【感想・ネタバレ】隣の家の少女のレビュー

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Posted by ブクログ

鈴木に誕プレでもらって読んだ。

導入がワクワクした。そっから昔話に入ったはじめのころの話で子供の綺麗さとか無邪気さを感じて導入部分との乖離が良かった。そっから事件の内容に進んでいくのも良かった。
けど事件内容の後半の方は現実離れ感が強くて^^って感じになった。
主人公の立ち回りとか、流される雰囲気どうこうに関する感想は特にない。
それよりも導入から事件に触れるくらいのところが一番よかった。
あと,主人公のあの立場でよくも導入の言葉が言えたなと^^
パフォーマンスのように自分を否定してそうでしてなさそうな雰囲気がすこ

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2023年10月18日

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ネタバレ

1958年の夏。12歳のデイヴィッドは隣家に引き取られてきた美少女メグと仲良くなる。ある日隣家の女主人ルースがメグを折檻しているのを目の当たりにするが、デイヴィッドはただ傍観しているだけだった。ルースの行為は日に日にひどくなり、ついにメグは地下室に監禁され――

「読後感が最悪」と評判だったので、読んでみたらホントにそうだった(笑)。なのに読まずにはいられない。ここまではありがちな虐待ものとあまり変わらないが、この話が本当に怖くなるのはメグが地下室に監禁されてから……。ルースの息子たちや家に出入りしていた少年たちがルースに触発され、メグの虐待行為に加わっていくのだ。さらには主人公デイヴィッドもいつしかその異常な共同体の一部となり、メグが虐待されるのを見続けることになる。
とにかくエスカレートする残虐行為が容赦ないのだが、それ以上にデイヴィッドとともに見ていることしかできない自分が怖くなる。途中で何度も本を投げ出したくなった。こんな思いをした本は初めて。でも結局最後まで読まずにはいられない。
ケッチャム作品の、ある意味リトマス試験紙的作品。これを読めれば、奨められなくとも他の作品も手にするはず。

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2023年05月25日

Posted by ブクログ

この本を読むと相当心を抉られる…。
エログロな内容なので決して万人には薦められないが、ホラーが好きな方であれば読んでみてもいいような気も。
だめな人は本当に受け付けないと思うけど、少しでも受け入れられる人なら、残酷な内容なのに続きが気になってページを読み進めてしまうと思う。
自分はただただ作者の語り口に魅せられるばかりだった。

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2021年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好き勝手書きます。ネタバレ注意です!


ある意味現代にあっている小説だと思った。

最悪の形でメグが死んでしまうのは救いようがないし、ディヴィットもルースを階段から突き落としてるしで全部が全部善良な人間なのかは分からない。それでも最後のスーザンに指輪を渡すシーンは儚くてうつくしい。

「後味が悪い。胸糞」と言ってしまえばそれまでなのだが、この手の作品は儚さも兼ね備えている。そこが好き。その傾向はこの小説にはあまり及ばなかった気がするが。

考えないで読んでいた説浮上。考えたくかった。ある意味で思考放棄。そのくらい現実から乖離した、非人道的としか言えない虐待や性描写だった。やたら生々しい。淡々と壊れていく感じはぜひ見習いたかった。まるで、初めからそうなる運命だったと決めつける童話の語り手のように。(あながち間違ってない)瓦解は綺麗だった。それゆえ悲惨極まりない。

姉と妹。交通事故で両親を亡くして引き取られた新たな新たな家族との間の悲劇。そのシチュエーションだけでキツイ。「お前がやらなかったらスーザン(妹)がするだけ」みたいなセリフが辛かった。ただ、姉妹で必死に励まし合ってるシーンは、静謐に似た何かを感じた。

それやっちゃうかー、みたいなセリフで少し興奮した自分は末期。それとも、「そりゃそうするだろ」という本能としての満足感? 

