【感想・ネタバレ】犯罪社会学者・椥辻霖雨の憂鬱2 十年の孤独のレビュー

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Posted by ブクログ

 読んでいる最中、椥辻霖雨が先生なら、あるいは社会学が楽しく感じれたのかもしれない、と何度も思った。
 犯罪社会学を専門とする大学準教授の椥辻霖雨の講義場面から始まる各章に、退屈さは微塵もない。
このシリーズが好きで自ら読んでいるから、という贔屓抜きにしても引きこまれる要素がある。
 今作は罪を犯すことと裁くこと、償うということの違いが主題に置かれている。
「犯したから裁かれ償う」と「裁かれたから犯した」、「償ったから犯した」は別物ということをだ。
安易に「冤罪」という単語が想起されたが、読み進めると似ているが違うのではないかと考えを改めた。
 確定した罪は覆ることはなく、償った年月も戻ることはないことが随所で強調されながらも真実は紐解かれていく。
 過去を掘り返しているだけだから、結末は変わらない。でもだからといって、救いのない物語だとは思わない。

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2021年12月25日

Posted by ブクログ

10年前の事件を再調査し、一つの真実に迫っていく話。
過去はやり直せない、というのを仕切りに強調していることで、10年の月日の重さを感じました。

加害者家族として「隠された被害者」とされた娘や世間の容赦ないバッシングなど、痛ましいです。

『人の不完全さを許容して、より良い社会とは何かを考える道を選んだ人間』霖雨のような考えが広まればと思います。

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2022年09月14日

Posted by ブクログ

叔父に頼まれ迎えに行った相手は
刑期を終えて出て来た人物。

温和そうに見えるからと言って、そうだとは限らない。
しかし姪はそうは見えない、と言う。
それがきっかけになって、調べていくわけですが
娘にしてもやりきれない状態に。
まさかの10年間と、まさかの現実。
いやもう聞こうにも聞けない状態ではありますが
そこに至る心理状態は、周囲が作ったのか
『拠り所』が作り上げたのか。

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2023年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【目次】 プロローグ/ショーシャンクから来た男/彼等の願うこと/二人の間に愛はあるのか/抜けるような夏空の下で/エピローグ
准教授の椥辻霖雨は「犯罪社会学」の研究者。霊の見える不登校の中学生・姫子と共に叔父の家に居候している。
叔父の知人である小山源次を紹介された二人は、彼が妻殺しの罪で十年弱の刑期を終え出所してきたばかりだと聞き、疑問を抱く。そして、事件の再調査を始める。

ミステリとしては特に面白みはない。
加害者家族であると共に被害者家族でもある小山夫婦の娘・奈々を初めとする、当事者家族へのバッシングがテーマ。
被害者側が加害者に対して「許せない」という気持ちを抱くのは仕方がないことだ。が、それ以外は、たとえ被害者側から加害者の家族に対するものであっても、許されないことだと思う。まして、第三者が「世間」の顔で口をはさむのは論外。
作中、霖雨の「更生保護は人道的な措置である以上に、社会の防衛制度である」という言葉にまったくもって同意。負の再生産を煽る行動は厳に慎むべきである。と共に、正義面してそれをしている部外者は、彼ら自身がすでに犯罪者になっているかもしれないと、自分の正当性を疑うべきだろう。

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2022年03月20日

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