【感想・ネタバレ】トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回のレビュー

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Posted by ブクログ

題名通りのトラウマにずっと関わってきた著者の「触れる」ではなく「ふれる」である。繊細な臨床をおこなってきた著者の言葉も繊細であり、読んでいる度に心の輝線に触れる。トラウマ臨床で語られにくく、そして対処が難しい性の問題、そしてそれに絡むジェンダーの問題。徐々に難しい問題に章を進め、男性の性虐待の問題に触れる。この問題については、この著書で初めて知ることもあり、目が開かされた。最後は、学問、知の世界への著者のスタンスを語る。トラウマ臨床への一歩が進む書であった。

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2022年09月02日

Posted by ブクログ

Pⅲ
『トラウマにふれる。
触れる。振れる。震れる。降れる。狂れる。
触れる。ふれる。ゆれる。ぶれる。ずれる。

 精神科の臨床をしていると,相手の抱えるトラウマ(心の傷)がなんとなく透けて見えることが多い。でもそこに触れた方がいいのか,触れない方がいいのか,迷うこともまた多い。傷には触れないですませられたら,それにこしたことはない。けれども触れざるをえないこともある。時には,深い傷口をざっくり開けた状態で,目の前にあらわれる人もいる』

ーーー

こころの傷ーそれはあたりまえに目に見えない。
だからといって,見て見ぬふりしていいわけがない。
だからといって,どう見たらいいのか正解があるわけでもない。

だからこそ,ただそっと,そっと,ふれていくのだ。

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2021年11月06日

Posted by ブクログ

傾聴とは何か。

トラウマを知り、トラウマと向き合うことを知ることで、この問いの答えに一歩近づくことができた気がする。

傾聴とは、自分のアンコンシャスバイアスとの闘いなのだと思う。向き合う相手が深い傷を抱えている程、自らの経験則、培った来歴を捨てて、ありのままを受け入れることが出来るのか、が試されているのではないか。

我々は、無意識の部分を探究するスキューバダイバーなのだ。
単一の学問ではなく、森岡正博さんが説く「ひとり学際」の精神で、総合的な学びを成し、自らの無意識に深く踏み込むことが必要だ。

そうでなければ、真の「傾聴」は実践できない。トラウマを抱えた人と共に居ることは出来ないのだ。

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2021年05月02日

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