【感想・ネタバレ】人魚は空に還るのレビュー

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知識と伝手とたゆまぬ情報収集と信頼を取り得る美貌と名声が揃ってる二人が成り行きで身の回りの事件を解決してゆくお話。並び立ててみるとなかなかにチートなスペックだと思う。
美貌の天才画家に振り回される主人公という紹介を読んで、どんな破天荒な造形のキャラが出てくるかと思いきや、意外と人間味にあふれていて社交的。主人公の実直な人柄も相俟って大変好感の持てるコンビだった。腰が低く誠実な探偵役と面白がってけしかける助手役という対比も面白い。
話の内容も地に足がついていて、大きな起伏はないもののそれが良い、という雰囲気。今ではない時代を感じさせる空気感の表現もよくて、落ち着いて読み進められる。

一番好きなのはやはり表題作の人魚のお話。文章から浮かび上がる情景が美しい。
怪盗ロータスが気になるので続きも読みたい。

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2019年09月13日

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明治40年代の東京を舞台に、雑誌記者の高広と天才絵師の礼のふたりが謎に挑む。
ミステリのネタとしては至極真っ直ぐでトリックもわかりやすいのですが、その世界観にぐいぐい読ませる力があります。明治という時代や道具立てもさるものながら、この作品の魅力の第一は高広と礼のコンビでしょう。
稀代の天才絵師にして超絶美形しかもエキセントリックな性格となれば、どう考えても探偵(ホームズ)役となりそうですが、彼の方が自らワトソン役を買って出ているのが面白いです。こんな偉そうなワトソンは初めてですよ。そのふたりが挑むのは、盗まれた真珠、天に消えた人魚、美術品を狙う怪盗などなど。大仰さが話を盛り立てます。

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2015年04月01日

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人が死なないミステリー。性格に難ありなホームズ好きの小説家と、実家は変わっているけど性格は一般的な雑誌記者の話です。ホームズは雑誌記者の方です。ミステリーと書きましたが、謎解き期待して読むと拍子抜けかも…?

語り手がホームズの方なので若干の読みづらさはありますが、私には気にならない範囲でした。
物達のやり取りが好きなので、文庫版の描き下ろし小話が気に入っています。

脇役達もユニークなので、続きを読むのが楽しみです。

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2013年11月30日

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表紙につられて読んでみてます。明治時代の探偵もので、助手がいい感じに態度でかいのに探偵の子に懐いてる様子がかわいい。
優しい雰囲気と明治という時代のノスタルジーとかたまらんバランスで楽しいです。モチーフになってるものが人魚とか真珠とか、そういうのも綺麗で好みドストライクでした。

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2013年11月23日

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誰かが死んだりする訳ではないミステリー。
雰囲気が素敵でほっこりします。
高広と礼のやり取りが面白かったです。
表題作の人魚は空に還るが一番好きでした。

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2013年02月14日

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表紙買いでしたが、大当たりでした。
文章の運びも好みで読みやすかったですし、表題作の『人魚は空に還る』では演出が本当に美しかったです。一つ一つの情景がイメージしやすかったです。笑えるわけでも無いし、泣ける訳でもないのだけど、一話目の冒頭からハマりました。謎解きをする高広の視点で書かれているので、高広が注目している所や気にしている所をよく考えると、結構推理(?)できます。私的には気になりませんでしたし、むしろ楽しかったですが、好き嫌いありそうですね。

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2012年08月31日

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ネタバレ

時は明治、美貌の人気絵師と絵師に振り回される雑誌記者が帝都で起こる不思議な事件を解決していく―と書くと絵師がホームズで記者がワトソンと思うでしょうがところがどっこい、ホームズ大好きな絵師が、記者にホームズ役をやらせるという予想外の役割分担が面白い。短編集ですが、どの事件も優しさと淋しさが漂う絶妙な雰囲気で素敵でした。続編も読みたい。

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2012年06月30日

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ネタバレ

創元推理から出ていても、ミステリ小説というよりは時代物の浪漫譚。
そしてこれが最高に面白い。

貧乏だけど人情家でお人好し、でありながら頭脳明晰・腕っ節も強い探偵と、自分に自信ありまくりの超美形売れっ子絵描きの男二人コンビという、
また女子の大好きな設定だなぁ…と思いながら、ちょっとそっち系に媚びた作風を邪推して読んだのだけど、とても期待を裏切ってくれた。

