【感想・ネタバレ】火怨 下 北の燿星アテルイのレビュー

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ネタバレ

上司に勧められ手にしたが、文句無しの傑作でした。
脚色はあれど史実ベースとは驚き!
故郷を守り尊厳を取り戻す為に戦う蝦夷の人々の熱き思いに心が何度も動かされます。
また、常に数的不利でありながら巧みな戦略や罠で朝廷軍を打ち負かしていく姿は痛快です。
朝廷側でありながら蝦夷を対等とみなし、戦以外の道を模索する田村麻呂の葛藤も見事に描かれています。
とにかく最高の作品でした。

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2024年05月02日

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朝廷との戦いも数十年に渡り、次世代に蝦夷の志を継ぐためにはどうすればよいか…朝廷側に坂上田村麻呂がいたからこその結末。
著者の解釈でしかないが、いかにもそうであったろうと思わせる説得力がある。

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2024年01月07日

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名前と結末は知識として知っていたけど読んで良かったな。
日本の正史の影の部分から見た日本みたいな視点ってあまりない。
朝廷を外側から見るってのは新鮮だったな。
後、正史によく出る北九州から関東あたり、花形の関西から関東あたりではない地域にも勿論その時の歴史があるっていうね。
そういうのにも更に興味が増したかな。

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2023年11月13日

購入済み

武士の生き様

アテルイとモレ達の生き様がとても潔い。
最後まで勝って、処刑された武士。
後世が舞台の「炎立つ」を先に読んだのですが、そちらよりスッキリとまとまっていて好きです。
良かった。本当にいい作品でした。

#アツい #泣ける #感動する

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2023年06月06日

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これは人権の話だ…。下巻の途中までは単なる中央にまつろわぬ民の英雄譚なのか〜と読んでいました。が、アテルイが戦いの意味を少し変えたくらいから、この話はマジョリティの差別に立ち向かうマイノリティの物語で、人間が人間らしく生きるためにどうしてそんな試練と策略がなくてはいけないんだろうと胸が詰まりました。蝦夷の人々の魅力、理不尽に立ち向かい活き活きと生きた人間の姿を美しく素晴らしく描くことに感動しながらも、誰かが踏み躙られている物語を楽しんでしまった自分に「どんな気持ちになればいいんだろう?」という読後感です。作者の他の作品も読みたいです

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2022年02月02日

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東北のアイヌの阿弖流為についての朝廷との戦争の小説である。最後はアテルイらの処刑で終わるが、歴史では東北の統一とひとことで片付けられてします。
 その歴史を征服される側から描いた小説であるので、歴史を再認識するのにはいいと思われる。

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2021年04月22日

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最後まで、自ら攻撃を仕掛ける事のなかった蝦夷。蝦夷の誇りを取り戻そうとして、闘いに挑み、最後まで破れる事はなかった。
坂上田村麻呂との阿弖流為らとの友情。坂上田村麻呂が建立した清水寺に、阿弖流為、母禮らの慰霊碑があるのも、その友情ゆえ。

弘仁5年12月1日(815年1月14日)、嵯峨天皇は「既に皇化に馴れて、深く以て恥となす。宜しく早く告知して、夷俘と号すること莫かるべし。今より以後、官位に随ひて称せ。若し官位無ければ、即ち姓名を称せ」と蝦夷に対して夷俘と蔑称することを禁止する勅を発し、ここに征夷の時代が終焉した。
 
誇りを取り戻すために闘った蝦夷の英雄に、感動を覚えます。

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2020年08月18日

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良い意味で少年漫画のよう。
阿弖流為と母礼の練りに練った策や戦の臨場感にワクワクする。
そして、何でここから降伏する流れになるんだ? と読み進め、蝦夷の陸奥の未来への思いの深さに痺れてしまう。
ラストの飛良手と田村麻呂も印象的。

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2020年06月13日

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下巻。
いよいよ坂上田村麻呂が登場。阿弖流為率いる蝦夷軍との裏の裏をかく攻防戦。
終盤からはずっと泣きっぱなし。涙なしには読めませんでした。己の尊厳をかけて戦う蝦夷たちの生き様、しかと見届けました。そして、蝦夷を獣などではなく一人一人の人間として敬い、対等に戦った田村麻呂にも心を打たれた。
阿弖流為たちが命を賭けて守った東北の地に行ってみたくなりました。
原作を読んだ後に宝塚版を再視聴しましたが、オリジナルキャラが出てきたり、多少のキャラ改変や脚色はあったけど、ほぼ原作に忠実な流れで、上下巻を2時間ほどに上手にまとめてあるなぁと思いました。田村麻呂と阿弖流為が都で初対面っていう設定なのはちょっと残念だったけど。
宝塚版もおすすめです!!

