【感想・ネタバレ】飼い喰い 三匹の豚とわたしのレビュー

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Posted by ブクログ

面白い、ただその一言に尽きる。

作者が3頭の豚に名をつけて飼育し、肉として食べるまでを記した本。養豚に携わっていたため「あるあるだなぁ」「わかる…!」と思う点が非常に多かった。またその場その場の光景が目に浮かび、書き手の飾らない感情がひしひしと伝わってくる表現方法が見事で、引き込まれるように夢中になって読んでしまった。

これ程の濃くて面白い経験談が詰まった本が800円で買えてしまう、読めてしまうとは…本というものの安さに改めて驚く1冊だった。

恐らく肌に合わない人もいるだろうと思われるが、養豚、豚に興味がある人はもちろん、肉が好きな人にも、動物が好きな人にも読んで欲しい。

最後にもう一言。本当に面白かった。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

よく子どもに生き物の大切さを教えるのが難しいとか言ってたりするわけだけど、いやそりゃ難しいわ。というか何も分かってねーな、ってことが分かった。無知の知ってやつか。
というわけで、まずやってみようという著者のバイタリティには恐れ入る。色々と大変だーとか言いながらも他の人に助けてもらったり、でも結局は自分でも苦労をするというこの姿勢は見習いたい。
そして名前もつけて可愛がったブタを殺して食う。イルカがかわいそうだと言って押しかけて嫌がらせをするだけの緑豆あたりに比べてもしっくり来ることこの上なし。
って別に政治臭があるわけでもなく、説教臭くもなく、ただやってみた。ノンフィクションってこういうことか。

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2023年09月20日

Posted by ブクログ

本書は動物愛護・保護的感情論から’肉を食うのを止めよ’とか、道徳的視点から’命の有り難みを噛み締めよ’等といった主張をするものとは全く一線を画する、私の内に強烈な印象を刻み込んだドキュメンタリー。

自ら飼って育てた豚を捌いて食べるなんてかわいそう!信じられない!という気持ちを抱くのは何ら不思議ではないし、そもそも著者の内澤旬子先生だって悪鬼羅刹ではないので屠畜の日が近づくにつれての複雑な心情を明かしているし、当日も「辛かった」(p251)「せつなかった」(p257)という瞬間があった事を綴っている上に「豚がかわいくてしかたがなかった。」(p158)と振り返っている。
ここで大事な事は、そもそも内澤先生は三頭の豚をペットではなくて家畜として飼い始めた訳で、飼い出した理由は世界中の屠畜現場取材の過程に於いて屠畜場に送られてくる家畜達そのものの事についてを知りたいと思った、という学究的関心による。

かわいそう!信じられない!という反射的反応の根拠って相当曖昧で、「何がかわいそうで何がかわいそうでないか」(p155)とか「動物を食べるのがかわいそうで、植物を食べるのがかわいそうではないと断ずる理由はなにか。」(p336)とかって突き詰める程に、結局はそう考えるその人の「単なる習慣」(p158)に過ぎないエゴイスティックな押し付けなんだろうなと私自身の事も含め、改めて考えるきっかけになった。
…と書いていてふと思ったけど、ついさっき豚の生姜焼きを食べたんだよなあ。結局のところそんなもんよ。

ちなみに、三頭の豚が屠られる場面以上に衝撃的だったのは分娩立ち会いのシーン。豚舎に入って「まず目に入ったのは、下半身がちぎれてなくなって死んでいる赤ちゃん豚だった。」「猫が入ってきて食べちゃう(中略)それと初産の母豚は(中略)驚いて噛み殺したり、食べちゃう」(すべてp66)らしい。絶句。まあ猫問題はともかくとしてパンダだって育児放棄するっていうし、母に無償の愛を強要するのはそれこそエゴイスティックな無理強いというものでしょう。

他にも大規模養豚業が孕む問題点だとか持続可能な循環型農場の課題点だとか、様々な知見を得られた一冊でした。


よく学校での「いのちの授業」を巡って意見が割れたりもするけれど、勿論子供達に棍棒やナイフを持たせて手ずから解体にあたらせるのは慎重に為されるべきだが※注※、屠畜業についてをタブーとして隔離・隠蔽するというのは却っていのちや食べ物をぞんざいに見做している事になりはしないだろうか。
少なくとも、私は自分の子供たちには食卓にあがる
食べ物についてを(肉だけじゃなくて)きちんと説明出来るようにありたいと月並みながら思いました。

(訂正・追記)※注※について、屠畜場法第十三条に「何人も、と畜場以外の場所において、食用に供する目的で獣畜をとさつしてはならない。」と定められておりました。けどこれ、教育目的であればOKなのだろうか?

