【感想・ネタバレ】警視庁草紙(上) ――山田風太郎明治小説全集(1)のレビュー

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Posted by ブクログ

この全集、だいぶ昔に買ったのだが何故か読むきっかけがなく、ずっと積読状態だった。いま全集1巻目を読み終わったばかりだが、これだけ面白い小説なら、もっと早くに読めばよかったと後悔している。
なにせ明治初期という江戸と明治の端境期、ある意味なんでもありの時代を背景に、山田風太郎というエログロナンセンスなんでもありの小説家が書いた物語だから面白くないはずがない。
登場人物もみんな魅力的で娯楽小説の頂点ともいえる小説。
これから全巻読んでゆくが、今のところ満点評価。

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2021年04月17日

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初代警視総監川路利良を先頭に近代化を進める警視庁と元南町奉行駒井相模守、元同心、元岡っ引の知恵と力を駆使した対決を2冊で送る。大久保利通、岩倉具視、一葉、山田浅右衛門ら実在の人物と架空の人物が銀座煉瓦街を駆けめぐる(上巻) 警視庁vs元江戸南町奉行所の面々。広沢真臣、黒田清隆、井上馨、森鴎外、高橋お伝、皇女和宮、清水の次郎長などなど多彩な人物を巻き込む怪事件をめぐり知恵くらべは続く。華やかな明治の舞台うらに流れる去りゆくものたちの悲哀。(下巻)

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2009年10月04日

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忍法帖シリーズだけが、山田風太郎ではありません。明治初期を舞台に繰り広げられるミステリーなんだろうな、面白いです。以前、NHKでドラマ化されてましたよね、このシリーズを下敷きにして。南伸坊の装丁が素敵。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

維新後の東京の様子を描いた作品を探していたら見つけた一冊。山田風太郎氏といえばお色気シーン満載の忍法帖のイメージしかなかったので、改めて氏の凄さを認識した。
史実と創作の境界がどこなのか分からないものの、登場人物の多くは実在しており、かつ他人の小説中の主人公まで引っ張り出してくるところは大御所ならではの荒技でしょうか。
期待以上の面白さだったので、全巻読破しようと決めました。

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2022年07月27日

Posted by ブクログ

シリーズ物で、前の話があるらしい。私はこれから読んだけど、前を知らなくても楽しい。
実在した人物を登場させているところも、楽しめる。こんな時代に、あの人物は生きてたんだな、と思う人物がたくさん出ていて、明治とはすごい時代だったんだと思った。

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2017年10月29日

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大好きなシリーズの第一弾を改めて読む。
警視庁VS町奉行の闘いも去ることながら、実在の人物達が縦横無尽に活躍する姿が面白い。

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2017年06月06日

Posted by ブクログ

以前から、かなり長い年月、読んでみたいと思っていたんですね。山田風太郎さんの明治モノ。
というか、恥ずかしながら山田風太郎さんが、読んだことなかったんですね。
なんとなく、若い頃は、青臭い心に「忍術モノは別にいいや」とか思っていまして。
もうずっと、ほんとにこの10年くらい、読んでみたいなあ、とは思っていたので。ようやくでした。

面白かったですね。これ。
1973年から「オール読物」連載らしいですね。40年前ですね。
明治初期、明治6年から明治9年くらいのお話。連作短編です。娯楽作品です。
毎回、何かしらの犯罪があります。一応、「善玉=可哀そうな、応援したくなる人」がいて「悪玉=成敗したくなる相手」がいます。
悪玉は、大抵、成り上がった明治の高官だったりします。
で、この事件に毎回、

●元町奉行一派(元江戸町奉行の飄々老人。元幕臣の浪人剣士。元岡っ引き。などなど多士済済の在野の人々)

●警視庁の人々

の二つのグループが絡む。
で、大まかに言うと、「元町奉行一派」が解決して成敗して溜飲を下げる。
だけど、警視庁組も、捨てたものではなく。善良な人もいる。
なんていうか、ルパン一味と銭形刑事みたいな。そんな関係です。