不可思議な出来事と、そこに潜む人たちの不器用な想い、ままならない出来事への主人公たちの憤りや心配や思いやりがまっすぐ心に届く作品。

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2012年01月07日

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ネタバレ

表題作「人魚は空に還る」の最後、小川が筆名を明かすところでアッと膝を打った。ただ「赤い蝋燭と人魚」は笑顔になりようのない物語だったと記憶しているのだが。

すっきりした文章で、全体が穏やかにまとまっている。ミステリを期待すると今ひとつかもしれない。系統としては坂木司さんの作品に近いが、やや及ばない印象。ホームズ役とワトソン役の逆転がキモなので、その新鮮さがどれだけ読ませるか。今後に期待。

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2018年10月18日

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明治時代の帝都東京で不思議な事件に巻き込まれるお人好しの雑誌記者と美貌の天才絵師。絵師が探偵役かと思いきや、お人好しで優しい記者が探偵役(しかも武芸にも通じているらしいという)というギャップ。殺伐とした事件ではなく、ちょっと不思議な幻想的な出来事が題材で、人情味があって優しい雰囲気に仕上がっている。事件が当時の時勢を反映しているのも面白い。
切なく幻想的な雰囲気の第三話「人魚は空に還る」と、鮮やかな怪盗の手口を通して被害者側の行動の謎が明かされる第四話「怪盗ロータス」が好みです。
読み口は軽めで、登場人物に嫌味がなく読後感が非常に爽やか。
続編も読みたい。

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2017年07月09日

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イケメン天才絵師とお人好しの雑誌記者と愉快な仲間たちが帝都で起こる事件の謎を解く。
絵師殿は最初引きこもりなのかと思っていたが結構アクティブだった。
佐野が結構好き。
ロータスのその後が気になるので続きが読みたい。

表題作を読んだ期間にロトのCMに出てた米倉さんを見て、花遊鞠子のビジュアルイメージが確定した。笑

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2014年06月12日

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不可思議な事件を不本意ながら解いていく記者のお話。
短編集なので読みやすいですし、レトロな雰囲気も良いです。
表題の「人魚は空に還る」が一番好きかな。見世物小屋で歌う人魚が本物か否か、探るお話です。

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2013年09月07日

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坂木司さんの引き籠もり探偵が好きだったらこちらもお勧めかも。
ホームズ役がちょっとお人好しで、ワトスン役がやたら不遜ですが。
時代背景や小道具も好み。
読む前は幻想小説系も入るかと思いきや、ワトスン氏の美貌以外はそんなこともなかったです。
続きの「世界記憶コンクール」も読み出し中。

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2013年08月24日

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ミステリーとして面白く読める。

チョイスした時代がよい。

難しい表現・熟語が端々に出てくるので日本語の勉強になる。

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2012年09月18日

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ネタバレ

雑誌記者の高広と、仕事相手で友人でもある美貌の天才絵師・礼のコンビがさまざまな事件を解決するミステリ。
デビュー作の短編4作と、文庫化にあたり礼のキャラクタを深めるエピソードが追加されている。

行方不明の兄を探す小学生の手伝いをする第一作『点灯人』で主要人物が出切って、伏線にしてもよかったと思う高広の出自が明らかになり、彼は浅見光彦みたいな立場なのだなとわかる。
この設定で多少の都合のよさは黙認され、大掛かりな事件に携わる素地完成。よくできている。

消えた真珠の謎を追う『真珠生成』は、誰が真珠を盗んだのかという謎の核心と真珠というモノが生成される過程をうまーく絡めている。

『人魚は空に還る』は見世物一座の披露する”人魚”の正体に迫る。
かなり風情のある情景が浮かぶ。
そして一座の座長の友人で、高広とは仕事仲間の作家が終わりに小川未明であることが明かされる。

『怪盗ロータス』は相場操作や違法賭博に絡む一番大がかりな話。
フィナーレという派手さはあるけど物語としては一番普通かも。

表紙もこんなだし、高広と礼の設定的に腐女子狙いでそういうのを匂わせる感じ。
分かりやすい主人公にベタな展開で本格ミステリというよりラノベ寄りの印象はあるけれど、時代設定もあり風流な土台があるので軽薄な感じがしないのがよい。
小川未明や柳田国男、モネなどの人物がちらりと出てきてにやりとする仕掛けもあり。
一見、探偵役になりがちな礼があくまで高広の助手という立場なのも新しい。

デビュー作とのことで、ベテランさんほどこなれた文章ではないものの雰囲気があって読みやすい。
振り返るとかなり構成が練りこまれているのだなと感心する。

既にシリーズ3巻目も出ているということで、息の長い作品になるのではないでしょうか。

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2012年05月22日

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表紙を見て今流行のBL風味なのかもしれないなあ、と恐れながら購入したがとんでもない。
とても心地よい物語がつまっていた。

