざまな偏見にさらされていた時代に、医学の進歩のために力を尽くす彼らのおかげで、今の医学医療があるのかと頭が下がる思い。

結局ナイジェルは謎が多いまま。続編も出てるみたいなので、そこで少しは分かるかな。続編も楽しみ。

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2017年12月21日

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登録100アイテム目!

初めて読む作家さんだけど、あらすじと表紙が気になって買った本。「18世紀ロンドン」「ミステリー」のあたりとかね。
第一印象は翻訳を読んでるような文章だなーという感じ。レビュー見ると、他の作品とは文体をあえて変えてるみたい。後で知ったけど、80歳を越えてるとは!

めっちゃ面白かったよ!
過去と現在(?)の時系列に分けて書かれていて、それにちゃんと意味がある。物語の構成が素晴らしい!
色んな人が関わったちょっと複雑な事件なんだけど、2転3転するわ、伏線張りまくりだわでひとつの作品で何回騙すんだと。でも、この騙され方はむしろ気持ちいい。
最後はちょっと切なくて、余韻が残る。

エドとナイジェルとアンが好きです。

いい本に出会いました。満足!今年No1かもしれない。
映画とかになったら面白そうなんだけどなー。

他の作品もチェックしてみよう。

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2020年01月28日

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ネタバレ

事件前と発見後が交互に進むことでどうなっていくのかが気になってページを捲る手が止まらなかった。
作り込まれた物語は説得力があり、最後にネイサンが実は生きていたとひっくり返されるのも面白かった。
時代背景も含めて、全てが最後に上手く繋がる完全犯罪だと思う。
物語の終わり方が余韻を残し、すっきりとはせず心に靄がかかったまま終わる。
エドとナイジェルの二人がこれからどう生きていくのかが気になる。

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2024年02月19日

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初めての作家さん、タイトル借り。口コミ評価が高いのも納得の面白さ…!
18世紀のロンドンが舞台。行政や裁判所は買収が当たり前で治安は悪く、外科医の地位が低い・解剖学が厭われていた時代。私的解剖教室で外科医とその弟子たちがお墓から死体を掘り起こして解剖に励んでいたが、警察がきてとっさに秘密のスペースに隠す。隠した死体を取り出そうとしたら、なぜかそこには見知らぬ死体が2体。引き返してきた警察に合計3体の死体があるとばれたが、なぜだか誰もわからない…。というのがあらすじ。

前半は説明が多くあんまり気分が乗らないけど、中盤からはぐいぐい引き込まれた。毎日家に帰って続きを読むのが楽しみな本だった。何となく展開がわかってきたかと思いきや、どんでん返しで着地。頭がよすぎる…(でもよく考えれば伏線はある)

ミステリとして面白いだけじゃなく、ラストがめちゃくちゃ切なくて、人生とは…と思わざるを得ない。キャラの人格が深く描かれているのは、皆言っているとおり作者が80歳で書いたものだからかも。

あと、この物語の主人公が誰かを、私は読み終わって「三部作」だと知ったときに気づいた。そんなことある?って自分でも思うけど、何も知らずに読んだらそうなるはず。主人公を理解した上でお話を反芻したときに「人生とは…」と思ったんだった。大事なものは何か、憎むべきものは何か、そのために何ができるか。心根が戦闘民族だからか共感したな…。
次も厚そうだから、ちょっと休憩したら読みたい。

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2023年09月06日

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解剖についてのお話だったり凄く興味深いお話でいて皆川博子様の作品にはいつも驚かされ文章の力やストーリー等について脱帽の一言に尽きます(^。^)

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2021年09月26日

Posted by ブクログ

19世期の退廃的な雰囲気に包まれたロンドンが舞台のミステリー。なんとなく続きが気になって、ページをめくる手が止まりませんでした。丁寧に張り巡らされた伏線が、最後に「あっ」と言わせる結末へと導いてくれます。400を超える厚みのある物語だったにも関わらず、長いと思う事なくすらすらと読み終えました!

