【感想・ネタバレ】八月の母のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一気読みでした。団地での出来事は、まさに人間にしかできない動物以下の行い。ナチスや共産主義者達が行って来たことと差異はない。このような描写を読むと反吐が出そうになる。何故エリカだけが刑に服しているのか釈然としないが、陽向の力強い宣言は唯一の救いになったよ。

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2024年05月15日

匿名

ネタバレ 購入済み

親子三世代が毒親で、母が子供に与える影響などヒシヒシと感じてました。
後半は思いもしなかった展開で本当に驚きました。
余りにもリアルで、後で調べたら実際にあった事件をモデルにしたと知り腑に落ち、さらに彼女が不憫でたまりませんでした。こんな事件はあってほしくないです!

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

早見和真さん「イノセントデイズ」に続き2作目。
「イノセントデイズ」が自分にとって五本の指に入る名作だった為、こちらも期待していた作品。なにしろ「イノセントデイズ」を越える作品をと作者がテーマに掲げたと読み、これは読まずにはいられない。

今作品は愛媛県伊予市が舞台。
2014年に実際に起きた集団暴行殺人事件がベースとなっている作品。
どことなく引っ掛かる共通点が以前に読んだ「母という呪縛、娘という牢獄」と全体の不穏さが酷似している。

親娘三代、それぞれ壮絶な幼少期を過ごす。時代背景が年代毎に違うのだが、地方の田舎町特有の閉鎖的空気感、女性の持つ劣等感等は美智子、エリカの母子二代には共通する。
圧倒的なネグレクト、暴力、教育不足による常識的秩序の無さ、何人もが奔放と無法と自由の区別もつかず紘子は短い命を遂げる。悲惨だ。
皆が被害者づらするのも意識と秩序の薄さからくるもので自分を守る為の手段を肯定するために被害者ぶってしまう。

家族というテーマ、親子という絆、苦しいほど表現されていた。
その連帯性は状況状況で良い悪いが多く、正直どうすればよかったのかすらわからない。
今の段階では上手く自分の考えをまとめられない。

この三代に渡る負のスパイラルはどこかで誰かが切れたように思うが、周囲に寄り添う男たちも食い物にするか、もしくは渦に巻き込まれてしまい最終的に逃げてしまう。彼女達の意思ではできなかったのだから、どこかで誰かが救い上げてあげていれば最悪の事態は起きなかったのかも。
事件を機に陽向が解放され、奇しくも紘子が描いた陽向の未来の助けになるとは。

「八月の母」「イノセントデイズ」最終的に比べるものではないなと感じている。どちらも考えさせられ、どちらも深く揺さぶられる作品だったと。

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2024年02月09日

Posted by ブクログ

一部は唐突かつ安易に思える性暴力とテンプレ的な毒親の描写にやや疑問符だったが、二部からは一変
家や家族、母という幻想を追い求めた先で起こる展開には非常に息が詰まる
誰かのせいにせずに自分の人生を生きる、負の鎖を断ち切る物語
最後まで読んで、この構成にも納得

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2024年01月26日

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ネタバレ

おすすめされたのに積読してた本。もっと早く読めば良かった…読み始めたらとまらず読み切った。ザワつき、ドロドロ、かなしみ、やるせなさに引き込まれた。

母と娘の負のスパイラルから抜け出すためにこんなにも時間と犠牲を払うことになるとは。
最後の最後で紘子の言葉が後押しになって陽向が母を断ち切ことができたのは救いがあった。
エリカが自分本位なのが変わらないところに現実味を感じた。

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2023年10月14日

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ネタバレ

読み進めるごとに救われない展開。
でも、読むのをやめられないという。
どうしたらよかったんだろう。
どうしたら普通に生きられたんだろう。
読み終えた今も言葉にならない。

