感情タグBEST3
Posted by ブクログ
地方都市に必ずあるようなお菓子の老舗、登場人物の一人ひとりが、どこかで見たことあるような人ばかり。
正論を声高に言える人、何となく流されていく人、誰か言ってくれないかと依存してる人、そして全く何も言えない人。
会社という組織は、いろんな人間が集まるからこそバランスがとれているのかも。みんなか有能なら問題解決と言うわけではない。
自分の会社の製品を愛している、案外これが一番大切なのかもしれない。
Posted by ブクログ
美味しそうな和菓子にパステルカラーの表紙というのに惹かれて購入し、読みました。
考えさせられるお話で、寺地さんの本はいつもすごいなぁと感心させられます。
職場はいろんな性格、いろんな価値観、いろんな力量の人がいて人間関係もあるしすごい悩まされることが多いと思います。
その中で会社を良くしようと声を出していける人ってのもすごいなぁと感心させられます。
私自身が、思っていてもなかなか声に出すことができない、また嫌われたくないのと、どう思われるかが気になってなかなか言い出せないタイプなのでモヤモヤしてしまうこともしばしば…。
だから一人でも信頼できる人がいれば救われるし、思いやりも大切だよねと感じました。
何か勇気をもらえるお話でした✧︎*
いろいろあるけど、お仕事無理せず自分を大切にがんばろー⚐⁎∗
Posted by ブクログ
あれ?こんな感じだったっけ?
お久しぶりの寺地はるなさんは寺地はるなさん最新刊の『こまどりたちが歌うなら』です
連載時は『こまどり製菓』だったそう
『こまどりたちが歌うなら』のが二万倍くらいいい
で、まず冒頭の感想
あれこんな感じの文体だったっけ?と思ったんよね
そしたら頭の中でひまわりめろんBが「いや、寺地はるなって書いてあるやん!なに君疑ってるの?寺地はるなって書いてあるんやから、寺地はるなの文体なんやろ!」
いや別にそこを疑ってるわけじゃないんだが、ひまわりめろんBと揉めるとあとあと色々面倒なので「えへへ」とやり過ごしてしまった
あと「さん」を付けろ!とも思ったが、それも言わずにおいた
会社でよくある色々面倒なので「えへへ」問題についてのお話であったわけです
まぁ、自分はどうかとまず思うわな
で考えたんだが、どう考えても「えへへ」タイプではない
譲らない人である
そして譲らない根拠がいわゆる正論でなかったりする
つまりまぁ困った人に分類されるかもしれない
いや誰が困った人やねん
「正論」という刀をやたら振り回す人っているやん?まぁ、うちの奥さんがそうなんだが、めんどくさいな〜と思うのみである
良くない、とても良くない
ちゃんと正論に向き合おう
そして寺地はるなさん文体についてであるが、読み終わってみればはちゃめちゃに寺地はるなさんであった
要するに読み進める間にそうそう寺地はるなさんてこんな感じだった!と思い出しただけである
和菓子食べたい
Posted by ブクログ
よくある小説なら、入社した会社が古い体質のため、働き方改革を一人で始めたら、徐々に賛同者も増えて、スカッと終わる。
でも寺地はるなさんの小説は違う。
「同じことを繰り返したくない」
「自分も認められたい」
「自分はなりふり構わずこの現状を受け入れるしかない」
など、皆様々な事情を胸のうちに抱えながら、それぞれ自分に与えられた仕事やなりたかった自分を達成しようと一生懸命もがくも、上手くはいかない。
意見を言える人も、言えない人も、言わない人も。
そして、人は自分以外の一面だけを見て、その人のすべてだと判断し、こういう人なのだと決めつけてしまう。自分だけが問題を抱えていて、他の人が何か事情を抱えているとは思わずに。
物語では徐徐に各々が抱えている事情が明らかになり、偏見に気付かされていく。
私自身、自分の日頃の態度を見透かされているようで、ハッとさせられた。
読み終わった後、じわじわ来る作品。
自分が陥りそうになった時、繰り返し読みたい。
『涙はしょっぱい、お菓子は甘い』
ひりひりしたものも含まれているけれど、優しい物語。
この会社の未来は明るさに溢れていると思う。
茉子の両親が良いキャラ。
Posted by ブクログ
とても良かったです。
表紙の絵が和菓子だったので、もしかしたら美味しい話?と思いましたが、やはり違いました。
製菓会社が舞台の話でした。
主人公、小松茉子をはじめ登場人物たちは職場環境や人間関係で様々な経験や辛い思い、悔しい思いを過去にしてきた。
だからこそ次は失敗しないように、期待を裏切らないようにと思うのだけれど、なかなか上手く出来ない。