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2020年04月12日

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死体の謎を解くお話。

始めの方は屍者の帝国みたいな雰囲気でした。
皆川さんの本、今まで読んだのは割と難しい言葉が出てくるのが多いイメージだったので、身構えていましたがこれはそんなことなかったです。
ダニエル先生と5人の助手が和気藹々としていて、とても良いなーと思っていました。
だからなーなんか最後そうなるのか〜
からの…という感じでした。
読み終わってみると、あれ伏線だったんだなというのがいくつも…全く気づきませんでした。

ここで感想を書こうと探していたら、似たような装丁の本が…続編!?
そちらも是非読みたいです。

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2019年01月05日

Posted by ブクログ

皆川博子氏2作品目。
18世紀の画家ホガースの「ジン横丁」そのままの、
ディケンズの「オリバー・ツイスト」を彷彿とさせる世界が広がっていく。
素晴らしい。あの時代を目の当たりにしたのではと、
まるで翻訳本の趣き。
ミステリーとしても巧く絡めてあり、ワクワクして読んだ。
死者として生きると決めた2人の少年のその後は、
今読み始めた『アルモニカ・ディアボリカ』で語られる。
この美しい文体を操られる皆川博子氏の世界観に魅力される。

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2018年12月03日

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名言をあげるスレ、みたいなのは割と好き。でもって本を読んでてそういうのがあると、まぁ気にするような、気にしないようなで、意外と忘れるんだよなぁ。でも今回はいろいろと名言が散りばめられていて、さりげなく名言を吐きたいというあなたにぴったり!なんである。
「友情とは、誰かに小さい親切をしてやり、お返しに大きな親切を期待する契約である」と言ったのはモンテスキューだそうで。モンテスキューなんて20年くらいぶりで聞いたわ。何やったかは覚えてないけど。
「自由を!と叫ぶ連中が僕の自由を阻害している」なんてなかなか良いね、好きよ。
「風邪は、放っておけば一週間続くが、治療すれば七日間で治る」って、一休さんか、おまえは。
まぁそんな感じで無駄な知識を蓄えたい自分にぴったりな言葉がたっぷりで満足。最後の大団円っぷりも、割かし良かった。
しかしこの人はけっこう前から書いてるよなぁ、って思ったらこの本を書いた時に81歳って。グレートな婆さんだな、これは。さいとうたかをもけっこう歳だよなぁ、って思ったらやっと81歳になったとこだった。重ね重ねすごい婆さんよ。

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2018年07月03日

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18世紀ロンドンが舞台の殺人事件。その時代の色や香りまでが伝わってくる独特の世界観に浸りながら、どんどん惹きこまれていくストーリーです。魅力的な二人がどうか犯人でありませんように、と途中から祈りながら読みました。救いがあって良かった。続編も読みます。

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2016年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ずっと読みたかったのですが、なかなか気がのらず。
肌寒くなってきたからか、気分が向いたので購入~。

一番後ろのページに「本書は活字が大きく読みやすい<トールサイズ>です」と書いてありますが、字、大きくないし、字の線が細い上に印刷(インク?)が薄くて読みにくかったです。近眼も老眼も乱視もなくて視力も裸眼で1.0以上あるうちに読んでよかったな~。

解剖医とその弟子の話です。
舞台はイギリス。18世紀。
多くの女子と同じように中世ヨーロッパに憧れを持っていますが、実情は貴族のドレスのようには美しくないのですよね。
衛生環境や人権、教育など劣悪すぎる。
少し前に「パヒューム」という映画を見ました。
イギリスではなく、フランスのパリが舞台ですが、18世紀のお話で、街並みや生活の実態などもほぼ同じだと感じたので、映画で見た映像を思い出しながら読みました。
映画は月並みな言葉ですが、とてもリアリティがあり、匂いや空気(気温)の感じが見ているだけで感じられるようでした。
その時代の人に見せても、映像の方がリアルだねと言われそうなぐらいの作りこみようで、生々しかったです。