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2023年07月05日

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イノセントデイズにも劣らない力作に感動しました。ひなたとようこさんの関わりや、最後の部分、ようこさんの葛藤にもう少し深みが欲しかったのと、それぞれの父親のその後が描けていればなおよかったです。

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2023年05月05日

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早見和真『八月の母』をやっと読み終えた。
凄い小説であり、とても嫌な小説だった。でもこの感覚はまさに小説でしか味わうことが出来ず、読んで良かったと改めて感じる。

読み返すことはおそらくない。でも売りたくもない。

ただ10年後も20年後も「あの早見和真の八月の母、凄かったよね、壮絶だったよね」と語り合えるほどの作品だと確信する。

三代に渡る女性の物語という単純な話ではなく、彼女たちが蟻地獄の中で必死にもがき続け、だれが悪いのか、なにが正しかったのか、それすらも分からなくなる。

ということは、読み返すしかない。でも読み返したくない。でも語りたくなる。本書から溢れ出るこの叫び声とかすかな希望を今一度考えている。

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2023年02月13日

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著者を知らない状態で読んだら、湊かなえの作品だと思ってたはず。湿気のあるイヤ〜なドロドロ具合がとても気持ち悪くて最高(褒めてる)だった。

店長がバカすぎて〜を書いた人が書いたとは俄に信じがたい笑

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2024年04月07日

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重かった。また毒母もの

エリカは無責任な毒母と男たちの犠牲者

娘が負のスパイラルを断ち切れてよかった…。

胎児の遺棄や、虐待事件は
断ち切れなかった人たちが起こしているんだろうな、と思った。

そして他の方のコメントで、愛媛県伊予市で2014年実際に集団暴行での殺害事件があったことを知り、調べると
「市営住宅の一室で長女や長男、出入りしていた少年らとともに暴行を加え、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた住人の無職の女(37)」
いい歳して本当に何をやってんだ…
物語中に「ガキのまま母親になった女」とあったが、それを生み出したのもまたそのような女。

本当に美容師になりたかった被害者、かなりオマージュされていたんだなあ。

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2024年03月03日

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おぉ。
心がギュってなる。
バタバタって、人生変わるんだな。流れだけで生きていて、生きているだけで悪がいる。

愛情不足の連鎖。
愛着障害の連鎖。

家庭から逃げ出して自分の人生を送るには、時間がかかる。
やり直しがなかなかきかない。

精一杯、生きてる。だけど、まともな大人のバックがないと逃げられない。

健康な体と、勉強する事。1番の近道にはちがいない。

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2023年12月18日

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エリカがひたすら理不尽で可哀想、、、
ハッピーエンドと思えるか思えないかは人次第って終わり方だったなぁ。

エリカ目線の章がないのが、またね…

イノセントデイズ同様、読み終わった後の救われない感が最高でした。

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2023年05月30日

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ネタバレ

愛媛県で実際に起こった、10代の少女の暴行死事件に着想を得た本。
著者が愛媛県に住むことになったとき、地元の人から「あの事件を知ってるか」と言われたらしい。地元の人にとって、忘れられない事件なのだろう。
私は東北の某県出身だが、田舎で、大きなニュースもない中、私の出身地で私が小学生の時に発生した、中学校いじめマット死事件。私はこの事件を今でも忘れられない。加害者はどんな人生を送ってるんだろう…って、時々ふと気になったりする。
きっと、愛媛の人にとって、この事件は、そういうものなのだ。

物語前半では、現代と、事件発生前の過去が描かれる。
暴力と、性にまみれた港町。
これ、どこかで聞いたことある、既視感。そうだ、西原理恵子が地元を語るときの話だ。
地元で可愛い女の子は、もれなくヤンキー男とくっついて、10代で妊娠、男に左右される女たち。暴力でねじ伏せられる子どもと女性。いつか、ここを出ていく!と強く思う女の子。
西原理恵子さんは、まさにその場所が嫌で嫌で、東京に出た人なんだなぁ…。
この本の中でも、女性たちの多くは「ここを出たい」と願う。でも、叶わない。
なぜ叶わないのか、なぜ叶えようとしないのか?
私には、それが最後までよく分からなかった。
近視眼的にしか物事を見られない人達。その中で、広い世界を夢見た子どもたちは、狭い狭いところで息苦しく生き、一人は命を落としてしまう。
足の引っ張りあいの世界。
バニラの香水の匂いと、タバコと酒のにおいの染みついた団地。私も、陽向の父親と同じように、ここで出された食べ物食べたくない…って思うんだろうな。

