【感想・ネタバレ】おどろきの中国のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年03月08日

3人の社会学者による中国の長い歴史、そして日本との関係を社会学の理論なども参照しつつ、現実の観察をしっかりと踏まえて、議論を進めていく。

「おどろきの中国」というタイトルで、なんとなく「やっぱ中国って変な国だよね」的な内容をイメージたのだが、純粋に本当に「おどろいた」。

これ1冊で、よくわからな...続きを読むかった中国のすがたがモヤの中から立ち上がってくる感じがあった。

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Posted by ブクログ 2022年10月31日

中国についての入門書。橋爪大三郎先生は何でも知っているのではないかと思った。中国の社会的がどういう仕組みなのか、歴史的な背景から説明される。そして、日本と中国の近代について比較、日中の歴史問題、最後に日本の未来について大変わかりやすく書かれています。

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Posted by ブクログ 2020年04月03日

とても面白かった。

・日本は、アメリカと中国の両方の言い分がわかる国、にならないと生きていけない。
・文化大革命が中国の儒教の伝統を破壊したことで、後の経済成長を可能にした。
・毛沢東は天からの信託を受けた皇帝という位置づけを利用した。

といったところが、学ぶべきところか。

そして、橋爪代三郎...続きを読むはすごい。
著作を読んでみることにしよう。

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Posted by ブクログ 2018年10月09日

非常に興味深く読んだ.今年読んだ新書では一番面白かったかな.とても冷静な議論で中国を論じている.「そもそも国家なのか?」という問いの立て方は秀逸.自分なりの考えを持って読むことを薦める.

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Posted by ブクログ 2017年04月24日

 中国観が大きく変わったきっかけとなる1冊。もっと勉強せねばと強く思う。
 3人の鼎談というスタイルがよかったのか、複雑な課題に対して、複眼でとらえることができる点が本書の良いところ。何か妙な主張ばかりする、すぐパクる、という良いイメージがない国だったが、少し改めて、歴史観とともに共生を目指したい。...続きを読む自国(の首脳部)が結局何も考えられていない、という点が何とも切ない。相当の議論を重ねているのは間違いないが、結果がなぜか、えっという場合が多いのが残念。本書でこれも中国との関連で捉えている点が面白い。

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Posted by ブクログ 2015年05月03日

中国はすぐ隣にあり、歴史的にも深いつながりがあるのに、実の姿をほとんど知らないし、謎に思う側面が多い。でもこの本を読んで、おぼろげながらも全体が見えた気になった。
そもそも中国とは国家なのか。二千年以上前に統一され、トップが変わってもあれだけ広い土地と国民が、漢字の表記は一緒でも発音は様々というのに...続きを読む、長く国家という認識をもっているのは外からは不思議なことに見える。だがこれが中国の人々には不思議ではないことを理解しないと、中国がわからない。政治的統一を第一に考えること、中華思想や幇、儒教の考え方を知らなければいけない。
そうして少しずつ歴史と考え方を紐解くと、なぜ歴史問題でこれだけすれ違いが生じてきたのかが薄っすら見えてくる。
中国と日本との間にあった文脈、日本が伝統的にどう見られていたのか、日本が大東亜戦争と言いながら矛盾した態度をとっていたことがどう見られていたのか、暗黙の了解的なものにより、本来戦争や靖国神社、尖閣諸島をどうすり合わせしていたのかが分断されてしまい、現在のようになってしまったのではないか。

色々な困難も感じるが、中国の人びとの考え方などへのスケールの大きさも感動する。とても面白い国だ。尊敬する。こんなに合理的な選択をする人たちには日本はそうそう勝てない。共産党一党独裁は続くのか、というセコイ話では、きっと理解が及ばないのだろう。

日本は中国を嫌うムードになってしまっているが、それよりもまずは中国をもっと知ることが必要ではないかと思った。

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Posted by ブクログ 2015年02月08日

社会学者3人による中国理解のための鼎談書。
タイトルからは、想像できない、骨のある議論がなされている。これが全てとは言えず、まだまだ知らないことが沢山あるのだろう。
東京裁判と靖国問題については、解りやすい説明であると感じられたし、外交政策上の数々の問題には変革を期待したいと思った。

