【感想・ネタバレ】三浦綾子 電子全集 氷点(下)のレビュー

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Posted by ブクログ

三浦綾子作品、こんなに面白いなんて知らなかった。
愛憎ドロドロ劇だと知っていたらもっとはやく読んだのに。笑

昼ドラもびっくり、てんこもりの愛憎ドロドロ劇。
陽子ちゃんが健気で不憫で可愛くて、陽子ちゃんの幸せだけを願って読みました。
続き気になるけど、これはこれできれいなラストだなあ…

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2024年05月09日

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幼なくとも健気に気丈に生きてきた陽子が自分の存在を
悲しく思う切なさと従順さ。
夏枝の被害者意識に重なる自己愛の表現下手さ。
啓三の父親として挽回しようと改心がみれる行動。
透と北原の思春期をこえた愛。
各々が上手く調和できず、苦しい。
信頼できる安心の環境が早く整って欲しい。

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2024年01月27日

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すごい、すごすぎる作品だった
自覚すらしなかったかもしれない心理のすべて
事件によって人間の内なる憎悪が具現化していく
罪の根源について問う哲学的な結末に驚愕した

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2023年11月07日

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展開する物語は、啓造、夏枝、徹、陽子と適宜視点を変えて綴られる。啓造が抱え込んだ重大な秘密、密かにそれを知ってしまった夏枝が互いに牽制し、やがてぶつかる様、仲良しの兄と妹という感情を踏み出したモノを陽子に感じる徹、両親や兄と実は血が繋がっていないということに少しずつ気付きながら成長する陽子と、各々の展開が周辺の人達も関わりながら交錯して物語は展開する。

上巻は事の起こり、陽子の登場とその成長を軸に、啓造や夏枝の複雑な想いが絡まる。「この一家?如何なって行く?」と気になる展開だ。
それを受けた下巻は、高校生になる陽子が明確に中心になる感だ。大学生となった徹の存在感も増し、その友人の北原も重要かもしれない。展開する物語の中、陽子は一家の中での重大な秘密にも直面して行くことになる。
多分「街の名士」というような、地域での社会的地位も在る、経済的にも豊かと見受けられる辻口啓造の一家は、何等の問題も無いように見えることであろう。しかしそういうように単純でもない。“妬心”、“憤怒”というようなモノに起源が在るらしい“攻撃性”の故に「重大な秘密」が生じ、それが家族を何らかの形で苦しめる。そしてそれが、事情を承知しているのでもなく、自力で如何こう出来るのでもない陽子に突き付けられて行く。そういう感じだ。
本作は表層的には、恵まれた家庭の夫人による浮気や不倫、継子をいじめてしまうような事柄、出生の秘密を知らずに育つヒロインの物語ということになるのかもしれない。が、もう少し深い層が在りそうだ。それは「秘めてしまっている悪意がもたらす何か」という人生模様というようなことを綴ろうとしているのかもしれない。「秘めてしまっている悪意」が、所謂「原罪」というような概念、「実は“罪”を追ってしまっているかもしれない人間」ということなのかもしれない。
作中では、辻口家の在る神楽や旭川の街の様子が美しく描写され、鮮やかに作中世界を思い浮かべることが出来る。作中の「辻口家」の近くという設定の“見本林”は旭川駅から然程遠くはないのだが、自身は偶々訪ねたことが無い。(余計なことだが、“見本林”に至る道に入り、途中で左折して日帰り入浴施設に行ったということは在った…)それでも作中の活き活きとした描写で様子が思い浮かべられる。「北国の林」という風情が非常に色濃く伝わる本作の描写は、辺りの様子に親しんだ作者ならではの描写であるとも思う。
加えて、全般的に「美しい林を望む典雅な邸宅で繰り広げられるドラマ」という様子で、何処となく「モスクワ辺りで観られる舞台演劇が醸し出すような作中世界」をも思い浮かべてしまった。初登場が1964(昭和39)年と半世紀以上も以前、「もう直ぐ“還暦”」という程度の旧さではある本作だが、作品は全く色褪せてはいないと思う。「今更…」ということでもなく、未読の方におかれては是非手にしてみて頂きたい。自身、頭の隅で「今更、物凄く以前のベストセラーを?」という引っ掛かりも禁じ得なかったが、手にして読んで、そういう引っ掛かりは雲散霧消した。御薦めだ。