それでも自分を大切にして、「今」出来ることを考えてやっていこう。
と、読み進めるうちにとても力強いエールが送られているように感じました。
残念なことに甘い和菓子の話ではなかったですが、主人公たちが一歩ずつ前に進んでいる様は、やる気と元気をもらいました。
Posted by ブクログ
はじめはブラック企業と主人公の行く末を見届けるつもりで読み始めたけれど、さすが寺地はるなさん、人それぞれの価値観や人の心のちいさな声に焦点が当てられていて、気づきの多い作品だった。
もちろんパワハラやブラックな労働環境に対して、主人公のように声をあげていくことについて、その必要性や効果なども描かれていた。
職場で正論を貫くことで、煙たがられたり陰口をたたかれたり。それでもめげない精神が必要で、そうした精神を持ち合わせている人はひと握りだろうなとも思う。
だからこそ、めげない主人公の周りにいる人たちの声が読者に聞こえるようになっている。
忙しくて声を上げるのをやめた人、人から嫌われたくなくて声をあげたくない人、思っていることがあっても言葉にできない人……。
実際、私たちの生活を振り返っても、言わない/言えないタイプの方が多いはず。読んでいて、あぁこの人私みたいだ、と感じる人が必ずいるのではないかと思う。
ちなみに私は茉子のような言えるタイプの人間なので、その価値観や世界観の違いには気をつけないといけないなと思いながら読んだ。
そして、やっぱり食べ物の出てくる作品はいい。
こまどりのうたはどこで買えますかね!
Posted by ブクログ
お仕事というより、寺地さんの「今日の私、明日のハチミツ」に近い、どうやって自分の感情を大切に、相手に敬意を払いながら生きるか?という社会と折り合いつけるお話でよかった。
自分も含めて、誰も彼も、組織もいきなり変わることは難しくて、自分もより良い方向へ変わり続けるためにちいさな一羽のこまどりとしてまた歌い続けるぞ、と元気がもらえた一作。
Posted by ブクログ
久しぶりにここに帰っきたんだなという感覚が自身に満ちている。
ただいまとわざとらしく言うまでもない、なんだか息のしやすい空間。実家のダイニングテーブルでかつて自分が座っていた椅子とか、以前よく行っていたパン屋の香りとか、母校の制服とか、学生時代の友人がそろった時の自分の声のトーンとか、そういうものに似通ったもの。それが今日のわたしにとっての寺地はるなさんの物語。
ただいまと言うのは照れくさいし大げさ。でもここにいるとわたしはなつかしさと苦々しさと寂しさと温かさを同時に感じる。
こまどりたちが歌うなら
タイトルを目にした時、こまどりってどんな鳴き声だっけ?と思い、検索したら想像より50倍くらい騒々しい声が耳を劈いた。
おいおいどんな騒々しい物語かと思えば、たしかにこれは静かなようでとても騒々しい物語だ。
自分がここにいることをだれかに伝えるには、少し騒々しいくらいに鳴かないと伝わらない。
それが悲しいことなのか、憤るべきことなのかわからない。
でも、もしその叫びにもにた鳴き声を耳にしたならば、せめて自分は聞こえたよと答えたいなと思った。
伸吾の声も、満智花の声も、千葉さんの声も、茉子の声も、亀田さんの声も、ぜんぶ無いものにはしたくないし、もし自分の耳に届いたなら、ちゃんと届いたと伝えたいと思うのです。
この物語のだれに共感するとかそういうことではなく、これはすべての「ここにいる」がぎゅんぎゅんに詰まった騒々しい物語。
読む人にとって誰の声が聞こえるかはちがうのだろうし、きっと読むタイミングによってもちがうだろう。
ふと、あの子ならだれの声が聞こえたのか聞いてみたいなと本好きの友の顔が浮かんだ。
Posted by ブクログ
旧体質な和菓子の会社が舞台の物語。
今どき、まだこんな会社あるの?とイライラ、もやもやしながら読んだ。
思うだけで、実際に茉子のように正論を言葉にできるわけではないのだけど。
救世主が現れて会社がいきなり変わる!なんてことはなく、寺地さんの作品らしくゆるゆると物語が進む。
その中でポツポツと出てくるセリフには、心惹かれるものがたくさん。
「他人は自分がしてほしい話はしてくれないと思っておいた方がいい」
「言わなきゃわからない、伝わらないというアドバイスをする人は恵まれている人」
「考えさせられますって言いながら、実際そのテーマについて考えてる人ほとんどおらん」←私(笑)
確かになぁと頷きながら読んだ。
そして、バーバパパみたいなお団子はすぐに検索。
ほんとだ!