2021年6月11日・再読

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2020年05月15日

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ぜひ他の人にも勧めたい作品。戦国ものの小説や冒険ものの少年マンガにあまり興味を持たない私がこんなに入り込み、泣いてしまうとは。。坂上田村麻呂に関しては、日本史の授業で習った「征夷大将軍で東北(蝦夷)を平定した」としか記憶がなく、蝦夷に関しては蛮族とされ不遇されていたとしか知識がなかった。こんな攻防が繰り広げられていたとは…。いろいろ書くとネタバレしそうなので、抑えておくが、この熱い男たちの話を多くの人たちに読んでもらいたい!次は「風の陣」を読みます。

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2020年05月13日

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上巻はつまらなかったけれど、下巻は良かったです。
変な男女間のラブ要素は一切なく、男として蝦夷としての戦いと死にざまが素晴らしかった!

自分の名誉ではなく、蝦夷の名誉と将来のために生きた阿弖流為くんと母礼さんの物語を読んで、次に京都の清水寺に行ったときは彼らの慰霊碑に手を合わせて来ようと思いました

坂上田村麻呂さんはダメな巨大組織にある良心的な部長みたいな感じで、彼の苦しみのほうが現代社会では理解しやすいかもしれない。
なので、ラストにちゃんと行動で示す田村麻呂さんの武士らしさにリアルな悲哀を感じ、最後まで涙しました。

次に読むときは上巻は無視して下巻だけ読もうかな(笑)
途中で脱落しそうになった方は、この上巻との落差も楽しいので頑張って下巻まで進んでください!(笑)

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2019年10月26日

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これまでの奥州についての知識とはかなり違っていて衝撃的だった。
旅行したときも、朝廷側から見た考えが強く
アテルイはあまり良い印象ではなかったのが、180度変わった。
何事においても双方の立場から見てみると、全く言い分が違うのだ。

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2018年10月17日

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東北の地を巡る蝦夷のプライドをかけた戦いも大団円を迎えます。坂上田村麻呂の登場で、状況が大きく変わり物語は一気に終焉に向かって進みます。登場する男たちが本当にかっこいい!ドラマにもなっているようで、見てみたいです。

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2018年04月01日

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本書の舞台である平安京遷都前の東北地方について、数十年前に読んだ教科書には確か「坂上田村麻呂が初代 征夷大将軍として東北を平定」のようにすごくあっさりとだけ記述されていたような記憶があります。
途中まで面白いように策が的中し無敵とも思える蝦夷軍が何故、どのように敗れてしまったのかと思いながら読み進めましたが、このように描いてくれた高橋氏に感謝すら覚えるほどの素晴らしい結末でした。
本書を読んでいなければ生涯知ることがなかった可能性もある蝦夷の歴史は、非常に誇り高く、有能で、かつ魅力的な男たちの物語です。
陸奥三部作を読んで東北地方に対するイメージがすっかり変わりました。まだ平泉に一度訪れただけですが、蝦夷の英雄たちに想いを馳せながら、ゆっくり旅してみたいです。

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2017年12月29日

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故郷を舞台とした物語でありながらきちんと知らなかった事を後悔している。と言っても、阿弖流為については記録にはほとんど残っていないようなので、本当の所はわからない。
獣と蔑まれても誇りを貫く蝦夷の姿が美しい。坂上田村麻呂と阿弖流為の敵味方を超えた信頼関係も、読んでいて嬉しいものがある。
この作品で描かれている、政治権力・多数派から少数派・自分達とは異なるものに対する無知と侮蔑は、時代や場所が変わっても存在し続けているものだと思う。公民権運動やプライド・パレードなども連想した。千年経って技術や政治システムが進歩しても、人間そのものは千年前から大して変わっていないんだろう。例外なく人は死んで、経験も記憶も、文献としては残せても実感が失われてしまうからかな。
同じ人として認められない限り頭を垂れないと言った阿弖流為に共感する人が、世界中にまだたくさんいるはず。

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2017年07月10日

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坂田村田麻呂の蝦夷征討の話。主人公は 蝦夷・ 阿弖流為。

