感情タグBEST3
Posted by ブクログ
戦時の旭川の新米教師の話。昭和25年に三国同盟、政党解体、国家総動員、配給制が始まるのに、日本国内の出来事ではないように受け止めた上、いずれ勝つでしょとの国民一般の意識。新聞や東大も国策に疑義を持つ者を排除し、決まったベクトルに進んでいく。。そんか中、キリスト教の博愛精神を持つ担任に憧れ、教師となった主人公。天皇万歳の校長、教頭の下、今後どうなるのか。当時の状況もわかるし、展開もよく、読み応えしかない。
Posted by ブクログ
芦田恵之介の綴り方教育について、最近周りで少し話題になっていて、その流れで出会った一冊です。
上巻での様子は、今の職員室とも重なる部分が多くて、坂部先生や木下先生に憧れ連なる竜太のようでありたいものだと若々しい気持ちになりました。
なんとなくあらすじは知っていたのですが、うへぇどうなっちゃうのよ!という上巻の引きでした。
Posted by ブクログ
普段は一度読んだ本を読み返す事はほとんどしない私です。
読みたい本が、文字の通り山の様に積み上がっているので。
中学生の頃に三浦綾子作品と出会い、強い衝撃を受けました。
今まで読んできたどの本よりも心にズシンときて
それからは三浦綾子作品を読み漁る日々でした。
銃口も確か中学か高校の頃に読んだ記憶があります。
急にもう一度読みたくなり、実家の本棚から拝借してきました。
とても読み易いのです。それこそ中学生が読んでも決して難しく感じる事はないでしょう。
戦前の北海道を舞台に、教師をしている青年の話が筋。
三浦綾子さんも戦前、戦中と学校の先生をしていらした様で、本当はこう子供たちに教えたかった
と言う願望でしょうか、そう言うものが見え隠れしています。
当時戦争に反対していた教師も沢山いたでしょう。
子供たちに戦争をどう教えるべきか、葛藤していた教師も大勢居たと私は思いたい。
話の筋は大体覚えていたものの、改めて読み返してみると
何だか大切な言葉をすっかり忘れていたりしていて、大好きな本を再読するのも良いものだと深く思いました。
下巻へ続きます。
Posted by ブクログ
穏やかな教員生活に、不穏な影が。
戦中の時代なので、理不尽な言論統制があったのだが、三浦綾子が題材に取り上げ、「銃口」というタイトルを冠するからには、尋常でない物語がこれから始まるのだろう。
読まなければならない。
Posted by ブクログ
深く考えさせられる作品。
「昭和を背景に、神と人を描いてください」との依頼を受けて書いた作品、と夫の光世さんがおっしゃっていた。
「綾子も難しいと悩んだけれど、断らなかった。むかし松本清張氏に"どんなに難しい課題も頼まれたら受けなさい"と助言されていたから」とも。
Posted by ブクログ
三浦綾子作品によく見られる、人格者との出会いや別れ。ドラマチックでありえないと思いつつ、ぐいぐいと引き込まれて、上下巻あっという間に読めます。
Posted by ブクログ
非常に勉強になります。
坂本先生?の教師魂、そして竜太の熱心な姿。
時代背景が今と違っても、熱心な先生たちの思いは
今も昔も変わらないのだなと。
一生バイブルにしたい本。
Posted by ブクログ
主人公「竜太」が困難に負けずに成長する姿が、生き生きと描かれています。
太平洋戦争の話などが、史実に描かれているので、ノンフィクションのような気がしてしまいました。
教師という仕事に情熱を燃やす竜太の気持ちがとてもまっすぐで、よかったです。
「先生」と呼ばれていい気になるのではなく、教師のあるべき姿が描かれているような気がしました。
「恥というのはね、捕虜になることなどではないと思う。人間として自分に不誠実なこと、人に不誠実なこと、自分を裏切ること、強欲であること、特に自分を何か偉いもののように思うこと」という部分が印象的です。
Posted by ブクログ
宗教と戦争がメインテーマの小説。10年くらい前の作品。フィクションなんだけど、史実に基づいているのでノンフィクションのように思えた。そして、当時(太平洋戦争ころ)の描写が生々しく書かれている。戦争関係の本はいままで読んだこともなかったので、ちょっと目を覆いたくなるような情景も少なからずあったが、読み終えた今、読んでよかったと思える小説だった。ちなみに、下巻もあります。
Posted by ブクログ
戦中〜戦後の時代背景で正誤の倫理観の揺らぎや、
正しく生きるとは、というテーマも分かりやすく深く描かれています。
ただ上巻から下巻の中盤くらいまではグイグイ読ませる勢いがありましたが、ラストに近づくにつれて、ストーリーの綿密さ弱くなり、ご都合主義的な印象を感じました。
もしかしたら、もうその時はだいぶ体調を崩されていたのかな。
とはいえ代表作というのも理解出来る、重要な作品だと思います。
Posted by ブクログ
質屋の息子として特に不自由なく旭川で暮らしていた主人公の竜太が小学校のときに担任で出会った、愛に溢れ貧富とわず平等に生徒に接し救おうとする理想の坂部久哉教師、そして、クラスメイトの貧乏な芳子。