Posted by ブクログ
2024/03/26リクエスト21
美味しそうな和菓子のイラストから想像しにくい内容。
嫌な人ばかり出てくるのに、誰もがこちらの心に突き刺すような鋭い言葉を発する。
見たくない見ぬふりしてるのに。読書中、キツかった。
亀田の
【定時に家に帰って何してるの、若い時間はいつまでも続かない、自分の都合で動けないときが来る】
店内で店員に罵声を浴びせる客に対して、千葉は
【お帰りください、他の方の迷惑になる】
そう言った千葉の意見に賛同した茉子に
【みんながみんな、そう言える人ばっかじゃない】、と言う満智花。
亀田の言う事は、同じようにムスメに言ってる気がする。
千葉と同じように思うくせに、満智花のようなことを思い動けない私。
いくつ歳を重ねても、できないことばかり。
せめて(若くてもきちんと自分の意見がある)千葉のような人に対して尊敬の気持ちを忘れないでいたい。
東海地方の出身だがお月見団子のエピソードが気になり調べてみた。
バーバパパのような、ういろう生地の団子は見たことない。そして京都の細長い形状に餡を巻きつけるものも、知らなかった。
名古屋で和菓子屋に勤めていたことがあるのに…
Posted by ブクログ
前職の人間関係や職場環境に疲れ果て退職した茉子は、味方が欲しいという親戚の伸吾に頼まれて、伸吾が社長を務める小さな製菓会社「吉成製菓」に転職する。
茉子が触媒となって、物事が動く。正論を言う人を疎む人は、結局自分の首を絞めていることにいい加減気づいてほしい。といっても、茉子は正義の味方でもなければ、特別優秀なわけでもない。等身大の働く人が、ふつうに意見を言える社会が生きやすい社会だろう。
彼女自身、迷いながらそのときそのときできることをやっている。後悔もあれば、他人を責めることもある。
パワハラ社員や事なかれ主義の人、心の弱い人…… それぞれに背景がある。そして一人一人が今いるところから一歩踏み出していくさまが描かれている。そこには周囲との関わりがある。
こうだったら息がしやすいなと思える終わり方で、読後感がいい。
真っ当に育てられた人、真っ当に育った人が嫉妬される社会はおかしい。被害者意識をもったり、怠慢を世間知にすり替えたりしていては、何も変わらない。そう思って声を上げてくれる人がいるから、環境がよくなるのに。自分ができないことをしている人を羨んで、足を引っ張ることはしたくないものだ。
Posted by ブクログ
しっかりと意見が言える人にも、発した言葉に、迷いがあったり、悩んだり、ちゃんと言えるからと言って、言えない人と、同じように、葛藤もあるんだなって思いました
登場人物も、それぞれの問題を抱え、もがきながら生きている所も、しっかり伝わってきて、よかったです
Posted by ブクログ
主人公、小松茉子(こまつまこ)。訳あって、はとこが社長の和菓子屋で働くことになった。小さいがゆえの労働基準法違反や常習的なパワハラに茉子は疑問を持つ。さらにそれを口に出したりする。1番近くで働くと思われるパートの亀田からの「この会社では嫌われる」の一言。家に帰ると同じマンションで家族関係が複雑な満智花が両親に甘えるように我が家にいる。そんな満智花から出た「いいな、茉子ちゃんは」という言葉。小さなトゲが気になるような微妙に嫌な展開が続き、このお話はすっきり楽しくなることがあるのか?と思いながら読み進めた。タイトルのこまどりは茉子の働く吉成製菓で出しているこまどり庵という店舗やこまどりのうたという銘菓っぽいお菓子、そして小さいながらに鳴き声の大きなこまどりという鳥の性質にかけられたタイトル。茉子は前職の経験やいまの生活でのもめ事などを引きずりながらも、絶対おかしいと思ったことは声を上げていく。悩みながらの行動なのでいけいけどんどんって感じでも、スーパースターのような格好良さもないから読んでいてすっきりはしないと思うけど、私は嫌いじゃなかったです。