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2023年11月01日

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先月たまたま三浦綾子記念館近くに行った。今月も旭川に行く用事があるのでそれまでに氷点を読んでみようと思いたち読み始めた。内容的には昔の昼メロ的な雰囲気でスラスラと読め面白かった。現代であればここまで話もこじれない事が皆が内に秘め過ぎて皆で不幸になって行く。これも時代なのかな?敬造、夏枝夫婦のサイコパスぶりがなんともな小説でした、

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2023年10月10日

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ネタバレ

陽子を介して男女の性差が浮き彫りになってきて非常に良い。
啓蔵が今まで養子である陽子に対して、
「殺人犯の子であり我が子でない」消極的な思いを抱いていたにも関わらず、女になりつつある陽子に恋心や下心を抱き始める。
逆に幼少期の陽子を我が子のように手塩にかけて育て、溺愛していた夏江は、陽子の美貌・若さ・啓蔵を取られた愛が憎しみに変わりそれが行動に現れるところなど。

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2023年09月17日

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昔、TVドラマで内藤洋子が陽子役で出演しており夢中になってみていた。とても感動し、今でも記憶にはっきりのこっている。
2回目となるが改めて改訂版を購入し読んでみた。
青臭いかもかもしれないが、陽子の真っ直ぐで、芯の強い生き方に感動もし教えられた気がした。
この本のテーマは原罪ということだそうだが、私にはよく分からなかった。

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2023年06月27日

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ネタバレ

上巻から、長い本だったが一気にスラスラと読めてしまった。

メイン登場人物の誰にも共感できず、こと村井やら夏枝にはイライラさせられっぱなしで陽子を応援する気持ちで読んでいたが、解説で本書のテーマが「原罪」であると知り、唸ってしまった。

陽子の父の罪(実際は異なる父だったが)のせいで陽子が自殺にまで追い込まれてしまうその機微が私には初見では分からなかったのだが、アダムとイヴを引用した「原罪」をイメージすると、自分の中にすっと入って納得ができた。
私はキリスト教含め宗教について詳しくはないが、人々はみな生まれながらにして罪を背負っており、死が与えられ、労働しなければならない(仏教的に言えば)現世で修行を積んでいると解釈しており、陽子はこの生まれながらにしての罪に対して無自覚でありそれ故に何事に対しても動じなかったが、自覚した途端それを受け入れることができなかったのかなと…。ここから先、陽子が目覚めたらこの修行が始まるのかなと続編も楽しみである。

登場人物の誰にも共感できないが、どこか憎めない部分もあり、人間の泥臭さがリアルだなと感じた。
最近は仏教の思想を学ぶ本を読む機会が多かったがキリスト教も読んでみたい。

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2023年05月31日

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色欲、強欲、嫉妬、悲哀…または喜怒哀楽でしょうか。人間の持てる魅力と汚ない所全てがここにあると思います。
時間を忘れるぐらいにこの本に惹かれました。何も言うことなしのこの評価です。
みんな悪くないけど、みんな悪い。いい人なんてどこにもいなかったし、少なからずとも陽子の人生を少しずつみんなが狂わしたのかなって思う。

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2023年05月17日

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ネタバレ

夏枝が陽子に出生のことを話した場面から、急展開にストーリーが進んでいき、突然の陽子の遺書に唖然とした。
「氷点」の意味が陽子の遺書の中で始めて明かされたことにひどく感銘を受けた。何人もの人々の微かな恨みや憎しみの心が積み重なり悲劇を生むトリガーになってしまうのかな?と思った。
キリスト教の教理である「原罪」という問題を現代に表示し、問題の深さを投げかける作品。(解説抜粋)

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2023年04月22日

ネタバレ 購入済み

夏枝がやばい。もちろん、自分の子供が殺されたら気がおかしくなるのは分かるけど、なんかそれよりも終始、女を捨ててません!現役でいきたいんです!っていうのがイタイ。完全にかまってちゃんおばさんになってる。
そして、啓造もロリコンになってて、はたからみるとサイコパスな夫婦。
でも、そこが面白い!!何も知らない陽子が儚げでかわいくて、なんとか幸せになってくれーって思う。最後の遺書の部分はかわいそうで泣いてしまった。
原罪を問うテーマだが、原罪があちらこちらに散りばめらていて、答えが見つからなかった。続氷点で見つかるかなぁ。