神楽岡への楽しい思い出になった遠足をおこない、さびしい卒業式を経た竜太は坂部教師にあこがれて、同じく小学校教師になるために師範学校に通う。時代は日中戦争が終わる気配を見せず、治安維持法ができて日本の言論は教育界でも窮屈になっていく。三浦綾子らしい相変わらず狭い世界で、幼馴染がそのまま好きあっていく。竜太は窮屈な中でも、自由と個性を伸ばす創意工夫ある授業をつくりだしていく。そんな中、綴り方の勉強会に参加したことで、警察に同行されていく竜太、そこで前半が終了。
ごく前半に登場してくる、たこ部屋から逃げ出した金俊明を家族ぐるみで庇ったことが、終戦直後に大きな芽をだして竜太を救います。
Posted by ブクログ
泥沼化した戦争への道が、市民目線で書かれていました。章が進むたびに暗くなっていく印象。戦争の結果を知っているので、なんともやりきれない思いで読みました。下巻がどうなるのか、気になって仕方ない。
Posted by ブクログ
教師を目指し、教師になった竜太の話。
三浦文学によくみられる潔癖さと優しさを持つ主人公と恋人。
戦中戦後の治安維持法(大正14年)、言論統制、国家総動員法が施行される前後の話。教師になった竜太にも暗い影が覆いかぶさる。
暗い世相になっていく時代については知らないことが多かったので、なんとなくでも知ることができて勉強になりました。
Posted by ブクログ
大学の文学の時間に課題だったのか,薦められただけだったのか忘れたけど紹介されて読んだ作品。普段軽い小説を読みがちだけど,たまにはこういうのも読んでもいいかもと思った。
Posted by ブクログ
主人公の一生を見たお話だった
どんな出会いにも意味はあるし、人との関わりを大切に、誠実に向き合うことがいつかの自分を助けてくれるのかもしれない
Posted by ブクログ
読後に知ったが、フィクションだった時点で少し興覚め。
ただ同時に、三浦氏の遺書的な作品ということも知り、キリスト教をお仕着せするようなこともなく、氏が読者に伝えたかったことは純粋にこういうことだったのかなぁと思いながらどんどん読み進められた。
内容としては連載小説ゆえ仕方ない面もあるが、同じ記述の繰り返しが多く、全体としても冗長過ぎるきらいがあった。
細かいところでは、木下先生が校長の意向に背きつつ数年間も左遷されなかったのは無理がある(戦前だったら、親が政治家でもない限りあんな真似は出来ないはず)。
また逆に、タコ部屋から逃げてきた金が、どういう形で朝鮮に帰ったのかが描かれていないことに不満が残る。
※下巻であれほどまでに重要な役割をするのだから…
Posted by ブクログ
どうしたらわからない時は自分の損になる方を選んだらいい。だいたいそれが間違いない。また、自分が得するようなことに出会った時は、人間試される時だと思う。得をしたと思ってよろこんでいたら、大いに誤ることがある。人間利に目がくらむかものだ。
勇気のある人とは、正しいと思うことを、ただ一人ででもやり遂げることが出来る人を言う。
自分にとって最も大事なこの自分を、自分が投げ出したら、いったい誰が拾ってくれるのか。自分を人間らしくあらしめるのは、この自分しかいない。
全二巻
Posted by ブクログ
複数巻を平行読破、そういや清張を読んでた気がする。それはさておき、長編小説の女王、三浦綾子も行っとこかということで。
昭和の初め、質屋の長男として生まれた竜太は、小学校4年からの担任であった坂部先生の人間性に打たれ、教師を目指す。元々成績優秀であった竜太は、トントン拍子に師範学校を卒業し、炭鉱の町の教師になるが、折しも日本が戦争に突入していく中、教育の難しさに直面していく。
元々、北海道で戦中起こった事件をモチーフにしており、緻密な取材から、全く違和感のない設定担っていることに加え、大河ドラマ風の作品を書かせたら第一人者の三浦綾子であるので、滞りなくストーリーを追うことができる。こういう才能のある作家って、そうそういないよ。
とはいえ、人生なので何もかもスムーズに物事が進むわけはなく、上巻の間は転校生であったり、謎の朝鮮人であったり、ちょっとした事件をうまく繋いでいくことで、竜太の成長を表現している。登場人物も多すぎず少なすぎず。
上巻自体は、テーマとなっている事件の手前くらいで終わるので、これから展開していくのであろうが、シンプルに「巧いね」という程度で、コレというものではなかった。そりゃそうか。
下巻に期待。
Posted by ブクログ
三浦綾子の最後の作品。主人公の幼年時代から学校教師に憧れ、小学校教師として働くまで、幼なじみの友との秘かな恋。昭和初期の天皇のご真影への礼拝。そのような主人公に治安維持法の陰が。日本が暗くなっていく時代ですが、素晴らしい前向きな人たちとの出会いに励まされる主人公。著者の描く人はみんな善人ばかりで、読んでいて心がほのぼのとしてきます。