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Posted by ブクログ 2014年02月24日

これは面白い!中国庶民の日常感覚を知っている人だから語れる、中国近代史の本当の意味。変に西洋基準で見ると不思議な中国だが、儒教国家として見れば納得できなくはない。確かに日本人の感覚の方が、より変かも知れない。世界の双頭であるアメリカと中国に対して、より良い関係を築いていくためには、お互の歴史と庶民感...続きを読む情を理解する事が重要ですね。

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Posted by ブクログ 2013年10月27日

「ふしぎなキリスト教」に続き、橋爪、大澤コンビに加え、宮台真司まで加わった、ハイレベルの鼎談。ハイレベルといえども決して難解ではなくわかりやすく「中国」を読み解く。帯にあった通り、そもそも中国というものが「国家」なのか、というあたりから議論は始まる。文字通り、その二千年以上の歴史を知らずして、昨今の...続きを読む日中問題など語ることなどできないことがよくわかる。必読の一冊。

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Posted by ブクログ 2024年04月20日

中国社会の構造と毛沢東のカリスマ性の秘密が面白い。
「三国志演義」の思想から毛沢東のリーダーシップを読み解いていく。
「三国志演義」では、皇帝は武力の強い者ではない。
漢の皇祖劉邦は、武の天才項羽を、破るほどの武の達人だが、皇帝になると文民に徹し、文民皇帝として漢帝国400年の礎を作る。
それは武の...続きを読む皇帝となった秦の始皇帝の帝国が15年で滅びたことを反面教師としているのだ。
武で中華を征服したにも関わらず、武の痕跡を消し去って文を表に出すこと。
それこそが「三国志演義」思想の指し示す皇帝の奥義なのだ。

毛沢東が大躍進政策で失敗し、4000万人の餓死者を出した時、人民解放軍のトップで軍のエリートの彭徳懐は、毛沢東排除のクーデタを画策するが、誰も支援しなかった。
人民解放軍は毛沢東を支持したのだ。
何故なのか?
彭徳懐は武を代表する始皇帝であり、魏の曹操に比肩されるからだ。
一方の毛沢東は、文を代表する漢の劉邦であり、蜀の劉備に比肩されるからだ。
中国の皇帝は、優秀な官僚を擁し、皇帝+官僚の政策が過たない限り、正当化される。
その政策が失敗した時、農民は皇帝と時の政権を転覆させることが出来る。
それが易姓革命だ。

中国社会は儒教に裏打ちされた「幇」と言うインフォーマルな組織によって規定されている。
幇はダブルスタンダードを持ち、内には徹底的な利他、外には無法を旨とする。
モデルは蜀の劉備、関羽、張飛の「桃園の義盟」だ。
後にそこに諸葛孔明が加わる。
毛沢東幇に所属していた林彪は、出世するが、毛沢東に忌避され幇を放逐されると身の危険を感じて逃亡を企てる。
しかし、逃亡計画がバレて、燃料不足のままトライデント機で慌てて飛び立ち、途中で墜落して死亡する。
その逃亡計画を毛沢東に告げたのが、林彪の娘だった。
この娘の行動は、毛沢東のカリスマ性を示すとともに、法家の思想(親に対する情よりも、法令を遵守する)の名残を示している。

秦は法家の思想を採用して、法令違反を厳しく罰した。
これは体外的な戦争を、内部に抱え込むことでもある。
つまり、国家の内部が常に戦争状態であったのが秦だったのだ。
その秦が15年の短命で滅びるに至り、漢を樹立した高祖劉邦は、主たる思想として儒教を採用した。
しかし、一方では法家の思想を底流に残した 
儒教を主として全面に出し、法家を従として、伏流させたのだ。
儒教+法家のハイブリッド思想によって漢は400年の政治的安定を維持することに成功した。

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Posted by ブクログ 2018年02月11日

あの愚策である、文化大革命の良い面として、中国の長い歴史に根付いた伝統を無化した功績が大きいとある。それにより、伝統の拘束力が低下してこの後につづく改革開放がいっきに進んだ。今日の中国の資本主義化がスムーズに移行できたのも納得がいくわけである。

