【感想・ネタバレ】日本経済「円」の真実のレビュー

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Posted by ブクログ

元大蔵省国際金融局長、同財務官を歴任した、榊原英資氏の著書です。1ドル80円を割り込んでいた円を、わずか4〜5ヶ月ほどで、100円台までに引き上げ、ミスター円と言われているだけはあります。とても完結に、世の通説の数々の間違いを指摘しています。

この本を読めば、経済にとって何が大事なのかが、明確に分かります。これだけグローバリゼーション化した時代では、日本のだけのことを考えるのはなく、他国との関係性を考えていくことが、経済にとって大事だというのが分かりました。

まさしく今、政権が変わり、円高から円安に動いていますが、その政策は国内だけを見ているもの。この動きが、今後どうなっていくのか、この本を読んだおかげで、興味深く見ることができそうです。

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2013年01月17日

Posted by ブクログ

為替取引参加者が多い中で、通貨当局者は言わば無力。為替はコントロール不可であることを示し、変動には柔軟に対応する事と、その国の力をみていくことを説く。為替の変動をみていけば、どんな変化が今起きつつあるかはよく分かるとのこと。13年の世界同時不況の可能性を示唆。さて、どう動くか。日本は、世界相手に商売をしていくのだから、市場に近いところでモノ作りし、為替変動リスクを回避していくということだと思う。

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2013年01月09日

Posted by ブクログ

ミスター円が経済ニュースを徹底分析してくれている本です。「円高」にまつわる誤解とプラスアルファで日本人だけが気付いていない「世界同時恐慌」の危機について。

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2015年02月18日

Posted by ブクログ

この本は、「通説」と「真実」の2項目に分けて、少ない文字数で、やさしく表現しているので、とっても読みやすく、しかも内容は、常識を覆すような所があり、おもしろかった。
偶然、エコノミスト誌の『2050年の世界』と合わせて読んだので、よけいに理解しやすかった。
榊原氏の予測では、
2050年のGDP
 1位 中国 
 2位 アメリカ
 3位 インド
 4位 日本

読んでて恐い話も出てくる。
ユーロ圏の財政危機から金融危機が発展するのではないかという懸念とは別のところで、世界同時不況という火種が燻っており、世界大恐慌が近づきつつある、とか。それは、中国が不況に陥ったとき。

また、閉鎖的な経済では、中央銀行の影響力は非常に大きいが、グローバル化した世界においては、日銀が単独でできることや、その影響力は限定的になる、という。各国の金融政策が協調した場合は別だが、一国の経済政策だけで一国の経済をコントロールするのはムリ、という説明は、オレもそう思っていた。白川元日銀総裁の「日銀のできることには限界がある」という説明は当たり前のことだと思うんだけど。

市場原理主義から国家資本主義へのシフトが始まる、という話には驚いた。中国のような国家によって制御される資本主義が、他国にも広がっていく可能性がある、というのだ。そういう話は、ホントかウソか知らないけど、はじめて聞いたよ。

「現在の日本経済はデフレではない」と断言してることに驚く。
消費者物価指数は下がっているが、それは電気製品や自動車などの耐久消費財の価格が下がったから。耐久諸費財の国内需要は飽和状態で、生産能力も向上しているので価格が下がるのは当然だという。食品などは、殆ど値下がりしていない。物価が下がっていることは、物価の安定と理解すべきだという。
日本銀行はゼロ金利を続けているし、相当量の量的緩和をしており、日銀の金融政策のせいで日本がデフレになっているというのはウソだ。

また、日本国債の格付けは間違いで、格付け会社は信用できないという。たしかに、オレも、アメリカの格付け会社の勝手な格付けはウサンくさいと思ってた。
それから、日本国債の暴落は当面考えられないそうだ。
榊原氏自身も、金融資産の殆どを日本国債の形で保有している、とのこと。おどろきー。

成長戦略はもういらない、というのは、ああ、そうなんだなと納得。
耐久消費財もインフラもいきわたり、人口は減り、グローバリゼーションも進展してる中で、新たな成長シナリオなど、そもそも時代錯誤なのだ。

読んでて、オレの考えてることが完全にひっくり返されたところもあるし、うすうす感じていたことが、明確に書かれてて、あーそうだったのか、と思ったところもあり、全体としては、読んで元気が出たよ。

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2013年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミスター円と呼ばれる著者だけに、為替・通貨を通じた経済認識と世界の状況が述べられている。現在をリ・オリエントへの折り返しの時代と読み、アメリカ、欧州、中国、インドなどのトレンドは参考になる。現在の円相場は、実質実効為替レートでみれば深刻な円高ではないという点も納得。マスコミなどでの通説が古いもので、新たな捉え方はこうだという構成も面白い。
直近の為替相場の動きは説明と違うところもあるが、それだけ思惑で動くものだということなのだろう。世界同時恐慌の虞を言っているが、それでも円預金と国債をもっていればいいというのは本当だろうか?
13-32

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2013年02月26日

Posted by ブクログ

超要約をすると….

