【感想・ネタバレ】絵の中のモノ語りのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 2017に上野の森美術館で開催された「怖い絵」展とその関連書籍シリーズで知った中野京子さん。実はこの展覧会のとき、出口のところで朝の情報番組の取材を受け、かの宮司愛海アナウンサーと共にテレビに映ったという嬉しい思い出がある。それはそうと。中野さんの本は、絵画そのものの情報を伝えるというより、その絵画にまつわる諸々のエピソードや、中野さんならではの独自の考察や仮説も含めて豊かに語ってくれるので、解説というよりひとつの物語を読んでいるような気分になる。この本も例に漏れず、「こんな解釈もあるかも?」「わたしはこう思ったけどどう?」というような自由な文章で楽しかった。
 この本はタイトル通り、絵画の中に描かれた「モノ」にフォーカスした一冊。章ごとに、生活用品、食べ物、動物、装飾品、シンボル、楽器と区分してある。わたしは絵画を鑑賞するとき、全体の雰囲気であるとか、その作品が描かれた経緯や目的について興味を持つことが多い。精密に描かれた美しい景色は一体どこの国なのか、あるいはそもそも実在する場所なのか。「怖い絵」と呼ばれる絵がなぜ「怖い」のか。一見して意味不明なキュビスムやシュルレアリスムの作品を描いた作者の意図はなんだったのか。しかしこの本のように絵の中のひとつのモチーフに注目して、それが象徴するものは何か、どういう意味を持った「モノ」なのかを考えながら鑑賞してみるのもまた面白そうだと感じた。
 わたしとって美術鑑賞は、読書や音楽や映画に比べてもずっと難しい。美術館に足を運べば例外なく心踊るけれど、興味がある作品とない作品の差が激しく、せっかく訪れた展覧会を十分に満喫できていないような気がすることも確かだ。視界に捉えた瞬間に魂を震わせてくるような衝撃的な作品ももちろんあるけれど(ピカソ「ゲルニカ」、ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」、マグリット「光の帝国Ⅰ」、ジョアン・ミロの多くの作品などがわたしにとってはそれに当たる)、当然のことながらそれほどではない作品の方が圧倒的に多い。そういう作品にも何かのきっかけで興味のアンテナを反応させることができれば、もっと豊かな体験ができるようになる気がする。この本の「モチーフに注目する」という手法はわたしにとって新しかった。今後活用してみたいと思う。

0
2023年09月23日

Posted by ブクログ

表紙の絵が凄いぜ。女性が抱えたバジルの大きな鉢の中にはこの女性の恋人の首が入っているのだ。怖い。勿論、中野京子さんは、なぜそんな絵なのかこの絵の説明をしてくれるし、その背景や作者についても的確に語ってくれる。その語り口の巧みなこと!時々入る自己ツッコミも絶妙。絵の中に描かれた生活用品や食べ物、動物、装飾品、シンボル、楽器を取り上げて、その絵の意味に迫っていく。堪能するのは間違いなし。

0
2022年06月12日

Posted by ブクログ

絵には興味あるけど、いきなり文字の細かい本は読む気失せる、、というところに中野京子さんの本に出会い、面白くてハマっています。この本も一つ一つの解説が短くてめちゃくちゃ読みやすいし、文章も堅苦しくなく理解しやすく面白い。いろんなテーマ・切り口で読んでみたいな〜!