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Posted by ブクログ 2018年01月14日

このシリーズはなかなか面白い。
橋爪先生をちょっとよいしょしすぎなような感じはするが。
中国に住んでいたものとしては、納得できるところが多くあったような気がした。
毛沢東に散々な目に合わされても、打倒するわけではないというのは今の北朝鮮に近いものがあるのかなというところ。
しかし、毛沢東はブチギレて...続きを読むる人物だよな。

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Posted by ブクログ 2017年03月22日

日中戦争とは奇妙な戦争である。仮想敵国はロシアで、仮想友好国の中国。が、いつのまにか友好国を攻めて、いつのまにか泥沼。誰もその意思決定をしていない。
すると、戦後、何に責任を取ればいいのかわからない。何に謝罪すればいいのかが、誰もわからない。だから終わらない。

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Posted by ブクログ 2018年10月31日

3人の社会学者が、中国とは何か、近代中国と毛沢東、日中歴史問題、中国と日本のこれからの4テーマを語り合う。興味深い切り口をテーマとしているので、中国の入門書としてよい。

古代に鉄が登場すると、農業の生産力が向上し、農民が武装して対抗できるようになったため、貴族が没落して春秋戦国時代になった(マクニ...続きを読むール「戦争の世界史」)。春秋戦国時代には、諸子百家が生まれて様々な政策的選択肢を提供した。秦は法家を採って儒家を退けたが短命で終わった。漢は儒家を採って法家を隠し味にした。唐は儒教を相対化するために仏教と道教も採り入れた。宋は儒教に純化した。法家には、税金を払わなければ罰するという論理しかない。儒家は、税金を払うことが道徳的で人間らしいことだという哲学や道徳を備えている。儒家は、ローカルな血縁集団から政府の官僚機構によじ登るパイプを用意しており、能力のある者は政府に加わることができる。儒教のテキストである四書五経(十三経)は、昔の政治家である聖人の記録。中国には統治権を授与する天があるだけで、過去の正統な政権に類似していることを示す必要があるため、過去志向になる。

イスラムにはコーラン、インドにはヴェーダ聖典、中国には経典(四書五経)があり、思想や行動規範が書かれているため、近代化に時間がかかる。日本にはそのようなテキストがないため、西欧の制度を受け入れるのに抵抗が少なかった。

満州事変の際、アメリカの中国に対する政策は門戸開放だった。満州の鉄道事業を共同で行おうという鉄道王ハリマンの提案を、日本の陸軍が反対したことが門戸開放政策に対する拒否回答と受け取られ、日米戦争の遠因になった。日華事変は偶発的に起こったものだったが、日本政府は中国からの満州国への抗日分子の侵入を防ぐための華北分離工作として位置づけた。その直前の国共合作によって構築されていた抗日戦線は、上海に駐屯する日本海軍を攻撃したため、日本は大軍を送って上海を占領した。日本軍は、敗走する中国軍を追って首都南京をはじめとした各都市を制圧し、侵攻は中国全土に及んだため、内外への申し開きのために近衛内閣が持ち出したのが「東亜新秩序の建設」だった。

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Posted by ブクログ 2015年06月02日

題名につられ軽い気持ちで読み始めたが、しっかりした議論がされた本格的な内容で、読み応えがあった。時には、自分の理解に余るところもあったが、三章、四章の話は、今の日本の政治にも、また、一般市民にも欠けているところを分かりやすく指摘しており勉強になった。

とくに、日中戦争に関するくだりや、靖国問題につ...続きを読むいては明快であり、解決するための方策はそんなに難しくな話い気もする。今の政府のやり方は、メンツにこだわっているだけの、幼稚な対応に終始しているだけであるのが、よく分かった。

なかなか骨太な内容なので、再読し理解を深めたい。

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Posted by ブクログ 2014年11月03日

腑に落ちたところも、「?」のところもあったけれど、総じて面白かった。

第一部は、中国が何をアイデンティティにして成り立つ国家なのかという話。
儒教や漢字が大きく作用していて、それは軽く民族や王朝といった枠組みを越えてしまうとのことだった。

