【感想・ネタバレ】落陽(祥伝社文庫)のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

明治神宮外苑内苑は人工の杜である。この事業のとてつもない苦労は想像できました。それだけでも、興味深いのですが、更に明治天皇の人柄にもスポットライトが当てられ、あっと言う間に読み進んでしまいました。明治から令和へ時代は移り変わり、杜も豊かに育っている。そして、時代は令和に。明治天皇のお人柄と今上天皇のお人柄、共通する所が多く、変わらない皇室の姿勢に胸が熱くなりました。世界一歴史のある天皇と言う存在を守り続ける日本。私はなんと素晴らしい国に生まれて来たのか、今、とても感動しています。日本人の在り方を今一度考え、忘れてはいけないと思いました。

0
2024年02月28日

Posted by ブクログ

明治という時代を生きた人々の気持ちを想像しながら読める作品でした。
読み終えてから、冒頭部分を読み返しました。
もう一度読みたいと思う作品。

0
2020年06月09日

Posted by ブクログ

明治天皇の崩御にともなって、明治神宮が出来る。
神聖な人口の森(杜)を作る為の、ストーリーが楽しめる。

日本という国が、江戸という共和国からから脱却して一つの国になった。
その初代元首の苦悩と人となりが軸となり、本書が進んでいくのが良く分かる。

自分自身、どんな元首になるべきなのかに一人で悩み、考え、口を出さず、態度と詞華でもって政治に接し、明るかった人となりが、日露戦争を境に寡黙になっていく。
自身のことを二の次にして、国務に精励する。

日本をひとつにし、世界と対等になる為に駆け抜けたのが明治時代。
伝統と風習を守りつつ、欧州の近代国家を目指すという、ジェットコースターな統治。
模倣する国もなく、誰にも教えてもらえない舵取りと、戦争という心痛ましい政治外交にも対処していかないといけない。

「国のため たふれし人を惜むにも 思ふはおやの こころなりけり」
詠み人~明治天皇

落陽 (明治の終焉、日が沈む)
落葉 (明治神宮の杜、落葉樹)
洛陽 (都の異称、つまり京都)

すべて本作品の明治天皇に対する隠語になっている。
門井慶喜氏の言葉で、すっきりした読後感でした!

0
2019年06月25日

Posted by ブクログ

明治神宮造営の物語。
あの神宮の森が、実は人工の森で、しかも大正に作られたとは、にわかには信じられないような、そんな事実のお話。
造園にも、明治大正の新聞記者にも、思い入れがなかったので、読み通すのに少し苦戦した。

0
2023年03月21日

Posted by ブクログ

明治神宮鎮座百年というちょうど一年前の今頃、初めて明治神宮を参拝しました。原宿の喧騒が嘘のように、一歩足を踏み入れた瞬間に空気が変わるのを体感しました。この本に出会い、明治神宮創建のきっかけを知り、またあの素晴らしい森が自然ではなく、全国からの献木であったというのは驚きでしかない。もう一度、じっくり明治神宮を、神宮の森を歩いてみたい。そして、伏見桃山陵へも…。

0
2022年12月25日

Posted by ブクログ

明治天皇の崩御後
その「御霊」を祀るために東京に作られた「神宮」

150年後の「杜」のために尽力する人々。
それを見守る新聞記者

武士の時代であった江戸時代から、文明開化の明治へ。
明治とはどんな時代だったのか
そして明治天皇はどんな思いで時代を過ごしたのか

今まで考えてみたこともなかった内容
いろいろ調べてみたくなりました。

0
2020年09月22日

Posted by ブクログ

明治天皇崩御に際し、渋沢栄一ら政財界人は神宮を帝都に創建すべしと主張するが、林学者の本郷高徳らは風土の適さぬ土地に森を造るのは不可能と反論し、大激論となる。
大衆紙の記者瀬尾亮一は神宮造営を調べる同僚に助力するうち、取材にのめり込んでいく・・・。

明治神宮造営という観点から明治時代がどのような時代だったかを紐解いていく物語。
かなり堅苦しい主題ですが、さすがは朝井まかてさん。
一般市民の記者という神宮造営の「外」の視点から専門的なことも噛み砕いてやわらかく語られていくので、読み手も興味をつないでどんどん読み進めていくことができます。

しかもこの主人公の亮一という男、記者という立場を利用して、醜聞をネタに金持ちから金を巻き上げるチンピラみたいな奴なのです。
帝大を中退し大手新聞社をトラブルで辞め三流紙に落ちぶれたという経歴のせいか、仕事のモチベも失い何だかやさぐれている。
そんな亮一が、同僚の活発な女性記者に触発され、神宮造営を取材していくうちに記者魂が目覚めていく。
次第に激動期の日本を支えた明治天皇の生涯に思いを馳せ、独自取材を進めていくようになります。
このへんの描写が非常に巧みで、亮一の心情変化には違和感なく自然に納得できました。

天皇を精神的支柱として敬い親しんできた民衆の思い。
そして、近代国家へと変貌する時代の流れに添い、前例のない天皇としての役割を課され、苦悩しながら模索していく明治天皇の姿。
天皇とは何か、日本人にとって天皇の存在はどういうものなのかという、現代においても問いかけられる命題に真正面から取り組み、その正体をあらわにしていく作者の手腕には鳥肌が立ち、言葉にならないほどの感銘を受けました。