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2023年04月18日

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ネタバレ

最後、高木のさらっとした陽子の出自についての告白に、えーーー!と声をあげました。感情や思い込みが、相手の何もかもを決めている。恐ろしい話です。勝手に思い込んでいた私たちも同じですね。
また、陽子はこのことがなくても自殺していたという言葉、最初は首を傾げましたが、考えるとああそうだな、登場人物全員に全て違う業があるんだと納得しました。ぜひ読んでいただきたい本です。

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2022年12月13日

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先が気になってすいすい読んだ。読み進めるほどに苦しい思いがするのに読んでしまう。自分勝手でひどいひと!と夏枝に思ったりするけど、でも、その気持ちが全くわからない訳ではない。旦那に対しても村井に対してもそう。人の抱える罪と呼ぶべきその感情の渦巻くお話だなと思いました。陽子の愚かしいほど真っ直ぐで潔癖な少女らしさも痛々しく思たり、登場人物が生々しくてすごかった。「生きていけなさ」の感情の頂点を氷点というのもとてもすき。

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2022年10月22日

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ネタバレ

出会い方:本好きの友人からの紹介。
この本は、1965年に刊行されており、この「氷点」は当時より話題作で、その後も何度か映像化までされているようですね。
今、大人になって色んな経験をしてきた、今の自分として読むことが出来てよかったなぁという思いです。それは、この物語の当時の日本の空気感や遠く離れた北海道という土地柄を昔よりは想像できるようになっているだろうし、何よりも今作のテーマでもある「『人間の罪』とは」、という点において今までの自分の生きてきた経験や知識を照らし合わせながら読むことが出来たように思います。

本作ではある意味直線的に物語が進んで行き、メインとなる「陽子」と、その周囲の人達がそれぞれ自分の中にある感情や正義感を、表と裏で接しながら暮らしていく姿を描いています。中心となる家族は裕福ではあるけれど「自分こそ不幸」だと思い、それぞれが抱える負の感情は自分の本心ではなく「そう思わせるあの人のせいなのだ」としてしまう。そして、善でありたいがために悪を作らなくてはいけないという、傍目にはねじれて見える部分こそが、人間臭く、誰にでもありえることとして読むことが出来たのです。

表題になる「氷点」ですが、陽子が最後に知り、感じることになる、『人としての不幸』とは生きていて不便だったり思うようにいかないという層の概念ではなく、「生きることが許されていない」と実感した時点が「氷点」という言葉として記されています。ここに文字の持つ温度感が、北海道という場所や吹雪の強い冬の季節とさらに相まって、痛いほどに冷たく感じるのです。彼女は、実は最も罪から遠い存在だったのですから。周りの人たちにとって最終章に至るまでは、目に見える現象だけが信じられる事実として、それぞれの行動をとっていました。しかし、事実はまったく違っていたのだと知ったとき、すべてを後悔し、失ってしまうような衝撃が起きるのです。読み手は陽子以外の誰かとして辛さを共感し、かすかな希望に強く祈るのではないでしょうか。

作者の三浦綾子さんの作る文章は時に詳細を避け、知りえない相手の心情を省くことで、よりリアルな人間の生き方を描いています。また、美しい冬の描写や、光と影の重なる森の景色が丁寧な日本語で作られていることでより、物語の切なさを際立たせているように思いました。

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2022年04月25日

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昭和の小説だが、今読んでも全く色褪せない。
誰しもが持っている人間の欲望、罪、嫉妬などを巧みに表現している。
続・氷点も読まずして終われない。

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2022年01月28日

Posted by ブクログ

読み終わってお腹の底にズンと来るような物語だった。人間とはなんて弱く利己的なのだろうと思った。下巻でも暗い影が全体を覆っているけれど、読み進める手が止まらない。最後でなぜ「氷点」というタイトルなのかが分かった。
解説を読んだら人間の「原罪」がテーマになっているとのこと。「どんなに無垢に見える人間でも原罪と無縁な者はいない」という悲しくもどうしようもない現実を、巧みなストーリーと描写で分かりやすく伝えてくれる。
最後の最後でほんの少しでも希望が見えてよかった。

「続・氷点」は「ゆるし」がテーマとのこと。読んでみたい。

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2020年12月17日

Posted by ブクログ

病院の院長さんだけど自分の人間としてのレベルの低さに葛藤するお父さん。
教授の娘で美貌が自慢で実は美貌だけの人なのに自分の人間としてのレベルの低さにすら気が付かない「純粋培養」のお母さん。