0
2023年04月21日

Posted by ブクログ

気軽に読め、好きな画家の説明も多かったので、楽しめました。モノについてもう少し時代背景やスタイルの説明があると良かったです。3よりの4です。
文庫本でネタ増やして書いて欲しいな。

0
2022年12月20日

Posted by ブクログ

絵の中に描かれている「モノ」を中心に絵を「観て」いくおもろい視点で描かれた本。
絵の中に何気なく描かれている「モノ」に深い意味があることに気付かされた。

0
2022年08月05日

Posted by ブクログ

この手のカラー本を眺めるのは、くつろぐ時間に丁度いい。しかも解説が、ちょこっと捻くれてるところに笑ってしまう。しかし500年前とかの絵か、写真のように鮮明で瞬間を捉えてるのには、画家の技量に感服。

0
2022年06月07日

Posted by ブクログ

絵のページを見ながら解説を読むと中野さんの口調が思い出されて、まるで直接話を聞いているような感覚がした。

0
2022年05月09日

Posted by ブクログ

名画に描かれたモノを中心に中野京子さんが解説してくれる本。博識な中野さんコメントはいつもながら絵画を面白く見させてもらえ楽しいです。

当時欧米で日本の提灯が大流行していたのは初めて認識した。
ミュシャが作った宝石を装飾した蛇の腕輪が日本の堺ミュシャ館にあるのは一度は見てみたい。
クリムトのアテナの甲冑の顔はメドゥーサだったのですね(舌を出してファニーに見えるので驚きました)。

0
2022年04月02日

Posted by ブクログ

絵画の解説書ですね。
解説書と書きましたが、この本は雑誌に連載されていたもので、一作に四ページしかありません。ですから込み入った美術評論には到っていないので、エピソードが主体に成っています。どこからでも読める比較的軽い内容に成っています。
 だからと言って流石に中野京子さん(年齢不詳、北海道生まれ)作家であり、ドイツ文学者、西洋文化史家、翻訳家の多才な叡知で鋭く核心を衝いて語ります。
 中野さんだから出来る本ですね。
 全部で三十二点、全てカラーですから、作品も観賞出来ます。残念ながら単行本サイズなので迫力はもうひとつです。
 手軽に持ち運び出来て、少しの時間で楽しめるのが良いですね。
 この本を切っ掛けにして、美術に親しめるようになれば幸いだと思います。

0
2024年04月30日

Posted by ブクログ

見て鑑賞して感じる事も必要だが、その歴史や背景も知ると、より深く感じられる。このシリーズはちょこちょこ読みたくなる。

0
2024年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

絵の中に描かれる「モノ」に着目して書かれたエッセイ。最初に出てくる、ジョン・シンガー・サージェントの「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」(1885)がまず素敵。夕暮れの庭で提灯に夢中になる少女の、白くすっとのびた首がきれいで…。ひとつひとつの絵の解説が短いので気軽に読めるのもよい。

0
2022年11月03日

Posted by ブクログ

アートを頭で考えたくはないと思うけれども、その意味や時代背景、画家のバックグラウンドを知るとさらにその絵を深く見ることができる。面白かった。

0
2022年03月05日

Posted by ブクログ

1つの絵に4ページ程の短い文章。
でもウンチクがギュッと詰まって
なるほどと感心しながら
印刷された絵と文章を行ったり来たり確かめる。
きっとすぐに忘れてしまうかもしれないけど楽しく読めました

0
2022年03月05日

Posted by ブクログ

月刊誌「エクラ」。男性には馴染みのない女性ファッション誌。そこに連載された画の中の「モノ」エッセー。3ページあまりという文字数はあまりに短い。三十二点の名画をあっという間に鑑賞。もう一度最初から絵を見返す。「提灯」「釘」「案山子」「箒」「バジル」「蝶」「ドラゴン」「日傘」「スケート靴」「光輪」「星座」「十字架」「ラッパ」「パイプオルガン」・・・。確かに「モノ」の印象が強く残っている。雑誌の趣旨は紙面での「モノ」売り。実物に触れさせることなく記憶に残す。買わせてしまう。そこが中野節に期待されたのか?

0
2022年02月11日

Posted by ブクログ

流石に少しネタ切れの感もあるが、十分面白い。
中野京子さんの手にかかると絵画の見え方が違ってくる。中野さんの本は全部読もうと思う。

0
2022年02月06日

「エッセイ・紀行」ランキング