気取るわけでもなく、しったかぶりの知識をひけらかすわけでもなく
淡々と綴られる小さな物語たち。
いろんなものが繋がって、「ああ、そういうことね」と
作者の頭に蓄えられた様々な出来事や事実がきれいにまとまっている。


読み終え、実に「気持ちのよい男たち」だ、と某映画の台詞を呟いてしまう。


最近、これが小説を名乗って出版されていいのかと疑問に思うものに多く出会っていたため、なんだかほっとしたよ。
ぜひ続編を読みたいと思う。

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2012年05月02日

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ホームズ&ワトソンものは少なからず読んできたつもりですが、これは新しい!
「思わせぶりイヤミホームズ」「読者以下の推理力しかない卑屈ワトソン」の定型を覆す、「腰の低いホームズ」と「上から目線な美男絵師ワトソン」です(笑)。
いやー、ビックリしました( ^ ^ )この部分は、ミステリスキーなら楽しめるカタストロフィではないでしょうか(笑)。何が面白いって、ワトソンに役を譲りたがるホームズのヘタレっぷりや、自分の画力と美貌を武器に事件にズカズカ口を出すワトソンの強かさですよ(笑)。

誰も死なない謎解きものと言えば最近は「日常の謎」ものが人気ですが、今作は失踪・盗難・密室からの消失ときて、極め付けは怪盗と予告状! これは日常の謎ではないよね~(笑)。

ガチガチな様式美に拘りすぎて人間描写に違和感があるミステリや、キャラ小説が書きたかったのかと訝りたくなるような謎解きは「ついで」扱いのミステリが多い中、これは読み物として純粋に面白いです。キャラクタが強いのに、うるさくない。その上、謎も魅力的。

時代設定を「明治」にしながら時代考証や当時の生活感を書き込みすぎず、読者の想像に世界観の構築を概ね委ねる書き方も好印象です。

この作家が本格物を書いたら面白いだろうな~と期待しつつ、でもデビュー作がこれってことは、今後もこの系統で書いていくんだろうな~と予想。いや、読むけどね!笑



○点灯人…コンクールで多額の賞金を手に入れた少年が失踪した。彼は「金は全て使った」と言い残して姿をくらませたが、果たしてそんな大金を何につぎ込んだのか?

○真珠生成…宝石商から盗み出された真珠の粒の一つが、芸者の金魚鉢から不意に発見された。自分も発見者になって懸賞金を手に入れようと、街はにわかに金魚鉢ブームとなるが…。

○人魚は空に還る…見世物小屋で人気を博した人魚が、さる夫人に買い求められることになった。人魚の最後の希望は観覧車に乗ること。ところが、客車が頂上に着いた途端、乗り合わせた男の悲痛な叫び声が上がり、不思議な泡が下界へと降り注ぎ、戻ってきた客車の中からは人魚の姿はかき消えていた(意外なゲストも登場)

○怪盗ロータス…怪盗を名乗る泥棒が人々を熱狂させていた頃、ある成金のもとに怪盗からの犯罪予告が届けられた。それまでと手法を変えてきた彼の真意は?

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2012年02月27日

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2、3巻を積読しているうちに1巻が文庫で出ちゃった。文庫で読み返したからこの流れで2、3巻も読もう。

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2012年07月22日

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一言で言うとキレイな作品
時代背景も江戸時代から明治に変わる難しい時代

結構、コメントを起こすのも難しい作品かも…

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2021年02月04日

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どうか、この心を、誰かがわかってくれますように。

超絶美形の天才絵師・有村礼と、雑誌記者・里見高広の“帝都探偵絵図”シリーズ第一作。礼がこよなく愛するホームズの物語を翻訳する、それが高広の役割。そして、二人が出会った謎を、優しく解き明かす高広。ちょっと不思議なホームズとワトソンの物語。短編集で、どの物語も、切なさと優しさに満ちている。ままならぬ浮世で、それでも優しく、誠実に生きようとする、不器用な切なさに。

「人魚は空に還る」浅草で話題の興業「蝋燭座」の出し物の目玉は人魚。しかし、人魚を買い取る人が現れ――。空に還った人魚の秘密とは。さりげなく小川未明が登場する表題作。真相を見抜いた高広は、しかしその罪を問おうとはしない。彼が真相を語るのは、礼のため。