「炎立つ」に負けず、心熱くなる話であった。蝦夷贔屓の著者によると、史実がこうなるのかと感心しながら読むが、引き込まれ蝦夷の心意気に熱くなる。

「4千人が呼応しての戦となれば、命令が下まで届くことこそ大事。それには馴れ合いこそが大敵と心得ねばならない。もし自分の兵を他の兵と同じに扱えるか?いや、過酷な状況に追いやって無駄に死なせることになるだろう。出身地関係無く、兵を混ぜ、将も感情に流されず、指揮する事が必要。」のくだりは現在のマネジメントにも繋がると感じ、多くの人間を部下にもつ人の考え方を垣間見れた。

【参考】
文の菅原道真と武の坂上田村麻呂は文武のシンボル的存在とされた。

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2017年05月16日

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登録を忘れていたので改めて。上巻を読んでから少し時間が空いたけど、結構キャラがたっていることもあって、人物関係の把握とかは問題なし。更に歴史上の超有名人が積極的に絡んできたこともあり、上巻以上に魅力的な内容になっていました。最後まで優勢に抗いぬいたアテルイ軍団が素敵過ぎるけど、幹部連中の見事な散り方に感動。この時代、こんなにも心惹かれる戦いが繰り広げられていたんですね。実に面白かったです。本作者の東北関連作品が解説で紹介されていたけど、是非とも読んでみたくなりました。

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2017年02月07日

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ネタバレ

以下、思いっきりラストのネタバレ。
他の蝦夷を離反させたように見せかけ、アテルイが犠牲となって、大多数の蝦夷と朝廷の和議へと方向づける...というのは幾らなんでも作者の創作だろう(もちろん小説なんだから、これくらいは有りだよ)。ただ、それを考えると、戦闘には負け続けていながら、蝦夷の結束を崩し、アテルイを捕虜にして、蝦夷との戦争を終らせてしまった田村麻呂の力量が凄いわな。この辺りの史実をもっと調べてみたくなる。

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2016年08月07日

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22年間無敗を通しながら、最後に投降という形で幕を閉じたのは、蝦夷の未来を守るために周到に練られた阿弖流為の戦略だったのか。その気持ちは田村麻呂には届いたが、朝廷や都の民には届かなかった。っというより理解されなかったというべきか。断末魔の阿弖流為の言葉が今も目に焼き付いて離れない。「俺たちはなにも望んでおらぬ。ただそなたらとおなじ心を持つ者だと示したかっただけだ。蝦夷は獣にあらず。鬼でもない。子や親を愛し、花や風に喜ぶ…」そう。阿弖流為はただ、蝦夷という地を正しく理解してほしかっただけだった。

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2016年06月19日

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ネタバレ

圧倒的な財力と兵力でもって奥州に攻め入る朝廷軍。
蝦夷たちはしかし、勝つために戦っているのではない。
自分たち蝦夷も、都の人たちと同じように人間であると、獣ではないのだと認めてもらうために、勝ち目のない戦を行っているのだ。

負けない戦いを。
死なない戦いを。
知略と、それを実践する武術で朝廷軍に立ち向かう蝦夷たちに、どうして感情移入をしないでいられようか。

戦略の母礼。戦術の阿弖流為。
己の技量を知り、地形を知り尽くした二人の立てる作戦は、ことごとく朝廷軍を打ち破っていくのだが、勝っても勝っても、蝦夷を対等とみなそうとしない朝廷に、和議はならず、かといって降伏するわけにもいかず、ずるずると戦いだけが続く年月。

朝廷と戦う覚悟をもって戦ってきた世代はいいが、戦いのさなかに生を受けた世代に戦いを受け継がせていっていいものだろうか。
悩む阿弖流為が出した結論に涙腺決壊@職場

戦いの結末はもうわかっているのよ。
だけど、だから、そうするしかなかった阿弖流為に、母礼に、諸絞に、伊佐西古に、猛比古に、飛良手に…。

“大事なのは自分らの蒔いた種子をいかに後世に繋げていくかなのだ。戦って死ぬ者より、生き残って種子を育てる者の方が本当は重要な存在だ。”

奥州三部作、残るは秀吉軍と戦った「天を衝く」を読まねば。

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2016年01月20日

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読んで良かった。非常に良かった。本当に良かった。さて、「炎立つ」を買いに行かねば。ふむ。