第二部は毛沢東の「権力」とはどのようなものだったかの話。...続きを読む
フーコーなどの社会理論が当てはまる部分、当てはまらない部分が列挙されていた。
こういうところが「反知性」の立場の人からは、知的遊戯というか、まだるっこしく見えるんだろうなあ、と思う。
ただ、私は理論を使いこなすというのは、こういうことなのかなあ、とむしろ好意的に読んだ。

第三部は歴史問題をどう考えるべきかについて。
責任の所在への認識があいまいなところが原因となって、謝罪の仕方もただ謝るだけになってしまっているとのこと。
それはそうなんだろうけれど、宮台さんがいうように、東京裁判の虚構を踏襲するということが、今の日本人にとって実際にできるのかどうか。

第四部は日中関係のこれから。
日本は米中関係の付属物になる、という認識は私もよく理解できる。
だからこそ、戦略的に立ち回らなくては、ということも。

中国の問題を合わせ鏡に、日本の様々な問題が照射されていた点が面白い。

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Posted by ブクログ 2014年05月16日

いろいろと「おどろき」ました。
中国は3回旅行しましたが、その時に感じた疑問のいくつかが解決しました。
2013年2月に出版されていますが、台湾問題なんかは、橋爪先生の予言通りに推移してますね。

本書で触れられる日中関係等の近代史の解釈は納得できない人もいるでしょうが、
それ以外の中国についての話...続きを読むは誰しも一読の価値ありです。

巷に溢れる中国評は、現在の利害だけを強調し、危機を煽るようなものばかりで辟易します。
中国は反日教育をしてる、と言う。
なら日本の教育はどうか。日本史を選択したら、世界史は選択しない…というのは常識ですしね。

そのような論法に欠けているのは、現在を歴史の流れの中で捉える視点と、相手の立場に立って物事を捉える視点です。

目先の利害に思考が居着いてしまっては、国益などは考え及ばなくなってしまうでしょう。

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Posted by ブクログ 2013年12月15日

内容の濃い鼎談.中国の特性を細かく分析している.中国との関係を欧米風の国際関係の観点から見る危険性を指摘している.朝貢体制が存在していたと述べている.また、日本の侵略に関して明確な意図がなかったとも指摘している.日中関係はやはり難しいことが再認識できた.

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Posted by ブクログ 2013年10月16日

13年前に中国に1年ほど留学したときの感想は、
「なんなんだ、この国は!」

本書でも紹介されている小室直樹先生の『中国原論』でその“特異さ”はある程度予習したつもりだったが、実際見て体験した国はまさに驚きの連続だった。

本書は3人の社会学者の鼎談で、中国なるものの原理、日中の近代化の近代社会学的...続きを読むな考察、日中の歴史問題、そして今後日本が取るべき針路などについて語っている。

国家や国民と行った欧米のフレームにはおさまらない国、カリスマ毛沢東は現代の皇帝、「改革開放こそ文革の最終的な仕上げ」などなど、「おどろき」の理由がだいぶ明らかになった。

歴史問題も含め、「日本は米中関係の付随物にすぎない(p339)」ことを認識し(ちょっと残念だが)、覇権をうかがう中国をしっかり理解することが今の日本人の務めだと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月19日

中国は西洋より早くに国として成立したので、西洋的国家概念には当てはまらない。
古代から一貫して支配層は文官。
毛沢東は史上もっともラディカルで、利己主義を徹底した(伝統的な儒教すら破壊しようとした)。
そんな毛沢東を中国人が否定しないのは、伝統的な皇帝システム(天と天子というシステム)の形式が無意識...続きを読む的に残っているから。

日本人は日中戦争が「何であるのか」を意味づけられていないので、いくら誤っても中国側は納得できない。
さらに、日本は戦争当事者世代と現在の世代のあいだの連続性を設定できていないので、過去について謝れない。

日本は米中関係の付属物にすぎず、情勢を正しく分析して最善の選択をし続けなければならない。

中国のリーダーは価値基準や人生の目標、仕事の責任、世界観などを自覚的、意識的に構成している。
日本人は大事なことは集団で決め、組織として行動するから、自分の考えや行動を相手に説明できないし、自分でも納得できない。これでは負けてしまう。