お父さんのお友達の高木さんやお母さんのお友達の辰子さんは光側の同じタイプ。
お父さんの病院の眼科医と失踪事務員は影側の同じタイプ。

陽子ちゃんや徹くん、北原くんは実はそれほど複雑には描かれていない「良い子」ちゃん。
陽子ちゃんは特にキリスト教的視点で見るべし。

お父さんとお母さんにそれ以外の人たちが関わってくるわけで、幼児が殺されたことも含めて彼らに起こった出来事におけるこの2人の心理を考察するだけでもかなりの人生勉強になりそうなお話でした。

キリスト教的視点が濃い作品なのかもしれないけれど、この分量でこれだけのお話を描いた作者さんの筆力に感服すると同時に旭川という街の凛とした魅力を感じた1冊でした。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

上を読んでどんな作品か理解してからは面白かった。
人間というのがどんなもんか書いてあるような、、
言葉って大事だな

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2023年11月25日

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全体的にじとっとした陰湿な雰囲気で、ドロドロした韓国ドラマを見ているよう。
夏枝にイライラしながら読んだ。
辰子だけが唯一まともな考えを持っている気がする。
続氷点もぜひ読みたいな。

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2023年10月26日

Posted by ブクログ

息が詰まるような展開に、辰子さんの存在がほっとさせてくれる。
登場人物それぞれに、あぁ、なんとなくわかるなというところと嫌悪を感じるところがあるが、その中でも輝く陽子。彼女の感じる寂しさが切ない。
そこで「氷点」か!と思いました。

Audibleで聴了。

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2023年07月13日

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陽子がもらい子だとわかっての兄の徹の感情の起伏が感情移入してしまう。美しく育った陽子に嫉妬する継母の夏枝の凄まじい愛と憎しみ。陽子を女性として見てしまう継父 啓造。徹の友人 北原への陽子の恋などそれぞれの感情が入り乱れる。殺人犯の娘という秘密を知ったら、自分だったらと思うと考えてしまう。

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2023年02月23日

Posted by ブクログ

何回も映像化されるだけある。
Twitterで紹介されていたので、作家さんも作品も全く知らなくて手に取りました。
あらゆる登場人物の感情描写がすごい。さまざまな思いが交差するのに、全然読みにくくないです。
何年経っても、これは名作だと思います。

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2022年12月04日

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登場人物は少なめだけど、ともかく村井だろう。村井を語らずして氷点は語れず、である。
一言で言えば鬼畜である。勤務先の病院の医院長の奥さんに言い寄る。まぁこれくらいはあるかもしれん。医者も2,3人の小規模経営でも、鬼畜とまでは言えん。
次は奥さんをうまくたらしこめないから、看護婦の弱みに付け込んで犯す。これはなかなかであろう。しかも1回とかではなく、定期的に。作者の言葉を借りれば凌辱である。凌辱ですよ、奥さん。なかなか使いませんわ、この言葉は。
そしていい加減年貢の納め時ということで結婚することになって、良かったと結婚祝いに来た看護婦を再び犯す。むむむ。エロビデオの見過ぎではないか。
そして、この凌辱っぷりを、医院長と奥さんの前でぶちまける。いやー、ちょっとおかしいよね。
他にも父親は娘の下着姿で発情するわ、母親は息子の友達に発情するわ、いや北海道ヤバい。

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

不朽の名作…なんだろうなぁ。

おっちゃん的には……言葉にしにくいね。

旦那もべっぴんな嫁さんも実の長男も、皆それぞれに欲やら煩悩の塊にしか見えない。
まぁ、設定がお医者のセンセの家の話だから、お金に不自由ないからこそ出来るお話ってやつかな。

そもそもルリ子が亡き者になってしまった後に、養女を抱えられる、しかも戦後まもなく位の時代にそんなことを考えつく時点で、エゴ全開ではないか?と思わざるを得ない。

しかし物語なんだから、野暮なツッコミはナンセンス…なんだけどね…。

ともあれ、ハラハラしながら読んでしまった以上、魅せられてしまった。結末も気になってしまった。

罪なき被害者“陽子”、この娘が幸せになるかどうかだけが気がかり。

続くらしいから、また見つけてみよう。

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2023年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