最後は、ガンを患っている母が出所後会いたいと言うから会いに行ったら、生活の面倒をみることを求められる…って、すごい現実的…。
エリカも、気の毒な子ども時代であったし、男に期待しては裏切られる…の繰り返しであったことは可哀想でならなかったが。
それでも、ああいうことを出来てしまうエリカという人物が、たった10数年の服役で人間変われるわけがないだろう。服役中も、誰かのせいで私はこうなってる、という気持ちは消えなかったはず。
誰かを頼って、誰かのせいにする。エリカの過去ではエリカ自身が可哀想に思えたものの、陽向の目から見たエリカ、つまり「誰かのせいにする」「誰かに幸せにしてほしい」という考え方は、子ども時代から変わらない姿だったのかな…まぁ、子どもならそれでも仕方ないけど、エリカは大人になることができなかったということなのか。
エリカも、どんなに実母に邪魔されたって、自分の生活を選び取れば良かったのに。
実母のせいにして、男のせいにして、自分の理想の博愛ユートピアを作ろうとして手がつけられなくなったら一番に逃げ出す。
大人になれなかったエリカがかわいそうでもあり、やはり無責任で酷い人だと私は思った。
エリカが陽向にだけ会いたいと思ったのは、陽向はエリカが憧れていた東京に暮らし、エリカや他の兄弟たちとは違った暮らしをしているから、なのだろうな。憧れの生活をしてる人と一緒にいれば、自分の生活も良くなるだろうという安易な願望。そういうところ、20歳くらいから変わってないのだ。

弱きものを放っておけないと思う気持ち。
紘子のその想いは、母性だったのだろうか?
私には、そうは思えない。
私は紘子のエリカへの想いは、虐待されている子が親をかばう気持ちの典型的なものだと思った。
それは母性ではない。支配関係による思考だ。
生きて逃げ出せてエリカと離れられたら、現実に戻って憎しみに変貌していたはず。
同級生に同じ高校行こうと言われれば自分のレベルを下げて相手のレベルに合わせた学校に行き。男に好意を寄せられれば付き合い。出席日数が足りないことは自覚していても学校には行かなくて何とかなると思っていた紘子。
兄に憧れる反面、自分のことは何も出来ない。普通に学校通っている高校生からしたら、紘子って流されすぎなおかしい子…と思う。でも本作の中で紘子がまともに見えるのは、団地に集まる他の子どもたちがもっともっとおかしいから。そのおかしな環境の中で自分が必要とされることに、紘子ら癒されていたのかもしれない。
かたや、紘子が死んで事件が発覚して団地の部屋が一掃されたおかげで、陽向はあの部屋から脱出することができ、結果として地元を出て夢を叶えることもできた。
紘子が、陽向が家族に囲まれている姿を見たら嬉しいのだろうか。
他方で、エリカのことを好きなまま死んだ紘子。大好きなエリカが逮捕され、陽向に縁を切られたことは、紘子は悲しいのだろうか。

陽向を妊娠した時には昼夜と働いて目標を持っていたエリカが、なぜあんな生活を送る人になってしまったのか?
紘子が、なぜ陽向のために命をなげだしてもいいとすら思えたのか?
それは「母性」という一言では片付けられないことだろう。
私には、この二つのことがよく分からなくて、「うーん、まぁ、こう言う考え方の人もいるのかな?」という、遠くのものを眺めるような、共感とは程遠い気持ちになった。