大人っぽい悩みが多いので就業後の年齢が向いているとは思いますが中学生から。
Posted by ブクログ
はじめての寺地はるなさんの作品。
舞台が関西なこともあり、関西人のわたしには読みやすく身近に感じた。
何よりつっこみがあったり笑えて面白かったなぁ。
改めて色んな人がいるよねぇと思わせてくれる作品。
Posted by ブクログ
ブラックほどではない会社でも、当たり前のようにある好ましくない暗黙の了解事項。なくならないパワハラ・セクハラ。おかしいと声を上げても無視されたり報復されたりするダークな空気漂う職場。
それでも声を上げようと決めて臨んだ転職先の小さな製菓会社を舞台に、孤軍奮闘する1人の女性を描くヒューマンドラマ。
◇
小松茉子は、目の前に座る男を見た。
男は名を吉成伸吾といい、茉子のはとこに当たる。現在 27 歳の茉子より5つか 6つ年上だが、幼い頃からよく知る相手だけに、今日から「社長」と呼ぶことに違和感がある。
そんなことを考えつつぼんやりしていると、「話聞いてる?」と伸吾から声がかかった。ハッと我に返った茉子に「会社では小松さんと呼ぶから」と伸吾は言って、社内を案内するため立ち上がった。
茉子は今日から、伸吾が社長を務める吉成製菓という、社員 35 名の小さな会社で働くのである。
事務所内には机が5つあって、事務員用と営業員用が2つずつ、向かい合わせに並んでいる。入口にもっとも近いいわゆる下座が茉子の席だ。そして上座に当たるいちばん奥の入口に向いた机が伸吾の席のようだ。
茉子の向かいがベテラン事務員の亀田の席だと言ったあと伸吾は、「亀田さんはパートさんやから、話題は慎重に選ばなあかんで」と心配そうに付け加えたのだった。
(第1章「春の風」) 全6章。
* * * * *
作品の魅力は主人公の茉子です。
前の職場での劣悪な人間関係に嫌気が差して退職した茉子は、はとこの伸吾が社長を務める製菓会社「吉成製菓」に就職しました。
茉子がこの会社に勤める気になった理由は2つあります。
1つ目は、伸吾に懇願されたことです。
急な心臓の病で引退した父親に替わり、いきなり社長に就任した伸吾は、ベテラン揃いの社員たちに言いたいことも言えません。折よく事務に1人欠員ができたので、気心の知れた茉子に来てもらうことにしたのでした。
2つ目は、「吉成製菓」に対する思い入れです。
茉子の保育園時代のこと。祖父の葬儀に参列した茉子は、焼かれて出てきたお骨を見て泣き出します。「死」というものを認識したからですが、祖父の死を悲しんでいると勘違いした1人のおじさんが、持っていた小鳥の形をしたお饅頭をくれました。
その美味しさに思わず泣き止んだ茉子にとって、おじさんがつぶやいた「涙はしょっぱい、お菓子は甘い」ということばと、そのとき食べた「こまどりのうた」は特別な存在になったのでした。
でも本作は、若社長の期待と和菓子への熱い想いに支えられて奮闘する若い女性を描いた爽やか系の物語ではありません。
社会や世間に根強く残っている理不尽な慣行や、パワハラ・セクハラ・モラハラ等の人権無視の言動に、いちいち異を唱えては跳ね返されイライラモヤモヤしつつも挫けずに行動する女性の姿を描く物語です。
そして、茉子が鉄の女のような闘士タイプでないところが物語のミソになっています。