で、全ての事件の背景には、

●江戸時代から急激に明治時代になっちゃった、時代の急変のきしみ。

●迫害されて可哀そうな、旧幕時代の心ある人々。

●三遊亭円朝、斉藤一、永倉新八、夏目漱石、森鴎外、樋口一葉、東条英機(の父)、をはじめとして、実在の有名人をお話に組み込んじゃう、歴史的な視点。

みたいな味付けがされてあります。

これが、なかなかどうして。ホントにすごい。面白い。

恐らく、多くの漫画や時代劇が、ココをヒントに生まれているのが判ります。

●トリックや活劇部分もあるんですが、ソコに引きずられない筆力が、大人の鑑賞に堪える。最後は人間模様というか、歴史模様で楽しませる。

●なんだけど、毎回事件があって、人々は巻き込まれる。当然ご都合や破天荒なこともあるんだけど、それを読ませちゃう語り口の滑らかさ。これ、愚直に映像化しても、ツマンナイだろうなあ。

●壮絶なまでの、薀蓄と知識、それを整理整頓して並べてみせる理性。それが、ケレン極まりない語り口と併存しているのが凄い。

●どこかね、登場人物の元町奉行さんみたいに、飄々としてるんですよね。作風が。酸いも甘いも噛み分けた。なんだか懐疑主義的な佇まい。大人だなあ…。

という訳で。
明治モノに限らず、15年戦争モノも多く興味深い本がありますし。
今後の長い年月、「山田風太郎を読む」という大きな楽しみの鉱脈を発見しました。遅まきながら。

ナンだけど、その力の抜け具合といい、どこかニヒルな佇まい。なんていうか…前のめりに次々読まねば…と、思わせる情熱には、欠けるんですよね(笑)。

とりあえず目の前のコトで言うと、この「警視庁草紙」。上下巻なんですけどね。
でも連作短編、シャーロック・ホームズ風なんで。
下巻を…すぐには読まない気がするんですよね…。
まあ、いつか…。



#########以下、内容の個人的な備忘録。当然ネタバレです。############

①明治牡丹燈籠
…維新の動乱で。妻がいて夫がいて。夫がいなくなり、妻は再婚。再婚相手が岩倉具視暗殺の謀議をしている。さてこの元夫婦のふたりが、明治政府憎さのあまり、妻が夫を刺す(この辺、事情は入り乱れていますが。読むと疑問はないのです)。刺された夫が協力してそれを完全犯罪に。暴きにかかる警視庁。そうはさせじと、元町奉行一派。噺家円朝が絡んで。味わいとしては、円朝怪談風の話を、殺人事件として謎解いて行くと、混乱の明治初期があぶりだされる、という趣向。

②黒暗淵の警視庁
…岩倉具視暗殺未遂事件。その関係一派。これを元町奉行一派は、むしろ救うために色々動く。風呂屋でけんか騒ぎを起こして逃がしたり。
ところが偶然から、前の話で助けた夫婦が露見して死んでしまったり。後味は良くない一篇。

③人も獣も天地の虫
…明治初期。対西洋の手前、売春が一斉に摘発されたことが。そこで捕まった落魄士族の婦女多し。元町奉行一派の剣士は義理があって数人、救いたい。そこで、悪玉警部を独り、色仕掛けで落として、脱獄をさせる。だが途中で露見。絶体絶命。そこで、竜馬や晋作の恋人女房のお話になり…という。これまた強引爆笑ものの一篇なんですが、小説として楽しめてしまう技術、脱帽。

④幻談大名小路
…とある藩。ご一新の混乱で落魄したが、悪者がひとり、姫を売りとばしたりして、高官になった。それに対して、落魄組が徒党を組んで仕返しをする。精神病院の初代が出てくる。また、ミステリーの仕掛けとしては、その悪党に恨みがある按摩を使って。「あり得ない小路」の証言をさせるという。元町奉行一派が仕掛けを見抜くくだりで、少年少女時代の漱石と一葉が出てくる。