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2023年05月17日

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推しポッドキャストの #真夜中の読書会 で紹介されて怖いもの見たさで手に。実際の事件を元に事前情報はなしで読書。閉塞感のある小さな世界から出ないと母と娘の負のスパイラルが止まらない絶望に章を追うごと悲しくなるのにめくる手が止まらず読み終えて大きな溜息。

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2023年05月16日

Posted by ブクログ

05月-05。4.0点。
3歳の息子がいて妊娠中の主人公、母親・姉・兄が少女を殺害した過去を持つ。。

松山で実際に起きた事件だったらしい。壊れていく家族の描写が上手い。面白かった。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

しんどい読書でした。
実際にあった事件を元にした小説なので、こんなに辛い出来事があったけど、最後は幸せになりました‥‥というお話ではありませんでした。全然そんなお話ではありませんでした。とてもとてもしんどい読書時間でした。
男に奪われ続ける女。母を見捨てられない娘。
自分が自由に生きられなかったから、我が子には自由に生きてほしいと願っていたのに、いつの間にか同じことの繰り返し。まるで螺旋階段のように。
そして、読んでいて一番しんどくて目を背けたかったのが、事件を起こした少年少女たちの想像力のなさ。
これだけやったら相手の体と心がどれだけ傷付くのか‥‥ということを想像できないのが、もう絶望的に怖い。
それは、男のせいなのか?親のせいなのか?

自分の人生は誰かのためにあるのではない。言い訳したり誰かのせいにしたりせず、自分のためだけに生きる。
そして、想像力。
大事だと思います。

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2023年04月07日

Posted by ブクログ

幼い頃の心の傷は
なかなか癒されない。
けど、
人が死に向かっているのを、見て見ぬ振りをするのは、読んでいて
辛くなりました。
ひなたのお父さんはどうなってしまったのか、気になります。

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2023年04月04日

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一体、誰が悪くて、誰の何のせいで
何をして、何をしなければ良かったのか、
連綿と続く「女達」の話ではあるけれど
女達だけの話ではない。
読み終えた後も、ずっと悔しくて悲しくて
怒りに震えている。

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2023年03月29日

Posted by ブクログ

親子3代に渡る母と娘の物語。男に振り廻され自分の人生が変わってしまう女性、そしてその影響を受けざるをえない娘、そしてある事件が発生してしまう。ストーリーは面白く読みやすい。キャラクターの設定もよく物語に深みを与えている。唯一、悲劇的な事件の被害者の心情だけが理解を超えてしまい、共感できないポイント。

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2023年03月21日

Posted by ブクログ

暗澹とした螺旋階段とその終着点 - 早見和真「八月の母」★★★★☆

読後感がゴーンっと鐘に打たれる気分になりました。悲しくて仕方がない。
自分で断ち切ろうと思っていた「鎖」を結局断ち切れずに、娘にも架してしまう。私がやられたんだから同じことを繋いでいく。家族という最強の絆が、絆(ホダシ、つなぎとめるのも)として悪く作用した結果は惨劇だった。
エピローグ母親の依頼事項に対する、娘の回答がよかったし、その理由も納得したよ。
あまりにキツイので映像化は絶対しないと思うけど良い作品だ。
#引用
・勉強するんは、とりあえずこの不平等な社会で持つことを許された数少ない武器。
・私たちは、ちゃんと自分の未来に期待しよう。
・自分の人生を生きることを、誰かのせいにしないこと。

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2023年10月27日

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母と娘の呪いの螺旋。はじめから終わりまでずっと続く閉塞感と不穏な空気。
消耗しながらも読むのを止められなかった。
「母のようにはならない」という意志が呪いになってどんどんがんじがらめになる様子が辛すぎた。