今まで読んできた小説とはわけが違う。小説だから怖くないと高をくくっていた自分を叱咤したい。忍びなくて、本から目を話したことも何度か。少なくとも、絶対、これはエンタメではない。面白くはない。

あと、やっぱりこの手の作品は女性をれいぷするとか、犬のクソ食わせるとか、生理的に嫌悪するものが散りばめられてる。描写も生々しいからきつかった。

翻訳者があとがきで言ってたけど、今のような世の中で読むにふさわしい本、本当にそう思う。集団心理もそうだし、子供の恐ろしさとか、そうさせてしまうのは親だとか、ぎゃくたいだとか。

もう一度読めるかは分からないが、自分の中で何かを変えた本なのは確かだ。

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2021年01月12日

Posted by ブクログ

途中でぐるっと被害者(傍観者?)から加害者側へ、いつのまにか読者(自分)が回っちゃった瞬間、今まで読んだ中で1番の衝撃を受けました。
ヘイ!ルース!地獄で現金化するんだな!

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2020年05月27日

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ネタバレ

かなり壮絶で、でもこういった酷い事件は日本にもあるし、身近な事でもあると思わされる小説でした。大人ですら心から信用してる人達の行動には知らず知らず同調してしまい、自分に言い訳をしたりして目が覚めるのが遅れることはあると痛感しているので、デイビットの気持ちも凄くリアルに感じました。心に残りました。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お勧めされて読んだ本。
非常に後味が悪く、生理的嫌悪と恐怖に顔を顰めつつも、一気に読んでしまった。
アメリカの片田舎の平和な日常の描写から始まった物語は徐々に不穏さが滲み出ていき、「誰にも言ってはならない」というキーワードをもとに際限なくエスカレートしていく。
暴走した列車のようにどこまでも行き着くところまで行ってしまった恐怖と、ヤンチャだが気のいい仲間だと信じていた仲間たちが止まらない怪物だったときの絶望、傍観者として一部始終を眺めたデイヴィッドに対する嫌悪と憐憫。

残虐で後味の悪い作品だが、臨場感がすごく非常に読ませる力のある作品だった。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

一部で非常に有名な本作。文庫で400ページほどあるが、悪いことにすらすら読めてしまう。
語り手であるデイヴィッドが「いったいぜんたい、わたしはいつ堕落したのだろう?」と言った瞬間、最初っからだよ!と悪態をつきたくなるくらいには登場人物みんな嫌いになること請け合い。終盤あたりに「ママはこのごろ、ちょっとおかしいんだ」とドニーが言ったときなどどうしてやろうかと思いました。酷い描写は勿論、些細な会話も胸糞具合が秀逸です。

そして訳者あとがき。「読者が共感できる人物」としてメグ、スーザン、デイヴィッド!の名前を出し「善が悪に必死の対抗を試みる」と。胸糞界隈では、あんなことをして最高にぞくぞくし、思わずにやけそうになった人間も善の分類なのでしょうか。

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2024年01月25日

Posted by ブクログ

気持ち悪いけど先に進まないと気が済まないような感じで一気に読んだ。読んだ後ずっと嫌な気分になるから人には勧められない。
人を助けるのは簡単じゃない、まして子どもなら。
恐怖を感じながらも読み進めてしまうのは、自分もそうなる可能性があるから。普通に起こることだから。みんなディビットになるし、ルースにさえなる。

読むんじゃなかったと書いてる人多い。激しく同意。なんで読んだんだろ。

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2023年07月30日

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ネタバレ

衝撃的。

時代とお国柄の違いがあるため、違和感を覚える箇所もありますが、人が狂っていく様を見事にストーリー化していると思いました。

『ゲーム』と称して虐待がエスカレートしていく様子、思考停止状態の傍観者、コントロールしているはずのルースがもともと精神を病んでいるため、歯止めがきかなくなる様子…

ノンフィクションかと思うほど、説得力がありました。

主人公は最後に自我を取り戻せてよかったと思いますが、消えない心に傷はずっとずっと残ります。

ルースも結局は自分自身の問題をメグに押し付けてしまっていました。事件後に生きていたら、どんな運命を辿るのか気になりましたが、幸か不幸か裁かれることなく逝ってしまったため、知ることはできません。

