感情タグBEST3
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ただ資料を集めただけとはいえ、加藤周一がどんな人物か、また伊藤整がどんな人物か、そんなことを知っていれば読後感が大きく異なるはずだ。数ある戦時中の自伝や日記のなかから、なぜそれをチョイスしたのか思いをめぐらすことも愉しみである。
開戦と終戦の瞬間を切り取ることで、山田風太郎は自身の日記と対にしたかったのではないだろうか。戦争に対するある種のスキャンダラスさが蔓延する前の、そのときに生きた人間の感覚を切り取り抑えたかったのではないだろうか。
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太平洋戦争開戦の日、1941年12月8日と、終戦までの15日間、1945年8月1日〜8月15日。この日々に、同日同刻に、日本中で、世界中で、様々な人々がどのような感慨を抱き、どのような行動をしていたのかをまとめた本。
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「同日同刻」
結構長い間探していたんだけど、見つけました。
最近絶版のがまた出たっぽいです。
詳細な描写がとてもリアルでした。
開戦直後の当時のひとたちが
「世界が変わった」という感じが印象的でした。
今の時期に読んでよかったです。
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戦争は正義と悪との争いではない。国家の暴走によって民の命の尊厳を踏みにじる愚挙でしかない。その真相に気付かない民に責任は無い。社会や情報の偏重によって洗脳に近い状況へ追い込んでいく怖さが、様々な人びとの言動で如実に伝わる。その後の悔恨や不条理はもちろんある、時を経て人びとは変わりゆく。ただし歴史は変えてはならない。敗戦から学ぶべきものは残していく、美談などと都合の良い解釈では社会はよくならない。加害と被害を重ね合わせて事実を見定める書籍として暫し黙考する。
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太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日の、民間軍部様々な手記を時系列に集めた著。
著者の感想をあまり交えず、ただ記録だけを組み立てた内容に、当時の空気が伝わってくるような内容に色々考えさせられる。
遠い歴史の、今と違う「日本人」の物語ではなく、今の人間と変わらぬ怒りや悲しみが見えてくるようでした。
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日本の、否、世界の運命を別つ数日間が、複数の人の手記などによって立体的に浮かび上がる。誰もにとって地面がひっくり返るような出来事が起きたとき、言葉はふさわしくないけれど、人間というのは面白いなあと思う。作家は民衆の「語りべ」であると著者が言うように、作家の手記は特に興味深いものであった。
玉音放送を聞いて、涙を流すどころか死を選ぶ人もいたと云う。国家のために、と命を投げ出すことも、敗戦後の日本で生きる気力を失ってしまうことも、正直理解しがたい。今は何を信じればいいのかわからない時代だから、戦時中の日本全体のひたむきさが少し眩しかったりもする(向かう方向が戦争でさえなければ…)。
蛇足だけど、加計呂麻島で島尾ミホが「隊長がゆかれます」といった光景が、頭の中で満島ひかりで再生された。ステキだった。
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山田風太郎と言えば忍法帖だが、最近はそれ以外の作品もチラホラ読んでみたりしている。というわけで、『同日同刻』。前半が太平洋戦争の開戦当日(真珠湾攻撃)の詳述で、後半は、太平洋戦争最後の 15日間(2回に亘る原爆投下とポツダム宣言受諾、玉音放送まで)を描く。対比が無されている部分も、対比がない部分もあるが、終戦当時の一般市民の感情や行動を記録したものとして読むと非常に興味深い。