【感想・ネタバレ】風よ哭け 橋廻り同心・平七郎控のレビュー

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Posted by ブクログ

内容(「BOOK」データベースより)
立花平七郎は懇意の酒屋での聞き酒会の最中、巾着切りの少年を捕らえた。身元を質すと、父親は八丈島に流されていてひとり暮らしだという。諸色問屋の手代頭だったが、暗闇の中、賊と間違えて主の弟を刺し殺したのだ。平七郎は自分が取り調べた一件だったと驚く。少年の住まいを確保した直後、恩赦の報せが届き、父子の再会を果たしたのも束の間…。

令和3年12月7日~8日

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2021年12月10日

購入済み

気構えも足りない大人の人生

第1話の「紙人形」は、困難に際しその対応を少しばかり間違えたことで、人生が大きく変ってしまった町人の物語である。
50両もの借金を抱えた小間物屋の吉兵衛は、その返済に窮してしまい、以前奉公していた小間物屋の「えびすや」を頼って金を借りるべく訪ねた。しかし、主からは相手にもされずに冷たく追い返される
借金の返済にこだわり過ぎ、あるいは自分の商売の存続を考えるあまり、えびすやに頼るだけが返済の道であると短絡的に考え、他に考えを巡らすことが無かったこと、それが彼の落ち度であった。1軒の店を持つ大の所帯主であるにも拘わらず、いま少し考えを巡らせれば他の方法もあったのだろうに・・・
それにしても、その吉兵衛に魔が差したのは、えびすやからの夜の帰り道のことであった。
ある家の軒を借りて雨宿りをしていると、家から人が出て行くのが見えた。しかも戸は開けっぱなしだった。吉兵衛が覗いても人の気配が無い。中に入るとタンスに巾着があった。それを盗んで戸口に戻る途中に寝ていた女主が起きて来て、手に包丁を握り吉兵衛に迫ってきた。だが、その時女は着ていた着物の裾に足を取られて転び、自分で自分の胸元を刺して死んでしまった。
これが事件の全てである。
この女主は江戸の大店の隠居の妾をして、田舎にいる親思いの優しい女であった。隠居の子どもを身籠もったが、跡継ぎ問題を避けるために止む無く中絶をした。そうしたことで、心が荒んで酒に手を出すだらしない生活を送ってきた。当然、行儀作法を教えなければならい下女がいるにも拘わらず、逆に女は冷たくあたっていた。
下女は事件の目撃者である。
橋廻り同心、立花平七郎は、2ヶ月前に京橋で油がこぼれた事件があった際、この下女が足を滑らして転んだのを目にしている。
いつも明快で優秀な平七郎とその仲間たち、すなわち、秀太に加えて今回から町廻り同心から左遷された亀井市之進と工藤豊治郎の2名が加わった橋廻り同心たちが、手際よく事件を調べ上げて無事全容を解決する。吉兵衛への裁きは、「重所払い」であった。

#切ない

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2022年05月27日

Posted by ブクログ

シリーズ14作目の2作品。おこうとの話はまったく進展しないが、平七郎の働きは明らかに認められてきたようで、使えない2人もなんとか使えてる。素晴らしい!

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2020年11月01日

Posted by ブクログ

橋廻り同心・平七郎控 シリーズ 14

同僚たちから、閑職と揶揄され、陰で笑われていたが、定町廻りが手を焼いている、数多くの難事件を解決してきた、立花平七郎と平塚秀太は、今や江戸の町民たちから、信頼を寄せられている。
同心達からは、羨望・嫉妬の入り交じった目で見られている。

《紙人形》
金策に訪れた、昔の勤め先から、けんもほろろにあしらわれた吉兵衛。
昔の同僚の番頭芳之助から、娘にと、紙人形と千代紙を貰ったが・・

《風よ哭け》
偶然捕まえた、巾着切りを働いた少年・仙吉は、昔、平七郎が定町廻り同心だった頃、取り調べた男、喜久蔵の息子だった。
喜久蔵は、賊と間違えて主人の弟を刺し殺し、八丈島に流されていた。
仙吉の勤め先を確保した矢先、喜久蔵が、恩赦で江戸に戻ってくるという報せを受ける。
父子が無事再開したのも束の間、喜久蔵が、何者かによって、殺されてしまった。

定町廻同心の厄介者の亀井市之進と工藤豊次郎は、最近は、下手な変装をしたりしながらも、平七郎を助け、活躍している。

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2022年09月19日

Posted by ブクログ

シリーズ第14弾。

定町廻りから押し付けられた、工藤&亀井のダメ同心コンビが加わり、4人となった橋廻りメンバー。
ちょいと不安もあるものの、確実にこの二人が“いい奴化”してきていて、意外と4人で楽しそうにやっている感じです。

今回は2篇の話が収録でしたが、どちらの話も、親を信じる子どもの思いが本当に健気でグッときました。

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2020年04月14日

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