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2023年02月28日

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負の連鎖、罪悪感からの脱却、どこかで、もっと早く、誰か死ぬ前に、そんな思いも虚しくどんどん沼へはまるかのように抜け出せなくなっていく。
重くて苦しくてしんどい物語。
些細なきっかけと、ちょっとしたかけ違いで堕ちていく人生もあるのだ。
こわい。
ラストに少し希望があったけど、重荷は背負って生きていかねばならない。
つらい。

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2023年02月24日

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「逃げろ」
何度も心の中で叫びながら読み進めた。

母から娘、そしてその子へと三代に連なる女性達の壮絶な負の連鎖が描かれる。

『母親』『母性』、その言葉に絡め取られ、良い母であらねばと藻掻けば藻掻く程、蟻地獄に落ちていく。
透明で、けれど堅牢な檻に閉じ込められ身動き出来ない彼女達の姿に、はがゆい思いが募る。

実在の事件をモチーフにした第二部で描かれる女性もまた『母』なる存在に囚われている一人だ。

血縁だけが全てじゃない。
母親を絶対正義と思う必要もない。

捨てたって良い、逃げる事は決して悪じゃない。

自分の人生は自分の物だ。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

読書備忘録713号。
★★★★。

イノセントデイズの衝撃からファンになった著者の作品。
本作品のテーマは母性。
いわゆる母性本能と単純にレッテルしてしまってはこの作品は理解できないと思いました。
母性本能というものがあるのだとすれば、哺乳類という動物が、種の保存の為に自らの体内から子を産み、母乳で育て成獣にすることの本能。
卵で産んで両親で育てる鳥類、卵を産むだけの昆虫や魚類、タツノオトシゴのようにオスが子育てをする生物には存在しない本能。

この作品で描かれる母性は、社会における女性の立場、男から虐げられ、蔑まれ、足蹴にされる女性、特に母親という立場から生まれる母性。
それは、子を無条件に愛する母性ではなく、子に依存し、場合によっては子を社会的に殺す特質を指す。
読むのが苦しい物語でした。

母娘3代の断ち切ろうにも切れない母性という強烈な重力、ネグレクト、性暴力、望まぬ妊娠、身勝手な男どもをこれでもかと描く。
読者は眉間に皺を寄せて読み進む・・・。
備忘録としてあらすじを書く気力も起きない。笑

物語の最後、この地獄から脱出するきっかけとなる集団暴行殺人事件は実際にあった事件をモチーフにしている模様。
育った環境のせいでこうなったなんだ!というのは言い訳に過ぎないと良く身勝手な論評を見るが、やはり未成年者が真っ当な社会人になるには真っ当な環境が必要なんだと思う次第です。

はあ、繰り返しますが苦しかった・・・。

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2023年01月30日

集合住宅の一室で起きた壮絶なリンチ。人を信用できない、でも愛情が欲しいという愛憎の心理による。
第1章は、場面の時系列や誰のことを書いているのか分かりづらい。でも最後まで読むと構成が素晴らしい。

#泣ける #怖い

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2023年01月09日

Posted by ブクログ

終始重たい内容でしたが、読み切りました。
毒親とか親ガチャとか最近話題になりますが、現実にこの小説より酷いことが起こっているので、ハッピーエンドや最後は救われるような綺麗な結末でないことに私は満足しました。読むのはけっこう苦しかったですが…
早見さんは書く幅が広いですね

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

遺伝子なのか環境なのか
母と娘の負の連鎖と共依存から起きた監禁暴行殺害事件。

瀬戸内地方、男が偉ぶり女を下にし、裏切りや暴力も当たり前の閉鎖的な町に住む母と娘。男達を引きつけるけど、幸せにはなれない。嫌っていた母のようになっていく

自身を責めているように言っても、ひなたは自分を守るため紘子を生贄にしたと思う。
自分の幸せこそがみんなの願いだからと言い切る姿に美智子の孫であり、エリカの娘らしい強かさを感じた