小鳥にすぎないこまどりですが、その鳴き声はとても大きく、まるで自分の存在や主張をアピールするかのようです。
茉子の主張や抗議もこまどりのさえずりに似ています。これが設定としておもしろい。
社会に影響を及ぼすだけの力は若い茉子にはありませんが、言わなければ何も始まらない。
そんな茉子のさえずりもなかなか功を奏さず、中盤まではイライラモヤモヤし通しで少し疲れます。
でも、寺地はるなさんらしいカラッとした文章と展開のテンポのよさで気づけば終盤を迎えていました。
勧善懲悪・万事解決とならずに、少しずつ事態が好転していくところが却って心地よい。
前途はまだまだ多難ではあるのですが、それでも現状を改善していこうとする茉子のしぶとさに希望を感じる、とてもいいエンディングでした。
Posted by ブクログ
残業つけずに仕事しろって、ブラックだな…。でもきっとこういう会社まだまだ沢山あるのでしょうね。
確かに全体的に古い体制ではあるけれど、新入社員がここまでできるかな?とちょっと疑問に思う。
正しいことであったとしても他人まで軌道修正させるって相当乱暴なな気がする。でも終わりよければ全て良し…になってるから、ま、いいか。
人は自分から見える部分はほんの一部。それでその人全部を知った気になってはいけない。そんなことを茉子を通して改めて思い出させてくれるお話しだったなと思う。
Posted by ブクログ
寺地はるな先生の本と和菓子が好きだから手に取った。
会社にある謎ルールに対して主人公が切り込んでいく物語かな。舞台は和菓子の会社なんだけど、和菓子のように人の心を甘く暖かく包むというよりは、菓子を黒文字で切っていって、切った断面を覗くようなそんな話?
もちろん現実はこう上手くいかないんだけど、主人公が奮闘する様子がかっこよかったな。
仕事で失敗したときや人間関係で上手くいかず気分が落ち込んで流す涙はしょっぱいけど、そんなときに食べる甘いものは臓腑に染みて元気に出るってことを伝えたいのかな。辛いときは甘いものを食べようと思います。
Posted by ブクログ
地方の小さな製菓屋さんのお話ですが、普通の企業でも当てはまりそうな問題をほっこり描いた作品。いい作品ですが、寺地さんで作品への期待は少し超えなかった。
Posted by ブクログ
どら焼き、桜餅、紫陽花、水無月、鯛焼き
、みたらし団子、そして、こまどりのうた。美味しそうな和菓子の表紙に誘われて読み始めた。
はとこの伸吾が三代目の社長になった吉成製菓で働く茉子が主人公。両親に取り入っているような満智花の存在、古い体質の会社の社員たちに不満を持ちつつ、過去の後悔から、声をあげていく。言わなきゃわからないという人は、言って受け入れられてきたからそういえるんだ、と言われたり、大丈夫?という言葉のとらえかたについてなど、気づかされたことが多かった。家庭でも会社でも人との関わり方の難しさ、複雑さを感じた。そんななかでの善哉くんが、一服の清涼剤みたいでよかった。
Posted by ブクログ
茉子は親戚が営む製菓会社「吉成製菓」に転職。
社長の伸吾から請われ入社したので「コネの子」と呼ばれる。
インタビューで
「古い体質の会社に入ってそれを変えていく物語は痛快ではあります。
最初はわかりやすい話を目指していた」
ただ、ご自身の体験から変えることの難しさを感じ茉子に重ねたと。
なるほど。
読みはじめ、茉子がクセのある会社の人たちと戦い
ともにスカッとするのだろうと思っていた。
読者の私は、そちらを期待した。
でも、悪の塊のような上司にしても
その一面だけでなく、いろいろな顔を持っている。
物語としてはリアルすぎて茉子に共感しにくかったが
