【感想・ネタバレ】鳶 新・戻り舟同心のレビュー

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孫を想う伝次郎

南町奉行所永尋掛り同心、二ツ森伝次郎は70歳に近い。
今回の捕り物は、口入れ屋久兵衛が起こす二つの殺しを追う物語である。
寮番として働く作兵衛。実の名前は懸巣の尚兵衛と言い、大坂や江戸で殺しを請け負って来た殺し屋である。しかし、67歳になった今は高齢で体が思うように動かなくなっていた。
これらの悪党たちが、江戸で暮らすには塒をいくつも代え、そして名前もいくつも使い分けて暮らさざる得ない。久兵衛は口入れ屋「鳶」と呼ばれる。
鳶が尚兵衛に最後の仕事として蝋燭問屋「石見屋」の大内儀の殺しを斡旋した。そして十日以内に殺すようにと命じた。
一ノ瀬真夏が八丁堀近くで、偶然に鳶の手下、蓑吉を見掛けた。この時から、犯罪の匂いを感じて伝次郎たちが探索し始めるのだった。
他方、鳶は手下の宗吉を大垣に遣り、二刀流の遣い手青墓の忌左次と目潰し投げ名人の霞の得兵衛を江戸に呼んだ。そして、嘗て関谷上総守の事件で鳶の殺し請負人三名が、処刑されたことに対する復讐として、伝次郎と花島太郎兵衛の殺しを依頼するのである。
犯行は二件の殺しとも同じ日の1月28日である。
事件までの期間は伝次郎たちにとっては、探索期間で色々と内偵しつつ、推理して犯人の割り出しやら犯行現場や時刻など想像する期間である。伝次郎は、孫の正次郎に同心としての、そして家督を継ぐ者として心得を様々に忠告しつつ、身を以て示し教えるのだった。
結局、二件の事件は防がれて未然に終えた。大阪へ逃亡を謀った口入れ屋、久兵衛と手下の宗吉は、孫の正次郎の機転で東海道筋、江戸の出口で捕らえられたのである。

この物語が作者の最後の作品となった。病を患い、病床で書いていたという。私は時代物が好きでこの本に巡り逢えた。しかし、このような終わり方は2度と無いというのが感想だ。誠に残念なことだが、心よりご冥福をお祈りいたします。

#切ない

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2021年11月09日

Posted by ブクログ

静岡県清水区在住の作家、長谷川卓の絶筆。

すでに隠居をした元同心。
人手不足で奉行所に戻ったところ「戻り同心」と呼ばれる。

人殺しを生業とする「鳶」と呼ばれる男を中心とした集団。
最後の戦いに挑む。

後書きに寄せて、奥様絡みた最後の作家の様子が語られる。

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2021年06月05日

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