……なんて昼ドラだ!( ߹꒳​߹ )
夏枝の美しさ故の高慢ちきぶりや性悪さには呆れるけど、まあ「娘を殺した子どもを育ててやってるんだから私はまだ偉い方」と自分を慰める気持ちは分からんでもない。
妻への復讐を果たしてのうのうと陽子を愛する(色んな意味で)啓造もなあ……。まあそもそも子どもの人生を復讐に使うなんて、人の一生をなんだと思ってんだって感じだけど。面白かったけど酷い話だった。啓造が陽子に手出したりしたらどうしようとヒヤヒヤしてたからそういうことにはならず良かったけど。啓造も夏枝もいつもなんとなく未遂で終わるね。
そして続きあんのか〜いと思った。もう、結構ぐったり来てるけど。忘れないうちに読まねばならぬ。

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2023年10月27日

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上に続いて読み始めるのに気力が必要だけど、読み始めると止まらなくなる不思議ない本。途中途中、夏枝が歪んでるな、気持ち悪いなって思ってしまった。あんなに心が強いと思っていた陽子が”殺人犯の娘”というところでポキッと折れてしまうことに上でも感じた血のつながりを重さがしんどかった。続編もあるが読み始めるのに時間がかかりそう。

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2023年06月21日

Posted by ブクログ

美貌の医師の妻夏枝が他の男性に気を取られている合間に幼い娘ルリ子が殺されてしまう。
医師啓三は妻を憎むあまり娘を殺した殺人犯の娘と知りながら陽子を引取り育てる決意をする。
数名の登場人物像それぞれの主観で進んでいくストーリーは新鮮だった。
全体を通して暗い雰囲気の話で中盤読む手が止まりそうになったが後半の展開が面白く最後は一気読みしてしまった。
その後のストーリー、続氷点も読みたい。

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2023年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

後藤さんに勧められて読んだ。
冒頭と終わりは秀逸に感じたが、中盤は同じ展開を何度も繰り返し(啓造と夏枝のすれ違い)冗長のように感じた(デビュー作あるあるではあるけども)
原罪といったキリスト教的要素については既に先行論で述べられてるだろうから割愛。
北海道の描写は好きだった。情景として大きな役割を果たしていたように思う。
遺伝についてもメモしておきたい。戦後は精神異常が遺伝するというのが恐らく一般的であり、医師はそれを肯定する立場でだろう。当時の常識も踏まえると作者の与えようとした作品のインパクトが大きくなるかもしれない。

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2023年05月15日

Posted by ブクログ

原罪がテーマだとか、よくわからんかった…
原罪にあたるはずの焦点は、その周囲を取り巻くいろいろなことでぼやけていた気がする。

陽子の決断はどうしても、周囲の自己中心的で、それぞれの事情の上に仕方なくも滑稽に生きる人たちのことによって引き起こされた感が強い。

やはり初作品だからか、塩狩峠を好きな分すこし物足りない。

ただ、締めは欲求不満なものの、そこに至るまでのいろいろな事件にはいらいらと感情を掻き立てられた。とっても上手な物語運びだったと思う。だからこそ、最後に求めてた行き場が与えられず、拍子抜け感が少しあるのかもしれない。

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2023年05月12日

Posted by ブクログ

【原罪】
人間であれば誰もが持っている「罪への傾向性」

嫉妬、嘘、欲望、誤解、傲慢、罪
全ての人に備わっているスペックだと思ったら
そんなに悪いことでもない様な気がした。

人間というものは自己中心である。P277

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2023年02月11日

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妻の不貞の仕返しのため、娘を殺した犯人の娘を引き取り、その妻に育てさせる話。

話の大筋は昼のメロドラマっぽい。愛と憎しみが交差する人間関係。それぞれが秘密を持っているため率直に話ができない。そのため思い込みとすれ違いが起き、裏切られたという思いでさらに拗れて行く。

うーん、主要人物の夫婦の人間性にかなり問題ある。不貞の疑いがあるというだけで人間一人の将来に大きな影響を及ぼす仕掛けをほどこす夫。要するに欲求不満の妻が色々な男に魅かれて嫉妬したり恨んだり。
この夫婦でなければここまで拗れなかったような気はする。

この小説の大きな教訓は
「秘密を持つ人間は認知が歪む」ということだ。
自分が秘密を持っているから他者を見るスコープが狭く歪んだものになる。それを物語の中で表現していた。
認知が歪むと一つの現実に対して、各々がまったく別の解釈をする点も興味深かった。

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2022年11月14日

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