台湾の民主化の裏にはCIAが関与していた。

三人目の宮台真司は専門用語が多くて難解。

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Posted by ブクログ 2020年10月21日

序盤は中国社会、中盤は日本との関係、終盤は将来についてが書かれている。
序盤では、宗教観についてが印象に残った。

儒教が伝統的に強いというのは知っていたが、それが権力者が統治するのに都合が良く、科挙を突破できるようなエリート向けなのに対して、イマイチどういったものか掴めなかった道教が、科挙を突破で...続きを読むきなかったような敗者を救うもので、「裏儒教」といっていたのは今後、道教を理解するきっかけになるものと感じた。

中盤の日本との関係では、第二次世界大戦付近の話が中心だった。
例え話も含めて分かりやすかったが、耳が痛い話が多かったので、読むのが辛かった。
納得する話ではあった。

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Posted by ブクログ 2018年10月29日

少し中国寄り過ぎるとは思うが、いろいろ参考になる。
先の大戦での日本の戦前拡大にはビジョンがない。日本は現在に至るまで空気で物事をきめるので戦略を立案遂行できない。日本がアジアのキャスティングボードを握れるとは思わない方が良い、など。
それにしても低レベルなメディアが国に及ぼす害は大きい事を改めて痛...続きを読む感。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年10月01日

■読んだきっかけ
・中国出張するにあたり、行く土地の歴史・地理・文化・国民性を知っておきたかったから。
・ニュースや人の話で聞く、中国の悪いイメージ(自己中心的・反日)は、あくまで日本側の視点なので、中国側の視点も知りたかった。
■本の内容
・社会学者3人による、「中国」についての鼎談であり、どちら...続きを読むかと言うと親中で中国に詳しい橋爪氏が、他二人の疑問点(以下のようなこと)に答えていくかたち。
・中国のような大きな帝国が、二千二百年も前(秦の時代)にできたのは、どうしてなのか。いかにして、帝国としての統一性を実現し、維持することができたのか。
・中国人=アグレッシブで自己中心的なため、統一国家に不向きでは?
■印象に残った主張
中国の車の運転の激しさについての以下の意見は、中国に行って深く納得できた。
「中国には交通ルールはない。強いて言うと、事故を起こさないというのが交通ルール」
ルールがないと見える一方で、彼ら相互の、行動の予測可能性はきわめて高い(究極の帰結主義による秩序)。
■感じたこと
(1)疑問設定の重要性
・中国に関する、社会学者たちの鋭い疑問の数々を読み、何となく納得してしまいそうなことでも、良く考えたら不思議なことは深く追求する、ということが大事なんだと感じた。
(2)知識の不足を知る
・近代中国についての章を読み、自分が毛沢東の時代についてあまり知らないことに気付かされた。今の中国を知るためにも、他の本を読んで知識を補強したい。

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Posted by ブクログ 2015年07月29日

著名な社会学者達の対談だけあって視点が多岐に渡っていて面白い。

人類史の中で、他の文明とか他の文化の真似や影響なしで独自に文字をつくったところは4つしかない。メソポタミア、エジプト、マヤ、中国。
頭の中が漢字でフォーマットされた中国人が日本を理解することは難しいという指摘は興味深い。
また一方で、...続きを読む日本には行動規範となるテキストが存在しない。イスラムのコーラン、インドのヴェーダ聖典、中国の経典。特に戦後の日本は何をよりどころにしてきたかといえば米国であろう。パックス・アメリカーナの中で平和を享受してきたわけだ。

経済の視点では、西側陣営で起きている資本主義の社会主義化と中国に代表される社会主義という名のもとでの資本主義化が議論されている。
中国の社会主義市場経済は、長期ビジョンに基づく発明であるとも言えるが、中国への富の集中を米英が簡単に許すとも思えないため、政治問題へ発展していくことは十分に考えられる。