テーマがテーマなだけに、読んでいる間のほとんど、眉間にシワが寄っていたと思いますし、読後もスッキリはしません。
けれど、読んでよかったと思う本でした。

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2023年06月25日

Posted by ブクログ

なんだこれ。狂騒とスリルがのしかかってきて、体が重圧を受ける。けれど、読む手を止められなかった。
強烈なパワーが渦巻く一冊だった。久しぶりの感覚に陥った読書体験だった。えげつない。

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2023年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは本当に読むのがしんどくて、途中までは数ページずつ細切れにしか読むことができなかった。
文章が難しいわけではなく、逆に文章は読みやすく、クリアに状況がイメージできてしまうからこそ、辛くてしんどくて読み続けることができなかったのだ。

語り手は12歳の少年。
自然に囲まれた郊外で、近所に住む友達と毎日遊び戯れることが日課だったデイヴィッド。
彼の隣の家に、両親を交通事故で亡くしたメグとスーザン姉妹が引き取られてきた。
3歳年上の美しくて勇敢なメグにデイヴィッドはすぐに惹かれたのだけど。

隣と言っても日本の家のように建物が密集しているわけではないので、家は一種の密室になる。
隣の家には夫に逃げられたルースが、3人の息子と暮らしている。
「誰にも言わない」という約束で、ルースは息子やその友達にビールやタバコを許している。
美人で話せるルースは、近所の子どもたちの憧れだった。

最初はうまくいっていたルースとメグの関係が徐々に歪み始める。
美人のメグをルースは警戒する。
男をたぶらかす女にならないようにと、折檻する。
家事でこき使い、食事を与えず、殴る、蹴る、煙草の火を押しつける。

妹のスーザンは事故で重傷を負い、今も歩行補助具をつけないと会歩けない。
そのスーザンを庇うために、メグは必死でルースの言いつけを守るが、自身の尊厳は決して失わない。
その姿勢がよけいにルースの怒りを誘い…。

デイヴィッドは最初こそショックを受けますが、虐待を受けるメグを見ることに喜びを感じる自分もいます。
そのことに悩むデイヴィッド。
「誰にも言わない」ことの呪縛。
悪いことをしている自覚に責めさいなまれる日々。

詳しくはわかりませんが、ルースは心身に失調をきたしていたようです。
しかし、3人の息子は母の言うことに逆らうなんて考えもよらず、何なら積極的に母を手伝い、虐待はどんどんエスカレートしていきます。

もう本当に読むのが辛くて、途中でやめようと何度も思いました。
最後まで読んでもひとつも救いがありません。

実は大人たちが知らなかっただけで、近所の子どもたちはこの所業を知っていました。
積極的に虐待に加わる子がいる反面、親に打ち明けた子もいるにはいたのです。
しかし熱心なカトリック教徒だというその親は、「そうされるのならそうされるだけの悪いことをその子はしたのだろう」と取り合いませんでした。
悪意を持たない人は、悪意を想像することもできなかったのでしょうか。

メグが助けを求めた警官も、後日家を訪ねてルースに虐待の事実を問い、否定されたらそのまま帰っていきました。
マヌケすぎる。
その後のメグがどんな仕打ちを受けたのか、想像しようともしなかったのでしょう。

人のもつ悪意の醜さと恐ろしさがこれでもかと書かれていて、小説としては上等なのでしょうが、正直絶対再読したくありません。

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2022年04月25日

購入済み

誤字、脱字があまりに多すぎる。

全体的に割と良くできていて、リョナ耐性が備わってさえいればそこそこ楽しめる作品です。主人公の計画力の無さや登場人物のモラルの欠如具合等、設定があまい部分は作中所々見受けられますが、ギリギリ読み手の自己解釈で何とかなる程度なので、作品を楽しむ上では邪魔にならないです。しかし…誤字脱字、翻訳ミス等があまりにも多く、感情移入の妨げになります。エディターは本当に仕事をしているのでしょうか?どうであれ、読んでいて気持ちの良い物では無いので、早く直す事をお勧めします。

#切ない #ダーク #ドキドキハラハラ

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2022年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんな衝撃的な本を読んだのは初めてです。
デイヴィッドを通して事細かに語られる物語は、実話なのかと思うほど生々しく痛々しく、顔を顰めながら読んでしまうほどでした。