小説ですが、推理小説なので事件が起こり、過程を経て犯人がわかるのですが、話が二転三転し、結局最後まで結末がわかりませんでした。
伏線の張り方(と書くとなんだか嫌らしいですが)も自然なうえ完璧で、後から「ああ、あの時そういえばそんなことを言っていたな」と、まるで当事者のように思っていました。

結末は悲しく思いましたが、あの二人ならどう考えてもうまくやっていけそう、というか今以上に良い暮らしができそうなので、師匠と弟子5人の関係が壊れてしまうことがわたしとしては悲しかったのかもしれません。

ふろく(?)として解剖ソングの歌詞と楽譜が載っています。
機会があったら歌ってみよう(笑)

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2016年08月16日

Posted by ブクログ

18世紀ロンドンの路地の淀んだ空気、閉塞感、解剖室の生臭さ、金で爛れた裁判所、いかがわしいクラブ…。詳細な時代調査・設定と、まるで翻訳もののような重厚な文体がすばらしくマッチしていた。それに負けず劣らずキャラクターの立った登場人物たちも印象的。彼らの人間臭さと濃厚な舞台設定で、大変満足な読書体験でした。これぞ皆川ミステリという一冊。(…まあ『本格ミステリ』かはよくわからないが…)

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2016年01月17日

Posted by ブクログ

題名がわたし好みすぎて、楽しみに読みました。途中まで名前がややこしかったけど、それぞれの特徴もあってだんだんと登場人物達に愛着がわいてきました。グロいシーンや残酷な描写もあったけど、ダニエルと弟子達の存在にホッとさせられた。

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2023年08月28日

Posted by ブクログ

最後の最後まで分からないストーリーは面白かった。文体のせいか読み進めるのに時間がかかった。会話があまりに淡々としているせいか。時代設定や人物はとても好み。

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2021年11月27日

Posted by ブクログ

18世紀ロンドンを舞台とした解剖医とその周りにいる人たちで起こる事件、犯罪。時代の描き方についていくのが難しいというところがこの小説の読みにくさであり個性なので、ここを面白いと思えるかどうかだったと思う。最後に明かされる真実に行くまでに少々疲れてしまった。

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2021年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

皆川博子さんの作品はおそらく初。あっさりめの文体で、18世紀ロンドンの政治腐敗、環境汚染、貧富の差などなどが、洗練された描写やエッジの効いた会話の応酬と共に効果的に描かれている。会話文の多さが目立つが、イギリスらしい皮肉の効いたやりとりが登場人物を魅力的にし、さらに必要最低限の描写を挟むことで、分厚い物語をテンポよく進行させている。現在と過去が交互に進行する仕掛けも、飽きさせず、読みやすくする仕掛けの一つかなと。ネイサンの行方が途切れてからは長かったけど。

日本人が、魔法とか魔術が下地にないリアルな18世紀ロンドンを舞台に小説を書く、というのは果たして大丈夫か?とドキドキしたけど、全く問題なし。街や人々の描写、暖炉の構造、当時の風俗や偏見、どれ一つとっても丁寧な取材に裏打ちされていて、立体的な当時のロンドンを感じることができた。ちょっと前に読み漁っていた「トム・ジョウンズ」辺りと比べて特に齟齬や違和感もなかったので、素直にすごいなと思う。

内容としては、、、うーん、なんというか、当時と今の価値観というか、裁判のやり方というか、社会の仕組みというか、色々と違いすぎてなんとも言い表しがたい。悪を葬る話ではあるんだけど、同時に悪に堕ちる話でもあるし、、、というか"悪"どうのこうのではなく、自分たちにとって一等憎くて邪魔なものをいかに効率的に振り払うか。愛憎、謀略、我欲に溢れた街で、いかに大切なものを守るか、必死に生きるか、という話なのかな、、、と思う。結末のどんでん返しには驚いたけど、良かった!これで死んだのは悪い奴だけだね!とはならない。切なさと、苦さと、微量な爽快さ、のミックス、不思議な読後感。