リーマンショック以来、ヨーロッパを中心に経済の状況は極めて悪く、この状態がすぐに好転することはない。通過は「無極化」状態であり、極め不安定。現在は円高ではあるが、実質実効為替レートではまだ超円高ではない。むしろより円高になる可能性は高い。

さて、以上から筆者の考える対応策。
1)中国とインド
 中国はバブルの様相だがこれをはじけさせてしまうと日本経済は苦難に落ちいる。中国をうまく支援して中国経済が落ち込まないようにすべき。インドは親日であり、若者が多いのでまだ成長する。インドで売る事はそれより西の諸国でもビジネスが出来る事。積極的にインドに出て行くべき。
2)TPP
 米国と豪州がアジアでビジネスを拡大するためのもくろみ。最大のパートナーである中国が参加していないのに、むらやみに日本が参加すると中国との関係も崩壊しかねない。
3)日本企業
 円高で業績が悪い、というのは経営者の言い訳。円が強いということは国家が強いと理解して、円高をうまく活用して外国でのビジネスを今広げるチャンスである。海外での収益を増やして、それをつかって国内の業務に還元するモデルを作れ。
4)国家ファンド
 シンガポールのような国家ファンドを作り、高い円を使って積極的に海外投資をする。海外の企業を買って資産を増やせるチャンス。
5)成長戦略
 大きな成長戦略はいらない。1−2%成長が現実的とみて、それをベースに考える。これを成熟期と呼ぼう。規制緩和をしてサービス産業中心のビジネスにシフトすべき。
6)個人の通貨
 所詮、円で消費するなら無理して外貨に投資する必要はない。利率が低くても円で持つべき。国債が良い。

6番目に関してはにわかに賛同しかねるが、他はその通りだと思う。今日の日経でもトヨタの社長が「超円高」という言葉を使っていたが、被害者意識はあるが円高を活用する、という意識が日本のグローバル企業にどの程度あるのかが疑問。ファーストリテイリングや楽天のように、海外に広げるチャンス、と見る事で戦術が変わる。(もちろんトヨタはもう十分に海外活用モデルが出来ているうえでの発言でしょう)

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2012年12月11日

Posted by ブクログ

円高ともデフレとも言われる昨今
著者である榊原英資氏によると『そもそもデフレではない』し実質実効為替レートから見ると『名目70円台は「深刻な円高」ではない』そうだ。

これは以前に読んだクルーグマン著『さっさと不況を終わらせろ』と間逆な内容なので読み比べると面白い
クルーグマンは金融緩和についても「緩和している絶対額がまだまだ足りていない」とあるがこちらでは「これ以上の緩和は無駄」とある
もちろん米国と日本を同列に比べるのには無理があるが通貨安戦争→ドル安に成功した米国が今後(来年)どうなっていくのこは非常に興味深い

榊原氏によれば日銀の政策はまんざら間違っていなく成熟した日本には2〜3%といった無理矢理な成長を望むのではなく現状のような「1%成長モデル」を構築することを前提とした社会を提案している

企業単位で見れば海外進出などで成長は可能だけど日本という国で考えれば成熟した日本とインフラも発展段階の新興国や途上国と再び成長を競うのはたしかに違和感があるようにも思える

日銀の政策については賛否あるし日銀法の改正も話題となっているがこの本を知ってからはちょっと考えが慎重派になったような気がする

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2012年12月10日

Posted by ブクログ

これ以上の金融緩和は効果がない、これからは成長戦略が期待できない成熟社会、今は大した円高ではない、実質実効レートで見れば、これからが本当の円高、など、これが本当なら自民党は公約を守れない。選挙はどこに入れたらいいだろう…

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2012年12月04日

Posted by ブクログ

通貨にまつわる通説に対し、榊原氏が見解を述べている本。
基本論調として、世界同時恐慌のリスクがあること、実質レートでみるとそれほどの円高ではないことから、円保有が肯定されている。

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2013年01月06日

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