⑤開花写真鬼図
…ひょんなことから、美人女郎を巡る若者ふたりの果たし合いの、立会人になったのが。警視庁の警官と、元町奉行一派の剣士。これからはじまって、剣士の正体がバレそうに。警視庁を脅すために、お偉いさんと愛人のスキャンダル写真を撮ることに。これぁ、なかなか外連味たっぷり、唖然茫然の力技。で、面白かったから、すごいものです。

⑥残月剣士伝
…明治になって、急激に失業が広まる、剣術業界のお話。食うに困った名人道場が、見世物チャンバラを始める。コレが面白くない警視庁が、女剣戟という見世物で対抗。とうとう名人側が、兜割り競争で、警視庁の師範代に挑戦。受けて立ったが、何らかの陰謀で邪魔が入って警視庁敗北。その下手人仕掛人を、追い詰める警視庁だったが。
 解決にはあまり元町奉行一派は絡まないけど、どっちかというと、下手人を助けようとする。新しい仲間、スリのふたりが登場。平間重助、斉藤一、永倉新八など、新選組メンバーが活躍。

⑦幻燈煉瓦街
…銀座のお話。
悪者役が、井上馨さんです。明治後、とある鉱山を私物化しちゃってた。そこの被害者の人たちが、結託して、井上馨の番頭の岡田平蔵という男を謀殺。からくり仕掛けて完全犯罪。これを、元町奉行一派、見抜くけど見逃しちゃう。最後は、井上馨一派のごろつきとのアクション。明治初期の、銀座の事始めが面白い。

⑧数寄屋橋門外の変
…銀座のお話。元彦根藩士がいます。桜田門外の変で、井伊大老が殺されます。関係藩士が、井伊彦根藩から苛められて辛い一生を送ります。その男は落魄、明治後は演劇の大道具や大工をしています。桜田門外の変で大老を殺した加害者側の生き残りが、警官をしているのを知る。更に、苛めた悪い彦根藩士たちが、今はなんと旧敵だったはずの井上馨の子分やってることを知る。その連中全員に恨みを晴らすために。井上馨子分たちを、同じ恨みを持つ女たちを動員して毒殺。二重壁のトリックで、それを警官の罪にしようと。ところがそれを元町奉行一派が見事に暴きます。本当の悪党は、井上馨一派、というお話。

⑨最後の牢奉行
…悪玉は、伝馬町の牢の管理責任者。元は小物の勤王志士で、幕末に仲間をペラペラ売って生き残り。それを知ってそうな石出帯刀という元牢奉行を殺人の罪を着せる。娘をもてあそんで殺しちゃう。そのからくりを、元町奉行一派が見抜いて、警視庁に密告、万事めでたしになる。「お解き放ち」という制度の解説が印象に残った。

########以上##########

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2014年04月24日

Posted by ブクログ

山田風太郎の明治もの。

最後の南町奉行駒井相模守と警視庁大警視川路利良の対立を中心とした物語。
フィクションと史実がほどよくミックスされていて思わずにやりとする。

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2011年07月10日

Posted by ブクログ

山田風太郎の明治もの。明治初期が舞台の小説を殆ど読んだことないこともあって、当時の風俗や雰囲気すごくおもしろいし勉強になる。ストーリーもすごく良い。下巻も読むぞ!

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2010年08月22日

Posted by ブクログ

ちくま文庫さんにあっぱれ!
採算度外視で埋もれた名作を復刊した出版社としての心意気に。こうした知的エンターテイメントを楽しめるのが大人。
幕末の著名人と架空のキャラが混然一体となり、警視庁対江戸町奉行所の知恵比べを、華やかな明治の舞台裏に流れる去りゆく者たちの悲哀を絡めて描く風太郎マジック全開。上下巻。

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2021年10月07日

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