ぜんぜん関係ないけど「天を衝く」を読んでから安美錦関を応援している。「炎立つ」買いに行かねば。

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2015年10月01日

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終盤は涙を我慢するのに必死でした。

岩手に産まれたなら読んでおいたほうが良いと言われて読み始めた火怨、
何度も目頭が熱くなる場面があり、
何度も読んで良かったなと思いました。

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2015年03月09日

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阿弖流為と母礼をはじめとする蝦夷の人々の凄まじい生き様に涙が溢れた。教科書には坂上田村麻呂が蝦夷を討伐したと数行書いてあるだけ。そこにこれほどの物語があるとは。時代が平安遷都の前後であるため、読み始めの数ページは登場人物の名前がしっくりこないかもしれないが、すぐに引き込まれる。歴史小説という形ならば、楽しく歴史と日本人のアイデンティティーを学ぶことができる。

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2015年01月15日

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気になったところ、心に響いたところ。

774年、蝦夷が桃生城を攻撃。ここから蝦夷の大和朝廷との防衛戦争が始まる。いわゆる38年戦争。
続いて、伊治城の伊治呰麻呂が反乱を起こす(780年)。阿弖流為が登場するのはここから。物部が後ろ盾となる。

上巻 ページ98。  

母礼の言葉。  
「だからこそ、物部は同族の暮らす陸奥を頼ってきたのだ。 かつては出雲が我ら蝦夷と物部の祖先の暮らす。 土地であったらしい。 それを海を渡ってきた朝廷の者らの祖先が奪い取った。 我ら蝦夷は北へ逃れたが、物部はなんとか止まって朝廷に従うことなったのだ」  
阿弖流為。 
「我らと物部が同族。」  
母礼。  
「祀る神とて同一ではないか? 共にアラハバキの神を信仰している」


789年 征夷大将軍紀古佐美との戦いに勝利した後、物部の天鈴に付き添って阿弖流為らは都に

下巻 ページ92。  

(天鈴)
「どれほど悲惨な敗北を喫したとして、帝は戦場を知らん。死んだ兵も書状に記された数にすぎぬ。 百が千に増えようとさしたる違いはない。 だからこそ次の戦ができるのだ。目の前で首が飛び、 胸を槍で貫かれたものを千も見れば戦などたくなくなろう。 無慈悲と言えば言えるが、それが敵の強さだ。 何度も懲りずに仕掛けてくる。やがては根負けするぞ 」
「 一度の戦で済むなら20年も前に呰麻呂がやり遂げていたであろう。 兵を起こせば気の遠くなるような戦の始まりとなる。それを承知していたゆえに呰麻呂も耐えるしかなかった。呰麻呂がようやく決意できたのは胆沢や江差、和賀の蝦夷の力が長い戦に耐えられると見極めたからのことぞ」


794年 征夷大将軍大伴弟麻呂、副将軍坂上田村麻呂との戦いで

 下巻 ページ258。  

御園(田村麻呂の直属の部下)は平静のまま重ねた。  
「ご貴殿らの強さは殿もむろん承知。しかし最後には数の戦となりましょう。 そこをとくとお考えいただきたい。 あるいはご貴殿らに運が味方して勝利を得られるやもしれませんぬが、内裏は諦めずに次の戦を企てまする。 それを思えばここあたりが潮時ではないかと殿が申しております」  
(阿弖流為)  
「断じて降伏せぬと決めて始めた戦さ。 蝦夷とはなんであるか知ってもらわねばならぬ。 ここで恭順してはこれまでに果てた多くの蝦夷らの礼に対して言い訳が立たぬ」 
阿弖流為は笑いを浮かべて断った。
「蝦夷とは何であると?」  
御園は眉根をを寄せて阿弖流為にたずねた
「なにものでもない。 都に暮らすものだと変わらぬ人にすぎぬ」  
「それはそうでござろう」。


坂上田村麻呂征夷大将軍との戦い 801年

下巻 ページ459。  

(阿弖流為)
「都の者らの蝦夷に対する嘲りが消えぬ限り、戦は500年も千年も繰り返されましょうな。 今は戦を無意味と感じる子らもやがて大人となって、都人の侮蔑を我が身で感ずれば 抗う心が必ず芽生えるはず。 我らの心に呰麻呂様が常に生きておられたごとく、我らも蝦夷の道しるべとなりたい。 ただの意地ではござらぬ。かなわぬと知りながらも、最後の最後まで抗った者達があったということを蝦夷の子らの胸に刻みつけたいだけ」 