明治神宮という美しい森が歴代の人々の努力と熱意によって作り上げられた事と同じように、今の日本人の根幹も同じ経緯でを築かれたのだと、気づかされました。

0
2020年08月24日

Posted by ブクログ

去年、NHKの明治神宮の森という番組や
昆虫写真家の佐藤岳彦氏の 写真展
「 明治神宮の森 」を見に行って、明治神宮の森の豊かさに驚いた。そこには何千、何百種もの昆虫や粘菌、きのこが存在していて、観て観たいと思った。しかも、原生林ではなく、全て人工林でできていると知って、この森の成り立ちにすごく興味を持った。明治神宮の森の成り立ちや、歴史をもっと知りたいと思っていた時に、平成から令和へ時代が移り変わり、そういえば明治天皇や大正天皇の時の代替わりはどんなだったか知らない、当然生まれていないからだけど、いろんなことが知りたくなってたときにこの本 落陽 に出会った。 明治天皇の人となりをうかがい知ることがなかったが、読んでみてほんの少しでもどういう天皇だったか、触れてみると、だから、日本の皇室が今ここにまで発展し慕われているんだなという思いになった。明治神宮の森がなぜあんなにも豊かな森なのか、見えない力が存在する感じがするのは、明治時代とゆかりがあるからだ。


明治維新の頃の激動や、大正、昭和へと激動の時代を経て今日の新しい時代を迎えた時、天皇という国の象徴がどれだけ偉大で崇高であること、いい国だと思った。 さすが、朝井まかてさんだなと思った。

0
2019年07月16日

Posted by ブクログ

今読むべき、と言う帯の言葉通り
時代を天皇という存在から描く

明治から大正への移りかわりだが、現在にも十分通じる。

天皇という存在をもう一度 いろいろな角度から考えてみたいと思う

0
2019年06月25日

Posted by ブクログ

明治神宮の鎮座祭からちょうど100年。
あの立派な明治神宮の森が、元が原野でほとんどが全国からの献木によるものとは知らなかったです

江戸から明治を帝として生きるとは。
明治天皇について多く語られるわけではないのに、国民への明治天皇の思い、明治天皇への人々の思い、が伝わってきます。

時代が変わるということ。
令和は2年目にして新型コロナという大きな試練に立ち向かっていますが、いつか振り返った時に令和が良い時代でありますように。

0
2024年02月26日

購入済み

植物のお話しじゃなかった

著者の本は植物への造詣が深くて、それを楽しみに読んでいます。
この小説のタイトルは内容にも関係する落葉樹とのつながりを予感させるけれど、お話しの中心はもっとメディアとしての記者の立場に寄せていて、植物のお話しとはちょっと遠かったのが残念といえば残念だったかな。だけど最後まで一気に読める小説であることは間違いないです。

0
2020年09月28日

Posted by ブクログ

うだつのあがらない東都タイムス記者の瀬尾亮一から始まる明治天皇崩御から明治神宮建設の時代を描く。

なかなか中盤あたりまでは、非常に読み進めづらく何度も読むのをやめようかと思ったが、読後は心に残る一冊になった。

瀬尾亮一が、明治神宮建立に直接関わったわけではない。が、中盤から徐々に湾曲的に明治天皇の生き様、また関わってきた国民の気持ちの移り変わりの
さりげない描写が明治天皇のための人工林造営と重なりふわっとした優しい輪郭で“その時代”が描写されてあった。

人工林がゆっくりと150年後、自然林となるように明治天皇の存在も作中では、序盤から中盤、終盤に至るなかで自然に存在感を増していった。

これまで明治神宮とは、単に“名所”としての認識だったが、全国から献木が集まってきたあたりから静かに感動した。

読後は、とにかく『明治神宮に行きたい!』これに尽きる。

また読み終わってから、冒頭の明治天皇が東幸する冒頭シーンを読み返すとさらに感動する!

0
2020年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2020/7/3
おちゃらけられない話なので仕方ないけど、真面目に淡々と進行してるから睡魔に襲われ進まなかった。
それでも最後は感動的に終わるし、神宮の森見てみたいなぁとか京都のお墓、伏見桃山陵も行ってみようかなと思った。
日本の神社、美しいよねぇ

0
2020年07月05日

Posted by ブクログ

今まで読んだことがない種類の歴史小説だった。明治が終わり、大正の時代に生きる若者が明治という時代を考える作品。

 一番の感想は作者はこの時代に生きてきたのではないかと感じさせるほどのリアル感があったこと。銀座や新橋あたりは近代化の中心で華やかに、そして人々は洋装に身を包み、麦酒を飲み、政治を語る。一方で本作の中心にある明治神宮(神宮林)のある原宿、代々木は未だ荒野であるし、木場など下町が残るところは未だに和装の庶民が住んでいる。このコントラストが急進する近代日本を色濃く映し出し、作品自体に色合いを与えていると思う。

 そして、本題は明治神宮に祀る明治天皇とはどんな人物だったのか、ということ。瀬尾が言う通り、明治天皇は御一新以前の日本の伝統・心を引き継ぎながらも外面は西欧列強と比肩する近代国家としての立ち振る舞いをせざるを得ない、そんな苦悩の人生だったのだと思う。これまであまり語られず、考えたことのない明治天皇という存在への言及がとても新しく感じられた。

 明治神宮は150年をかけて完成させていく一大事業、挑戦であるという。この令和という時代に想いを馳せるにはぴったしの小説であると思う。東京に住みながら明治神宮に参詣したことがない私はまずは一歩踏み入れたいと思う。

0
2020年03月08日

「歴史・時代」ランキング