日に日に残虐さを増していくメグへの虐待を見ることから逃げ出したい・助け出したい気持ちと見ることを辞めたくない気持ちが葛藤して、全てが終わった現在では人生で1番後悔し懺悔しているデイヴィッド。

私たち読者も文章を通してデイヴィッドと同じように、日に日に残虐になっていく虐待の様子を少しずつ読み進め、終わったときには後味の悪さ、時には読んだことへの後悔が残るかもしれません。


とにかく残虐でグロテスクで吐き気を催す描写も少なくなく、とても後味が悪いです。それでも夢中になって一気に読んでしまうくらい引き込まれました。

P.S. 実際の事件をもとに描かれていると知って鳥肌が立ちました…

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2022年02月23日

Posted by ブクログ

壮絶な話。女児虐待の話と言えばそれだけなのだけど、主人公に感情移入してみると余計にきつい。
実際にその家を支配している昔から知っている大人が、美しい少女を「好きにして良い」と許可したら、みんな抗えるものなのだろうか。
少女が最後まで強く気高い女の子だった事が余計ルースを惨めにさせていたのだろうな、と思いつつも、何の罪もない少女がゲームのように虐げられる話。その最悪に至るまでの流れが無理矢理ではなく、「有り得そう」なのが1番怖い。
今だって、これは虐待だ!と自覚している訳じゃなく、「お前のためだ!」と言いながら愉悦の光を湛えて弱くて美しい者に暴行をくわえるんだろうな。
キツい表現は多いけど、直視はしていたい。

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2021年07月14日

Posted by ブクログ

実際あったシルヴィア・ライケンス事件をモデルにしたフィクション
言葉を選ばずに言えば胸糞悪いなんてものじゃないし、数日頭から離れないし、事実と知れば尚のこと
この事実をうまく処理できない

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

後味悪い本で検索して出会った本でした。もうこれは何とも言えません…。とてもじゃないけど、私は一気読みできませんでした。これ程までに読んでいて痛々しい本はありません。

実話に基づいてるとの情報も聞き、その事件についても調べるキッカケとなりました。被害者の気持ちを思うと言葉が出ません。ですが、このような事件が世の中に起こっていたという歴史を知ることができた点では、この本に出会えてよかったと思っています。でも、私にはもう読めないかもしれません…(笑)

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2022年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

凄いものを読んだ。
3回休憩を挟まなければいけなかった程度胸糞で、多分数日はこの小説の事を考え続けるんじゃないかと思う。精神不安定な人は絶対に読んではいけない。


物語自体は本当に胸糞だが、面白かったと思う点は多くある。
自分が一番よかったと思う点は、メグとの最初の絆を深め合う描写、折檻描写、更に虐待になり、メグが死ぬと気付いてから終盤までの構成が巧みという点である。
読み手の感情を耐えられるギリギリで揺さぶる。
そして、一種の解離状態を読み手にディビッドを通して抱かせるのである。

1度目の前の強者や虐待をする人間に絶望や諦めを抱いたことがある人なら知っている感覚が、小説で再現されていることに先ず驚いた。

ディビッドが映画のようにルース達によるメグ虐待を見ていた辺りからより事態は悪化し、あまりのつらさにめぐへの感情移入は出来なくなり、しかしながら時だけは過ぎていく。
その辺りの没入感はとても良かった。


ルースに関して、ただの精神病者という別個のものとして考えるのではなく、自分は自己の苦しみの原因を他者に投影してしまう極端な人間として見ている。この人物の作り込みも凄かった。
何かトラウマがあり、その原因を女という概念に見出し、女であるメグに対しての憎しみを持つ。
ルース目線でこの物語を見てみたいとふと思った。


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2021年02月17日

Posted by ブクログ

スティーヴンキングおすすめってだけあって、途中で休めないほど集中して読んだけど、、
すごーくモヤモヤを抱えてしまった。。
日本の洗脳系サイコ事件の実話に基づいた本とか、監禁系の本とかも興味深く読んでたのに。
被害者が少女1人だったからかなぁ。姉妹揃って健気だったからかなぁ。