こんな街でよくもまあのうのうと生きてこられたなと思うほど、解剖一筋、不器用で実直なダニエル先生だけど、だからこそ弟子にあれだけ愛されたのだろうなと思う。エドの問いかけに、媚びることなく素直に答えた、答えてしまった先生こそが、彼らが愛した先生なのだから、きっと結末は変わらなかった。やっぱりちょっと切ないな。できれば、これからはちゃんと弟子を護れる先生になってほしい、護られるのではなく。

あと個人的には、エーテルで眠らせた女を犯して妊娠させるのはちょっと現実味がないのではと思いました。ナイジェルのことももうちょっと掘り下げてほしかったな、わざとだと思うけど。

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2020年04月23日

Posted by ブクログ

十八世紀ロンドン。当時の先端科学で偏見にも晒された解剖学的見地から、外科医ダニエルと弟子たちが連続殺人と不可能犯罪の謎に挑む

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2018年04月29日

Posted by ブクログ

このミスベスト10、2012年版3位。昔のイギリスが舞台で外人ばかり出てくる翻訳探偵もののような本格?ミステリー。この人の本、前に読んだのはかなり難解だったけど、これは文章的には楽。序盤はフロストシリーズのようにユーモアもあって面白いんだけど、ちょっとテンポがわるく途中から中だるみする。謎解きてきには意外性はあるし、いろいろ伏線もありそうで、本格と割り切ってしまえば良いのかも知れないけど、結構登場人物が魅力的なだけに割り切れなくって、やっぱ殺人はだめでしょ、って感じて読後感がすっきりしない。

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2016年12月16日

Posted by ブクログ

このインパクトのある真っ赤な表紙絵。ずっと気になってた一冊です。
舞台は18世紀ロンドン。絵画では知っていたジン横丁なんかも出てきたりして、当時のロンドンの猥雑な雰囲気に触れられたような気がした。また、解剖が死体を切り刻む邪悪な物と見られていた時代、偏見と闘いながらもこういう人たちが現代医学の礎を築いたのだなぁと思った。
最後の最後まで小悪魔たちに翻弄されっぱなしでした。やってくれたなぁ!なかなか登場人物の名前が覚えられなかったけど、読み終わる頃には愉快な解剖室のメンバーや、盲目の治安判事とその助手などなど…登場人物に愛着が沸き、好きになっていた。中でも、弟子たちに慕われまくっているダニエル先生が癒しだった。
皆川博子さんの小説は初めて読みましたが、これを御年80を超えて書いたと知り、驚いた。続編も読みます。

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2016年10月12日

Posted by ブクログ

 時は十八世紀のロンドン。雑多にまみれたイギリスの片隅で起こった殺人事件、その原因を突き詰めていく作品です。
 体の切り貼りだとか、心情だとか、登場人物たちには良い意味で感情移入できず(みな、たいへん、自分勝手)ゾワゾワしました。

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2016年04月06日

Posted by ブクログ

登場人物の名前を覚えるのにちょっと苦労。でも18世紀ロンドンの薄暗い事情が丁寧に書かれていて、じんわり世界に引き込まれます。
途中から死体ざくざく!犯人自殺!みたいな容赦ないBADENDを想像していたのですが、予想以上に救いがあってちょっとほっとしました。

最後まで読んだらダニエル先生好きに。

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2015年06月16日

Posted by ブクログ

タイトルがコジャレている。
作者は、様々なジャンルの作品を書いているが、古い時代のヨーロッパを舞台とした耽美的なミステリーがピカイチ。
本作は、やや軽めだったが、80近いお年を考えると、なんと若々しいことか。まだまだ、たくさん書いていただきたい。

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2023年06月25日

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