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2023年12月31日

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ネタバレ

子どものまま母親にならざるを得なかった美智子とエリカは子どもに依存しながら責任の取り方を知らなかった。そうならざるを得なかった環境、逃げ場のない子ども時代は見ていて辛かった。陽向も負の連鎖に取り込まれてもおかしくなかったのに、紘子が命をかけて守ってくれた。そして自分の人生は誰かのためにあるのではない。生きることを誰かのせいにしてはならない。自分の人生は自分だけのものだと教えてくれた。紘子が葛藤しながらもエリカと陽向を愛し、二人を最後まで想いながら死んでいった様にはさらに苦しくどうしようもなくなった。紘子に顔向けできるように、どうしようもない後悔にさいなまれながらも幸せをつかもうと必死に生きた陽向は強い。最後は長く続いた負のスパイラルを断ち切るという展開で晴れやかに終わったが、重苦しい余韻が続いた。こんなにも重苦しい内容なのに読む手が止まらない、どこか中毒性のある作品だった。

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2023年12月29日

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ネタバレ

気持ちが重いなあ……でも最後は前向きに慣れたけど
1幕めが終わった時ちゃんと、え?!ってなった笑
もう、翻弄されてる女主体過ぎて時代に置いてかれたりしてしまったけど。物語的には、虐待らせんみたいでやっぱりしんどかった。

昭和の前期を生きた美智子の母も男に翻弄される女。母ではなかった。そんな母の元で育った美智子の父がガンで逝き、中井という彼氏とは半年で別れ一郎は美智子を女としてみてくる。母の嫉妬。あろう事かミチコと自分の名前でスナックを開店し、そこにやってくる祐介との間に2回堕胎する。2回目の堕胎の時向こうの家から渡された多額の金に、一人で生きていく為には金と思い知らされ家を出た。自分の身をお金に換える事で未来を描いた。最後に一目母に会いに行って東京に行くはずだった…
私にはもう美智子しか居ないのよ…老婆のように窶れた母を前に愛媛に留まってしまう。
そして、愛媛にてエリカを出産する。エリカが初めて信じた教師村上和幸も同級生の康ちゃんも性欲が異質だった。この時、和幸の同級生上原がエリカの虐待を記事に取材した事が後に大きくかかわる。
その後に七森博司と出会い堕胎寸前で結婚するが美智子が生活費を依存してくる。そして、この時のエリカの子、陽向が2幕で更に悲劇を呼ぶ…。

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際の事件をモチーフにしているとは聞いていたものの
事件の詳細は知らないまま、読んだ。
結果的にフラットな感情で読めて正解だったと思う。

冒頭に、登場人物がニュースを見ているシーンがあるが
これは同著者の『イノセントデイズ』のニュースということなのかな?

(ここからはネタバレです)
母子4代に渡る物語。
美智子もエリカも、子供の頃は母親を見てそうなりたくないと思っているはずなのに
大人になると繰り返してしまうという悲しさ。

陽向はその螺旋から抜け出ようとするラストだけれど、
そのために犠牲になった命が悲しい。
でもそれだけの何かがないと、家族や故郷と縁を切るというのは難しいものかもしれない。

ただ紘子の家族だったら…と思うと
とても紘子の兄のようにはなれないかな。
特に事件時に陽向が何をしていたか知ってしまったら。

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2023年04月05日

Posted by ブクログ

早見和真って『店長がバカすぎて』に次いで『小説王』も読んでいた。

年齢と共に、こういったたぐいの落ち込む系の話は苦手になってきたと改めて自覚。

母子3代にわたる負の連鎖、負の螺旋階段の物語。なんの事前知識も持たずに読み始め、途中で実際の事件をモチーフにしていることを知る。それ以降、読み進めるのが重かった。

エリカは「伊予の町を出て行けない」と言いながら、それを誰か--母親--のせいにして「息の詰まりそうな」場所に住み続ける。諦念とある種の「芯」のようなものを持ったエリカ(決して流されっぱなしではない)が壊れていく様子は正視しがたい。

母と子はこういうテーマになりやすいと思う。母娘の関係ってむずかしい。では父親は?