それくらいジャック・ケッチャムの書く文章が入り込ませたのか。。

ルースの思いっきりのサイコっぷりや、息子たち、わたし(主人公)の行動や心境もテンポが良くスラスラ読めた。ただ、わたしが大人になってからは深堀せずの説明だったので今いち状況がわからず。

わたしがルースにむけて書く思い出話。
地獄で現金化するんだな。




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2021年01月11日

Posted by ブクログ

なかなか手に取る機会が無く積読化されていましたがとうとう読んでしまった....。

メグの美しさと逞しさ、完璧過ぎない姉妹愛。
そして邪悪に反抗出来ない、抗いもしない少年達と邪悪にひたすら支配されているルース夫人。
物語の尺は短い物の、徐々に形を生してゆく残酷さはとてもテンポが良く終始ダークなどんよりとした雰囲気なのに常に先が気になる指筋泣かせの恐ろしい作品だった。

海外サスペンスならではのベースが狂人。そしてそれがとてもリアルに感じる恐怖。どうして彼等は狂人なのか、なんてどうでも良いのだ。ひたすらこれから起こる悲劇を待ち受ける読者。これぞエンターテインメント。

ー残酷なのに、どこか切なく美しいー

いきなり憑き物の取れる「わたし」と邪悪の呆気ない最期に拍子抜けはしたが、後日談の囁かな鳥肌に暗殺されかけました。
キングの賞賛にハズレ無し、他の作品も楽しみに読み進めていきたいと思います。

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2022年03月02日

Posted by ブクログ

読後感は悪い。
しかし、残虐な行為を酷いと思いながらも、どうなるのか見てみたいという好奇心が私にあったことは確かだった。そういう意味でも人間の残虐性をすぐ近くで感じられる恐ろしい作品だった。

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2022年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

先日、約20年ぶりぐらいに著者の「オフシーズン」を読み返し、背筋が冷たくなる感じの世界に再び魅了され本作も立て続けに手にしてしまった。

非常によく出来た作品で読書中にもかかわらず思わず目を背けたくなるようなシーンと見事なまでの登場人物の心理描写は間違いなく☆5つと言いたいが、「オフシーズン」を読んだ時の衝撃との比較という点だけで☆4つの評価。

主人公であり本作の語り部的存在はデイヴィッドであり、彼の心理描写(善と悪)は見事としか言いようがない。

彼の隣の家に越して来たのがメグと妹スーザンの姉妹。

両親を事故で亡くし、デイヴィッドの隣人であるルース家に身を寄せる事になるが、これが彼女達の運命を大きく左右する。

ルースとその子供達によって家の地下シェルターに監禁される事になったメグ。

そこで行われるメグへの虐待は日に日に残酷さを増していく。
(メグへの虐待シーンは「オフシーズン」同様に脳裏に焼き付き、叫び声が耳に残る)

なんとかしてメグを助けようとするデイヴィッド。

メグとスーザンを助け出しハッピーエンドを迎えないのがジャック・ケッチャム作品であり、警察が踏み込む直前にメグは命を落としてしまう。

目を覆いたくなる虐待シーンのインパクトが強いが、私にはデイヴィッドとルース、メグの3人の心理描写(それぞれが変化していく)に圧倒された作品でした。



説明
内容(「BOOK」データベースより)
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―。キングが絶賛する伝説の名作。

