【感想・ネタバレ】血の間隔 単行本版 2巻のレビュー

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漫画において、知的障害者は過剰に美化して描かれるものだが、本作にはそれがない。手のかかる、可愛くない妹…自分にもかつて知的障害のある弟が居たが、周囲が気遣って彼の行動を美化するのが本当に気持ち悪かった。過去形なのは、その知的障害者の身内が他界したからだ。

身内なので弟が他界した時は当然悲しかったが、年月が経つにつれてホッとしている。年々弱ってゆく親が、弟の面倒を看続けられたとは思えないのだ。生きていたら「頼むから死んでくれ」と思っていたかもしれない。

自分が結婚した時、弟に言われたことは
「子供が産まれても実家に連れて来ないでくれ。殺してしまうかもしれないから」
というゾッとする言葉だった。言われなくても我が子を連れて行くなんて恐ろしくて出来なかったが。
弟は自分の面倒を看てくれると当てにしていた人間が、結婚して家庭を持つのが腹立たしかったようだ。
知的障害者は天使ではない。嘘もつくし、残酷な言動もする。知恵が足りない分、エゴを隠すことが出来ない。

私も弟に消えて欲しかったし、消えてくれてどこかホッとしていた。
非情だと思う人は、いつ「犯罪者の身内」になるか分からない恐怖を一度味わってみたらいい。
大切な我が子に、知的障害者の身内が憎悪や殺意を持っている恐怖を一度経験してから説教して貰いたい。
障害者を天使のように描いた作品は、正直苦手である。その方が差別だと思うからだ。障害者は天使でなく人間である。自己保身の為なら、健常者よりもエゲツない言動をする。
この作品は、そこを忌憚なく描いておりリアリティがある。
星が少ないのは、個人的に知的障害者の身内を思い出して辛くなったからで、客観的にはもっと高く評価している。

障害者を天使のように描いている漫画を読むと反吐が出る気分になる。
もっと現実みろと言いたい。

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2021年03月20日

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