物語のラストでエリカが出所後の面倒を見てほしいと陽向に言うところ、都合よすぎて驚く。最後くらいエリカが変化したように描いてもいいのにと思う。でも、陽向の決別の気持ちをより明確にするために必要な描写かなとも思う。

p314
紘子が陽向を海に誘う。海を見ながら陽向が言う。
*「ここって息苦しいやろ?」
懺悔するようにつぶやき、陽向は海を見つめながら続ける。
「なんか永遠にこの場所から逃れられないんじゃないかって、そんな気持ちにさせられる。閉じこめられとるような気持ちになる」
・「海は解放の象徴」と思い続けてきたので、この描写は意外。見続けてきた海、思い描いて生きてきた海の違いか。
伊予の町。住む人たちの心だけでなく、地理的にもそんなに閉塞的なのか。行ってみたい。

p305
東京へ進学して伊予を脱出した兄に紘子が「東京ってどう?」と問う。出ていきたいとは明言しない紘子が「私はお兄ちゃんみたいに賢くないけん」と言うのに対して兄は
*「いやいや、やったら勉強せんと。勉強するんは、とりあえずこの不平等な社会で持つことを許された数少ない武器やけん。下手したら唯一の武器かも知れんぞ」
「もちろん対等に与えられるものとは思っとらん。俺らみたいに小学生の頃から塾に行かせてもらえる子どももおれば、勉強なんてせんでもええって親から言われよったヤツも実際におったし。でもな、それと自分から放棄することっていうんは全然違うんと思うんよ。自分のいる環境を呪うんやったら、勉強して、まずそこから這い出す努力をしてから言えよって俺は思う。勉強して、力をつけた人間が活躍できるフェアネスは、まだギリギリこの国にもあるやろ」
・そっち側、こっち側にしかわからないことってあると思う。努力してから言え。まさに至言。

p358
エリカの家で寝泊まりするようになった紘子に東京の兄から電話がかかり、お母さんが心配していると告げる。家にいたときの兄は、紘子より母に対して不満を抱いていた。なのになぜそんなに優しくなったの? と問う紘子に
*「優しくなったっていうか許せるようになったっていう感じなのかな。お母さんやって生まれたときから母親やったわけじゃなく、昔はお前と同じように中学生や高校生やったんよ。そんなふうに思ったら、少しは許せんかな?」
「そしたら、せめてあの人も一人の女性やって認めてやれ。母親やということにあんまり過度な期待したらいかん」

p397
エリカや子ども、その友人たちから暴行を受けて瀕死の紘子が、死の直前に母親に電話した履歴が携帯に残っていたと、陽向は紘子の兄から聞く。携帯の電池が切れてしまっているのに一瞬かかったのは奇跡だったと思う、と。そして紘子は最後に母親を許したんじゃないかと思うと話す。
*「許しているということを直接伝えたかったんじゃないかって。いずれにしても、あの着信があったから母はいまでも生きていられる。僕が一緒に住んでいた頃のあの人だったら、電話を取れなかったことを悔やみ続けていたと思うんだ。でもちゃんと前を向いて生きている。紘子の気持ちを受け止めているからだと思う」

p399
恭介は陽向を責めない。「なぜ?」と問う陽向に
*「僕が紘子と話した最後の電話がまさにそんな内容だったんだ。許せないと思う人こそ許してやれっていう話をした。僕にとって越智エリカほど許せない人間はいない。だけど、だからこそせめて許そうという気持ちだけは持ち続けていたいと思っている」

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2023年03月28日

Posted by ブクログ

脈々と受け継がれていく、辛い系譜。やはりそれを断ち切ることは死に物狂いで立ち向かって行くしかないのか。

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2023年03月14日

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