【感想・ネタバレ】証し 日本のキリスト者のレビュー

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Posted by ブクログ

著者が6年にわたり日本各地の教会を訪問して聞いてきた質問、神をどうして信じたのか、自然災害や戦争などの不幸が起こる中でどうして神を信じ続けることが出来るのか、どうして牧師・神父になったのか、など多くのインタビューイーの言葉の数々。東日本大震災、LGBT問題、ウクライナ侵略戦争、コロナウイルス禍など、最近起こった信仰を考えさせられる問題にもしっかりと向かい合った人々の姿である。語り手約120人は実に広範囲、カトリック、正教会、聖公会、救世軍、無教会主義の集会、日本キリスト教団のリベラルな教会、ホーリネス、バプテストなどの福音主義教会、ペンテコステ系教会、戦後宣教師により開拓された教会…。場所も北海道、東北、東京、小笠原、神戸、鳥取、福岡、長崎、五島、鹿児島、奄美、沖縄など日本各地。そしてブラジル・韓国など外国出身者、在日など。年齢も90歳代から若者まで。信仰的な話もあれば、信仰的とは全く言い難い不信に満ちた話も。それが日本のキリスト教界の生々しい実情をそのまま表しているような迫力である。「証し」は教会では多く使う言葉であるが、私にとっては普段の教会では知ることが出来ない、様々な人たちの正直な言葉(証しとは言えない言葉)を聞いて、キリスト教会の知らない面が多く分かり、驚きでもある貴重な体験になった。14章が回心、洗礼、家族、献身、開拓、奉仕、社会、差別、政治、戦争、運命,赦し、真理、復活、現在というテーマで区切られており、キリスト者を取り巻くテーマを示し、興味深く読めるようになっている。最後の「現在」は著者自身のキリスト教理解が示されている。そして著者は神戸市灘区の教会付属幼稚園に通っていたことが明かされ、この問題意識の背景が分かったように思う。

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2023年02月14日

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