何れにしても、小国日本が主導権を握ることはできない状況にある。米中関係のなかで日本がどの様な役割を演じるかに過ぎない。

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Posted by ブクログ 2015年05月24日

 3人の社会学者が、中国について話し合うという本。前半は中国、中国人に関する基本的な謎について。なぜ中国人は、日本人から見ると自己主張の強い人たちに見えるのか、中国人にとっての宗教とは何か、そもそもなぜ広大な地域が国としてまとまっているのか、といった問題や、共産党と毛沢東についての話。後半は中国の歴...続きを読む史問題に関する認識の捉え方と日中関係のあり方を論じている。
 今回の3人のうちの2人が参加している『ふしぎなキリスト教』がとても面白かったという記憶があって、中国についてはまともに知らないけど、読んでみた。とても面白いけど、難しかった。まず中国の歴史、特に戦時の日中関係や日本の行動について、おれはあんまり分かっていないというのが大きな問題だった。というか、こういう無知については、著者らも問題にしているところだ。さらに、著者らはやっぱり学者なので、「AにおいてはBということがあるけれども、中国の場合はどうなのか」といった話の展開をすることが多いが、おれとしては「AにおけるB」の部分がよく分からないので、余計に難しい。
 それでも特に前半は、面白いと思ったことがたくさんあった。まずヨーロッパのように、宗教があって政治があるということではなく、政治的統合があって、諸子百家のような「政策的オプション」がある(pp.36-7)という点。そして「文官優位の根本」(p.80)について。軍事力を排除するために、科挙のような物差しを使ってとにかく序列をつけて、その序列にはみんな従うということで合意しているということ。トップが間違っていても、みんなで従っておけば争い合わずに済むという知恵のようなものがある、というのは、おおよそ日本人には発想できないところではないだろうか。また、「漢字によって言語がつくられた」(p.88)というパラダイム転換は、もう少し考えてみたい。漢字があって、その読み方を色々な集団がそれぞれに付けていった、ということらしい。次に、「ネタがベタになる」(p.124)という表現。手段がいつの間にか目的になるという、日本の近代史でよく見られる現象、ということらしいが、歴史の勉強をするときには何がネタで何がベタなのかということを押さえていないといけないと言うことが分かった。最後に、中国の「社会組織の原則」(p.162)について。「1自分は正しくて立派」、「2他者も自己主張している」、「3自己と他者が共存するために枠組みが必要」ということで、「順番システム」を作り上げるというのが、面白かった。(15/05/24)

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Posted by ブクログ 2014年09月13日

橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司の3人が、中国をテーマに語り合った本。

中国という国のあり方は、ヨーロッパの近代国家を基準にして作られた西洋の社会学の枠組みでは説明しきれないところがあるにも関わらず、文化左翼的な立場からの中国論者たちはポストコロニアル批評などの西洋の現代思想を当てはめることで中国を...続きを読む理解しようとしてきました。本書はそうした一方的な中国への共感を戒め、理論社会学についても独自の思想を展開し、中国の実情にも詳しい橋爪を中心にして、理論と現状分析の双面にわたって中国を分析しています。

日中の歴史問題や、今後の日中関係についての議論も、たいへん興味深く読みました。ただ、座談会形式ということもあって、それぞれの論点の背後にある問題領域が見通しがたく、社会学についても中国についても詳しい知識を持たない読者としては、少し読みづらく感じてしまいました。

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Posted by ブクログ 2014年03月01日

隣国でもあり分かっているつもりでいるので、積極的に理解しようとしない。実際には知らないことばかり。我々にとって中国とはそんな国なのではないでしょうか。
三国志は読んだことあるけど、文化大革命についてはよく知らない・・・私もそんな状態でした。

中華という思想、儒教と文化大革命、国家というよりも共...続きを読む産党の支配、「帮」という集団意識、中台関係、日中関係の歴史などなど
学者三名の討論を通して多くの事柄が紹介されていきます。

少し難解なところもありますが、中国関連のニュースに触れた時にこの本の関係箇所を読み返してみたいと思います。

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Posted by ブクログ 2013年10月19日

経済的にも文化的にも大きな関わりを避けられない隣の大国のことを、自分があまりにも知らないので、読みやすそうな本書を買いました。
政治体制が変わっても中国社会の根底にある人間関係の規範のことが何となくわかったような気がします。

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Posted by ブクログ 2013年09月28日

なかなか。
三人の中国通対談集。
中国は本当に国家なのか。毛沢東の間違い。鄧小平について。
参考になった。
少々、読み応えが有り過ぎる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年09月27日

中国は帮(ホウ)の世界だ、三国志の劉備の関羽・張飛の関係だ。 その中に入れば親密で親しいがその外では完全な敵となる

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