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2016年11月13日

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なんとなく衝動買い。全体読みやすく面白いと思います

このシリーズは初めてだったので油断していましたが、少しキャラクターが綺麗すぎると申しますか漫画的な空気感なのが個人的には少し苦手でした。

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2014年07月25日

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幻想的な事件を廻る、お人好しなホームズ・高広(雑誌記者)と美形ワトソン・礼(売れっ子天才絵師)。一話完結短編集。
最初、美形な方がホームズでお人好しの方がワトソンかと思ったけど、違いました。
ちゃんとその理由も、文庫版の書き下ろしで説明されているので、読むなら文庫がお薦め。

全体的に題材が綺麗で幻想的だと思いました。舞台が明治時代というのも相まって、良い雰囲気を醸し出しています。私は「人魚は空に還る」と「点灯人」が好き。特に「人魚~」の方はトリックや内容が気になって夢中になって読みました。

p114〈『じゃが、美しいものは美しいから価値があるのではないぞ。美しいものに接した人間が、勇気づけられ、正しい心を持てるから価値があるんじゃ。だがそれをいちいち説明しておると面倒じゃから、簡単に「綺麗なものはよい」と言っておるのだろうな』〉

この小説内では特に「美しいものを大切にする」ということを意識している印象を受けました。礼の絵や容姿は何かと美しいと言われるし、各章でも何かしら「美しいもの」が注目され、それについて語ることがあったので。

主役コンビが付かづ離れず(しかし離れる事を心配しつつ)展開してますのでそういう人物関係が好きな人も楽しめるのでは。

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2014年05月20日

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明治40年代の帝都東京、雑誌記者と天才絵師が数々の謎を解き明かす連作短編集。

クールビューティの天才と心優しい凡人のコンビであるならば、天才が探偵役、凡人が記述者役になりがちであるが、今作は「あえて」凡人を探偵役にしている。
だが、その代わりに、あまり天才が機能していないようにも思える。

表題作で、人魚が空へ≪還る≫景色は、本当に美しかった。

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2014年02月18日

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明治を舞台の日常ミステリ。

探偵側が視点のミステリって珍しい。
高飛車なワトソンくんに振り回されるホームズ(笑)

どちらもなんだか可愛いな。

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2013年07月30日

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ネタバレ

明治、帝都と時代背景的にはすごく好きな雰囲気。
起こる事件もそれほど生臭くはなく、ゆったり楽しめる人には面白いかも。
個人的にはもうちょっとひねりが欲しかったかなーという印象です。

あと毎回出てくる有村先生の美貌褒め称えが、どうにも気になって気になって。
そんな小さなとこ気にして、すみません…。

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2013年03月20日

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時代は明治、人のいい新聞記者と美貌の人気絵師…と設定だけ聞くと軽い感じだったけど、読んでみるとホームズとワトソン役が想像と逆だったり、登場人物達も厭味がなくて続編も気になる。

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2013年01月17日

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雰囲気もあって題材もよいのに、なぜか読みにくい部分がちらほら。
唐突だったり、話が飛ぶ感じがし、世界観に浸り切れなくて残念

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2012年09月17日

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時代背景がわからないとちょっととっつきにくいところはあるけど、ガッチガチの推理ものは正直苦手なので、さらっと読める感じがよかったです。逆を言うと本格志向の人には向いてないのかも?

腰の低いホームズと高飛車なワトソン

と作中でたとえられていますが、まさに、ですかね。個人的には高飛車でツンデレなワトソンだったと思います

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2012年07月02日

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ミステリ色は少なめな短編5編。260ページ程。
個人的にはもう少し1話あたりのページ数を増やして、トリック的な部分を書き込んで欲しかった。東京創元推理文庫なので、ミステリ要素を期待し過ぎたのかもしれないけれど。
話の良し悪しは別として、東京創元社さんがこういう話も出版するとは意外だった。

話は女性作家さんっぽい柔らかい感じ。
だから読後感は良いと思う。
有村の描写がBL風なのもまた女性らしいww

ただ、ミステリ的な要素として段々有村が不必要になっていったら悲しいなぁ。

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2012年05月14日

Posted by ブクログ

謎を解いてもらおうと強請るワトソンと、ワトソンに迫られ渋々謎解きをするホームズ。あべこべな力関係の探偵役が魅力の明治探偵物語。

心優しい若手雑誌記者・里見高広と、帝都随一の絵巧者にして絶世の美男子・有村礼。他にも続々と登場する個性的なキャラクターが、明治40年代の史実と溶け合っている。
小川健作が登場する表題作「人魚は空に還る」や、「怪盗ロータス」が好きだな。

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2012年02月12日

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