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2021年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恐ろしかった。何が恐ろしいって、大好きだった快活で優しいルースの異常性が浮き彫りになっていくことはもちろん、親友だったドニーをはじめ兄弟のウィリーやウーファーまでもが虐待に手を加え始めること。また、主人公のデイヴィッドがそれを違和感なく傍観していて、さらには読者である自分までもがそれをただ起きていることとして傍観している、そして自分も加害者の一人であるかのように思わされるところ。
異常な出来事や行動を、淡々と、あたかも日常のひとコマのように描かれている前半部分が怖い。
それ故に中盤あたりでルースの精神の異常性を示す描写を読み少し安心した自分がいた。やはり彼女は狂っているのだと。
後半はただただひたすらにメグが痛々しく、どうにか生き残って幸せになってほしいと願うばかりであったが、そのような願いは叶わずメグは残虐に痛めつけられ続けた果てに息絶えてしまう。
美しく活発で、水彩画が得意なメグの、あるはずだった輝かしい未来を想像すると本当に胸が痛くなる。
主人公は最後に、突発的にとはいえルースを殺すことに成功するのだが、それでも全く報われた気がしない。メグを痛めつけた全員にメグと同じ目に、それ以上の目に合わせてやりたいという怒りに駆られる。
救いがない。だがそれだけ人間の闇や不条理をこれでもかと描いていた。
これはルースは異常だったにせよ、絶対にバレない環境や、慕っている人がやっているのだから、などという状況になるとドニーやウィリー、主人公に限らず善悪の判断もまばらな少年だった僕らなら同じようにしていた可能性があるということ。
決して人ごとではない、異常だがあくまで日常的な恐ろしい話だと思った。
多分、思い出すたびに胸が痛くなるだろう。

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2020年08月07日

Posted by ブクログ

物凄いスピードで読んでしまった
本当に久しぶりに読んだ本だ
それだけ引き込まれるけれど、それだけ卑しい人間ということだ
主人公も我々も、傍観者であり
安全なガラスの向こうから見る残酷な景色の、
なんて恐ろしく甘美なものであることか
ページを手繰る手が止まないのは、少女のことを愛おしいと、可哀想だと思いつつ
もっともっとと、陵辱を望む
加虐願望が煙となって体から立ち昇っているからではないのか
読後は重いけれど、結局私もこの加害者たちと根は同じである
同じ種だから……
美しさと少女を合わせると、諸刃の剣であって、
ただひたすらに危うい
丹念に磨けばきっと誰も彼も殺せるけれど
少女の刃で人は殺せない

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2020年06月25日

Posted by ブクログ

何年か前に版元主導で仕掛けた記憶はあるんやけど、そん時はミステリー食わず嫌いで読んでなかったのよね。たまたま古本で見かけたので読んでみた。少年たちがヤバめの話に足を突っ込むってのは「スタンドバイミー」なんやけど、何せ隣のオカンが…日本で言うと髪茶色に染めて後ろでくくってるんやけど、根本が黒くなってそうな、近所の子どもに恐れられながらも面倒見がいい、シングルであることを別にすればうちの嫁さんのママ友にも何人か思いつきそうな感じなのよね、最初は。それがこんなことになぁ。

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2020年02月08日

購入済み

内容に予備知識がない方は注意

もしこの本を読もうと思う方は、ある程度内容についての知識を持ってからでないとショックを受けるのでは…、まあ この本の購入を検討している時点で知っているとは思いますが ¨ シルヴィア ライケンス事件 ¨で調べてから購入を考慮した方が良いかと思います。

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2018年03月21日

購入済み

ありそうだと

後味悪い作品だと聞いて。
大袈裟かもですが、今の若者ってこんなんばっかですよね。閉鎖されてて、人数いれば安心して。
一言でグロいとかサスペンスじゃなくて、少年達になったつもりで読んでほしい。
彼らと違って、私は大人になってますので、少年達の行動は理解できず怒りを感じますが…でも学生の時あったなぁ…って、なんとも言えない気分に。
読みながら主人公に対してグズだの情けないだの思いましたが、落ち着いた頃に、あ、なんかこんな気持ちになったことあるなって思って、主人公を責められなくなりました。
なぜかいじめられていた同級生を思い出します。最近はいじめが深刻化していて、まさにこんな感じじゃないですか?
とか他人事みたいに言っちゃう私って…。う~ん、なんだか。内容もそうですが、自分に対しても後味悪いですねえ。

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2013年08月03日

Posted by ブクログ

主人公がメグに対する憧れから来る憎しみや迷いを感じる所、好意を抱くメグよりも大人であるルースに信頼を置いていた所などは、非常に子供らしく人間臭く感じられた。また、若く美しいメグに対するルースの嫉妬心のエスカレートも、そうと決めて書かれた描写はないにも関わらず、ものすごく巧みに感じられた。