1刷
2022.11.20 訂正・追記

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2022年11月20日

Posted by ブクログ

正確には私が読んだのは岩波書店の単行本版である。

これは最高におもしろい本だ。
内澤旬子さんは『着せる女』でこんなおもしろい人がいるのだなと認知。
この本は出版当初に評判になったものの読んでおらず、たまたま手に取ったら内澤旬子さんだった。

ロシアが開発したイエバエを使った「ズーコンポスト」という豚の糞尿処理方法の話と、自分の「大」をおやつに与えたら見向きもされなかった、というエピソードが興味深かった。

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2021年08月28日

Posted by ブクログ

初、中澤旬子氏です。はじめはグロテスクなイメージで、おそるおそるといった感じでページをめくっていましたが、途中からは目が離さなくなりました。3匹のブタたちがどのように成長していくか、どんな苦労と工夫があるのか、そして中澤さんがどんな気持ちになっていくのか。次の展開が気になって、読み終わった後も、もうしばらく後日談を聞きたくなってしまいました。

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2021年07月14日

Posted by ブクログ

Cocco「My dear pig」を思い出す内容。
「思いついたらなんでもやってみよう!」という筆者のパワーとエネルギーが素敵。
そういえばうちでも昔、鶏飼って食べてたな。ヤギもいた。私の乳用だったらしいけど、しょっちゅう私をどつくから売り払ったとは母の話。でも、食用動物に名前はつけてなかったぞ。
あと、たまたま遊びに行ってた同級生のうちで飼ってた牛が逃げ出して、ブロック塀の上に避難したこともあったっけ。そういう家畜まみれの幼少期を送った人間から見ると、最近の豚ってずいぶん過保護に飼われてるんだなーという感想。しかも、確か豚って犬並みかそれ以上に賢いんじゃなかったっけ?さらには遺伝子的に人間に近いんだとかなんとかで、移植用の臓器を豚の体内で育ててる(た?)とか。うーん、なんか鶏しめるのとはレベルが違う感じ。でも、今日の夕飯は酢豚なのだった。うん、せめて残さず食べよう。My dear pig is you♪

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2021年04月25日

Posted by ブクログ

読もう読もうとずっと先延ばしになってた本。
千葉に土地を借り、家を修繕しながら、豚3匹を飼って、
肉にして食べるまでの1年間の緻密なレポ。
今まで読んできた内澤さんの本の中にもこの時の話はたびたび出てきたが、
『身体の言いなり』『捨てる女』と並行して、豚を飼う生活があったのかと思うと驚く。
これまで読んだ本を読み返してみたらまた発見がありそう。
温度の変わらない淡々とした文章の中に、
ハプニングやら養豚業の内情やら豚の可愛さやらが書かれている。
内澤さんの凄さは実際に行動してしまうことだけど、
豚との生活が半年程度だったのはなんだかもったいない。
短期間の中で得た、圧倒的な経験の濃さ。
なのにことさら大騒ぎするでもない、飾り立てない文章の力に唸ってしまう。
しかし全部食べられる野菜と違って、豚を職業として成り立たせることの割の合わなさ。
もっとありがたく、大切にいただかないといけないなと反省した。

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2022年02月06日

A

購入済み

面白かった

養豚のドキュメンタリーだと思って読んだら
ドタバタ奮闘記だった。
そういう意味では期待外れだったかなと思うけど
物語的な面白さで一気に読んでしまった。

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2022年01月04日

Posted by ブクログ

序・中盤の密度に比べて、終盤が駆け足気味だったのが残念。個人的には最終盤こそを、もっと濃密に堪能したかった。自分だったら愛情かけて育てちゃった豚喰えるかなー。だって家族でしょもはや。って思考が平和ボケした現代人過ぎてアレか。最初から喰う前提で生き物を育てるって、凄いね人間。決して天国には行けんわ。美味いから喰うけど。

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2021年08月10日

Posted by ブクログ

千葉県旭市に車の免許も持たずに乗り込み、人に乗せてもらって取材するって甘えすぎ。。と少し怒りながら読む。でもこの人を巻き込むパワーが持ち味なのか。これだけ色々な人に感謝して最後豚を食べるときには300人が参加、豚肉料理は無事完食され、良かった良かったとこちらも嬉しくなる。テーマ的にしょうがないのかもしれないが、残酷な描写は不快。「乳房の肉を切ってもらってミルクが流れるステーキ食べた」とか。人間だっておっぱいで子供育てるのに同じ哺乳類によくそこまで冷徹に悪趣味になれるな。さらに睾丸を取って去勢する場面。「目玉の親父が取れない」って敬意が無さすぎないか。もういい、というまでにリアルな描写。意外と元気な子豚に、ごめんねと思ってしまう。養豚のおかげで毎日美味しい豚肉を食べれるのだが。感傷にひたる間もなく「取った睾丸はにんにく醤油につけると美味しいらしい」美味しく食べるのは良いことなんだけどさ。買うことになった豚に名をつけるべく、なぜか名前を豚に譲ってくれる男性を探す著者。3人が承諾してくれ、伸、夢、秀と名付ける。別に自分の好きな名前つければ良いのになぜ?豚肉がキロ500円くらいでしか売れない。屠殺の費用を払ったら、半年育てて2万円くらいにしかならない。これはショックだった。豚のエサを運ぶパナマ運河サイズの船は鹿島港に入ってくるので輸送費のかからない千葉で養豚が発達したらしい。

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2021年05月08日

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