感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この作者さんのお話は好きで結構読んでるが、前作、前々作?も含めてゲームのバグや設定の隙間を上手く突くような姿勢が楽しい作品。
結末の決まった物語やいくつ分岐があっても救われないキャラクターを俺だったら救ってやれるのに!なんてことを思ったことのある人にはおすすめできるかも。
なんでこんな小さな段差を登れないんだ!絶対負けるイベントじゃん!みたいなゲームだとありがちな設定や進行上の制限が現実になったらどうなるのか
また、それをどう乗り越えていくのかは見どころですね。
この作者さんのお話全体を通して設定や展開に説得力があるなと思えるところが私は好きです。
このシリーズに限るのであれば、主人公が、なんでこの世界で強いのか、なんでうまく立ち回れるのかというところを、ただただご都合主義的に描くのではなくて、その背景を提示してくれている所が納得感を与えていると思う。
ここだけネタバレしちゃうけど冒頭の数ページの事なんでまぁ許して欲しい。
この本、異世界転生モノでお馴染みの転生トラック、出ます!
Posted by ブクログ
ゲームライクなストーリーを得意とするネット小説出身のウスバーさんによる、ゲーム世界迷い込み型の異世界攻略物語シリーズ第一巻である。
歴史に埋もれた(架空の)名作RPG<ブレイブ&ブレイド>のサブキャラに転生した主人公。
彼は序盤最強にして不遇の極みであるキャラ「レクス」を演じながらゲーム世界で活躍していく物語となっている。
この一巻では、主人公は巻き込まれ型で危機を乗り切り、その後のビジョンは結構ブレブレである。
世界の危機は主人公にお任せして……という人任せな考えを滲ませながらも、一方で
「不遇なこのキャラで最強を目指すのも面白いよなあ」
といった、ある種のロマン主義的な一面も持っている。
そのロマン主義に未練を残しつつ、さらに「優れた仲間を育て上げる戦略シミュレーション視点でプレイしよう」と決心したりと、本当に方針はフラフラしている。
突如のゲーム迷い込みで生き道を即時決断できる人は少ないだろうし、こうした点で主人公の感情的変遷はリアリティがあるだろう。
まあ、戦略シミュ視点はただ単に「成長値が格段に違う後輩への妬みをどう捨てるか」という観点からの物に過ぎないが(笑)、そうした思い悩みをする、ごく平凡な主人公像である。
そんな彼でありながら、彼は物語の中心に携わり、巻き込まれながらもゲーム知識とゲーム経験で危機を乗り越えていっている。
レクスの死亡イベントだった「封印の悪魔」との対決。
種を知らねば初見殺しとなる「カジノ・グランリリム」との遭遇。
同じA級冒険者ヴェルテランとの抗争。
そして書籍版オリジナルで書き下ろされた「魔物の王」との邂逅・対決。
様々なキャラを生き生きと描きながら、ゲーム世界を活写する内容は実にワクワクする代物である。
正統派の異世界物語であり、正統派のゲーム系転生物だろう。
加筆も含めて、充実した一巻だった印象が強い。
シリーズ自体への期待も含めつつ、ここでは星五つで評価したい。
天野英さんの描くキャラたちもまた魅力的で、加点している部分は付記しておきたい。
アニメイト限定特典ではまさかのヴェルテラン主演のショートストーリー「不屈の英雄」が4Pリーフレットとして封入されており、そちらも楽しませていただいた。