そういった意味では評価の高い作品だと思うけれど「面白かった、良い作品だった」とは言い難い。自分も主人公と同じ傍観者の一人であったような、助けるべき一人の少女を見殺しにしたような、後ろ暗い気分。

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2021年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際の凄惨な事件を元にしているらしいですね。
登場人物の心理描写が巧みで、文章としては読みやすかった。
被害者だと思って読み進め、途中で傍観者から加害者に。最後は何とか「これはおかしい」と気付いたけど、時すでに遅し結末は最悪。
子供がいるので教育や洗脳の部分でとても考えさせられた。「あなたのため」なら何をして良いわけではない。
読んでいる間はじわじわ喉から重い物が落ちていくような不快感、でも続きが気になるので一気に読んでしまいました。辛かった。

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2021年11月14日

Posted by ブクログ

子は親に似るって言うけど、悪びれもなく虐めができる周りの悪ガキにイラつくし、デイビッドに感情移入しちゃうし、忙しい話

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2021年11月06日

Posted by ブクログ

スティーヴン・キングがべた褒めしているらしいので読んでみた。陰惨な話。子どもが関わるからよけいにいたたまれなかった。つい語り手の少年に感情移入し、読み手もトラウマを共有してしまう。
辛い。人間の醜悪な部分を覗き見したいタフな人向き。要は、救いがないということ。

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2021年05月11日

Posted by ブクログ

熱せられた清潔な布地の麝香を思わせる刺激臭が漂っていた 抗し難い魅力だった 作業員と大梁に据えていた カンバスの防水布 裏庭には蛍がいて、ふわふわと漂いながら明滅していた。 禁足を言い渡されたのだ 敏捷にベースをまわっているメグ 営倉えいそう 掻き抱いた 夜は漆黒の闇から濃紺に変わっていった 緋文字みたいに 人間らしい感情を理解できない知的生物のようだった 狂った女に灼熱した鉄でクリトリスを焼かれて息絶えてしまうのだ 道徳という綱渡りから転落してしまっていたことだろう 人間性のかしゃく仮借ない理解に関して彼に匹敵する作家としては 『隣の家の少女』は、いうなれば、"裏スタンド・バイ・ミー"なのだ その邪悪と混沌への感受性は群を抜いており 秩序と混沌の葛藤が実現しているのである ふそう扶桑社

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2020年03月19日

Posted by ブクログ

いやーーーーー救いがない!!!!!
本当にないですね、しかし、読む前は単なるグロ本だと思ってましたが少し評価がかわりました。いじめに加担する側、特にデイヴィッドの心理描写がうまいです。同情心はあるが自分とメグには決定的な立場の差があること、怒りがなぜかそれを与えたものではなく一番力弱いものへと向けられることなど、傍観者〜加害者よりの心理がうまく描かれてる気がします。そして家族ってものの血の繋がりの怖さもメグとスーザンの姉妹愛を通して改めて実感しました。まあただし普通にエグいので万人におすすめはしないです。

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2020年02月13日

Posted by 読むコレ

前評判から分かっていたので、胸の奥が刺し込まれるような
痛さが終始付き纏う、読みながら本気で辛くなる作品でした。
分かっていて読んでるので、仕方ないですが、まさか
ここまで....とは。ここまで読み途中でシンドくなる作品は
過去に出会ったことないかも。
なのに、最後まで読んでしまうのは、自分もこの
語り手である「デイヴィッド」同様に残酷な傍観者に
なりうる可能性が充分にあるから...なのか?

内容やあらすじを書こうとするだけで、辛くなるので
書けませんが...決して人に「是非!」と勧める作品ではなく、
人間の残酷さ、狂気、そして子供といえども、こういった
部分を支配下に置かれた環境では関係なく、そして
際限なく流出してしまう...という恐怖。
そこに嫌悪を抱きながらも、少女を助ける事もなく、
ただひたすらに傍観するという事で付き纏う悲劇。
ごくシンプルな構図のストーリーながら、ここまで
オブラート一切なしで書ける作者の精神も尋常ではない...のかも。

珍しく読書...を躊躇うことになったトラウマ作品になりそうです

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2013年03月31日

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