「蝦夷(えみし)」は蔑称とのこと。「蝦夷(えぞ)」も同様。
4~5世紀頃に西日本で誕生した大和朝廷は、勢力外の地域に住む人々を” 異民族 ”と見なして、一方的に『蝦夷(えみし)』と呼んだ。
大和朝廷の支配は広がっていき、奈良時代になると残った東北・北海道地方に住む朝廷に従わない人々を、まつろわぬ民=蝦夷と呼ぶようになる。
阿弖流為は、母礼や飛良手らと共に 人としての尊厳をかけて蝦夷の部族を束ねて20数年、大和朝廷と対峙した。

迫力の歴史小説。読みごたえがある。

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2024年05月05日

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蝦夷から見た物語で同じ人間として扱ってもらえない
差別があるが、維新後のアイヌへの差別もこの頃からの流れを感じた。

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

熱いストーリー
小説の構成も、戦闘に次ぐ戦闘、それ以外の描写を削ぐことで最後のアテルイの決断に共感しやすい
田村麻呂はもう少し手強くても良かったのでは
⭐️4です

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2019年05月20日

Posted by ブクログ

人間として扱われず獣としか見られなかった蝦夷たちの、朝廷との22年の闘いを描いている。

蝦夷の中心となったアテルイを筆頭に、
賢く、力強く、優しい蝦夷の武将たちが魅力的だった。

22年の戦は気が遠くなるほど長い。
読んでいる方も参ってしまうほど。
まだやるのか、という思いを蝦夷も朝廷ももっていたと思う。

そんななかで最後にアテルイたちが選んだ戦術は、予想を遥かに超えるものだった。
取実、たけひこ、いさしこの最期はとにかく壮絶。アテルイ、モレ、飛良手の最期は涙なくして読めない。(私は飛良手推しです。)

ただ、同じ人間として認め合い、家族や友達と故郷で静かに暮らしたかっただけ。それすら叶わなかったことがやるせない。
どこまでが史実でどこからがフィクションなのかは分からないが、蝦夷の存在を知ることができ、よかった。

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2017年11月03日

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人の心を深く沈潜させ、一方で競争心と怨恨を掻き立てる。
大和朝廷とえみしの構図は、今の世界でも続いていると感じる。
私は田村麻呂とアテルイの人間模様に感動するのではなく、集団や個人のエゴイスティックな志向に目を向けている。
例えば権力者、民衆、少数派と分けるならば、権力者はそれを拡大したい保持したい、民衆は安らかに過ごしたい、そして少数派は抵抗しつつ体制に組み込まれながらも怨恨を保持し続ける。
権力者は勢力が伸びきったと思えば、今度は更に外へ出るか内紛して分裂するしかないものだから、かくして、争いは絶えることはない。
いくら戦はしたくないといっても、欲しがる者に対抗するには立ち上がるしかないのだ。
普通の人にとって競争や空腹の前にはスピリチュアリティもかた無しなのだ。
それぞれがの人が次の種を仕込んでいるのだ。
疲弊するえみしはしばらくの休戦を経て、再び立ち上がる時を待つしかなかったのだ。

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2016年01月22日

Posted by ブクログ

うーん 長かった!
人として扱ってもらえない蝦夷
その、誇りをかけて戦った 阿弖流為たち
それを受けてたつ 田村麻呂
どちらも、男らしく カッコいいです。
最終章は泣いちゃいましたよ(ToT)

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2015年02月08日

Posted by ブクログ

「風の陣」からのシリーズとして読み進めると、悲しい陸奥国の姿が見えてきます。
都から遠く、また黄金という宝があるということが陸奥に不幸をもたらしていた歴史があったんですね。
アテルイ達の願いは、やがては奥州藤原氏によって花開くこととなりますが、
それまで約400年近くもの間、蝦夷の苦難は続きます。
そして源頼朝によって奥州藤原氏が滅ぼされることで、
本当の意味で日本人として受け入れられるのは皮肉な話です。
興味のある方は、平安時代末期の物語となる「炎立つ(全5巻)」も読まれて見ることをおススメします。

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

当時は未開の地の蛮族として扱われていた蝦夷の英雄が現代まで名前が残っているってすごい。自らを犠牲にする阿弖流為の策で戦を終わらせたのかはわからないけど、よほど人望のある人だったのだろう。高橋さんの書く男性はみんな体育会系でオトコマエですが、女性はいつもきちんと書かれていないのがちょっと残念。

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2016年08月13日

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