社長の伸吾の気の弱さに(がんばれ)と応援したくなった。
読者それぞれに贔屓の人物がいるような気がする。
読んでいる間は和菓子を思い浮かべ物語の世界に浸った。
Posted by ブクログ
親戚が経営する製菓会社に転職した茉子。古い社則や人間関係に辟易する。
テーマが何だか分かりにくいが、現代的なお仕事小説なんだろうと思う。面白いのかそうでないのか、判別しにくい・・・
Posted by ブクログ
可愛らしい装丁のイメージとは全然違った人間関係って本当に難しいがテーマ。ずっとモヤモヤしながら読んでいた。
社長がパワハラ社員を庇う理由、パワハラおじさんが母親を介護する理由、会長が社長を過保護に扱う理由、パート社員が理不尽を受け入れる理由。みんなそれぞれの思いがわかったら、モヤモヤがちょっと晴れた。
主人公の名前が上から読んでも下から読んでもはウマイと笑えた。善哉との恋愛は微笑ましかった。
Posted by ブクログ
現実にもあるような日常の出来事が小説になった感じで、寺地はるなさんらしいなと思いました。物語に出てくる和菓子が美味しそうで、甘いものが食べたくなりました。
Posted by ブクログ
コロナ禍で業績が悪化した勤め先に見切りをつけ、親戚が社長に就任した和菓子会社に転職した茉子。だが、ワンマンだった先代の社長(現会長)の支配に慣れきった社員は数々の奇妙な習慣を律儀に守っており、それが茉子には不満で仕方がない。そんな彼女が巻き起こす騒動を描いたコメディタッチのお仕事小説だ。
うーん、この茉子というキャラクターがなかなかに曲者で、素直に受け取れない。彼女自身抱えているものはあるものの、作中でも指摘されているように「言える人」なのだ。正しいばかりでは回らない環境で拳を振り上げられてもねえ……。
Posted by ブクログ
アマちゃんすぎる伸吾社長にも理詰めすぎる茉子さんにもイラッとして付いて行かれへん。気持ちはわかるが…「いろんなものを見ようとし過ぎる。考える必要のないことを考え過ぎてる。じきに消耗する。見ずに、考えずに、通り過ぎたほうが楽やで」その通りですが…性分は変えられない。「誰かになにか言う時、無意識に欲しい反応や返事を設定している」かなぁ?ヒヒーンという鳴き声が馬に似ているから“こまどり”?
Posted by ブクログ
うーん、なんだか読んでてイライラしてしまった。
愛されて尊重されて育った人のまっすぐさに嫉妬してた自分を思い出したのかも。
主人公に対する周りの反応に共感してしまった。
ただ、愛されて育ったからこそ、周りを強く照らせるところもあるなぁと思った。
Posted by ブクログ
物語の舞台は製菓会社『吉成製菓』。
主人公の茉子は前職の人間関係に疲れ果て、親戚の伸吾が社長を務めるこの会社に転職して来る。
この茉子が強い。
入社早々、サービス残業に物申し、社内の人間関係に声を上げる。
彼女の意見は正論で、本来であれば改めなければいけない所だ。
だがそれがスムーズにいかない所が会社という場所。
合間に挟まれる甘くて美味しそうな和菓子の描写とは裏腹に、一筋縄ではいかない人間関係の苦さが描かれる。
理不尽なルールを正し、あるべき姿にする事の難しさを思う。
自分達がより良く生きる為のヒントが込められた作品。
Posted by ブクログ
涙はしょっぱいお菓子は甘い
人は多面的で長所も短所もそれぞれ
でも人それぞれという言葉で片付けてはいけないしそんなに簡単でもない
身につまされた
欲しい答えを求めた聞き方をして聞いたり
物語を求めてしまったりしている自分が
恥ずかしい
こまどり庵 が少しずつ良い方向に
働きやすい会社になっていきますように